忍者に結婚は難しい（小説・ドラマ）のネタバレ解説・考察まとめ

『忍者に結婚は難しい』の概要

『忍者に結婚は難しい』とは横関大による小説、およびそれを原作としたテレビドラマである。小説は2022年に講談社から刊行、ドラマは2023年1月から3月までフジテレビ系で全11話が放送された。主人公である草刈蛍（くさかりほたる）と草刈悟郎（くさかりごろう）は、忍者である秘密をお互いに隠して結婚している夫婦である。任務をこなしていくうちにお互いに違和感を覚えていき、2人の間には不穏な空気が流れる。忍者として生きるのか、ただの人間として生きるのかを迫られていく、ヒューマンラブコメディーである。

主人公を務めるのは、トレードマークの美脚を活かし、ファッションモデルやCMなどで活躍している菜々緒。フジテレビのゴールデン枠では初主演であり、人生初の忍者役を演じた。

草刈蛍の夫を演じるのは、甘いマスクで世の女性を魅了している俳優・鈴木伸之。
主な作品はTBS系列のドラマ『あなたのことはそれほど』や、映画『東京リベンジャーズ2』である。

平均視聴率は5.2％であった。

『忍者に結婚は難しい』のあらすじ・ストーリー

それぞれの任務

主人公である草刈蛍（くさかりほたる）は、甲賀忍者という身分を隠して生活している。また、蛍の夫である草刈悟郎（くさかりごろう）も、伊賀忍者という身分を隠していた。この夫婦はお互いが忍者だという事実を隠して結婚しており、自分たちだけでなく、お互いの家族や仲間には絶対にバレてはならないのだ。2人はうまくやっていたのだが、蛍は悟郎のいいかげんな所が目につくようになってきた。不満が積もりに積もって蛍は離婚しようと考えている。
そんな蛍に任務の知らせが届く。その内容は、伊賀忍者に精通してるとされる赤巻章介（あかまきしょうすけ）議員が薬物を所持しているという情報があるので、尾行して真偽を探るというものだった。蛍は任務を開始し、赤巻議員の家に潜入できるように計画を立てた。
一方でそんな甲賀忍者の不穏な動きを察知した伊賀忍者は赤巻議員を守るために、悟郎に任務を任せた。蛍と悟郎はお互い忍者であることを知らないので、お互いが同じ任務に就いていることももちろん把握していない。
蛍は赤巻議員に近づくために、警備に当たっている伊賀忍者を撃退しようと作戦を実行し、無事に議員のいる部屋にたどり着いた。しかし、その時赤巻議員はすでに死んでいて蛍は驚いた。追っ手が迫っていたので急いで逃げたが、後姿を悟朗に見られてしまった。
伊賀忍者は警備をしていたにも関わらす、甲賀忍者に赤巻議員を殺されてしまった事を追及され悟郎は窮地に立たされる。次の作戦は伊賀忍者の関係者が主催するパーティーに行き、テロ騒ぎを起こす事だった。しかし参加するには夫婦で行く必要があったので、悟郎は離婚を迫られている蛍を誘いパーティーに出席することになる。
そこには、悟郎の同僚で伊賀忍者の先輩である音無祐樹（おとなしゆうき）とその妻である音無恵美（おとなしめぐみ）も参加していた。蛍は、テロを起こそうとしている伊賀忍者の邪魔をする任務を受けていたのである。
爆弾を見つけたものの、近づく蛍を悟郎が守ろうとかばったので、爆弾を止めることが出来なかった。もう駄目だと感じた蛍だが、蛍の妹である月乃雀（つきのすずめ）も任務を受けており蛍の代わりに爆弾を処理してくれたので、事なきを得た。
またもや作戦失敗に終わった伊賀忍者は落胆し、早く赤巻議員を殺した甲賀忍者を見つけ出そうと奮闘していた。

正体を疑い始めた2人

蛍は爆弾事件を振り返ってみると、「爆弾があることを知っていなければ、悟郎は蛍をかばうことはなかったのではないか」という仮説を立てた。一方で悟郎は蛍のポケットから爆弾の位置を知らせるメモを見つけてしまい、動揺する。お互いに対立する忍者なのではないかと疑い始めるのだ。
そんな中、蛍の姉である月乃楓（つきのかえで）がアナフィラキシーショックで倒れたと知らせが入る。悟郎に親族はいないと嘘をついていた蛍は、悟郎に別の用事で出かける事を伝え、楓のもとへ向かう。
病院へ着き、意識を失っている楓の姿を見て落胆する。忍術で助ける方法があるのだが、それを使えるのは蛍の父である月乃竜兵（つきのりゅうへい）だけなので、到着を待つことに。竜兵が到着したので、助けてくれるようにお願いすると「すでに1回使ったことがある為に使えない」と言われた。前回術を使用した経緯を聞いた蛍は驚いた。前回使用したのは、まだ蛍が幼い時に伊賀の忍者に蛍の母親である月乃雪子（つきのゆきこ）と楓が毒を飲まされたときだったのである。蛍は一層伊賀に対しての敵対心を覚えた。
家に帰った蛍は悟郎の部屋から隠し扉を見つけたので、伊賀の忍者であると確信し動揺する。悟郎を愛する気持ちと敵対する伊賀の忍者であるという思いで葛藤していたのだ。
また悟郎も蛍が甲賀の忍者であるという証拠をつかみ、お互いが敵対する忍者同士であることを認識してしまう。
敵対する忍者同士の結婚はもちろん許されることではないのだが、好意を持って結婚した2人は悩んでいた。

伊賀の忍者棟梁の娘である風富小夜（かぜとみさよ）は、幼いころから悟郎に好意を寄せていた。小夜は悟郎の結婚に反対だったが、蛍と悟郎の不穏な関係を見抜いていた。そして赤巻議員が殺された事件の防犯カメラを確認していると蛍が映っていたことに気が付き、蛍が甲賀の忍者なのではないかと疑惑を持つ。

黒幕の真相

小夜から犯人だと思われている蛍は、赤巻議員を殺したのは伊賀の誰かだと推測していた。調べていく中で浮かんできたのは、悟郎の友人である音無祐樹（おとなしゆうき）であった。音無とは家族ぐるみの付き合いをしていた仲なので、半信半疑だった。
悟郎は蛍と離婚しないと決めていたので、甲賀の忍者から標的にされていた。味方である甲賀の忍者に拉致された悟郎は、そこには音無の姿を見つける。この時悟郎は音無が赤巻議員の犯人が音無であると確認し、なぜなのかと嘆いた。赤巻とは薬物の取引で会っていて、その事実を公表されたくない音無が「赤巻議員を殺したのだ」と供述した。しかし組織ではなくて個人的に殺害したので音無は必死に隠していた。
悟郎と親友関係にあった音無は、関係が壊れるのを恐れて言えずにいたのが苦しかったことを悟郎に告白した。

一方で悟郎と連絡が途切れた蛍は心配し、悟郎が監禁されている場所へと来てしまった。罠だと分かっていても、悟郎が拷問されているのではないかと心配になり来たのである。蛍は敵に見つからないように悟郎のいる部屋へ行き2人は抱擁する。敵が侵入したとの防犯ベルが鳴ってしまい、蛍は悟郎を救い出せなくなってしまう。しかし悟郎の職場の後輩である宇良豹馬（うらひょうま）が助けに来てくれたのだ。宇良は実は悟郎と同じ伊賀の忍者だったのである。
蛍は間一髪逃げ切ることができたが、悟郎を救い出すことはできなくて後悔してしまう。しかし赤巻議員を殺した犯人が音無であると分かり、伊賀の忍者たちは一致団結して甲賀の忍者を追い詰める作戦にでた。

悟郎は小夜に音無が赤巻議員を殺したのだとリークするが、小夜は信じてくれない。逆に蛍を守ろうとしているのではと逆効果になってしまった。小夜は音無に事実確認をするが、音無は認めるわけもなく、悟郎が嘘をついているのだと主張した。

蛍は小夜と接触して悟郎を解放するように説得にいくのだが、議員である豊松豊前（とよまつぶぜん）を殺害することが条件だと言われる。赤巻議員と小夜の祖父の風富城水（かぜとみじょうすい）、豊松は交流があり、2人を邪魔に思った城水が殺害計画を立てていた。城水の依頼で音無が赤巻議員を殺害したのを知った小夜は動揺する。小夜も城水に騙されていたのである。
蛍はそんな状況も知らずに、出された条件をクリアすれば悟郎が解放されると信じて任務を遂行するのである。

甲賀忍者と伊賀忍者の結末

豊松議員の殺害を条件にだされた蛍は、仲間と相談し殺害しない方法を考え、甲賀忍者をだます作戦を考えていた。指定された殺害日当日、蛍たちの作戦通り豊松議員が急に体調が悪くなり、アクシデントを起こさせて殺害しない方向で順調に作戦が実行された。小夜たちがアタフタしている隙を狙い、悟郎は監禁場所から逃げようとした。しかし小夜が逃がすまいと悟郎に手裏剣を投げて負傷させた。
悟郎はなんとか逃げ切るが、無理をしたために傷が深くなり、命の危険が迫っていた。蛍と合流した悟郎は好きだという思いを伝える。蛍はそんな悟郎を見てなんとか生きていて欲しいと願ったのだ。伊賀忍者の中で一生に1回だけ使える、傷を癒す忍術を悟郎に使い、一命をとりとめたのである。
蛍が赤巻議員の事件を調べなおしていると、小夜が犯人であるという事実が浮上した。本人も罪を認めた。甲賀忍者のトップである城水の命令に逆らうことが出来なかったのである。小夜は女であるという理由で地位的にトップにつけずにいたのがもどかしく、実績を重ねていけばいずれ城水から認めてもらい、トップの座を譲ってくれるのではないかという思いから犯行を行ったのである。

数日後、甲賀と伊賀の忍者の関係が悪化していたこともあり、全面対決が始まったのだ。しかし竜兵は、城水と戦う意思を見せずに倒す価値のない人間だと言って、決着はつけなかった。しかし甲賀忍者は人を何人も殺害しており内部で勃発がおきて、収集がつかなくなったいた。城水は幹部から除外され、目的のためなら身内をも犠牲にすると言ったイメージのついた甲賀忍者を払拭するために、音無などが立て直していくのである。

一方で蛍と悟郎は敵対する忍者同士という間柄は変わっておらず、離婚した。しかしお互いが好きだという気持ちに変わりはない。

2年後、2人はお互いの共通の趣味であるキャンプ場で再会し、また惹かれあうのである。

『忍者に結婚は難しい』の登場人物・キャラクター

主要人物

草刈蛍（くさかりほたる／演：菜々緒、前田織音）

甲賀忍者の末裔で薬剤師。3人姉妹の真ん中である。悟郎と結婚したが、お互い忍者であることは知られてはいけないので、ヒヤヒヤしながら結婚生活を送っている。
綺麗好きで部屋を散らかす悟郎の行動にイラついたりしている。のにち離婚を考えてしまうが、任務をこなすうちに悟郎に対する気持ちに変化が生じ、結婚した当初のように大切に思うようになっていく。

司馬遼太郎のファンで本も大切にしている。蛍は忍者として幼いころから訓練を受けているので、次々と重要な任務をこなしていく。
父と姉、妹がいるが、悟郎には天涯孤独であると嘘をついているのである。

草刈悟郎（くさかりごろう／演：鈴木伸之、内藤心希）

伊賀忍者の末裔であり、郵便局に勤務している。蛍と結婚したが、自分が忍者であると隠しながら生活しているので、バレていないか常に心配である。
性格はなんでも適当でやりっぱなしな事が多いので、細かい性格の蛍にはいつも注意されている。
蛍が忍者なのではないかと疑い出していたが、好きだという気持ちに嘘はつけずに悩んでいた。しかし蛍も同じ気持ちだと確信し安心していた。
蛍とは離婚してしまうものの、キャンプ場で再会し、再び惹かれ合うのである。

甲賀一族