ドラえもん のび太の恐竜（1980年の映画）のネタバレ解説・考察まとめ

『ドラえもん のび太の恐竜』の概要

『ドラえもん のび太の恐竜』は、1980年3月15日に公開された『ドラえもん』映画第1作目の作品である。本作品は漫画版短編作品が1975年8月に『増刊少年サンデー』（小学館）に掲載され、1976年4月に単行本10巻に収録された。1979年10月に『コロコロコミック』（小学館）にて映画化決定が発表された。1979年12月より、長編漫画版が『コロコロコミック』1980年1～3月号まで連載され、1980年3月に本作品が公開された。

小学5年生の野比のび太（のびのびた）は、骨川スネ夫（ほねかわすねお）ら同級生達に恐竜の化石を丸ごと発見するという突拍子も無い約束をしてしまう。それでものび太はある家の崖下にて恐竜の卵らしきものを発見し、ネコ型ロボットのドラえもんの協力のもとで卵から恐竜のピー助を誕生させ育てるが、それが波乱の幕開けとなった。

本作品では大山のぶ代や小原乃梨子といったメインキャラクターを演じる声優陣の他、横沢啓子や加藤精三等のベテラン声優陣がゲストキャラクターを演じた。本作品は配給収入15億5000万円、観客動員数320万人を記録し、第2回ゴールデングロス賞最優秀金賞を受賞した。1994年にはミュージカルとして日本国内24ヶ所の都市で上演され約5万6千人を動員し、香港やマレーシア等の海外でも上演された。2006年にはリメイク作品『ドラえもん のび太の恐竜2006』が公開された。

『ドラえもん のび太の恐竜』のあらすじ・ストーリー

ピー助との出会い

小学5年生の野比のび太（のびのびた）は、同級生の骨川スネ夫（ほねかわすねお）から彼の自宅にて父親の海外からの土産であるティラノサウルスのツメを自慢されていた。同じく同級生の剛田武（ごうだたけし、以後「ジャイアン」）や源静香（みなもとしずか）がツメを代わりばんこに見て楽しむが、棚にしまうという理由でのび太だけは除け者にされてツメを見られなかった。それに憤慨したのび太は、恐竜の化石を丸ごと見つける、できなければ鼻からスパゲティを食すという突飛押しも無い約束をしてしまう。のび太はその場で言った事を後悔しつつ、実行しようと考える。また、同居するネコ型ロボットのドラえもんに協力を求めるが、日本にはティラノサウルスがいない事を説明し断わってきた。それでものび太はどうにかしようとして、自宅の部屋で恐竜に関する本を読み調べていた。するとドラえもんは、机にいるのび太のもとへ歩み寄り「失敗してもいい、温かい目で見守ってやろう」と言い笑顔を見せていた。またのび太は恐竜の化石探しも開始し、ある民家の前の崖に上り化石を見つけだそうと穴を掘っていたところ、民家に住む中年男性のガケシタさんに怒鳴られる。ガケシタさんはのび太により庭や車を堀った土で汚された事を指摘し、またのび太に庭にごみを埋める為の穴を堀る様に指示する。のび太が嫌々ながら庭を堀っていたところ、地中から恐竜の卵らしきものを発見する。

のび太が大喜びで持ち帰った恐竜の卵に対し、ドラえもんは石っころやナウマンゾウのフンかもしれないと冷ややかな態度を示した。更には、のび太がスネ夫やジャイアンのもとへ恐竜の卵を自慢しに行ったところ、間が悪いことに彼等は旅行や家族の手伝い等で不在だった。それでも、ドラえもんが陰ながら提供した四次元ポケットの道具であるタイムふろしきで、のび太は卵を化石になる前の状態にする。のび太はふとんで温める等して卵を孵化させて、フタバスズキリュウの子供を誕生させた。思わぬ恐竜の誕生に驚きと感動を覚えながらものび太は、「ピイ、ピイ」と泣く姿から「お前の名前はピー助だ、ピー助にしよう」と告げた。初めはのび太の部屋や押し入れで動き回れる程に小さかったピー助だったが、公園の湖に入らなければならないまでに大きく成長する。周囲から目撃情報も相次いだうえ、のび太の母親である玉子（たまこ）が冷蔵庫の肉や魚がやたらなくなっていたのを怪しんでいた事もあり、これ以上隠すのが難しいと判断したのび太とドラえもんは、ピー助を白亜紀の世界へ連れて帰る事にした。その矢先に未来の世界で恐竜を捕まえて違法に売買している恐竜ハンターと名乗る黒い覆面を被った男が現われ、ピー助を売る様に促すが、のび太はそれを断った。ピー助を連れてタイムマシンに搭乗したドラえもんとのび太は恐竜ハンター達の襲撃に遭うが、どうにか難を逃れる。そして、白亜紀の世界にピー助を置き、ドラえもん達は一旦帰って行く。

恐竜ハンターからの襲撃

ピー助を白亜紀へ帰したのび太だったが、化石を見せる約束を果たさなかった事から、ジャイアンやスネ夫からうそつき呼ばわりされる。しまいには約束通りに彼等が用意していたスパゲッティを鼻で食べる様に強要されるも、どうにかその場から逃げ出し、しずかちゃんの家まで辿り着く。しかししずかちゃんからも無茶な約束をした事を素直にジャイアンやスネ夫に謝る様に促された。ピー助の事をまるっきり信じてくれない事にのび太は、実際にピー助の姿を証明する事にして、四次元ポケットで過去や未来を観る事ができるタイムテレビでピー助の様子をジャイアン達に見せる。しかし、ピー助がいたのは本来の生息地である白亜紀の日本近海ではなく、北アメリカである事が判明する。ピー助を連れて白亜紀へ向かった際、恐竜ハンターの襲撃によりタイムマシンに搭載されていた空間移動機能が破損してしまった為に、時代は同じでも別の場所に着地していた。そこに生息するエラスモサウルスから威嚇を受け襲われそうになっていたピー助を見たのび太やドラえもんは、ジャイアン達と共にタイムマシンでピー助のもとへ向かう。白亜紀の世界にてのび太はピー助の存在を証明し、ジャイアン達はのび太をうそつき扱いした事を謝罪する。エラスモサウルスからの威嚇もあり、のび太達はピー助を連れて元の世界へ帰ろうとするが、ドラえもんはもう少し今いる時代を楽しんでから帰る様にと何やらぎこちない様子を見せていた。のび太達は白亜紀の時代を楽しむが、凶暴なティラノサウルスに遭遇し怖くなり、元の世界へ帰る意思を示す。しかしドラえもんが帰れなくなった事を告げて、のび太達は騒然とする。実はタイムマシンが恐竜ハンターの襲撃でタイムマシンの空間移動機能が破損した事と、白亜紀へ向かうのび太やジャイアンら数人が一気に乗り込んだ為に定員オーバーとなった事により、完全に壊れてしまっていた。

現代に帰れなくなったドラえもん達は失意のなかで、ピー助の出生地である日本を目指して移動する。ドラえもん達は頭に取り付けて空を飛べるタケコプターで移動し前進を続ける。その矢先、ドラえもん達の前に再び恐竜ハンターが現れ、かなりの大金と元の世界へ送り届ける事を条件にピー助を渡す様に話を持ち掛け一度その場から離れた。恐竜の世界で限界を感じていたスネ夫やジャイアンは、ピー助が殺されるわけではないから恐竜ハンターの要求に応じる事を提案するも、のび太やしずかちゃんらの説得や友情により冒険を続ける事を決める。一度未来に帰った恐竜ハンターは相棒である大富豪のドルマンスタインと組み、ピー助を少年達から奪う事は容易ではないが必ず実行させるという欲望を露わにしていた。ドラえもん達は前もって用意した数体のダミーの泥人形を乗せたバギーで恐竜ハンターを引き寄せている間に、恐竜ハンターの基地に潜入してタイムマシンを乗っ取ろうとしていた。しかし、ドラえもん達はいかだで川を下っていたところを直ぐに恐竜ハンターに追跡され、スネ夫、ジャイアン、しずかちゃんの3人がさらわれてしまう。

別れの時

ドラえもんとのび太はジャイアン達を助ける為に恐竜ハンターの秘密基地へ向かうと、恐竜ハンター達がピー助を奪う為に待機している状態で、彼等からピー助を渡す様に迫られる。その時、以前から恐竜ハンター逮捕に向けて計画していたタイムパトロール隊の監視カメラに行動が捉えられ、間もなくタイムパトロール隊が出動してきた。ドラえもん達は恐竜ハンターが捕まえていたティラノサウルスにより襲われようとしていたが、ティラノサウルスは四次元ポケットの道具で食べるとおとなしく言う事をきく桃太郎印のきびだんごを食していた為に事態は一変する。ティラノサウルスがドラえもん達の味方につく様に基地内で暴れ出し、恐竜ハンターは逃げ出す。そこへ以前から恐竜竜ハンターの悪行に目をつけていたタイムパトロール隊に追跡されて、恐竜ハンター達は逮捕された。 ピー助を故郷である日本近海に帰し別れを告げようとするが、ピ一助がのび太のもとへかけ寄り別れを拒む。のび太は「いい加減に言うことを聞いてくれよ、じゃないとぶん殴るぞ」と叫びつつ涙ながらに別れを告げて、ドラえもん達と共にタイムパトロール隊の宇宙船に乗り現代へ帰っていった。元の世界へ帰ったその夜、のび太は部屋で前にピー助と一緒に遊んだボールを見つける。 のび太はボールを抱えピー助の事を思いながら眠りにつき物語は幕を閉じる。

『ドラえもん のび太の恐竜』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

ドラえもん

CV：大山のぶ代
22世紀からやって来た青色のネコ型ロボットで、何をやっても冴えない小学生ののび太のお世話をし、のび太と親族の人生を変える為に日々奮闘している。恐竜の化石を見つけ出す事をスネ夫と約束したのび太から協力を求められたが断る。のび太がどうにか化石を見つけだそうと自宅の部屋で恐竜に関する本を読んでいたところへ近づき、暖かい目で見守ると言いニンマリした表情を見せた。のび太が卵らしきものを見つけた際は「石っころかもしれない」等と冷ややかかつ水をさす様な事を告げる一方、四次元ポケットの提供をするといった協力的な姿勢を見せる。また卵から誕生した恐竜のピー助を育てるのび太をサポートしたり、ピー助を故郷の白亜紀の時代へ連れていった時に恐竜ハンターと遭遇しつつ、戦いのなかで冒険をくり広げる。

野比のび太（のびのびた）

CV：小原乃梨子
メガネをかけた小学校5年生の男の子であり、勉強やスポーツ共に苦手である。スネ夫から恐竜のツメの化石を自慢された事に憤慨する。後先考えず行動をする傾向があり、恐竜の化石を丸ごと発見し、できなければ鼻でスパゲッティを食すという無茶な約束をし後々後悔する。ドラえもんに化石捜索の協力を願うも断られ、仕方なく一人で探し始める。感情の上り下りが激しく、ある一軒家の庭先で恐竜の卵らしきものを見つけたとたんに上機嫌となりその場で踊ったりしていた。恐竜の卵をタイムふろしきでくるんだり、ドラえもんに頼み体を布団でくくりつけ卵を温め孵化させようとする熱の入れ様があった。卵から誕生したフタバスズキリュウのピー助を育てるも、成長するにつれて周囲に知られる様になり、ピー助を白亜紀の時代へ送る事を決意する。別れを拒むピー助に対し、うしろめたさを感じるなかでピー助を置いて現代へ帰る。しかし、ピー助をフタバスズキリュウが生息しない場所へ置いてきてしまった事が分かり、直ぐにドラえもんやジャイアン達と共にタイムマシンでピー助のいる時代へ向かう。その道中で、恐竜を違法に捕まえては売る恐竜ハンターに遭遇し、ピー助を連れつつ恐竜ハンター達との戦いを展開する。

源静香（みなもとしずか）

CV：野村道子
のび太が通う小学校の同級生で、いつもおさげ髪をした女の子である。スネ夫から見せられた恐竜のツメの入った箱を持ち上げ恐竜の姿をイメージする等、空想にふける一面を見せた。のび太が恐竜の化石を見つけると話し全く信じなかったが、その後ドラえもんのび太達とタイムマシンで白亜紀の時代へ向かった際、のび太が育てた恐竜のピー助と出くわし驚く。ダイムマシンが故障し頃く恐竜の時代ですごし、卵から生まれた恐竜の子供を可愛いがる等していた。

剛田武（ごうだたけし）

CV：たてかべ和也
のび太が通う小学校の同級生である。ガキ大将で「ジャイアン」と呼ばれており、乱暴な性格である。のび太が恐竜の化石を丸ごと見つけると宣言した事を笑ってバカにする。また、中々行動を実行しないとみて、のび太をうそつきだと考える。 しかし、のび太やドラえもんに連れられてタイムマシンで、白亜紀へ向かい、のび太が育てた恐竜のピー助と遭遇し態度を改める。その後、タイムマシンが故障している事が判明し、ドラえもん達とやピー助と共に白亜紀の時代で過ごす。そのうえ、恐竜達を違法に密売する恐竜ハンターとも遭遇し、彼等とも戦いを展開する。歌を自慢としているが、決して上手いとは言えない。 恐竜のいる時代でも自由奔放に大声で歌を披露したところ、周りにいた恐竜達がどよめいたり逃げ出したりしていた。

骨川スネ夫（ほねかわすねお）