草摩潑春(フルーツバスケット)の徹底解説・考察まとめ

草摩潑春(そうま はつはる)とは、高屋奈月の漫画作品『フルーツバスケット』に登場する、十二支の丑(牛)の物の怪に取り憑かれた人物である。普段はつかみどころのない印象ながら優しく、他者を気遣うことが多い。しかし、キレると好戦的な「ブラック春」と呼ばれる状態になる。特徴的な白髪は地毛。幼い頃、自分のコンプレックスを拭ってくれた子(鼠)憑きの草摩由希を特別視し、彼を心配している。午(馬)の物の怪憑きである草摩依鈴とは相思相愛だが、互いを想い合うが故の障壁もある。

呪いからの解放

ある晩、透が崖から転落したとの連絡が入った。潑春も含め、物の怪憑きは透との絆ができており、彼女の安全を祈った。依鈴が心配していたこともあり、潑春は透の様子を聞きに紫呉の家に向かう。帰ってきた紫呉が言うには、透はその日の午後には退院できるとのことだった。
見舞いに行ったのは紫呉と夾のみで、夾は1度も病院に行っていなかった。夾と透は互いに恋愛感情を抱いていたが、夾は猫憑き故にいずれ幽閉される身であった。その為透の想いを確認し、その上で彼女を拒絶し、去ってしまう。その直後、慊人が現れて透を刺そうとした。この一件の少し前、潑春は紅葉に何らかの違和感を覚えた。その違和感の正体は紅葉が呪いから解放され、十二支の仲間でなくなったことから来るものであった。慊人は次々と呪いが解けていく現実に絶望し、とうの昔に呪いから解放された紅野を指し、神でもないのに十二支たちの心をつかんでいった透にも刃を向けたのだ。
しかし、透は慊人を拒絶しなかった。自身も母を失い、「置いて行かれる」辛さを知る透は慊人を受け入れた。崖が崩れたのはその直後で、夾は透を守れなかったことに絶望する。由希は夾にもいろいろな辛さがあると踏まえた上で、彼に喝を入れた。
その後、慊人は夾を幽閉せず、猫憑き用の離れも取り壊すことを決めた。慊人が十二支たちにひどい扱いをしてきたのは、神ではない自分を愛してくれる存在などいないと思っていたからだった。透が友達として受け入れてくれたため、慊人は十二支の神をやめる決意をする。
潑春と依鈴は、共に藉真の家にいた。2人は同時に物の怪が去っていくのを感じる。物の怪という自我が消えることは、「結構これはこれで寂しいもの」だと潑春は口にする。自分の一部だった物の怪との別離、解放された喜びで感情がないまぜとなり、潑春は依鈴と抱き合った。物の怪憑きたちは、完全に呪いから解放されたのだ。

それぞれの未来

後日、十二支だった面々は、夾も含めて本家に呼ばれる。慊人は振り袖姿で現れた。年少の物の怪憑きたちは、初めて慊人が女性だったと知る。もう神ではなくなったものの、慊人は当主として十二支だった者たちの自由を守っていくと誓った。
紫呉は元々自分たちの代で十二支の呪いは解けると踏んでいた。また、紫呉は慊人を1人の異性として愛し、自分だけのものにしようともしていた。自分の方だけを向かせるため、神と十二支の絆がもう終わることを思い知らせるために紫呉は透を自分の家に住まわせるなどして、彼女の心を乱そうとしたのだ。
皆を利用していたことがバレると誰かに殴られるかもしれないと紫呉は思っていたが、透や由希、夾の誰も紫呉を殴らなかった。潑春と紅葉は、皆が紫呉より大人になっただけだと結論付ける。呪いから解放されたことで、十二支たちの中から慊人への恐怖心は消えた。かつて2階から突き落とされた依鈴は、何故皆が何もなかったように振る舞えるのか分からないと言う。潑春も紅葉も透も、皆慊人にさんざん傷つけられたが、誰も彼女を責めない。どうしても慊人を許せない依鈴は、自分がおかしいのかと問うが、透はそんな彼女を抱きしめ、なだめる。
夾と透は高校を卒業したら、共に遠方に向かうことになっていた。藉真の知人が開く道場に、働きながら通って自分を試したい夾に、透はついて行くことにしたのだ。十二支だった面々、慊人は彼らを見送り、それぞれの道を歩んでいく。

草摩潑春の関連人物・キャラクター

潑春の母

潑春が教室で暴れた際、呼び出しを受けた。この時登場はしていないが、潑春が言うには「化粧だ何だで、来るのに1時間はかかる」、「ガラスを割ったことを聞いたら笑う」人物らしい。

草摩依鈴(そうま いすず)

CV:桑島法子(旧アニメ版)、豊崎愛生(新アニメ版)

午(馬)の物の怪憑き。妖艶な美少女でスタイルもいい。通称は「リン」。幸福な幼少期を過ごしていたが、両親が無理をして幸せな家族を演じていただけであった。「パパとママは本当に幸せなの?」という依鈴自身の問いかけがもとで両親は演技をやめ、依鈴を虐待するようになる。
学校からの帰り道、気分が悪くなって倒れていたところを潑春に発見された。両親には拒絶され捨てられるが、潑春は依鈴を庇い、彼女の両親に謝罪をしろと言い続けた。その後、度々訪れる潑春と交流を深め、いつしか恋仲になる。
どこからか潑春との交際が慊人にバレ、単身慊人に呼び出される。潑春を傷つけることをほのめかされた上、「お前、いらない」という拒絶の言葉を掛けられ2階から突き落とされた。この後、潑春を傷つけまいと彼を拒絶するようになる。同時に、慊人への怖れの原因でもある十二支と神の絆から潑春を解放すべく、こっそり呪いを解く方法を探り始める。
慊人の母で彼女と憎み合う草摩楝(そうま れん)に唆され、慊人の大事にしていた箱に手を出し怒りを買う。髪を切られた上、猫憑き用の離れに監禁される。異常に気付いた紅野によって救出され、病院に搬送されるが逃走。力尽きて倒れていたところを潑春に発見され、彼に保護された。この時、潑春から「(依鈴のことは)重荷なんかじゃないんだよ」と言葉を掛けられた。
呪いが解けた時も潑春と共にいた。十二支の絆は失ったが、改めて潑春との交際を始める。

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草摩由希(そうま ゆき)

CV:久川綾(旧アニメ版)、島﨑信長(新アニメ版)/島袋美由利(新アニメ版幼少期)

子(鼠)の物の怪憑き。草摩家においては、神に等しい存在として尊ばれる。容姿端麗で何でもそつなくこなすため、高校にファンクラブがある。頭脳明晰で文武両道と高い能力を持つが、由希自身は慊人による否定の言葉、夾による拒絶の言葉もあって自己肯定感は低い。
幼い頃、「鼠が牛の背に乗って一番乗りを果たした」との十二支の昔話が元で潑春に嫌われていた。「俺が馬鹿で間抜けなのはお前のせいだ」と罵倒された由希だが、「君は本当にそうなの?」と問う。潑春はその言葉に救われ、自身も由希を卑怯な鼠を決めつけていたことに気付く。その後は由希を特別な存在を感じ、彼のよき理解者となった。
慊人により精神が疲弊していたところを紫呉に誘われ、彼の家に住むようになった。紫呉の家への転居が許されたのは、潑春が「由希を救ってやってほしい」と紫呉に頼んだため。

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草摩夾(そうま きょう)

猫に囲まれる夾。

CV:関智一(旧アニメ版)/池田恭祐(旧アニメ版幼少期)/近野桂介(旧アニメ版中学1年生頃)、内田雄馬(新アニメ版)/泊明日菜(新アニメ版幼少期)

猫の物の怪憑き。オレンジ色の髪が特徴。左腕にしている数珠は猫憑き本来の姿を封じる為のもので、幼い頃より実父を含めた一族中から疎外されていた。先代猫憑きの孫である藉真に引き取られ、武術の他色々なことを教えられた。いつしか藉真を父親のように慕うようになる。口が悪く好戦的だが根は優しく、意味なく他者に喧嘩を吹っ掛けることはしない。自分とは真逆の待遇である由希を逆恨みしているものの、あらゆる面で優れた彼に憧れも抱いている。
潑春とは藉真の道場における兄弟弟子。本編ではブラック状態の潑春の挑発により、持久走の最中彼とファイトをする羽目になった。ホワイト状態の潑春からは「やっぱ夾は強い」と言われている。

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草摩紫呉(そうま しぐれ)

CV:置鮎竜太郎(旧アニメ版)、中村悠一(新アニメ版)、日野まり(新アニメ版幼少期)

戌(犬)の物の怪憑き。通称は「ぐれさん」、「しーちゃん」など。潑春からは「先生」と呼ばれるが、これは潑春が紫呉を尊敬しているというより、由希を救うために本家から出してやってほしいと言われた紫呉が冗談めかして「自分を先生と呼ぶならいい」と言った為。職業は小説家で含蓄のあることも言うが、通常は飄々としていて他者をおちょくるのを楽しむ。和装の似合う美形。
潑春は紫呉が何かを企んでいると見抜いており探りを入れたが、はぐらかされてしまった。

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草摩紅葉(そうま もみじ)

えどまち
えどまち
@edono78

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