超高速!参勤交代(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『超高速!参勤交代』とは、土橋章宏が脚本を手がけ、2014年に映画化された時代劇映画である。監督は本木克英。湯長谷藩(ゆながやはん)藩主の内藤政醇(まさあつ)は、長い参勤交代を終えて国元に帰ってきていた。しかしすぐにまた参勤するようにと江戸から知らせが届く。湯長谷藩の面々は老中松平信祝(のぶとき)の無理難題を攻略するため、何度も窮地に陥りながらも知恵をめぐらせ江戸に向かう。この物語は個性豊かなキャラクターが織りなすコミカルな様子の中に、男たちの熱い思いを垣間見ることが出来る作品となっている。
無事に参勤を終えた政醇は、吉宗と二人で酒を酌み交わしていた。政醇が「此度の参勤は、上様(吉宗)の策にございましたか」と聞くと、「うむ、信祝の不正を探るため、そこもと達に参勤をしてもらった。ずいぶんと襲われたであろう」と吉宗が楽しそうに答える。最後に吉宗は湯長谷の参勤を激励し、政醇も頭を下げるのだった。
後日湯長谷藩の江戸屋敷では、秋山が琴姫に手厚く看病をされていた。それを見ていた荒木はうらやましそうな表情をする。そこに政醇が入ってきて家臣らをねぎらう。「それで殿、あのおなご(お咲)をどうするおつもりですか」と相馬が聞くと、琴姫もやってきて誰かを連れてくる。後に続いてきたのはお咲で、キレイに着飾っている。飯盛女の時との違いに家臣らは驚くが、政醇がお咲を側室にすると言うのでさらに驚く。相馬が百姓の娘を側室にすべきでないと反対するが、すでにお咲は武家の養女としたため問題ないとして政醇はお咲の肩を抱くのだった。
政醇はお咲と2人で蔵に来ていた。お咲は「これを段蔵様が。身請けの費用にと」と大量の銭を政醇に見せる。以前段蔵に湯長谷藩が支払った銭である。段蔵は雇い料として、政醇の小刀だけをもらって行ったのだ。
さらに後日、政醇ら湯長谷藩の面々は大名行列を組んで湯長谷への帰途についていた。しかし相馬が行列の費用を片道分しか考えておらずどうやら帰りも走らないといけないと言う。政醇はなんだか楽しそうである。一行は、政醇とお咲を先頭にして走り出すのであった。
『超高速!参勤交代』の登場人物・キャラクター
湯長谷藩の人物
内藤 政醇(ないとう まさあつ/演:佐々木 蔵之介)
湯長谷藩第4代藩主。家臣や領民にも気軽に話しかけ、誰からも慕われている。しかしお人よし過ぎて困っている人を放っておけず、先の大飢饉の際には幕府からの援助を待たず磐城平藩に援助を送っている。それで藩の財政を圧迫することとなったため、相馬にはよく小言を言われている。湯長谷で作っている大根の漬物が大好きで、ことあるごとに周囲に配っている。幼い頃子守女に毎日蔵に閉じ込められていたため閉所恐怖症になってしまったが、お咲のおかげで克服する。抜刀術の名手であり、腹話術も得意。
相馬 兼嗣(そうま かねつぐ/演:西村 雅彦)
湯長谷藩家老。藩で一番の知恵者で、俸禄も家臣らの中で一番多い。藩の財政を担っているため、何かとお金のことにうるさい。政醇のお人よしによって藩の財政が圧迫されることもあるので、ことあるごとに政醇に小言を言っている。そのため、政醇からは信頼もされているがうっとおしがられてもいる。参勤交代中には、立ち寄った廃寺の井戸に落ち荒木らとはぐれてしまう。なんとか這い上がって荒木らと再会するが、その時の姿は落ち武者のようにヒドイ姿だった。
荒木 源八郎(あらき げんぱちろう/演:寺脇 康文)
湯長谷藩の武具奉行。相馬を除く家臣らの中でのリーダー格。剣術が得意で喧嘩っ早い。理詰めが得意な秋山と衝突することも多いが、互いに認め合っているライバルのような間柄。今村に対してはツッコミ役となることが多い。敵に相対した際の口上は「我らは武芸百般を極めし雄藩。お前らのような野良侍とは違う!」で、家臣らの中でも一番に敵に向かって行く。井戸に落ちてはぐれた相馬を死んだと思い、皆を先へ急ぐように促した。
秋山 平吾(あきやま へいご/演:上地 雄輔)
湯長谷藩の祐筆。碁が好き。基本的には冷静で理詰めが得意なため、よく荒木と衝突する。今回の参勤は「下手をしたらお取り潰しどころか、命すらあやうい」と反対していた。しかし政醇に請われて一行に加わり、相馬とはぐれた際は腹をくくって家臣らを引っ張っていった。江戸城手前で忍びに襲撃された際、道を切り開くために単身で敵の中に突っ込み、斬られて重傷を負う。無事に助かり、参勤後に琴姫に看病してもらっていた。
鈴木 吉之丞(すずき よしのすけ/演 :知念 侑李)
湯長谷藩の側用人。家臣らが皆刀を使うのに対して、鈴木は弓が得意で戦いにも弓を用いる。弓の修練の際は、見事に的を射ちぬいていた。弓矢で敵を倒すのはもちろん、遠くにある鐘を鳴らすなどここぞという時に役に立っている。極度の高所恐怖症で、吊り橋を渡らなければいけない場面では足がすくんで動けなくなってしまった。読書が好きで、初めの参勤交代が終わったら読書をしたいと話していた。
増田 弘忠(ますだ ひろただ/演:柄本 時生)
湯長谷藩の馬廻。参勤交代の際は、政醇の飼い猿の菊千代と常に一緒にいて世話をしていた。菊千代も増田に非常に慣れており、増田の肩にいることが多い。馬廻の役目からか、初めの参勤交代から帰った時は「馬の世話をしたい」と言っていた。戦いの際は二刀流を操り、身軽な身のこなしで相手を翻弄する。荒木同様敵に相対した際の口上があり、増田の場合は「飛んで火に入る夏の虫とは、貴様らの事だ!」である。
今村 清右衛門(いまむら せいえもん/演 :六角 精児)
湯長谷藩の膳番。膳番という役目のため、参勤交代中も食事に関してのことは今村が担当することが多い。二度目の参勤交代で、段蔵が獲ってきた獲物を皆のために調理した。その際「塩焼きで」「山椒で」という家臣らの様々な要望にも、「任せておけ」と腕を振るった。戦いの際は、槍を巧みにあやつり戦う。廃寺で夜襲にあった時は槍がなかったため、その場に合った包丁を使っていた。荒木・増田同様、的に相対した際の口上があり、今村の場合は「我らは一人一人が一騎当千、そのような人数で来るとは、片腹痛いわ!」である。
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目次 - Contents
- 『超高速!参勤交代』の概要
- 『超高速!参勤交代』のあらすじ・ストーリー
- 殿の帰り
- 一大事
- 参勤交代再び
- 山を進む一行
- 襲撃
- 四日目
- 五日目
- 飢饉の時の恩返し
- 取手宿(とりでじゅく)
- 江戸
- あとの始末
- 『超高速!参勤交代』の登場人物・キャラクター
- 湯長谷藩の人物
- 内藤 政醇(ないとう まさあつ/演:佐々木 蔵之介)
- 相馬 兼嗣(そうま かねつぐ/演:西村 雅彦)
- 荒木 源八郎(あらき げんぱちろう/演:寺脇 康文)
- 秋山 平吾(あきやま へいご/演:上地 雄輔)
- 鈴木 吉之丞(すずき よしのすけ/演 :知念 侑李)
- 増田 弘忠(ますだ ひろただ/演:柄本 時生)
- 今村 清右衛門(いまむら せいえもん/演 :六角 精児)
- 瀬川 安右衛門(せがわ やすえもん/演:近藤 公園)
- 江戸の人物
- 琴姫(ことひめ/演:舞羽 美海)
- 松平 信祝(まつだいら のぶとき/演:陣内 孝則)
- 松平 輝貞(まつだいら てるさだ/演:石橋 蓮司)
- 徳川 吉宗(とくがわ よしむね/演:市川 猿之助)
- その他の人物
- お咲(おさき/演:深田 恭子)
- 雲隠 段蔵(くもがくれ だんぞう/演:伊原 剛志)
- 夜叉丸(やしゃまる/演:忍成 修吾)
- 高坂 小太郎(たかさか こたろう/演:冨浦 智嗣)
- 虎之助(とらのすけ/演:和田 聰宏)
- 内藤 政樹(ないとう まさき/演:甲本 雅裕)
- 徳川 宗翰(とくがわ むねもと/演:前田 旺志郎)
- 『超高速!参勤交代』の用語
- 参勤交代
- 飢饉
- 老中
- お取り潰し
- 蟄居(ちっきょ)
- 戸隠流(とがくしりゅう/とがくれりゅう)
- 甲賀流(こうかりゅう)
- 服部半蔵
- 国替え
- 『超高速!参勤交代』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 内藤政醇「強いだけでは役に立たぬ。お主のような冷静な者もまた必要なのじゃ」
- お咲の手に軟膏を塗る政醇
- 内藤政醇「この不始末、ご老中がどのようにケリをつけられるか、田舎者にもはっきりわかるようお教えくださいませ」
- 『超高速!参勤交代』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- コミカルな中にも本気の戦闘シーン
- 福島県から生まれた「閉所恐怖症の殿様」のアイデア
- 作中に登場する、実在の人物
- 『超高速!参勤交代』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:塩ノ谷早耶香「Like a flower」