GS美神 極楽大作戦!!(漫画・アニメ・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『GS美神 極楽大作戦!!』とは、椎名高志が『週刊少年サンデー』で連載した、日常のドタバタと悪霊・妖怪との戦いを描いたオカルトコメディ漫画である。1991年から1999年まで連載され、本作品を原作としたテレビアニメ『GS美神』も1993年に放映された。幽霊や妖怪といった超常現象と、それらを退治する霊能力者、ゴーストスイーパーの存在が広く認知されている世界が舞台。ゴーストスイーパーの美神令子と、助手の横島忠夫、幽霊のおキヌを中心とした物語が描かれる。

『GS美神 極楽大作戦!!』の概要

『GS美神 極楽大作戦!!』とは、1991年から1999年まで椎名高志が『週刊少年サンデー』で連載した漫画である。単行本は全39巻、1993年度に小学館漫画賞を受賞している。前身の作品として『週刊少年サンデー増刊』に掲載された短編読み切り『極楽亡者』が存在する(単行本1巻に収録)。
1993年に放映されたテレビアニメは概ね原作に準ずる内容となっており、最高視聴率は同じ年に放送された美少女戦士セーラームーンを超える18.0%だった。
悪霊や妖怪退治を生業とするゴーストスイーパー(以下GS)の美神と助手の横島は、仕事で訪れた雪山で幽霊のおキヌと出会う。一流のGSだが、お金にがめつい美神、煩悩一直線で美女と見れば見境なくアタックする横島、3人の中で唯一まともだが、幽霊のおキヌ。本作はこの3人を中心としたオカルトコメディである。また、中盤からは美神と横島の前世から続く因縁を描いたラブコメディや、人間界と神族・魔族の住む冥界まで巻き込んだ宿敵との戦いも描かれている。
また、1994年8月には『GS美神 極楽大作戦!!』のタイトルで劇場版も公開された。

『GS美神 極楽大作戦!!』のあらすじ・ストーリー

美神除霊事務所出動せよ!!

GSの美神令子(みかみ れいこ)は、助手の横島忠夫(よこしま ただお)とともに除霊のため温泉宿を訪れた。荷物持ちを任され、美神から遅れて宿に向かった横島は、道中で袴姿の女幽霊に襲われる。おキヌと名乗った幽霊は、300年前に人柱として死んだが、山の神様になりきれず身代わりを探しているという。そこで美神は、温泉宿に出没していた山を愛するワンダーホーゲルの霊を身代わりに、おキヌを地縛から解放する。しかし、長年さまよっていたおキヌは成仏のやり方を忘れており、そのまま美神の元で働くことに。おキヌが加わり3人チームとなった美神除霊事務所は、さまざまな悪霊を退治していく。

ドラゴンへの道!!

除霊に苦戦することが増えてきた美神は、妙神山へ行くことを決める。そこは、竜の神である小竜姫(しょうりゅうき)が管理する修行場だった。美神が修行を申し込む一方、ただの荷物持ちとしてついてきた横島も小竜姫に勧められ修行場へ。霊力を鍛えることができる異界空間で、美神は苦戦しながらも2体の敵を倒し、防御力と攻撃力の大幅アップに成功。しかし、最後の敵は桁違いの強さをもつ小竜姫だった。正攻法では勝てないと考えた美神は、横島に「キスしてあげる」と持ち掛け、反則的な助太刀を依頼。小竜姫の圧倒的なスピードに打つ手のない美神だったが、煩悩パワー全開の横島は、小竜姫のスピードに追いついたのだった。
その後、横島が背中のうろこ(逆鱗)に触れてしまい、小竜姫は竜に変身し暴走。美神たちはなんとか小竜姫の暴走を鎮めたが、修行場は崩壊してしまった。「上司に叱られる」と絶望する小竜姫。それを好機とみた美神は、修理代を出してあげると約束し、最後のパワーを授かるのだった。美神のパワーアップに加え、横島のGSとしての才能もここから現れ始める。

誰が為に鐘は鳴る!!

美神たちは小竜姫から、魔族メドーサの悪巧みを阻止するよう依頼される。メドーサはGS資格試験に手下を送り込み、GS業界を内部からコントロールするつもりだ。美神は、変装して試験に潜入。一方、横島も小竜姫の提案で試験に挑戦することに。試験方法は受験生同士によるルール無用の霊能力バトル。美神は難なく勝ち進み、すぐに敗退するだろうと思われた横島も、小竜姫から授かった神通力と自身の煩悩パワーによって、強運にも2試合を勝ち進んだ。
迎えた第3試合、横島の対戦相手はメドーサの手下、陰念(いんねん)だった。メドーサが与えた魔装術は強力だが制御が難しく、横島が攻撃を紙一重でかわしたことで陰念は自爆。この試合も横島の勝利となった。
一方別の試合では、美神たちの仲間のピート(ヴァンパイアハーフ)と、メドーサの手下の伊達雪之丞(だて ゆきのじょう)が対戦。互角の実力を持つ2人の勝負は、吸血鬼の血を引きスタミナのあるピートが優勢かと思われたが、メドーサから命を受けた雪之丞の同門、鎌田勘九郎(かまた かんくろう)の妨害により、雪之丞が勝利する。しかし、同門の妨害行為を知った雪之丞は怒り、メドーサの配下から抜けることを宣言する。
第4試合、横島の相手は雪之丞だった。実力に差があると判断した美神たちは横島に棄権するよう促すが、横島はそれを拒否。霊気のタテを作り出す新技「サイキック・ソーサー」で雪之丞を出し抜き、ダブルKOに持ち込む大健闘をみせた。
そして迎えた決勝戦は、美神とメドーサの手下の勘九郎が対戦。試合は魔装術を完全に使いこなす勘九郎のペースに。しかし、雪之丞がメドーサの計画を自白したことで勘九郎は失格、メドーサの企みは阻止された。その後GS協会は、メドーサの妨害が入ったものの、試合は無効にしないことを決定。2回戦まで勝ちあがったピートと横島は見事試験に合格、GS見習いとなるのだった。

母からの伝言!!

ある雨の日、落雷とともに幼い子どもを抱えた一人の女性が現れた。女性は、子どもを美神に預けると、再び雷とともに消えてしまう。驚きを隠せない美神。なぜなら、女性は数年前に亡くなったはずの母、美神美智恵(みかみ みちえ)、そして預けられた子どもは幼い美神(以下“れーこ”)本人だったのだ。
腕のいいGSだった美智恵は危険な敵に狙われ、時間移動能力を使って“れーこ”を守るために未来へ来たらしい。そして、美神を狙い襲い掛かってきたのは、魔族ハーピー(人面鳥)だった。ハーピーの目的は、時間移動能力を持つ者の抹殺。魔族たちは大昔から時間移動能力をもつ人間を殺しているという。
ハーピーは美神の反撃を受け撤退したものの、次は“れーこ”を狙いはじめる。間一髪でハーピーから“れーこ”を守った美神だったが、その際、深手を負ってしまう。追い詰められた美神たちを助けたのは、再び時間移動してきた美智恵。美神親子の共闘によって、ハーピーは退治された。しかし、ハーピーは最期に「魔族は組織的に美神を狙っている、いずれ次の刺客が現れる」と告げるのだった。

香港編

GS試験で対戦した雪之丞から、謎の鉄針が送られてきた。雪之丞は、小竜姫に依頼され、メドーサから鉄針を奪ってきたという。鉄針は、ハルマゲドンをも引き起こす力を持つ元始風水盤の鍵だった。メドーサはその力で神と人間を駆逐し、魔族が支配する世界を作ろうとしているのだ。美神たちは、新たに雪之丞を仲間に加え、メドーサ・勘九郎らと原子風水盤を巡って戦うのだった。
戦いのさなか、追い詰められて霊力が高まった横島は、霊刀「ハンズ・オブ・グローリー」を習得。GSとして徐々に力をつけていく。
美神たちは、一度は元始風水盤の作動を許したものの、小竜姫の呼び寄せたGS仲間の協力によって原子風水盤を破壊、メドーサはやむなく撤退した。一方、メドーサを逃がすために美神たちと心中を図った勘九郎は、最期はかつての友人、雪之丞によってとどめをさされるのだった。
香港編では、メドーサが他の強力な魔族の命によって働いていることが判明。ハーピー回に続き、魔族に中心的存在がいること、そして美神を狙っていることが明らかになる。

ある日どこかで!!

マリア(女性型ロボット)を充電するため、マッドサイエンティストのドクター・カオスが美神事務所を訪れる。その際、充電中のマリアに触れた横島が感電、美神も巻き込まれた。気がつくと3人は、700年前のヨーロッパにタイムスリップしていた。感電がきっかけとなり、美神の時間移動能力が覚醒したのだ。
そこで3人は、若かりし頃のドクター・カオス(といっても、その時点で既に300歳)と、マリアのモデルであるマリア姫に出会う。マリア姫の領土は、人造モンスターを使って世界を混乱へ導こうとする、邪悪な錬金術ヌルの侵攻を受けていた。ヌルの正体がメドーサと同じ魔族であることを見破った美神は、ヌルを倒すためドクター・カオスと共闘。しかし、戦闘中に横島がヌルの攻撃を受け死亡してしまう。横島を殺され逆上した美神は、再び時間移動能力を発動し数分前にタイムスリップ。その後の展開を知る美神は、横島の死を回避し、ヌルを倒したのだった。
ドクター・カオスの助けを借り、無事現代に戻った美神は、時間移動能力は自分には扱いきれないと判断。小竜姫に頼み、力を封印している。
しかし、今回の事件は美神がこれから巻き込まれる試練の、始まりにすぎないのだった。

スリーピング・ビューティー!!

東京で神社・仏閣・教会にのみ壊滅的な被害を与える不可解な地震が発生。同時におキヌが行方不明となる。地震の震源地が、おキヌと初めて出会った場所であると知った美神は、震源地を訪れた。そこで美神たちは、おキヌが死んだ300年前、死津喪比女(しづもひめ)という強力な地霊(地脈のエネルギーを吸って生きる妖怪)が、地震や噴火を起こしていたことを知る。おキヌは、その死津喪比女を封じ込めるための人柱だったのだ。そうとは知らない美神がおキヌを地脈から切り離したことで、死津喪比女が再び暴れだしたのだ。
戦いの末、死津喪比女を倒した美神たちだったが、おキヌは自らの霊体を武器にしたことで衰弱してしまう。そこに現れたのは、おキヌの代わりに山の神となったワンダーホーゲルの霊だった。反魂の術を使えば、おキヌを生き返らせることが出来るというワンダーホーゲル。ただし、幽霊だった頃の記憶は儚い夢のようなもので、生き返ったときには忘れてしまうというのだ。迷うおキヌに、「生きて、また出会えばいい」と背中を押す美神と横島。おキヌは「絶対また思い出しますから」と美神たちに約束し、再び生きる道を選ぶのだった。

今、そこにある危機!!

生き返ったおキヌは、美神たちのことを忘れ、故郷で暮らすことになった。おキヌ不在で、気持ちの沈む美神と横島。そこへ、春桐魔奈美(はるきり まなみ)と名乗る女性が現れる。何をさせても有能な春桐を見て雇うことを決めた美神だが、その正体はワルキューレと名乗る魔族だった。正体を知り、戦いを挑む横島。しかし、彼女の任務は美神の抹殺ではなく、魔族と神族の和平のため、武闘派の魔族から美神を守ることだった。ワルキューレに一撃で倒された横島は彼女に「美神護衛の足手まといになる」と事務所から追い出されてしまうのだった。
ワルキューレに追い出された横島は、美神のために強くなることを決意。妙神山を訪れ、小竜姫の師、ハヌマン(猿神)の元で、潜在能力を引き出すための修行に挑む。能力を引き出すか、死か。極限状態の中、横島は新たな能力を習得するのだった。
一方の美神も、自分が魔族に狙われる理由を知るため、そして魔族に対抗する力をつけるために、妙神山へ。横島と同じくハヌマン修行を受け、更なるパワーアップを遂げる。
時を同じくして、妙神山に美神を追ってきた魔族デミアンが現れた。魔族と神族の直接対決を避けたい小竜姫たちは手出しができない。修行の成果を試すべく、美神、横島らがデミアンと激突。美神は、横島の新たな能力「文珠」のサポートを受け、デミアンを撃破するのだった。
当初、美神が狙われるのは、時間移動能力を持つためと思われていた。しかし、本当の理由は、デミアンがボスと呼ぶ魔族と、美神の前世との因縁にあると言う。物語はこの後、美神の前世にまで遡っていくことになる。

デッド・ゾーン!!

美神はなぜ魔族に狙われるのか。それを知るには、美神の前世がカギとなる。調査にのりだした神族の調査官ヒャクメの協力のもと、美神と横島は、前世へとタイムスリップする。そこには、横島の前世である陰陽師の高島(たかしま)がいた。そして現れた美神の前世、彼女は人間ではなく、メフィストと名乗る魔族だったのだ。
メフィストは上級魔族アシュタロスに作られたばかり下級魔族で、人間の魂を集めるよう命じられていた。従順な魂を手に入れるため、メフィストは「魂と交換に3つの願いを叶えてやる」と高島に持ち掛ける。横島と同じく女好きの高島は、メフィストを自分のものにするため一つ目の願いに「俺にホレろ!」と命じる。生まれて間もないメフィストは“愛”を知らず、その願いに戸惑うが、行動を共にするうち彼女の中に高島への恋心が芽生えていくのだった。
一方、メフィストを作った上級魔族アシュタロスは、“気”が急に2つに分かれた(美神が現れた)ことで、メフィストを不良品だと判断し、部下の菅原道真(すがわらのみちざね)に抹殺を命じる。道真の奇襲を受け、瀕死に陥る横島と、囚われの身となる高島。間一髪逃れた美神とメフィストは、横島と高島を救出するため、協力することに。その際、メフィストはアシュタロスに対抗する力を得るため、集めた人間の魂で作られたエネルギー結晶を盗み、飲み込んでしまう。結晶を奪われたアシュタロスは激怒。これこそが、美神の前世とアシュタロスの因縁だったのだ。
その後、横島たちを救出した美神たちは、桁違いの強さを持つアシュタロスに苦戦。ヒャクメの機転で数百年先の未来へアシュタロスを転送し、一先ず難を逃れたが、高島はアシュタロスに殺されてしまうのだった。高島は最期に、残り2つの願いをメフィストに伝える。一つは、メフィストが人間になること、そして2つ目に「また会おうな」と言い残し、消えていくのだった。
現代に戻ってきた美神は、瀕死から回復した横島に「また会えて良かった」と言われたとき、無意識に涙を流す。ヒャクメ曰く、前世と今の人生は関係ない。それでも、2人の間には切っても切り離せない縁があるのだった。

スタンド・バイ・ミー!!

幽霊だった頃の記憶をなくしたおキヌは、故郷の養父母の元で暮らしていた。平凡だが幸せな毎日、しかし何か大切なことを忘れている気がする。そんなことを考えていた時、突然悪霊がおキヌに襲い掛かり、体から霊体を引きはがしてしまう。長い間幽霊だった彼女の霊体と肉体は、完全に重なりきっておらずズレが生じていたのだ。それをかぎつけた悪霊たちが、おキヌの体を乗っ取ろうと襲い掛かる。おキヌは悪霊から逃れ、おぼろげな記憶を辿りながら美神たちのいる東京へ向かう。
おキヌが東京に着いたとき、悪霊たちの数は膨れ上がり巨大な霊団となっていた。逃げきれなくなったおキヌの元に、美神と横島がかけつける。増え続ける霊団を退治するには、ネクロマンサーの笛(死者を操る笛)を使うしかない。しかし、笛はあっても使いこなせる者がいないのだ。「死にたくない、生きていたかった…」と嘆く霊たちを見て「この霊(ひと)たち、かわいそう」と涙を流すおキヌ。気がつくと、おキヌはネクロマンサーの笛を吹いていた。「あなたたちの気持ちはわかるわ。だって、私、幽霊だったから…!」すべてを思い出したおキヌは、ネクロマンサーの笛を完全に使いこなし、霊団を退けた。
記憶を取り戻し、美神たちの元へ帰ってきたおキヌ。久しぶりに美神除霊事務所に3人が揃ったのだった。

アシュタロス編

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