ライフ(2017年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ライフ』は、2017年にアメリカ合衆国で公開されたSFスリラー映画である。
ジェイク・ギレンホール、ライアン・レイノルズ、レベッカ・ファーガソン、真田広之らが共演している。未知の生命体の採取に成功し調査していた6人の宇宙飛行士達が、密室の無重力空間で直面する恐怖を描いた作品である。その生命体は次第に進化、成長し次々に宇宙飛行士達を襲い始める。ダニエル・エスピノーサが監督を務め、ポール・ワーニックとレット・リースが脚本を担当した。

『ライフ』の概要

『ライフ』とは、ダニエル・エスピノーサが監督を務め、ジェイク・ギレンホール、ライアン・レイノルズ・レベッカ・ファーガソン、真田広之が共演したSFスリラー映画である。
本作の舞台は、国際宇宙ステーション(ISS)である。火星より持ち帰ったサンプルの中に存在していた地球外生命体は、急速に成長しクルーに襲い掛かる。地球を守るために孤立無援の状況下でクルー6名は地球外生命体と戦うことになる。

本作は2016年7月にロンドンで撮影が開始され、2017年3月に北米で公開された。
当初の北米公開日は2017年5月と発表されていたが、同じ5月に公開されるパイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊との競合を避けるために本作の北米公開日は前倒しされた。2017年3月、本作は全米3146館で公開され、1250万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場4位となった。

『ライフ』のあらすじ・ストーリー

未知の地球外生命体

国際宇宙ステーション(ISS)で働く各国から集められた6人の宇宙飛行士、デビッド・ジョーダン、ミランダ・ノース、ローリー・アダムス、ショウ・ムラカミ、ヒュー・デリー、エカテリーナ・"キャット"・ゴロフキナ。彼らは火星探査機が持ち帰った土壌サンプルを回収することに成功した。
サンプルを宇宙生物学者のヒューが分析すると「地球外生命体の存在を示す細胞」が発見された。大きな単細胞の生き物で、地球の生物と同じように細胞核や細胞質もあり、細胞壁は地球のものよりも厚くなってるという分析結果だった。回収した当初は不活発であったが、温度を上げてブドウ糖を与えると、活発に動き出した。初の地球外生命体の発見にクルー達は興奮した。
この知らせは地球にも届き、テレビ局の企画によって地球にいる小学生たちとクルーが衛星通信をした際に未知なる生物に「カルビン」という名前が送られた。
当初は単細胞だった微生物は、細胞分裂を繰り返し多細胞生物に進化していく。

カルビンは単細胞生物が集団で集まり、大きくなっていくというもので、数兆もの細胞が協力しあい、1つの生命体を作りだしていた。単体でも生きられるが、集合するに伴い脳や筋肉というように各所の役割を果たしていると分析された。日に日に成長するカルビンは様々な動きを見せるようになり、ヒューの指の動きにも反応するようになっていった。

カルビンの凶暴化

ある日、研究室内で大気制御エラーが起き、カルビンは冬眠状態になってしまった。カルビンの進化を記録していたヒューは研究続行のため、カルビンに電気ショックを与えて目を覚まさせようと試みることにした。
電気ショックでカルビンは再び動き出すようになったが、何故か突如凶暴化し電気ショックに使った電気棒を折り、ヒューの手に絡みつき、砕いてしまう。ヒューは気絶し、カルビンは培養器から逃げ出してしまった。

ヒトデのような形状に成長しているカルビンは、同じ室内にいた実験用マウスに襲いかかり、吸収、捕食してしまう。
ローリーが気絶したヒューの救出に入り助け出すが、マウスを吸収し大きくなったカルビンがローリーの足に絡みついてしまった。ローリーはなんとか自身の足からカルビンを剥がすことに成功する。今や危険な生命体になってしまったカルビンを隔離する必要があると判断したクルーは、室内を暴れまわるカルビンを回避しながらローリーだけを室外に出すことが困難と判断し扉を閉めたのだった。
このままではローリーの命も危険になるため、司令官のキャットがカルビン駆除を許可し、ローリーは焼却機でカルビンを焼き殺すことを決意した。しかし、カルビンの動きは速く、熱にも強かったため、なかなか駆除することができない。研究室内を逃げ回るカルビンは、隙をついてローリーの口に張り付き、そこからから体内に入り中から彼を食らい、ローリーは死亡した。

さらに大きくなってローリーの口から這い出してきたカルビンは、スプリンクラーの通気孔から研究室の外へと逃げ出してしまい、隔離は失敗してしまった。
キャットは地球にカルビンの危険性と、駆除することを報告するが、通信システムの故障で通信が途切れてしまった。通信システム回復のために、キャットが外に出て修理を試みることとなった。キャットが調べると、通信システムの冷却水が無くなっていることが判明し、クルーは生きるため水を必要としたカルビンの仕業ではないかと考えた。
その時、冷却水の装置の中からカルビンが飛び出し、キャットに絡みついた。研究室から姿を消した時よりも大きくなっているカルビンは、宇宙服の上からキャットを締め付け始める。この時のカルビンはヒトデのような形状からさらに足のようなものが増え、蛸のような形状に成長していた。キャットの宇宙服の冷却装置が壊れてしまい、冷却水がヘルメットの中にこぼれ出てキャットの顔は水で覆われてしまう。息を止めた状態ではあるが、キャットは何とか船のハッチへたどり着くことができた。
ハッチを開けるには、船内と船外同時に取っ手を回す必要があり、デビッドが船内からキャットに取っ手を時計回りに回すよう指示を出した。カルビンはいまだにキャットの体に張り付いており、キャットはカルビンを船内に入れないよう、ハッチの取っ手を左へ回しハッチを閉めた。自身はヘルメットに充満した水によって溺死し犠牲になった。

キャットの体は宇宙空間を漂い、船から離れていく。しかしカルビンはキャットの体から離れ、船へと再び戻ってきてしまった。カルビンはまだ船外にいるため、カルビンをラスターノズルで吹き飛ばそうとするが失敗し、船内に浸入されてしまう。追い詰められたクルーは、空気がなければ冬眠状態になるであろうカルビンの特性を利用し船内の全ての区画から空気を抜くことを決意する。気絶から意識を取り戻したヒューは事態を確認しながらも、突然心停止してしまう。ミランダが電気ショックを与えどうにか心臓は動き出したが、ヒューの足に異変があることに気が付いたため、彼のズボンをめくるとそこにはカルビンがおり、ヒューの足を捕食していた。
ヒューの足に張り付いているカルビンにミランダが電気ショックを与えると、足から離れミランダに襲いかかってきた。一度は蘇生したヒューだったが、結局そのまま死亡してしまった。ミランダ、デビッド、ショウは別室へと逃げるが、ショウだけが逃げ遅れてしまい睡眠用の装置に逃げ込んだ。ショウを追ってきたカルビンは彼を襲おうとするも、睡眠用装置を壊すことができず、諦めて彼のもとを去って行った。

ミランダとデビッドは船内のモニターにカルビンの姿が映っているのを発見し、追跡しながらカルビンを一室に閉じ込めることに成功した。あとは、その一室の空気が抜けるのを待つだけの状態となったとき、地球からソユーズが到着し、カルビンを閉じ込めている一室にドッキングした。デビッドは救助に来たと思っていたが、ミランダは「違う」と言い、ソユーズは救助に着たのではなく、感染防御としてカルビンが地球に到着するのを防ぐためISSごと地球から遠ざけるためにやってきたのだと説明した。これは、ミランダが地球への危険を防ぐために必要なことだと進言し、決定されたことであった。
ミランダたちとは別の場所におり、そんなことは知らないショウは救助が来たと思いソユーズに向かった。ソユーズのハッチを開けるとカルビンが襲い掛かり、ソユーズの乗組員が襲われた。ドッキングが外れ、空気が宇宙空間へと放出されていく。

ミランダとデビッドはショウを助けようとするが、カルビンがショウの足に絡み付き、彼の体を伝ってミランダへと迫っていく。それを知ったショウは、掴んでいたミランダの手を離し、カルビンと共に宇宙空間へと吸い込まれていった。ショウはそのまま宇宙空間へと放り出されてしまったが、カルビンはすんでのところで船内に留まり、ミランダたちを追っていく。ミランダたちは間一髪のところで、カルビンのいない別の区画に逃れることに成功したが、乗組員を失ったソユーズは操縦がきかずISSに激突してしまった。

地球へ

ISSが破壊されてしまったことで、生命維持装置を失い、船内の温度は急激に低下していき空気も漏れ出していく。さらには、ISSの軌道が狂い地球に向かって進んでいた。このままでは、大気圏に突入し、地球に落下する恐れがあった。そうなると2人の命はなく、カルビンは生き残り地球へと入ってしまう。デビッドは酸素を必要とするカルビンを、酸素キャンドルを使って救命艇におびき寄せることを決めた。ミランダも「一緒に行く」と言ったが、救命艇は2つ、しかし1人乗りのためデビッドはミランダを救命艇で地球に帰し、自分はカルビンと一緒に地球から遠ざかる決意をする。
デビッドはカルビンの誘導に成功し、自分の乗った救命艇にカルビンが入ってきた。救命艇をISSから分離し、手動操作に切り替え進路を地球とは反対の宇宙空間へと向けた。もう1つの救命艇に乗り込んだミランダは、不測の事態が起こった時のためだと前述し、カルビンが危険なこと、クルー4名がカルビンに殺されたこと、デビッドがカルビンの地球侵入を防ぐため宇宙の彼方にカルビンを運ぶことにしたこと、この生命体が地球に到着したら、あらゆる手段を尽くし駆除するべきであること、さもなくば人類は滅亡する、と救命艇の録音装置に記録を残したのだった。
ミランダ、デビッドそれぞれが目的地に向け出発したが、ISSの破片がそれぞれの救命艇にぶつかってしまった。それにより、1艇は地球に向かい、もう1艇は宇宙に弾き飛ばされたのだった。
地球に向かった救命艇は海に不時着し、たまたま近くにいた漁船が救助へと向かった。漁師が救命艇の窓を覗くと、中には蜘蛛の巣のように触手を張り巡らしたカルビンとデビッドがいた。宇宙に弾き出されたのはミランダの方だった。「開けるな」というデビッドの叫びも虚しく、救命艇のハッチは開かれてしまった。

『ライフ』の登場人物・キャラクター

デビッド・ジョーダン(演:ジェイク・ギレンホール、吹替:北田理道)

クルーのメディカル担当の医者である。
地球にいた頃はアメリカ軍の軍医を務めており、シリアの病院で勤務していたことをミランダに明かしている。そこでの経験がトラウマになり、地球での生活に嫌気がさし宇宙での生活の方がいいとも語った。クルーの中で宇宙生活が一番長く、それによって筋力は弱り放射線量も人間の限界を超えそうだとミランダに言われた。

ミランダ・ノース(演:レベッカ・ファーガソン、吹替:坂本真綾)

検疫を担当する博士であり、常に最悪の状況を考え危険予防をする立場である。
ISSで起こったことを地球に報告しており、カルビンを隔離すること、駆除すること、カルビンを地球に入れてはいけないと警告したのは彼女である。カルビンの暴走により、デビッドと二人最後まで生き残った1人であるが、救命艇で地球に帰ろうとしている際のトラブルで宇宙空間へと弾き飛ばされてしまった。

ローリー・アダムス(演:ライアン・レイノルズ、吹替:加瀬康之)

クルーの航空エンジニアである。
クルーの中で船外活動が一番うまく、物語冒頭で宇宙空間から火星のサンプルを持ち帰ったのは彼である。口が悪く、悪ふざけがすぎることがあるが、危険な状態に陥ったヒューを助けるためにカルビンのいる研究室内に入っていったりと仲間思いの一面もある。ヒュー救出に向かった際、凶暴化したカルビンに襲われ命を落としてしまった。

ショウ・ムラカミ(演:真田広之、吹替:桐本拓哉)

クルーのシステムエンジニアである。寡黙な人物である。
身重の妻を地球に残しISSに滞在しており、火星のサンプル回収後に彼の子供が生まれている。子供が生まれた際、妻とタブレットで通信しており、ショウはクルーに女の子の父親になったことを報告し、クルーは祝福した。彼の出身国が日本であることは、彼の腕にある国旗で確認できる。
カルビンの暴走により、デビッド、ミランダと共に生き残っていたが、ミランダたちを助けるためにカルビンと共に宇宙空間へと身を投げて死亡した。

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