愛おしくて涙溢れる物語『フルーツバスケット』十二支、神まとめ

『フルーツバスケット』とは高屋奈月による漫画及びそれを原作とするアニメ作品です。母を失くして一人テント暮らしをする女子高生、本田透。透はひょんなことから十二支の物の怪に取り憑かれた一族、草摩家と関わることになります。可愛い絵柄とタイトルに惹かれて買ってみたら結構ドロドロ?しかし救済もあれば爽やかな部分もある。色々と人生について考えさせてくれる名作です。この作品のキモである「神」と「十二支」についてまとめました。

声:置鮎龍太郎/中村悠一

通称「ぐれさん」。職業は小説家で、含蓄のあることも言えば、説得もします。実質透や由希たちの保護者ですが、どこか底がつかめない印象。慊人が母の胎内に宿った日、既に生まれていた物の怪憑きたちとともに泣きながら目を覚まし慊人との絆を「永遠のものにする」「確かな形で手に入れる」と決意。つまるところ神である慊人を独り占めしたかった模様。「犬だから忠実」とも見られますが、愛情の示し方は歪んでおり、慊人の嫌う楝と関係を持つなどの意趣返し(慊人が紅野と関係を持ったため)を行ったり、わざと慊人を突き放したりといった所業を行うのでした。
ペンネームを複数持ち、少女向けのライトノベルを趣味で出したり、精神的にぞっと来る本(ゴキブリの入った麦茶を知らずに一気飲みした、など)を出したりと迷惑な一面も。締め切りを守らないようで、担当編集者は玄関前でリストカットをしかけました。最終的に小説家は引退し、慊人のサポートをしているようです。名前は10月の異名時雨月から。

亥:草摩楽羅(そうま・かぐら)

声:三石琴乃/釘宮理恵

夾に恋する乙女、なんですがイノシシが憑いているせいか猪突猛進。基本的には純情に恥じらいつつ、夾が絡むと暴走します。「会いたかった、心配した」と言いながら、夾を文字通りの意味で振り回すほどに。しかし依鈴が言うには「つじつま合わせの恋」。幼少期母から他者との接触を禁じられていた夾の遊び相手をしていましたが、「猫憑きに比べたら自分の方が幸せ」という気持ちからでした。猫憑きの数珠を無理やり外し、異形の姿の夾に怯え逃げた自分をなかったことにしたかった、つじつま合わせの恋とようやく受け入れそのことを告白。夾から「お前を(恋愛対象として)好きにはならない」と言われて「スッキリした」と言いながら泣いていました。「つじつま合わせはきっかけ。いつからか本気だった」と心で叫びその恋に別れを告げます。ちなみに彼女の方がやや年上。名前は11月の異名神楽月から。

猫:草摩夾(そうま・きょう)

声:関智一/池田恭祐(幼少期)/近野佳介(中学生頃)/内田雄馬

オレンジ色の髪を持つ少年。柄は悪いですが根は優しいというキャラ。武術に長けていますが、由希に勝てたことは一度もなく、昔話にかこつけて「クソネズミ」呼ばわり。本家の隔離施設に住まず、高校にまで通っているのは猫憑きとしてはレアなケースらしく、「化け物」呼ばわりする実の父親は高校を卒業した暁には一生幽閉を口にしていました。猫憑き本来の姿を慊人や楽羅に見られて、化け物扱いを受けたことがトラウマになっています。
それをも上回るトラウマは、幼少期に出会い、精神的支柱となってくれた女性(透の母)を交通事故に遭わせてしまったこと。抱き留めれば助けられた、でもそれをしたら猫になってしまう。結局自分をとり、死に追いやったことで心が折れて、師匠にして父親代わりの藉真共々山にこもっていました。由希を嫌うのも、「あいつが悪者なら気が楽」という理由から。しかしお互い羨ましがっていた、相手みたいになりたがっていたことを殴り合いながら吐露し、わだかまりは消えた様子。何だかんだで猫は寄ってくるため、一族以外の者からは「猫好きのいい奴」「面白い奴」という認識で結構人気はあり、容姿もいいためモテる方です。

この姿を透に見られたことで「終わりだ」と逃げ去りますが、透が「怖い。でも今まで通り一緒にいたい」と言ったことでこの姿に対するトラウマはある種解消されたようです。「怖がってもいい。それは目をそらさずに見てくれている証拠だから」と、母のように見せかけの愛情の言葉をかけるだけでなく、真正面から見てもらえることを望んでいた模様。由希とは違い、透に異性として思いを寄せ、恋人同士になり、最終的には結婚に至ります。最終巻で呪いが解けたことを実感し、数珠を引きちぎっても人間の姿を保っていました。数珠の玉自体は、透が拾い集め、残してあります。

神:草摩慊人(そうま・あきと)

草摩家当主。長らく十二支たちのトラウマの元凶と目されていましたが、ある意味では慊人自身も被害者でした。物語や慊人の正体について触れられる前に2001年版のアニメが終了したため、設定に原作との齟齬が多々見受けられます。共通しているのは若くして当主を務めていること、病弱であることや、横暴な振る舞いが多いことです。

原作

十二支の魂の統率者ともいえる「神」を宿す身。中盤で女性と判明。「多くの異性(物の怪憑き)に愛される」ことが決まっている存在であるため、実母の楝(れん)から女として嫉妬を受け、男性として育てられました。父や家の古株の使用人も神としてしか見ておらず、慊人自身も「神だから価値がある」と思い込んで、十二支と神の絆に固執します。楝とは父を巡る確執から衝突が絶えず、実の親子とは思えぬ一触即発の応酬を繰り返してきました。母への憎悪から女には厳しく、女性の十二支に対し暴力を振るい、高所から突き落としたこともあります。男性十二支に対してもわざと傷つくようなことを言い、由希たちのトラウマの元を作りました。最終的に神であることを辞め、猫憑き用の施設の取り壊しを始めとする草摩家の改革を決意。神を辞めた後始めて皆の前に女性として姿を現し、当主として皆を守ると宣言。十二支全員との絆を主張していましたが、異性としては紫呉に想いを寄せていました。

アニメ(2001年版)

男性として描かれており、声も男性が担当。容姿の美麗さに反し、病的で重苦しい声。十二支の魂を統治し、言葉一つで傷つけられる神ではなく、当主として十二支の呪いを受け止める核であり、若くして死ななくてはならないという生け贄のような役割でした。

草摩藉真の祖父(猫)

先代の猫憑きとして幽閉されていました。世話役の女性との間に子を儲けますが、正式な結婚は許されませんでした。その女性が子を産み、死に水まで取った理由は「可哀想だから」。藉真曰く「優しい人」だったそうで、幼い孫に饅頭を与えようとして「呪われるからいらない」と拒絶された際も笑って許したほど。

「呪い」の発端と解放

出典: anitubu.com

2019年版の冒頭。

実際の昔話とは少し違った形で、呪いの発端が描かれました。しかしこれが比喩表現なのか真実そのままなのかは不明。遠い昔にいた、人知を超えた能力を持つ存在。人と違うため却って人間を恐れて引きこもっていた「神様」。そこに一匹に猫が訪れます。「ずっとあなたに惹かれていた。そばにいさせてください」と言ってくれたその猫との日々の中、「人間以外の生き物となら仲良くできる」と踏んだ神様は動物に宴会の招待状を書き、十二支と同じ生物がやってきました。

満月の晩ごとに、猫も交えての楽しい宴会が開かれて、神様も笑い声を上げますが、猫に寿命が訪れました。いつか終わりが来ると悟った神様は盃に入った酒にまじないをかけ、猫になめさせます。ネズミ、牛、と他の生物にも順番に。「これで私たちの絆は不変で永遠」との神様の言葉に、猫は泣きながら言いました。「そんなものは望んでいない」と。猫が本当に望んでいたのは、変化。人と共に明るい日の下で笑う神様の姿でした。しかし神様も含めた皆は猫の言葉を裏切りと取り、猫憑きだけが阻害される原因となったようです(酒での契りを交わすシーンは2019年版のアニメ冒頭で描かれました)。

作者の高屋奈月氏曰く「呪いは壊れかかっていた」とのことで、劇中でも紫呉によって言及されていました。「遠い昔の約束はもう終わり」「自分たちは最後の宴会に招かれた最期の物の怪」。すべての十二支、猫、神まで揃ったのは彼らの代が初めて。慊人が自身の中の神と決別した時、全員の呪いが解けました。それは生まれた時から一緒にいた「物の怪」との永遠の別れを意味するもの。「今までありがとう、さようなら」。物の怪と神が去っていくのを感じながら、喜びと哀惜の混じった涙を流すのでした。

最後に呪いが解けたのは由希。ネズミの物の怪が神様の下へ駆け寄って行くのを感じ、涙を流します。

十二支・神の関係者達

【由希の母】綾女、由希の母。ネズミ憑きを生んだことで、家でも高い地位にいる様子。容姿は冷ややかな美貌。「自分を道具として生んだのか」という由希からの質問に対し「だったら何だ」と言い返す、幼児期には息子の苦しみを知ってか知らずか豪遊三昧など、親としての情愛があるのか疑わしい人物。ご当主(慊人)の機嫌を損ねるなと折檻をしていた描写もあります。三者面談の際、勝手に進路を決め、教員から「理不尽な言葉で息子を貶めている」とたしなめられるほどの上から目線でした。乱入してきた綾女のことは息子ながら苦手とのことで、三者面談はうやむやに終了。その後、携帯電話購入のため、保護者の許しを得に来た由希に「無駄遣いはするな」とツンデレのような、親らしい言葉を掛けました。

【草摩藉真】夾の武術の師匠。先代の猫憑きを祖父に持ち、幼少時代は一族の者同様に恐れていた描写があります。しかし祖父の死後誕生した夾を見て、猫憑きが置かれている環境を第三者の目で見られるようになり、ようやく祖父の苦しみ等を理解。自殺した母親の葬儀で「お前のせいで死んだ」と言われ激昂する夾を見て父親の下においておけないと判断。引き取って父親代わりとなりました。喧嘩っ早い夾が問題を起こす度学校の呼び出しを受け、(師匠に迷惑を掛けられないとの気持ちから)「師匠は俺の親父じゃない」と言われてもその手を離すことはありませんでした。透に猫憑きの真実を見せるべく敢えて彼女の前で夾の数珠を外しますが、二人が互いに「受け入れる」ことを願ってのこと。事実、猫の姿の夾を愛おしげに抱いて戻って来た透を見、安心して帰宅。武術家としても人としても師匠、父と呼ぶにふさわしい半面少し天然ボケの気があるようで、本を読みながら料理をする(夾の反応からするに、料理に失敗するのは日常茶飯事のようです)、淹れ方も分からないのに自ら茶を淹れようとするなどの一面も描かれました。慊人のことを泣きわめく子供と表現、恐ろしいと思ったことは一度もないそうです。呪いのことは詳しく知らないものの、透に神と物の怪憑きには絆のような物があると説きました。

【夾の父】先代猫憑きの孫である藉真を味方につけるべく、夾の処遇について何度か話し合いを仕掛けてきた模様。妻が夾に関することで自殺していることから、息子を母親殺しの化け物と見なし、高校卒業後は一生幽閉させ、誰とも関わらせない心づもりでいました。しかし実際妻を自殺に追いやったのは彼自身の「こんな子供を産みやがって」という言葉であり、夾が猫憑きであることを理由に自分を正当化していただけの弱い人物。夾の幽閉に関しても、自分が楽になりたいから言っていたようです。

【草摩モモ】紅葉の妹。中と外の間にある塀の穴からこっそり中に入り、紅葉の様子を見守っています。紅葉と母が似ていると指摘する、「お兄ちゃんになってほしい」と願っているなど、兄であることを勘づいている様子。紅葉に近づきたい為か、ヴァイオリンを習い始め、同じ師匠につくなどしていますが、必死に築き直した家庭の幸福を壊したくない父からは、紅葉との接触は望まれておらず、暗にヴァイオリンを辞めろと仄めかすなど、紅葉の方にしわよせがいっています。

【草摩楝】慊人の実母。通称レンさん。当初、草摩家に潜入した透の気配に気づき、その時透は慊人に見つかったと思い込んだらしく、声は娘と同じようです。事実20歳を超えた娘がいるとは思えない若々しい外見。元は草摩家の一使用人。慊人の父で先代当主の晶に対し執着ともいえる愛情を抱き、彼の心情を理解するような言動により妻の座を得ました。慊人を宿して後は、我が子に対し女としての嫉妬を抱くようになり、男として育てないなら産まないとまで言い切ったほど。まだ子供だった紫呉から「かわいそう」と評されました。慊人や古参の使用人の主張を否定し、「世迷言」とまで言い放ちます。紫呉とは関係を持っていたことに関しては、慊人に対する意趣返しという点では一致していたものの、白眼視されていたことが発覚。一族の若手使用人の中には楝の見方をし、慊人を貶めんとする「楝派」が存在します。十二支と神の絆が「本物」でなかった祭は草摩家から出るよう、慊人と賭けをしていました。

【草間晶】慊人の父で先代の当主。紅野が言うには儚げな美男子で、医者からは短命と宣告されていたそうです。早く跡取りを遺さねばならない身でしたが、手放したくない古株の使用人たちはどんな家柄、資産を持った女性との縁談も許しませんでした。そんな状況を寂しいと感じていたらしく、唯一理解してくれた楝を妻に選びます。しかし慊人の誕生後は神を宿す慊人に夢中になり、楝と慊人の間に溝を作るきっかけとなりました。「神だから」「楝との子だから」という理由で慊人を溺愛していたようで、ここでも異様な親子関係が描かれました。楝と仲直りできないことを悔いながら、慊人に看取られて死去。

【プリンス・ユキ】通称プリ・ユキ。高校の女子の大半が入会している、由希のファンクラブです。「我が校に舞い降りた王子を称え、守る」とのモットーが存在しますが、その実態は抜け駆けの禁止であり、二人きりになってはいけないなどの決まりが存在(告白するシーンはありますが、メンバーかどうかは不明)。ギャグキャラに思われがちですが、真剣に恋をしているメンバーもまたいます。

【倉伎真知】生徒会役員。副会長の真鍋翔の異母妹にあたります。父がそれなりの金持ちらしく、愛人の子だが長男で1歳年上である翔との後継者争いを強制されて素直に従い努力したものの、中学生になった翔が暴れて後継ぎ争いから身を引いたこと、弟が生まれたこと、母から「つまらない子」と言われたことで自身に価値を見い出せずにいました。挙げ句弟を殺そうとしたとの両親の思い込みが引き金となり、独り暮らしをさせられる羽目に。プライベートな外出にも制服で出かけ(何を着て行けばいいか分からない)、自分の好きな物、色も分からないなど勉学以外では自分のことさえ疎い状態。完璧な物が嫌いで、降り積もった雪やおろしたてのチョークを見ると息が詰まりそうになるほどトラウマになっています。しかし、そのことを知っていた由希がさりげなくチョークを折ったことで惹かれていき、恋仲になります。

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魚谷ありさ(フルーツバスケット)の徹底解説・考察まとめ

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魚谷ありさ(うおたに ありさ)とは、高屋奈月の漫画『フルーツバスケット』の主人公・本田透(ほんだ とおる)の友人である。透からは「魚ちゃん」と呼ばれる。昔ながらのヤンキーといった風体だが、不良行為はとうに卒業した。友達想いの情に厚い性格で、もう1人の友人・花島咲(はなじま さき)と共に透を見守る。透の母・本田今日子(ほんだ きょうこ)に憧れと恩義を感じ、彼女の死後も慕っている。バイト先で草摩紅野(そうま くれの)という人物に出会い互いに惹かれるが、事情があって会えずにいた。

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花島恵(フルーツバスケット)の徹底解説・考察まとめ

花島恵(フルーツバスケット)の徹底解説・考察まとめ

花島恵(はなじま めぐみ)とは、高屋奈月の漫画『フルーツバスケット』の登場人物である。主人公本田透の友人・花島咲の弟で、姉と同じで表情に乏しく、トーンダウンした声で話す。特殊な能力を持つために苦しむ咲を見守り、彼女を想ってくれる人が現れることを願っていた。姉の能力解明の研究の中、人を呪う術を身に着ける。その他の点では普通の少年。本人が言うには世渡り上手で、いじめにはあっていない。咲に付き合ってき始めた黒を基調とした服を、「落ち着くから」と着続けている。

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【フルーツバスケット】まだ終わってなかった!続編がある面白い少女漫画まとめ【ママレード・ボーイ】

【フルーツバスケット】まだ終わってなかった!続編がある面白い少女漫画まとめ【ママレード・ボーイ】

『フルーツバスケット』や『ママレード・ボーイ』など、世の中の女性たちがみんな夢中になった少女漫画の数々。連載が終わってしまった時には、なんだか自分の半身が失われてしまったほどの寂しさを感じた方も多いのではないでしょうか。そんなあなたに朗報!なんと、かつての人気少女漫画に続編が登場しているのです。あの頃子どもだった主人公たちも立派に成長して、なんだか感慨深いですね。

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