陰陽師(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『陰陽師』とは、陰陽師安倍晴明の活躍を描いた野村萬斎主演の映画。平安時代の日本を舞台に、善と悪の対立や人間と妖怪の関係を描く。清明と彼の仲間たちがさまざまな困難に立ち向かう様子を描いている。
ゴールデングロス賞銀賞と第56回毎日映画コンクール録音賞を受賞。滝田洋二郎監督は優秀監督賞を受賞。野村萬斎はブルーリボン賞主演男優賞、日本アカデミー賞と新人俳優賞、優秀主演男優賞を受賞している。小泉今日子も優秀助演女優賞を受賞している。
出典: ameblo.jp
映画陰陽師の隠れた主役とも言うべきなのが平安京だ。この平安京を作り上げたVFXスーパーバイザーの石井教雄は、「参考資料としてあったのは当時の様子を描いた俯瞰図と京都市にあった平安京を再現したミニチュアぐらいです。あとはインターネットで調べながらそれらを基本に作っていきました」と語っている。VFXは俯瞰の全体像のほか朱雀大路でも活用されている。朱雀大路は幅80m。朱雀門から羅生門までの距離は3kmから5kmという設定。その遠近感を出すため周辺は全てコンピューターで作り込んでいったのだ。その他VFXの出番は多い。強力な呪いを賭けられていると気づいた晴明は解呪の呪術を唱え始めると敦平親王の口から黒い魂様の煙が吐き出されるシーン。隣に横たわっていた青音に乗り移る。圧巻は道尊に矢が当たるシーン。「真田さんの演技に助けられたカットですね」と語る石井さん。総作業時間は約4ヶ月、手掛けたカット数は約180カット、こうした作業を経てリアルでファンタジックな平安京の物語が誕生した。
原作者夢枕獏が映画化したかった『陰陽師』
出典: books.bunshun.jp
原作者夢枕獏さんに原作陰陽師の映画化について聞いてみた。陰陽師は初めて自分から映像化したいと思った作品だそうだ。夢枕獏さんは脚本にも参加されていて結構こだわりを持っておられたようだ。例えば安部清明役はどうしても野村萬斎さんにお願いしたいと思っていたようだ。「萬斎さんは 狂言という特別な世界に生まれ、日本の古典芸能 で得た技やその佇まいから漂うオーラが清明にぴったりだと思ったのです。だいたい普通の役者さんが清明を演じたらまずあの衣装に負けてしまう。でも萬斎さんならかしこまることもなく衣装にも負けずゆったりと背筋を伸ばして演じられる。 そんな思いがありました。だから、萬斎さんが出演してくださることが決まった時にはこれでこの映画は成功だと思いました。」と言うことをおっしゃっていて並々ならぬ情熱をこの映画にかけていらっしゃったようだ。
『陰陽師』の主題歌・挿入歌
主題歌:梅林茂「陰陽師 メインテーマ」
陰陽師の主題歌は、物語の世界観を一層豊かに彩る。1100年前の平安の空に舞い降りてみたいで最高だ。
主題歌の力強さや挿入歌の優しさを通じて、物語のメッセージやキャラクターたちの感情をより深く感じ取ることができる。
陰陽師エンディング曲:梅林茂「舞」
エンドクレジットとともに野村萬斎が狩衣姿で舞を見せてくれる。力強く、でも、指先までも計算された美しさ。物腰、気品、衣装の似合い具合、妖艶な雰囲気、そして舞、すべてが筋金入り。狂言師や歌舞伎役者、舞妓、芸妓など古来からの伝統芸能に秀でた人達が美しいのは動きが滑らかなだからだ。狂言で鍛えられた美しい所作は立っているだけで人を惹き付ける。
音楽と舞だけで言葉を超えて人の心を動かせるのは凄い。
挿入曲:芝祐靖「一行の賦」
「一行」とは仏教で用いられる言葉で一つの修行に専念することを指すが、作曲者の芝祐靖氏のメモによると宗教的な意味合いはなくひたすら一管の笛を吹くことであり「一段の曲」の意味を持ちこの曲が吹けるようになると一人前であるという「お墨付き」の意味もある。映画の中で源博雅が藤原佑姫を思い笛を吹いた時の挿入曲である。
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目次 - Contents
- 『陰陽師』の概要
- 『陰陽師』のあらすじ・ストーリー
- 平安京の設立と陰陽師たちの議論
- 敦平親王の呪いと道尊の陰謀
- 祐姫の怨念と怨霊の解放
- 最終決戦と友情の絆
- 『陰陽師』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 安倍晴明(あべの せいめい/演:野村萬斎)
- 主人公と関係が深い人物
- 源博雅(みなもとの ひろまさ/演:伊藤英明)
- 道尊(どうそん/演:真田広之)
- 蜜虫(みつむし/演:今井絵理子)
- 藤原祐姫(ふじわらの すけひめ/演:夏川結衣)
- 青音(あおね/演:小泉今日子)
- 朝廷の人々
- 村上天皇(むらかみ てんのう/演:岸部一徳)
- 藤原 師輔(ふじわらの もろすけ/演:矢島健一)
- 藤原元方(ふじわらの もとかた/演:柄本明)
- 藤原兼家(ふじわらの かねいえ/演:石井愃一)
- 早良親王(さわら しんのう/演:萩原聖人)
- 源忠正(みなもとの ただまさ/演:蛍雪次郎)
- 小野清麻呂(おの きよまろ/演:下元史郎)
- 綾子(あやこ/演:立原瞳)
- 藤原安子(ふじわらの あんし/演:国分佐智子)
- 敦平親王(あつひら しんのう/演:高橋拓未)
- 広平親王(ひろひら しんのう/演:神宮卓)
- 静宮(しずのみや/演:山口美香)
- 桓武天皇の陰陽頭(かんむてんのうのおんみょうがしら/演:石丸謙二郎)
- 桓武天皇(かんむ てんのう/演:木下ほうか)
- その他
- 長政(ながまさ/演:二橋進)
- 康頼(やすより/演:大村正泰)
- 橘右近(たちばな うこん/演:八巻建弐)
- 伴高綱(ばん たかつな/演:白石雅士)
- 瓜の女(うりのおんな/演:宝生舞)
- 道尊の式神(どうそんのしきがみ)
- 『陰陽師』の用語
- 陰陽道(おんみょうどう)
- 陰陽師(おんみょうじ)
- 妖怪(ようかい)
- 五行思想(ごぎょうしそう)
- 『陰陽師』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 清明は親友の博雅を殺され「お前だけは失いたくない」と泣き叫ぶ
- 博雅は佑姫に腕を噛みつかれるが「私はあなたに喰われるなら構いません」と痛みに耐える
- 『陰陽師』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 監督が目指した「スーパーマンではない晴明」像
- 中国っぽさで描いた平安の町
- ファンタジックな平安京を創り出したVFX
- 原作者夢枕獏が映画化したかった『陰陽師』
- 『陰陽師』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:梅林茂「陰陽師 メインテーマ」
- 陰陽師エンディング曲:梅林茂「舞」
- 挿入曲:芝祐靖「一行の賦」