ドラえもん のび太の海底鬼岩城（映画）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』の概要

『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』は、藤子・F・不二雄が手掛けた漫画・アニメ作品『ドラえもん』の長編映画作品。1983年3月12日に公開された。長編コミック版は『月刊コロコロコミック』1982年（昭和57年）8月号 ～ 1983年（昭和58年）2月号に掲載され、コミック・映画版共にシリーズ第4作目。

小学校5年生の野比のび太（のびのびた）はネコ型ロボットのドラえもんや同級生の源静香（みなもとしずか）らと共に、夏休みの海底キャンプに向かう。深海魚や巨大イカに遭遇したりといった冒険を繰り広げるが、海底地底人に出会った事により生命に関わる一大事に直面する。

同時上映は伊賀流忍者のハットリくんや周囲との騒動を描いた『忍者ハットリくん ニンニンふるさと大作戦の巻』と、変身ヒーローのパーマンとなった小学生のミツ夫の活躍や成長を描く『パーマン バードマンがやってきた！！』。配給収入は10億円。

本作品では、大山のぶ代や小原乃梨子らレギュラー声優陣の他、三ツ矢雄二や日本テレビ版『ドラえもん』でドラえもん役を務めた富田耕生が出演している。1995年には舞台ミュージカル化され、1997年には香港でも海外上演された。

『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』のあらすじ・ストーリー

海底キャンプへの出発

小学5年生の野比のび太（のびのびた）は、同級生のジャイアン（本名：剛田武／ごうだ たけし）、骨川スネ夫（ほねかわすねお）、しずかちゃん（本名：源静香／みなもとしずか）らと夏休みに山か海に行くかで口論となる。のび太達はネコ型ロボットのドラえもんに詰め寄り収拾がつかない中、ドラえもんは海と山の両方へ行くキャンプを提案した。初めは山に行きたがっていたジャイアンとスネ夫だったが金塊を積んだ沈没船が発見されたニュースを観た影響で、海に行きたくなった事をドラえもんに伝える。一方でのび太は、母親の玉子（たまこ）から夏休みの宿題が終わるまでキャンプへ行ってはダメだと言われる。そこでしずかちゃんやスネ夫ら協力のもとで宿題全てを終わらせて、玉子からキャンプ行きの了承を得る。ドラえもん達は海底キャンプへ向かい、あらゆる環境でも適応できるテキオー灯を浴びて、移動手段で言語を話す水中バギーに乗り込み海底冒険に繰り出す。冒険先にて様々な深海魚を目撃する等して冒険を楽しむ。

キャンプを楽しんでいるとスネ夫はドラえもん達の前で、大西洋にある「魔の三角海域」と呼ばれるバミューダ海域について話をし始める。スネ夫とジャイアンはバミューダ海域を通った船や飛行機が突然行方不明になっている謎を解明すべく、現地へ向かおうとしていたが危険だからと即座にドラえもんに止められる。しかしそのドラえもんの警告も聞かずに、ジャイアンとスネ夫はバギーに乗りバミューダ海域を目指して走り去ってしまう。そんな彼等は放っておけばいいとのび太は言うが、テキオー灯の効き目が24時間で切れてしまうとドラえもんが説明する。案の定、ジャイアンとスネ夫は途中で息が苦しくなり始めていた。タイムリミットが近づきドラえもん達が諦めたその時、遠くから爆発音が聞こえた場所へドラえもん達が向かう。バギーが横転していた近くでジャイアンとスネ夫らも倒れていた。二人共テキオー灯の効果も切れていたが、不思議と命は助かっていた。

地底人との遭遇

ジャイアンとスネ夫がピンチの時も何もしなかったバギーをドラえもん達が責め廃車にしようとしたが、しずかちゃんがバギーをかばった。キャンプは続行されたが、バギーは自らジャイアンとスネ夫を助けた者を見た事を打ち明ける。バギーが搭載しているカメラには、気を失っているジャイアンとスネ夫に酸素を供給している人影の様なものが映っており、その者は二人を運び出そうとしたところへ魚の様な戦艦が現れ逃げ出していた。その後もキャンプを続けていたドラえもん達のもとへ巨大イカが襲い掛かり、成す術も無い中、鎧姿の地底人が巨大イカを倒す。ドラえもん達が安心して礼を言おうとしたのも束の間、ドラえもんやのび太達は地底人らにレーザービームの様なもので気絶させられる。その直後にのび太はもう一人の自分と遭遇する夢を見る。そのもう一人ののび太は「地球上のあらゆる生物にとって海は故郷なんだ」と説明した。眠りから覚めたのび太は、その場にいたしずかちゃんらも同じ様な夢を見たと告げた。そこへ地底人でムー連邦兵士のエルが現れ、地底人の事を知ってもらう為の教育ドリームを脳波に流したと伝えた。ムー連邦の首相や兵士達は地底世界の事を知られたくない故にドラえもん達を監禁し、彼等にムー連邦に市民権も与えようとした。

ドラえもん達は元の世界に帰るべくムー連邦城内からの脱出を試みて四次元ポケットの道具であるカメレオン帽子で地下に潜り込み進み逃亡するも、後を追ってきたエルの船が魚形の船に襲撃されているのを目撃する。直ぐにドラえもん達がエルの船を救出するが、後からやってきた他のムー連邦兵士らにより再度捕まってしまう。その際に再び監禁されたスネ夫は「あいつらの心は海と同じように冷たいよ」とムー連邦のやり方に不満を覚えていた。ドラえもん達が助けてくれた事をエルが訴えたのも空しく、ムー連邦首相や上部の者達はドラえもん達を国外逃亡の容疑で死刑に処する事を決定した。その直後、ム一連邦城外で大きな爆発音が鳴り響き、海底火山の影響によりム一連邦と敵対していた海底国家アトランティス連邦にある鬼岩城の自動報復システムであるポセイドンが再稼動した知らせがあった。鬼岩城には鬼角弾と言われる核爆弾に似た兵器があり、ポセイドンの管理のもとで鬼角弾が発射されれば海底世界のみならず地球全体に被害が及びあらゆる生物が死滅する。ポセイトン再稼動の事実を目の当たりにしたム一連邦首相達は考えを改め、ドラえもん達へ鬼角弾発射阻止の為に協力を求める。ドラえもん達はエルらム一連邦と共に協力し、アトランティス連邦と戦う事となった。戦いを前にしずかちゃんはバギーと話す機会があり、優しく接してくれるしずかちゃんに対しバギーは 「僕、バギーデアルコトガ悲シイ」と言い涙の様なものを流したのだった。

アトランティス連邦との戦い

アトランティス連邦の潜入に成功したエルやドラえもん達は、しずかちゃん自らがアトランティス連邦の兵士に捕まり鬼岩城までの道案内をしてもらう作戦を実行する。鬼岩城まで辿り着き、ドラえもん達がアトランティス連邦の鉄騎隊兵士に立ち向かっているなか、しずかちゃんはコンピューターによる意志を持つポセイドンの前に向かう。ホセイドンは海底火山による活動をアトランティス連邦に対する敵からの攻撃だと誤認しており、しずかちゃんは攻撃ではないと必死に訴えるもポセイドンは耳を傾けなかった。一方でドラえもん達も数多くの鉄騎隊兵士の猛攻に追いつめられ、ドラえもんはしずかちゃんの前で力尽きて倒れてしまう。 絶望的となり思わず流したしずかちゃんの涙が、ドラえもんの四次元ポケットにこぼれ落ちる。その時ポケットの中からバギーが飛び出して来て、ポセイドンからの攻撃により炎上しながら自ら身を投げ出して突撃し、ポセイドンと共に爆発を起こして散っていった。それにより無数の鉄騎隊兵士達が機能停止し鬼岩城も崩壊した。戦いが終わり平和が訪れた後、ムー連邦首相はエルやドラえもん達、また我が身を犠牲にしたバギーの功績を称えた。しずかちゃんはバギーの部品のネジを握りしめており、「私の宝物よ、バギーちゃん、私一生忘れないわ」と口にした。やがて別れの時がやって来て、地上人と海底人がいつか分かり合える日が来る事を願いつつ、ドラえもん達はエルと別れて元の世界へ帰って行った。

『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

ドラえもん

CV：大山のぶ代
22世紀からやって来た青色のネコ型ロボットであり、小学生ののび太のお世話をしつつ、彼や親族の人生を変える為に日々奮闘している。ロボットだが寒さや暑さが苦手で、本作品でも夏の暑い部屋でアイスを食べていた。のび太やジャイアン達が山や海へ行きたいとの事で一斉に駆け込んできて右往左往するも、山と海両方に行けばいいと結論を出す。しかし、山に行きたがっていたジャイアンとスネ夫が急に海に行きたくなったと言い出し、不思議に思いながらも海底キャンプに行く事を決める。のび太がしずかちゃんらの協力のもと、夏休みの宿題を終わらせて母親・玉子から承諾を得てキャンプに向かう。キャンプ先ではのび太達がそのままでは海に潜れない事を忘れて、バギーに乗ってそのまま潜ろうとしたりとそそっかしい一面を見せた。お腹に付いている四次元ポケットから様々な機能を発揮する道具を出すが、キャンプ先の海底で巨大イカに襲撃された際にスモールライトを出すタイミングを逃したりと、間が悪かったりしたりする。それでも深海に在住する地上世界のムー連邦と遭遇して以降は同連邦の少年兵士エルらと協力しつつ、ムー連邦と対立するアトランティス連邦にある鬼岩城から鬼角弾の発射を阻止しようと奮闘する。

野比のび太（のびのびた）

CV：小原乃梨子
メガネをかけた小学校5年生の男の子であり、勉強やスポーツ共に苦手である。夏休みにドラえもんの協力のもとでしずかちゃん達とキャンプに行こうとするが、夏休みの宿題が終わっておらず、母親の玉子から了解を得られていない。どうにか終わらせようとするも、怠け癖が出て机の上で寝てしまい、ドラえもんからバケツの水をかけられていた。それでもしずかちゃんやスネ夫達の協力を得て宿題全てを終わらせ、玉子から承諾を得てドラえもん達とキャンプへ向かう。ただのんびり屋な性格は変わらず、ドラえもん達と向かった海底キャンプではゆらゆら揺れながら昼寝をしよう等と提案していた。当然ドラえもん達に却下され、そのおっとりした行動が災いしてアトランティス連邦の鉄騎隊が搭乗するバトルフィッシュを目撃した時も相手にされなかった。そんななかでも、ムー連邦の少年兵士エルと遭遇してからは同連邦と関係を深めていき、ムー連邦と対立するアトランティス連邦にある鬼岩城から生命の危機が及ぶ鬼角弾の発射を阻止しようと立ち上がる。

源静香（みなもとしずか）

CV：野村道子
のび太が通う小学校の同級生で、いつもおさげ髪をした女の子である。のび太達とキャンプ行きを決めるが、のび太が夏休みの宿題を終えていない事を見かねてスネ夫達と協力してどうにか終わらせた。海底キャンプに向かった際、ドラえもんが道具として出したバキーがぶっきらぼうな態度を 取るなかでも優しく扱っていた。そのためかバギーが心を 開く様になり、行方不明となったシャイアンとスネ夫を助けた者について打ち明けるまでになった。関係が親密となったバギー、及びエルらムー連邦の地底人達と共にアトランティス連邦の鬼岩城の鬼角弾発射を防ぐべく立ち向かう。その際に自ら囮となり、鬼角弾を管理するポセイドンのいる場所まで向かうという体を張った行動も行った。

剛田武（ごうだたけし）

CV：たてかべ和也
のび太が通う小学校の同級生である。ガキ大将で「ジャイアン」と呼ばれており、乱暴な性格である。夏休みに山に行きたい事をドラえもんに伝えていたが、スネ夫から沈没船の話を聞き海に行きたくなった。のび太の夏休みの宿題もスネ夫達と共に協力して終わらせて、海底キャンプへ向かう。歌を自慢としており、キャンプ先でも披露しようとしたもののスネ夫に止められていた。その際にスネ夫が船や飛行機が行方不明になっている「魔の三角海域」ことバミューダ海域について話し、彼と共に現地へ向かおうとしたがドラえもんに即座に止められた。しかし強情な性格かつ沈没船の宝欲しさに、ドラえもんの警告を無視してスネ夫と共にバギーに乗り込みあてもなく行ってしまう。その結果、テキオー灯の効き目が切れかかり命を失いかけた。ただその時、地底人であるムー連邦の兵士達にテキオー灯ら高性能科学技術で助けられるも、そのままムー連邦内に監禁される。監禁後もスネ夫と共に気を荒くし何度もドアを叩いたり怒鳴ったりする行為をする事から、その後やって来たドラえもん達がムー連邦の兵士エルに解放させてくれと言った時も「暫く様子を見る」と返答されてしまう。それを見かねたドラえもんがスキを狙ってとおりぬけフープ、及びカメレオン帽子を使ったうえでムー連邦の城内からどうにか脱出する。カメレオン帽子で地底に潜り込み逃げていたが、その逃亡の道中で追跡していたエルの船がアトランティス連邦の船に襲撃されていたのを見て、エルを助けようと勝手に地上に上がるボタンを押してしまう。ドラえもん達と共にどうにかエルを助けたものの、その際にムー連邦に捕まり自分のせいで牢屋に入れられた事を悔やんでいた。ところが間もなくしてアトランティス連邦にある鬼岩城を支配する自動報復システムのポセイドンが海底火山活動により再稼働し、ムー連邦首相から協力を求められたうえでドラえもん達と共に甚大な被害を及ぼすポセイドンを止める戦いに挑む。