ドラえもん のび太の魔界大冒険（映画）のネタバレ解説・考察まとめ

『ドラえもん のび太の魔界大冒険』の概要

『ドラえもん のび太の魔界大冒険』は、藤子・F・不二雄が手掛けた漫画・アニメ作品『ドラえもん』の長編映画作品で、1984年3月17日に公開された。長編コミック版は『月刊コロコロコミック1983年9月号～1984年2月号に掲載され、コミック・映画版共にシリーズ第5作目。

小学校5年生の野比のび太（のびのびた）は魔法の世界を夢見て、ネコ型ロボットのドラえもんに頼んで四次元ポケットの道具で魔法の世界を実現させる。しかし魔法が自由に使える理想の世界ではなかったうえ、魔法の世界を支配する悪魔達と戦う運命に直面する事となった。

同時上映は、少年忍者ハットリくんや小学生ヒーローのパーマンらが日本やアメリカのニューヨークで冒険を繰り広げる『忍者ハットリくん+パーマン 超能力ウォーズ 』。配給収入は17億円。本作品では、大山のぶ代や小原乃梨子らレギュラー声優陣の他、小山茉美や千葉繁らベテラン声優陣が出演している。2007年には本作品のリメイク版『映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』も公開されている。

『ドラえもん のび太の魔界大冒険』のあらすじ・ストーリー

魔法への憧れ

小学校5年生の野比のび太（のびのびた）は、家の庭掃除をしつつ魔法が使えたらと考えていた。のび太と同居するネコ型ロボットのドラえもんがゴミを捨てに行くと、ゴミ捨て場に何故かドラえもんの石像があった。のび太達は驚きながらも、それを置いておくわけにはいかないと思い、持ち帰り庭に置いておいた。学校の同級生のジャイアン（本名：剛田武／ごうだ たけし）や骨川スネ夫（ほねかわすねお）らから草野球の誘いを受けたのび太だが、三振ばかりするうえ魔法の事ばかり考え上の空だった。のび太は同級生の出木杉を訪ねて、彼から魔法はかつて学問分野で研究されていた事があると聞くが、歴史上においては魔法は存在しないとも聞かされた。裏山で一人落ち込んでいたのび太は、突然頭上から自分の石像が落下して来て驚く。のび太がその石像も持ち帰ったその晩、雷と同時に妙な話し声を耳にしたのび太が家の廊下を見に行くと、庭に置いてあったはずのドラえもんとのび太の石像があった。驚くのび太に対し、母親の玉子（たまこ）やのび助（のびすけ）はイタズラじゃないかと気に留めなかった。のび太はドラえもんと共に再度石像を外に出したなか、魔法の事が頭をよぎっていた。そこでのび太はドラえもんに、お願いを要求すればその通りになるもしもボックスを四次元ポケットから出してもらい、受話器に願いを言い床に就いた。

魔法の世界における理想とのギャップ

翌朝、のび太やドラえもんが目を覚ますと庭の石像が無くなっていた一方、空には絨毯で飛行する人達の姿を目にする。更には、母親の玉子が念力を使い朝食を作っておりのび太は唖然とする。のび太が学校へ行くと自分だけ魔法が使えない事に同級生から笑われ、先生からも怒られてしまう。魔法の世界でも現実の厳しさを痛感したのび太だが、少しでも魔法が使えればと考えて庭で練習をしていた。魔法の呪文「チンカラホイ」と何度も叫び念力を唱えていた際に、丁度訪ねて来た同級生のしずかちゃん（本名：源静香／みなもとしずか）のスカートが捲れ上がった。それを見たのび太が魔法ができたと大喜びの反面、しずかちゃんからは怒りを買ってしまう。その矢先に突然大きな地震が発生して、しずかちゃんはこの地震が魔界接近説と関係している事を話す。のび太やドラえもんは何の事かサッパリ分からぬまま、魔界接近説を提唱していた満月博士のいる屋敷のある山へ向かう。満月博士の研究によると、地球侵略を企む魔界の悪魔により人類が滅ぼされるかもしれず、世界各地で発生している地震等の災害はその前兆だと言われている。ドラえもんとのび太は殺伐とした魔法の世界から元の世界へ戻そうとするも、玉子がもしもボックスを粗大ごみとして捨ててしまっていた。取り戻そうとするが既に手遅れで、ドラえもんとのび太は、元の世界に戻れなくなった事で責任を押し付け合い喧嘩してしまう。

二人がどうにか仲直りをしたその夜、家の外で一匹の猫が何か訴える様に鳴いていた。ドラえもん達は家ではペットとして飼えない故に追い払おうとした時、空の雲から現れた月の光が差し込んだ瞬間、猫は満月博士の娘の美夜子に変わる。美夜子は、悪魔により家を襲撃され父親の満月博士が捕えられたと説明した。美夜子も悪魔に猫に変えられ月明かりの下では魔法が解けるので、ドラえもん達はタケコプターで美夜子を雲の上まで連れて行く。美夜子は、ドラえもんとのび太に共に魔界に向かってくれと願い出て、水晶玉を取り出し「出でよ、魔界に入り魔王を倒す選ばれし勇士達よ」と叫び悪魔と戦う勇士を映し出す。水晶玉にはドラえもん、のび太、しずか、スネ夫、ジャイアンの5人が映し出されていた。ドラえもん達は美夜子からの誘いを断り帰宅するも、その晩は嵐が吹いていた。そのうえテレビでは世界中でも災害が多発しているニュースが報道されており、ドラえもん達は悪魔と戦う事を決意した。ドラえもん達は美夜子のいる山へ向かうも既に悪魔が待ち伏せしており、美夜子は魔法で応戦するが対抗できるものではなかった。悪魔が炎を繰り出し美夜子にとどめを刺そうとした時、ドラえもんがあらゆる攻撃を跳ね返すひらりマントで炎を跳ね返し悪魔は炎に包まれた。そこへしずかちゃんや、ジャイアン、スネ夫もやって来て、戦いに加わる意思を告げ、一同で魔界へ向かう事となった。

魔界での戦い

魔界に向かったドラえもん達だったが、凍りつく様な寒さの大陸や、洗脳させる歌声で巨大な怪物ツノクジラの餌にしようとする人魚に遭遇する。ドラえもん達は暑さや寒さが逆になるあべこべクリームで寒さを凌ぎ、ジャイアンが自らの歌声を披露し人魚達を追い払った。その後、向かった先の森ではハイエナの様な怪物がウヨウヨいたが、被ると姿を消す事ができる石ころ帽子で乗り切った。魔界の魔王デマオンの本城へ辿り着いたドラえもん達は、満月博士から託された古書に基づき魔王デマオンに向けて弱点である銀のダーツを打ち込む。しかしデマオンには全く効果が無かったうえ、ジャイアン達が捕まってしまう。悪魔から逃れたのび太や美夜子達だったが、美夜子は単身で魔物との戦いに向かう意思を見せる。美夜子は「あなたとお友達になれてよかった、短い間だったけど楽しかったわ」と涙ながらに別れを告げて戦いの場に向かった。のび太が嘆き悲しむなか、ドラえもんがタイムマシンでもしもボックスを使い魔法の世界が起こす前に戻る事を思いつく。ドラえもん達は実行に移るが、そこへデマオンの部下メジューサに追跡され魔力によりドラえもんとのび太は石に変えられてしまう。身動きができない絶望的状況下のなかをドラえもんの妹ロボットのドラミが駆け付け、被せると古くしたり新しくしたりするタイムふろしきでドラえもんとのび太を元に戻す。またドラミの四次元ポケットからもしもボックスも出され、元の世界に戻そうとした矢先にのび太が引き取め美夜子やジャイアン達の救出に向かう。ドラミの助けを借りつつ再び魔法の世界へ戻りデマオンのいる城へ潜入し、そこで捕らえられていたジャイアン達や美夜子、満月博士らを救出する。その後、デマオンの弱点である「心臓」は体内ではなく、デモン座のα星である事が判明する。ドラえもん達はα星に急行し、デマオンの魔力により次々と降り掛かる隕石を避けつつα星に向けジャイアンが銀のダーツを投げる。ドラミが放ったビッグライトにより巨大化したダーツがα星を射抜き、デマオンはα星もろとも消滅した。魔法の世界に平和が戻り、のび太は美夜子に魔法の世界とは別の場所から来た事を打ち明け別れを告げた。もしもボックスで元の世界に戻るが、のび太は空き地にいたしずかちゃんに向かって「チンカラホイ」と叫んでみた。すると何故かスカートがめくり上がり、のび太は驚きながらも魔法ではなく風のせいだと思ったのだった。

『ドラえもん のび太の魔界大冒険』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

ドラえもん

CV：大山のぶ代
22世紀からやって来た青色のネコ型ロボットであり、小学生ののび太のお世話をしつつ、彼や親族の人生を変える為に日々奮闘している。のび太が草野球で三振ばかり取っている事を叱責しつつ、彼が魔法が使える事を願う様子に呆れていた。それでも四次元のもしもボックスを提供し、 魔法の世界を実現させる。のび太が考えていた理想の世界とは違い技術を求められるものだったが、魔法を得ようと練習に励むのび太を応援していた。やがて魔法の世界で出会った満月博士・美夜子親子から地球を支配しようとする魔物の事を聞き恐ろしくなり、元の世界に戻そうと試みる。しかし、自宅の部屋に置いていたもしもボックスがのび太の母親・玉子により粗大ゴミとして捨てられており、その事でのび太と責任を擦り付け合い仲たがいする。魔法の世界の謎を解明しようとする思いはのび太と同じだったが、その事を自宅の部屋で遠回しに独り言の様に言う意地っ張りな一面もあった。結局のび太と和解した矢先に美夜子と再会し、魔法の世界を救う為の勇士に選ばれている事を告げられる。一度は美夜子からの誘いを断るも、世界中で災いが起こっている事もあり運命には逆らえないと察して美夜子と共に魔物と戦う決意をした。のび太やジャイアン達と共に美夜子の先導により魔界へ向かうが、デマオンら悪魔達により美夜子やジャイアン達が捕まってしまう。タイムマシンを用いてもしもボックスを使用する前に戻るが、デマオンの部下メジューサに追跡されのび太と共に石にされてしまう。その危機に妹ロボットのドラミがかけつけて元に戻してもらう。ドラミも同じくもしもボックスを持っており、それを使い魔法の世界を消そうとする。しかしこのままでは終われないとのび太が止めに入り、のび太やドラミと共にジャイアン達や美夜子の救出及び悪魔との戦いに向かう。

野比のび太（のびのびた）

CV：小原乃梨子
メガネをかけた小学校5年生の男の子で、勉強やスポーツ共に苦手。魔法が使えたらと本気で考え、ジャイアンに草野球に誘われた時も魔法の事ばかり考えて三振を取っていた。同級生の出木杉に魔法について尋ねるが、歴史上で魔法は研究されていたが存在はしないと言われ失望する。ドラえもんの四次元ポケットであるもしもボックスで魔法の世界を実現させるが、簡単に魔法は使えず高い技術を求められる世界でガッカリする。学校でも魔法が使えない事でスネ夫ら同級生に笑われる有り様だったが、どうにか魔法を得ようと自宅の庭で練習に励んでいた。必死に呪文を唱えていた時、訪ねてきたしずかちゃんのスカートをめくり上げて怒らせてしまっていた。魔法の世界で度々起こる地震等の現象や、後に知り合った満月博士から魔物の話を聞き急いで元の世界に戻そうとする。しかしもしもボックスが母・玉子により粗大ゴミとして処分されていた事により、ドラえもんと責任を擦り付け合いの喧嘩となる。魔法の世界の謎を解明したいという思いが同じだったドラえもんと直ぐに和解して間もなく美夜子と再会し、魔法の世界を救う勇士に選ばれた事を告げられる。一度は美夜子からの誘いを断るが、後にドラえもんやジャイアン達と共に魔界の悪魔と戦う決意をする。魔界ではデマオンら悪魔達の魔力には太刀打ちできずジャイアン達が捕まるなかで、美夜子が単身で魔物との戦いに向かう意思を見せ、彼女に好意を抱きながらも涙ながらに別れを告げる。美夜子やジャイアン達が捕まり泣き叫ぶなか、ドラえもんがタイムマシンでもしもボックスを使用する前に戻る時へ行く事を思いつき実行するが、デマオンの部下メジューサに追跡されドラえもんと共に石にされる。身動きが取れない絶望的危機にドラえもんの妹ロボットのドラミが駆けつけて元に戻してもらう。ドラミが所有していたもしもボックスにより魔法の世界を消そうとするも、美夜子やジャイアン達、魔法の世界の事が頭を過ぎり直ぐに躊躇う。このままでは終われないとして、ドラえもんやドラミと共にジャイアン達や美夜子の救出及び魔物との戦いに向かう。

源静香（みなもとしずか）

CV：野村道子
のび太が通う小学校の同級生で、いつもおさげ髪をした女の子である。草野球の試合に集中せずに三振ばかりしていたのび太を注意していた。魔法の世界にてのび太宅を訪ねた時、初めて魔法を使ったのび太によりスカートを捲られ機嫌を損ねる。それでも、魔法の世界で度々発生する地震等の現象について冷静に話していた。のび太に好意があるのか、満月博士のもとを訪ねた時に彼の娘・美夜子にのび太が見とれた時は嫉妬心の様な意思を見せていた。美夜子より魔法の世界を救う勇士に選ばれるも、ジャイアンやスネ夫同様に躊躇していた。しかし後に、ドラえもん達や美夜子と共に勇士として戦う決意をし魔界へ向かう。

剛田武（ごうだたけし）

CV：たてかべ和也
のび太が通う小学校の同級生である。ガキ大将で「ジャイアン」と呼ばれており、乱暴な性格である。のび太を草野球に誘うも、魔法の事ばかり考えて三振を取っていた事に呆れ果てていた。のび太がもしもボックスで起こした魔法の世界では、空飛ぶほうきを乗りこなせる程に魔法を使えていた。美夜子より、悪魔から魔法の世界を救う勇士に選ばれる。最初は勇士として戦う事を躊躇うも、スネ夫やしずかちゃんらと共に勇士として戦う決意を示し、ドラえもん達や美夜子と魔界へ向かう。歌を自慢としているが上手いとはいえず、騒音レベルとも言える歌声にはのび太達が手を焼いている。しかし、魔界にて人魚の歌声に引き寄せられツノクジラの餌食にされようとした時、人魚の歌に対抗する様に歌を披露する。人魚やツノクジラは驚き逃げ出し、思わぬところで歌が役に立った。