新しい靴を買わなくちゃ（映画）のネタバレ解説・考察まとめ

モーツァルト作曲のピアノソナタ。センとアオイが朝食をとる場面でこの曲が話題になり、アオイが「世界中の猫が一番好きな曲よ」と言う。

『新しい靴を買わなくちゃ』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

アオイ「もやし食べてがんばれた人は、またがんばれるよ」

理想とちがう今の自分に嫌気がさしているセンにアオイが「もやし食べてがんばれた人は、またがんばれるよ」と言った。この言葉でセンは再び自分の夢に向き合うことを決意する。これまでのがんばりと今の自分を認めてくれるアオイの優しさが感じられる。

セン「俺、聞くのこわくないよ」

アオイが過去の話をするかどうか迷っている場面でセンが「俺、聞くのこわくないよ」言う。どんなアオイでも受け入れるというセンの懐の広さとあたたかみが感じられる台詞だ。この言葉を受けて、アオイは少しずつ自分の過去を語り始める。

アオイ「新しい靴買わなくちゃ」

取材の時、アオイが壊れてしまったパンプスを履いてきていることに気が付き、「新しい靴を買わなくちゃ」と言う。その表情は晴れ晴れとしていて明るい。壊れてしまった靴を買い替える意味もあるが、つらい過去から歩き出す決意をしたことも暗に示している。

アオイ「大丈夫よ、あたしにはこいつがいるから」

遊覧船に乗る場面で、本当はセンに日本へ帰らないでほしいと思うアオイだが、センを困らせないために「大丈夫よ、あたしにはこいつがいるから」と言う。「こいつ」とはエッフェル塔のことで、アオイがパリで最も好きなものだ。アオイは、これまでかなしい時もつらい時も見守ってくれるエッフェル塔に支えられてきた。だから、この別れもエッフェル塔がそこにいればきっと乗り越えられるという気持ちを自分に言い聞かせているのだ。どうにもできないことを受け入れるアオイの強さと、惹かれているセンを困らせたくないという優しさがにじみ出た台詞である。

『新しい靴を買わなくちゃ』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

「スズメ」という名前が朝ドラのヒロイン名として登場

『新しい靴を買わなくちゃ』の原作・脚本・監督である北川悦吏子氏（以下北側氏）は、役名を考える際は読んだ時の響きを大事にしている。センの妹「スズメ（鈴愛）」は少し変わった名前だが、音の美しさはほかの登場人物の名前と比べてもひときわ目立つ。
この名前を見たプロデューサーの岩井俊二氏は「スズメという名前は脇役の名前ではない。ヒロインクラスの名前だ」と強く北川氏に言ったそうだ。そして北川氏の娘がスズメという名前を気に入り、「スズメがよかった」と連呼されたことで、北川氏はいつかスズメという名前のヒロインのドラマを書かなくてはと思ったそうだ。そして、2018年放送のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」の脚本の書いた北川氏は、ヒロイン名を楡野鈴愛（にれのすずめ）にする。『新しい靴を買わなくちゃ』で好評だった「スズメ」を今度は主役の名前に起用し、周りから愛されるヒロインを描いたのだ。
役名の響きなど細部までこだわりを見せる、北川氏ならではのエピソードである。

「新しい靴」を購入したアオイ役の中山美穂

物語の最後に、センからアオイに新しい靴が届くというシーンがある。ずっと悲しい過去から立ち止まっていたアオイが歩き出す、明るく印象的な場面だ。
アオイ役を演じた中山美穂は、映画発表後のインタビューで「新しい靴は買ったか」と言う質問に対して、こう答えている。
「買いました。クランクアップしたその日に（笑）！ スニーカーと、ちょっとヒールのあるサンダル風のパンプス。その2足は、この夏の間、ずっと履いていましたよ。」映画のテーマである「新しい靴」の魅力が感じられるエピソードである。

『新しい靴を買わなくちゃ』の主題歌・挿入歌

挿入曲：坂本龍一『Menuet K.1 - piu mosso』

挿入曲：コトリンゴ、『Fashion Show』

挿入曲：コトリンゴ、『Kitchen 』