SOUL SACRIFICE(ソウル・サクリファイス)のネタバレ解説・考察まとめ

『SOUL SACRIFICE』(ソウル・サクリファイス)とは、2013年にPlayStation Vitaで発売したアクションゲーム。発売元はソニー・コンピュータエンタテインメント。作品の略称は「ソルサク」。
本作は牢獄に囚われた主人公が、喋る魔術書リブロムと出会い、運命に抗うためにリブロムの中に記載されたある魔法使いの力を手に入れるまでの物語。
作品の魅力は派手なグラフィックで表現される魔法、プレイヤー同士の共闘といったシステム、グロテスクながらも熱い重厚なストーリーである。

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アヴァロンの仲間:復讐の騎士

ある魔法使いは魔法使い嫌いで有名なレオデ王の依頼を受け、魔物の討伐を行うことになる。魔物の討伐を終えた時に、姿を現したのはレオデ王の側近にして魔法使いの男、ランスロット。彼はある魔法使いを部下に引き入れようと勧誘し、とある山奥の屋敷まで密書を届けるという依頼を出す。
ある魔法使いはそれを受けて山奥の屋敷に向かうと、ランスロットの部下だという魔法使いたちに出会う。なんとランスロットや彼ら魔法使いたちは、魔法使い嫌いのレオデ王の圧政で犠牲になった、魔法使いの家族であると判明。ランスロットは彼らを束ね、レオデ王の打倒を目論むと同時に、敵の内部に入り込んで国全体を作り変えようとしていた。
そんなある日、ランスロットはある魔法使いに、レオデ王の妃であるグウィネビアと恋に落ちていたことを打ち明ける。彼女はランスロットに駆け落ちを申し出、共に国外へ逃げようとしたが、ランスロットの仲間であった女魔法使いにそれを阻止されて、グウィネビアは命を落とし、1つの悲恋は終わりを告げた。駆け落ちは失敗し、愛する人を失い、裏切り者の烙印を押されたランスロットであったが、その後ある魔法使いと再会した際、彼は語る。彼女を失った運命を呪って生きることもできたが、それをしてしまっては人の心を失った魔物と変わらないと。彼はグウィネビアを愛した幸せな記憶を失いたくないと思い、時が経てば己の運命を受け入れられると信じていたという。

アヴァロンの仲間:汚れた血を持つ女

ある時から、強烈な快感と引き換えに理性を蝕む麻薬・ソーマが世間に出回り始める。魔法使いの間でそれの撲滅を促す要請が飛び交う中、ある魔法使いはソーマの情報を握っているという女魔法使いディンドランと出会う。魔法使いの間で急速に名を上げているその女性は、魔物の討伐数もさることながら、他者の傷から血を啜る、自分の血を小瓶に集めるという奇妙な悪癖もあって、多くの人々に知られていた。ディンドランはソーマを手にするには条件がある、という情報の他に、己の生い立ちもぽつりぽつりと語り始める。
ディンドランは魔物に転じてしまった女の腹から生まれた子供であり、その生い立ちから迫害され続けていたという。そんなディンドランと行動を共にしていたある日、ある魔物と出会う。その魔物は、ソーマによって生み出された魔物であり、魔物が落とした小瓶から、ある魔法使いはソーマの原料がディンドランの血液であったことを知る。そして、ディンドランがソーマを与える条件が、生きる価値もないクズであることも知った。
そんな生きる価値もないクズならば、いっそ魔物にして殺してしまった方がいいと考え、彼女は自らの血でそういう輩を魔物化させ、殺しているというのだ。彼女は歪ながらに、自らの存在意義と正義を示して、今も活動を続けている。

アヴァロンの仲間:人と魔の狭間で

ある魔法使いは、半ば伝説と化した存在、魔物に最も近いとも称される魔法使い、ガラハッドと行動を共にする機会を得る。彼は生贄のし過ぎで異形になりつつある心身を無理矢理動かし、心と体に甚大な苦痛を感じながらも魔物を狩っていた。ガラハッドがそこまでして魔物を狩り続ける理由は、ある麻薬の快楽の虜になり、魔物に転じてしまった恋人シャルロットを殺すためである。しかしシャルロットが現在どのような姿をしているかはわからないため、眼前に立ち塞がる全てを殺すという手段に出たのだ。生贄の魂に蝕まれて苦痛にのたうち回ろうとも、ガラハッドはそのやり方を曲げることはなかった。だが、実はシャルロットが麻薬に溺れてしまった原因を作ったのは、ガラハッドであり、彼女をそうしてしまった罪悪感で必要以上に自分を追い詰め、死に場所を探していたという。
そんなガラハッドへ、ある魔法使いは、以前偶然出会い、殺したシャルロットの言葉を告げる。憎んでいない、と。それを聞いたガラハッドは嗚咽を漏らし、その心に背負ったものを少しだけ癒すことができた。
しかしガラハッドの歩みは止まらない。代償を背負い、苦痛を受けることこそが、愛する女性を死に追いやった自身への苦難であり、彼女への贖罪であるが故に。

アヴァロンの仲間:死神の憂鬱

ある魔法使いは死神(しにがみ)と呼ばれる男性魔法使いと行動を共にしていた。仮面で素顔を隠した男は勝利至上主義者で、たとえ仲間を犠牲にしてでも成果を上げて帰ってくると言われている。ある魔法使いは、そんな彼に許嫁マルクを殺されたイゾルデという女性と、マルクの知り合いであった魔法使いトリスタンの依頼で、死神の素性を探っていたのだ。彼らは死神の素性を調べ、死神に復讐するために動いていた。
しかし、ある魔法使いと死神が魔物との戦いに応じる中で、死神が偶然その攻撃を仮面に受けることとなってしまう。正体を隠す仮面の下から現れた顔は、なんとイゾルデに寄り添い、彼女に明らかな行為を滲ませていた男、トリスタン。実はトリスタンはマルクと共に依頼をこなしている最中でマルクを生贄にしたのだが、彼の魂が抱えていたイゾルデへの愛をもその身に宿したという。トリスタンはイゾルデの復讐が叶うことを願う反面、イゾルデを再び独りにしてしまうことに対して強い苦悩を抱えていた。
トリスタンは自分の生死を第三者である人物、ある魔法使いに委ねるまでに追い詰められていたのだが、ある魔法使いとの戦いの末に、1つの決意をする。それは聖杯を求めること。聖杯にトリスタンという男の存在を、イゾルデの中から消してもらうことを願うのだという。そうして最後に死神が死ぬことで、イゾルデの復讐を果たさせよう画策し、戦い続けている。

サンクチュアリの仲間:異端の救済者

ある魔法使いは、魔法使いの組織サンクチュアリに加入するための試験を受けていた。サンクチュアリはアヴァロンと同じ魔法使いの組織でありながら、魔物を救済することを信条としている。その思想故に対立したそこを潰すため、アヴァロンはサンクチュアリのトップであるゴルロイスの殺害を魔法使いたちに出したのだった。ある魔法使いはゴルロイスに近づいて殺害を試みるために、サンクチュアリに入隊しようとしていたのだ。
サンクチュアリの加入試験はアヴァロンのそれと同じで、2人1組で行い、ある魔法使いの相棒はエレインという女性になる。ゴルロイスに対して妄信的な想いを抱き、裏切られた過去から生贄という行為に憎しみを抱く彼女と共に進み、最終試験になった頃、魔物の一撃でエレインは倒れてしまう。彼女は自分を生贄にしろと要求したが、ある魔法使いはそれを跳ねのけて魔物を倒していく。
そんなある魔法使いに対して、エレインは合格の通知を言い渡す。なんとエレインはサンクチュアリの指導者ゴルロイスであり、入隊希望者を己の目で見極める為に赴いたのだという。ある魔法使いの思惑も見通していたエレインだったが、ある魔法使いが彼女とニミュエを重ね、殺害を諦めたことを聞き、笑みを浮かべる。エレインとある魔法使いは固い握手を交わし、いつかまた共に言葉を交わす時を誓って、別れたのだった。

サンクチュアリの仲間:裏切りの殺し屋

ある魔法使いは、自身を殺そうとする異形の魔法使い、モルドレッドと出会う。モルドレッドはかつてアヴァロンでも指折りの魔法使いであり、掟を破った魔法使いを殺す役割を担った人物。しかし、ある日突然アヴァロンを裏切り、サンクチュアリに加入したのだという。モルドレットと矛を交えたある魔法使いだが、モルドレッドの攻撃には殺意が籠っておらず、到底殺そうと思って戦いに来ているようには感じられなかった。その理由を教えるため、モルドレッドは自分の旅にある魔法使いを誘い、理由が気になったある魔法使いもそれに乗るのだった。
旅の中で、かつてモルドレッドは生贄のし過ぎで魔物と化していたこと、アヴァロンがその事実を隠ぺいしていたこと、彼を助けたのがサンクチュアリのエレインであったことを知る。そして、モルドレッドの言う殺すという行為は、魔法使いとしての死であり、掟に縛られずに自由に生きる権利を与えるために、死んだという事実を作り出すだけの行為だったのだ。モルドレッドはエレインからの要請である魔法使いを殺そうとしていたのだが、ある魔法使いはそれを望まない。モルドレッドはある魔法使いの中に自分と同じものを見、殺してほしければいつでも言えと残して去っていくのだった。

サンクチュアリの仲間:呪われた自己陶酔

ある魔法使いが出会ったのは、水面に映った自分の顔に美しいと声をかける、サンクチュアリ所属の男、ガングラン。彼を思わず気色悪いと口走ったことから、ある魔法使いと彼の奇妙な縁が始まるのだった。美しい自分が気色悪いと言われたことに傷ついたというガングランは、贖罪の機会を与えると言い、無理矢理行動を共にし始める。
サンクチュアリへの勧誘を担当するガングランは、魔物を倒して救済を行い、その人物をサンクチュアリに入るよう手を差し伸べるのが役割だった。ある時ガングランは魔物となっていた女性エスメレを救済した際に、自分の過去を語り出す。かつては自分もアヴァロンに所属して、掟に忠実に従っていたが、ある時魔物になっていた女性ピュセルを、一目惚れを理由に救済してしまったことを。彼の話を熱心に聞いていたエスメレだったが、救済をした翌日に突如逃げ出してしまい、ある魔法使いとガングランはその居場所を探す。その最中に、彼と相思相愛の仲であったピュセルが、自分が元魔物であるが故に再び魔物になるのではないかと怯えていたこと、最終的に魔物になる前にガングランに生贄にしてもらったことを知る。ガングランの自己愛は、ピュセルの抱く記憶や想い、そして自分の中にピュセルという最愛の女性がいるが故に起こったものだった。
そしてとうとうエスメレを見つけたガングランは、また再び魔物になるのではないかと怯える彼女に、また魔物になって自分は味方であると、手を差し伸べて救済をする。ある魔法使いと別れた今でも、彼は罰を背負いながら、そうしているだろう。

サンクチュアリの仲間:生き残った人間達

物語は、呪われた男が世界を絶望に染めていく中で始まる。
世界が終末に近づいていく中で、救済を掲げるサンクチュアリの内部にも不安は広がり、構成員の中から絶望の末に魔物になる者まで現れる始末であった。そんな中でも指導者ゴルロイスことエレインは、サンクチュアリの信者たちに祈ることを訴えるが、その言葉は徐々に否定されるようになってしまう。そうして見切りをつけた者たちが去っていく中で、エレインの傍に残ったのは数十人だけだった。
しかしある日、突然世界が穏やかになり、魔物の気配も消え去ってしまう。エレインはそれを祈りが通じたのだと言うのだが、ただ1人、モルドレッドだけが何かの罠ではないかと提言したのだ。エレインとモルドレッドはそれを切っ掛けに道を違え、エレインはモルドレッドを破門にしてしまい、モルドレッドはサンクチュアリを去っていく。だが、穏やかな世界は幻惑が作り出した偽物で、世界が平和になったときと同様に突如崩れて姿を消してしまう。露になったのは魔物だらけの、滅びかけの世界であり、エレインの傍に居た信者たちは、その絶望の末に魔物化していく。自らのやってきたことが間違いであったのかと、彼女も絶望に落ちる最中、駆け付けたのはモルドレッドであった。モルドレッドはエレインが救いを叫び続けることを望みながら、心臓を代償に禁呪・エクスカリバーを発動。己を救ってくれた女性のために、その命を散らしたのだ。
そうして、エレインを狙った魔物たちは倒れ、最後に1体が残る。唯一残った信者の男・ウーゼルに手を差し伸べると、エレインは彼と共に、蹂躙される世界で、生き残った人間たちを探す旅に出た。2人の周囲には、また再び人が集まり、終わりの世界に差し込む光のような存在に変わっていく。サンクチュアリは、数少ない生き残りたちの拠り所となったのだ。

グリムの仲間:失われた歌声

ある魔法使いは、人を虜にするような美しい歌声を持つ男性魔法使いと出会い、その名がルンペルであると知る。しかしある魔法使いはルンペルを偽物であると断じた。なぜならルンペルとはかつてアヴァロンに所属していた魔法使いであり、人の心をも操ることができる魔法の歌声を持った、伝説の歌姫と称される女性であったからだ。
そんなルンペルは今グリム教団にいるという噂を聞きつけてきたのだが、ある魔法使いの前にいるのは、グリム教団に所属する、男の魔法使いルンペルだった。ある魔法使いは彼を偽物であると疑い続けるが、ルンペルの口から発せられる歌声は、人の心を操れる歌声と言われても遜色がないほど。そんな中、実はルンペルの噂には間違いがあったことを、ルンペルを名乗る男性から告げられる。
大きな間違いが、ルンペルが女性である、ということだった。実はルンペルは最初から男性で、高い歌声と線の細い見た目、そして本人の性自認が女だったことから、女だと思われていたのだ。だがルンペルは男であり、成長するにつれて、周囲が持て囃した美しい高い歌声は出なくなってしまう。絶望の末にアヴァロンを去ったルンペルが身を寄せたのが、運命や不条理に抗うことを掲げたグリム教団だった。
そして、ある魔法使いは2つ目の間違いに気づく。ルンペルの歌声には魔法など籠っておらず、彼は彼の純粋な実力で他者を虜にしているのだと。ルンペルはある魔法使いと別れた後も、世界の不条理を歌い続けるのだ。

『SOUL SACRIFICE』(ソウル・サクリファイス)のゲームシステム

牢獄画面でのシステム

リブロムを選択して、リブロムのメニューを開いた画面。

牢獄に捕まった奴隷、という立場である本作の主人公は、牢獄内に配置されたリブロムに〇ボタンでアクセスすることで各種項目へのメニューを開くことが可能。ちなみに、このメニューは『SOUL SACRIFICE DELTA』(ソウル・サクリファイス デルタ)から追加されており、『SOUL SACRIFICE』(ソウル・サクリファイス)時はリブロムにアクセスした時点で、リブロムのメニューに遷移していた。
牢獄画面でのメニューは以下のものが存在する。

リブロム

選択すると眠っているようなリブロムを起こし、以下のメニューを選択することが可能となる。

日記を読む:リブロムに記載されている日記のメニューに進行する。
白紙ページ:獲得した供物を消費して、要請を生成するメニューに進む。
リブロムと話す:リブロムと雑談を行う。
交信する:インターネットやアドホック・パーティを利用して、マルチプレイを行う。

尚、本作のネットワークサービスは終了しているため、インターネットを通じてマルチプレイは不可能。PS3のアドホック・パーティを使用するならば可能である。

sasa
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