SOUL SACRIFICE(ソウル・サクリファイス)のネタバレ解説・考察まとめ

『SOUL SACRIFICE』(ソウル・サクリファイス)とは、2013年にPlayStation Vitaで発売したアクションゲーム。発売元はソニー・コンピュータエンタテインメント。作品の略称は「ソルサク」。
本作は牢獄に囚われた主人公が、喋る魔術書リブロムと出会い、運命に抗うためにリブロムの中に記載されたある魔法使いの力を手に入れるまでの物語。
作品の魅力は派手なグラフィックで表現される魔法、プレイヤー同士の共闘といったシステム、グロテスクながらも熱い重厚なストーリーである。

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CV:白熊寛嗣&〆野潤子
主人公が囚われていた隣の牢獄の男が所持していた、目や口という器官を備え、表情豊かに言葉を喋る奇妙な魔術書。
その身にはとある1人の魔法使いの日記が書き込まれている他、世界や生贄、魔物のことなど、あらゆることが載っている。中身を読み解いていくことで、その身に記載された魔法使いが身に着けた力を受け継ぐことが可能。性格はどこか横暴で皮肉屋だが、主人公が自身を読み解くことへの協力は惜しまない。
その本名はジェフリー・リブロムであり、実は身の内に記載されていた日記は彼のものであることが『SOUL SACRIFICE』(ソウル・サクリファイス)シナリオで判明する。かつてはマーリンと相棒関係にあった魔法使いであったが、マーリンが正気を失った際に、彼を止めるために死闘を演じる。しかし、戦いの中で、彼を救うことも、殺せないこともわかり、挙句死んでもマーリンによって救済されてしまうことで、死ねない状況に陥ってしまう。その状況を打破するために、リブロムは自らの人間としての肉体を代償とし、自分を生きた魔術書へと変化させると、この戦いに終止符を打つことが出来る人間の存在を待つことにしたのだった。
物語終盤、日記を読み終わった主人公に自らを生贄にすることを要請し、かつて自らが持っていた記憶と力を主人公へ託す。そして、右腕に宿った魂として、共にマーリンと対峙することとなる。

ある魔法使い

ある魔法使いの容姿を変更する日記のページ。

『SOUL SACRIFICE』(ソウル・サクリファイス)及び『SOUL SACRIFICE DELTA』(ソウル・サクリファイス デルタ)のもう1人の主人公。
生ける魔術書リブロムの中に記載されていた日記の綴り手であり、主人公はリブロムを通してその生きざまを体験することとなる。魔法使いを束ねる組織・アヴァロンへの入隊試験でニミュエという女性に出会ったこと、魔法使いとして活動する中でマーリンと相棒関係になったことで、この人物の運命は大きく流転していく。性別や容姿は明記されておらず、その解釈は自由ということなのか、プレイヤーがどちらも自由に変更することが可能。また、名前は失われているという設定のために、名前も自由に変更できる。実は忘れられていた本名とはジェフリー・リブロムであり、生ける魔術書そのものであったことが後に判明した。
物語最終盤、日記を読み終えてリブロムを生贄にした主人公が力を継承し、プレイヤーが設定したある魔法使いの姿となって、マーリンと対峙することとなる。

マーリン

画像は日記の中に綴られたマーリンの姿。

CV:小松史法
『SOUL SACRIFICE』(ソウル・サクリファイス)及び『SOUL SACRIFICE DELTA』(ソウル・サクリファイス デルタ)の世界を支配し、人々を己のために生贄に捧げている魔法使い。
不老不死かつ強大な力を持っているため、誰一人として彼を打ち倒すことはできず、暴虐の限りを尽くしている。主人公は最初、このマーリンによって生贄に捧げられるための供物として囚われていた。
リブロムの中に記載されていたある魔法使いの日記にも登場し、そこではある魔法使いがアヴァロンに所属した際の相棒という立場。
日記の中ではいかにも悪の魔法使いといった風貌のローブの怪人だった現実の姿とは違い、顔の半分が爛れたようになっているものの、精悍な男の姿である。予知能力を備えた強大な力を持つ人物なのだが、生贄を取り込まないと急速に老化するという体質であり、生贄を求めて魔物を狩り続ける運命にあった。そのためか、多くの生贄の魂をその右腕に宿しており、記憶も混濁してしまっている。
しかし『SOUL SACRIFICE』(ソウル・サクリファイス)ストーリーの後半で、実は彼自身はマーリンではなく、かつてマーリンという不老不死の悪の魔法使いを打ち倒した名もなき魔法使いであることが判明。代償を捧げれば願いを叶える歪んだ願望器・聖杯に、打ち倒したマーリンの肉体を捧げて世界の再生を願い、世界を救った人物だったが、彼を生贄にした影響で記憶や存在が混濁。予知能力などの強大な力を生まれつき備えた、マーリンという人物であると思い込んでいたのだった。そうして変質し、最終的にはかつて世界で暴虐を尽くしていたマーリンという魔法使いに完全に乗っ取られてしまい、現実の世界に至る。だが、その根底にはかつて共に肩を並べて戦ったある魔法使いことリブロムへの想いを残していた。
『SOUL SACRIFICE』(ソウル・サクリファイス)のストーリー及び『SOUL SACRIFICE DELTA』(ソウル・サクリファイス デルタ)の追加ストーリーの両方で、最終的にはある魔法使いの力を宿した主人公とリブロムと対峙し、敗北を喫す。その魂の行方、結末は彼らの腕に託されることとなる。

ニミュエ

CV:木下紗華
物語序盤、秘密結社アヴァロンに魔法使いとして入隊するための試験をある魔法使いが受けた際に、パートナーとして共に戦った女魔法使い。本作のメインヒロインと言っても過言ではない。
自身が非常に特異な生まれをしているせいで、まともな世界やそこに生きる人間などの万象に対して憎しみや嫉妬、憎悪や殺戮衝動を抱くという、非常に狂暴で攻撃的な人物。他者を寄せ付けない苛烈な性質を持った女性ではあるのだが、その内には人間らしい感情や穏やかな心、素直な気持ちなどもしっかりと生きていた。ある魔法使いとも試験の最中に心を通わせ、相棒としての信頼関係を徐々に確立していくのだが、試験の最終問題が相棒を生贄にして生き残ることだったため、ある魔法使いと生き残りをかけて死闘を繰り広げることに。結果、ある魔法使いが勝利し、ニミュエを生贄として取り込む。以降、ある魔法使いの右腕にはニミュエの魂と殺戮衝動が宿り、それと同時に相棒を殺害した罪悪感を抱えていくことになる。
その正体は、マーリンを執拗につけ狙う女魔法使いモルガン・ル・フェが聖杯に願いを掲げて作り上げた自らの分身。マーリンの妻であった彼女が、記憶の混濁によって自身を忘れていくという寂しさから生み出した存在だったのだ。この出生の秘密こそがニミュエの殺戮衝動や攻撃的な人間性の根本にあり、ある魔法使いがモルガンの魂を生贄にしたことで、それは治まることとなる。以降は殺戮衝動などが現れることもなく、復活することもなかったが、『SOUL SACRIFICE DELTA』(ソウル・サクリファイス デルタ)の追加シナリオにて再登場。世界を神々の支配より解き放つために活動を続けていた組織・グリム教団の教主ターリアの計画によって、人々の精神が幻覚世界の中に囚われた際に、肉体を伴ってある魔法使いの前に現れた。そして、幻覚世界からの脱出を試みるある魔法使いと共に、再び相棒として戦うこととなる。
この際にある魔法使いはニミュエの名を現実の肉体で譫言のように口にしていたことが判明。彼女の存在がある魔法使いの心中でかなり大きかったことが伺えるシーンとなっていた。

モルガン・ル・フェ

CV:木下紗華
ある魔法使いとマーリンの前に突如現れ、マーリンの命を執拗に狙う謎の女魔法使い。
マーリンの元相棒であると自称しているが、当のマーリンにはその覚えがなく、彼女が自身に心中を迫ることから、彼女に対しては良い感情を抱いてはいない。ある魔法使いも、マーリンの現相棒であることを妬まれて攻撃的に接される上、風貌がかつて自身が生贄にしたニミュエに酷似していることから、良い感情を抱いてはいなかった。ちなみに、ある魔法使いには彼女の姿がニミュエによく似た美女に見えているのだが、マーリンからはみすぼらしい老婆に見えているという、奇妙な認識の違いがある。
その正体は、マーリンこと名もなき魔法使いの妻であり、相棒。自身の夫がマーリンを生贄にしてしまった影響で徐々にマーリンへと変化していく中で、存在を忘却し、捨てられてしまった女性であった。その寂しさから聖杯に願いを掲げて自身の分身であり、娘であるニミュエを生み出すが、ニミュエも自身の存在意義に疑問を見出し、彼女の元から去ってしまう。結果、生きる意味を見失い、愛した男性を殺して自分もその傍で命を終えようと画策していたのだ。
最終的には聖杯に願いを叶えてもらった代償か、錯乱の末に魔物化し、無数の蛇と腕で構成された髪を持つ異形に。ある魔法使いとマーリンによって討伐され、その魂は生贄にされてしまうが、彼女の伝えた事実はマーリンの精神に大きな傷を残してしまった。

エレイン

CV:高森奈緒
魔法使いの活動・異端の救済者にて登場する女性魔法使いで、魔物の救済を掲げる信仰組織サンクチュアリ所属の人物。
サンクチュアリの指導者だという人物、ゴルロイスを崇拝しているが、そのゴルロイスの正体がエレインである。ある魔法使いがゴルロイス殺害のためにサンクチュアリに入り込もうと、サンクチュアリへの参加試験を受けた際に出会う。魔物の救済を掲げる組織のトップとして、生贄に対して過剰なまでに嫌悪感を示しており、生贄を汚らわしいと称して憚らない。
立場は組織のトップではあるが、物語に深く関わることは皆無。しかし、『SOUL SACRIFICE DELTA』(ソウル・サクリファイス デルタ)クリア後に閲覧できるシナリオ・生き残った人間たちでは、物語の裏でエレインがどうなったのか、サンクチュアリはどうなったのかを知ることが可能。その中の記述から、エレインが実は主人公であるアーサー・カムランの祖先であったことが判明する。

メイジー

CV:清水理沙
『SOUL SACRIFICE DELTA』(ソウル・サクリファイス デルタ)から新たに登場した、グリム教団所属の女魔法使い。本作のもう1人のヒロインと言っても過言ではない存在。
鮮やかな赤い衣装に身を包む隻眼の女性で、レッドフードと呼ばれている。自らの目を供物として育成した供物・赤闇のリンゴを用いた高度な幻術を扱うことが可能であり、グリム教団は彼女の供物を計画の中心として扱っていた。彼女の祖母も赤闇のリンゴを扱う、レッドフードと呼称された魔法使いだったのだが、多くの人々を騙し、その果てに魔物へと成り果てた魔法詐欺師として知られている。そのため、メイジーは3代目レッドフードで、初代レッドフードとは別人だが、多くの人々は彼女の祖母が巻き起こした事件もあり、拒絶されることも多い。しかし彼女はかつて聞いた言葉を受け、その悪名や運命と向き合うことを決意をしている。しかし物語の終盤、現れた双子の神の片割れ・セルト神の怒りによって致命傷を負い、その魂を生贄にされることを拒んで死亡した。
ある魔法使いとは、ひょんなことから知り合ってしまい、そこから世界の命運を左右する出来事に巻き込まれていくのだが、その最中に少なからずの感情を抱いてしまう。そのため、物語終盤、幻覚世界にある魔法使いらの精神が囚われてしまった際に、とある魔法使いが譫言で発したニミュエの名前に対して多大なショックを受けている描写が存在する。生贄として取り込まれるのを拒んだのも、ある魔法使いに対する感情や、彼が大切にする彼女への黒い感情を知られたくなかった、というのが真相。

ターリア

CV:甲斐田裕子
『SOUL SACRIFICE DELTA』(ソウル・サクリファイス デルタ)から新たに登場した女魔法使い。
神々への抵抗を掲げ、世界を支配する神々の手から世界を解放することを目的とするグリム教団の教主。グリムの予言というものによって、世界に終わりが訪れ、そして再生が行われることを知っており、この世界の滅びと再生の永劫回帰を止めるために活動を行っている。また、世界を支配する神に縋る盲目的な民衆の目を覚まさせるために、多くの人々へグリムの予言やグリム教団の教義を広めており、アヴァロンやサンクチュアリといった組織からは危険視されていた。
彼女は永劫回帰への対抗策として、メイジーの赤闇のリンゴの幻影と、アヴァロンの指導者ペンドラゴンが持つという、全ての魔法を記録した魔法大全というものを使う方法を提唱している。赤闇のリンゴが生み出す幻影を、魔法大全の中にある拡散魔法で広げ、マーリン以外の精神を幻覚世界の中で保管しようと考えていたのだった。しかしそれは建前であり、実はかつて魔物となって自ら手にかけてしまった愛する弟と再び出会うために、幻覚世界を利用しようとしていたのだ。その自分勝手な欲望を暴かれたことで、魔物に変じるという結末を迎え、幻覚世界の中に囚われたとある魔法使いによって討伐されることとなる。

ペンドラゴン

sasa
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