ちょびっツ(CLAMP)のネタバレ解説・考察まとめ
『ちょびっツ』とはCLAMPによるSFラブストーリー漫画とそれを原作にしたアニメ作品。少女の容姿をしたパソコンと機械には疎い青年が織り出す恋愛模様を描いている。パソコンが人型で普及している東京で浪人生の本須和秀樹はバイト帰りにゴミ捨て場で人型パソコンの「ちぃ」を拾うがソフトが何もインストールされておらず、全てが謎に包まれていたパソコンだった。友人と共にちぃの素性に迫っていくうちに、プログラム通りに行動するパソコンとは違うChobitsという特殊なパソコンではないかという疑念が生まれる。
ちぃは秀樹へのプレゼントを買おうと、秀樹と一緒に買い物にやって来た。薬指に指輪をはめる事がお互い好き同士の証だとフレイヤに教わったちぃは、指輪を買って秀樹にプレゼントした。もらった指輪を見ながら喜ぶ秀樹と一緒に家に帰りながら、ちぃはこっそり買ったお揃いの指輪を眺めていた。
稔から呼び出された秀樹は、すももと琴子をカバンに入れてちぃと共に国分寺家に向かう。国分寺家に入ると、稔は「これから話すことはちぃに聞かせたくない」と、別室にちぃを案内した。
琴子の話によると、ちぃが特別なパソコンである事は間違いなく、ちぃを詳しく知るには国のデータバンクに侵入するしかないと言う。
このやり取りを聞いて、国のデータバンクへの侵入を試みた柚姫の調査結果から、今までちぃに関するメールを送っていたのは、国のデータバンクを管理しているコンピューターである事が分かった。
そして稔が1枚の写真を秀樹に見せると、そこにはちぃにそっくりな2人が写っており、以前千歳がちぃにプレゼントしたドレスを着ていた。
秀樹が帰宅するとアパートの前で千歳に会い、聞きたい事があった秀樹は、千歳の部屋で話をすることになった。
秀樹は今まで送られてきた写真と千歳によく似た人物が映った写真を見せた。すると千歳はこの人物は研究員だった時の自分だと認め、地下室に案内する。
千歳の話では、このアパートも地下室も人型パソコンも作ったのは、亡くなった千歳の夫であった三原一郎(みはらいちろう)だという。千歳が今まで秀樹にこの事実を伝えなかったのは、「他言しないことが夫との約束で、ちぃは世界にとって危険な存在だからと考えたからだ」と言う。
千歳と一郎の子供として作られたフレイヤという人型パソコンと3人で幸せに暮らしながら、千歳と一郎はフレイヤが誰かに愛され愛する存在になってほしいと願っていた。その願い通りフレイヤは1人の男性を愛するようになるが、それはフレイヤの父親である一郎だった。
この悲しい現実にフレイヤは元気を無くしていき、そんなフレイヤの元気な姿を取り戻そうと一郎は妹のエルダを作った。フレイヤもエルダも仲が良く2人で楽しく遊んでいたが、1人になるとフレイヤは悲しい表情を浮かべていた。
一郎への想いを我慢する事でCPUに負荷がかかり、フレイヤはついに壊れてしまう。そしてフレイヤは「パパが好き。アタシだけの人よ」と想いを告げる。その言葉に一郎は「ごめん。エルダもフレイヤも好きだけど、千歳を特別愛してる」と返した。
悲しい気持ちに支配され自ら意識を手放そうとしたフレイヤを感じたエルダは、自分の中にフレイヤの記憶と心を取り込んだ。エルダの中でフレイヤは眠りにつきエルダの幸せをただ願っていた。そして千歳に「自分をどこの誰だか分からないように捨ててほしい」と頼み、エルダは意識を失った。
千歳は自分だけが開けるプロテクトを掛けて、エルダの記憶のデータを忍ばせていた。もし誰にも拾われなかったら、自分がもう一度記憶を蘇らせてまた一緒に暮らそうと考えていたからだ。
秀樹は「アタシだけのヒト」というフレーズが、ちぃの好きな絵本に登場していた事を思い出し絵本について千歳に聞いてみた。すると千歳は「その絵本の作者は自分だ」と明かし、自分の願いを込めてあの絵本を書いたという。
千歳の話を聞いていると突然上から大きな音がした。部屋に残されたちぃに何かあったのではと感じた秀樹はちぃの元に向かった。
ちぃを心配してあわてて部屋に向かう秀樹の後ろ姿を見て、千歳は「ありがとう。私の娘を大事に想ってくれて」と感謝した。
その時、外のモニターにちぃを狙う2人組のパソコン、ディタとジーマの姿が映り千歳は危機感を募らせた。
ちぃだけのヒト
秀樹の帰りを待ちながら寂しい気持ちを抱えるちぃの心の中に、フレイヤが「ちぃのアタシだけのヒトは見つかった?」と話し掛けた。
その質問にちぃは「ヒデキ」と答える。するとちぃの身体から強い光が発せられ、ちぃは意識を失ってしまう。
その異様な光を見つけた、ちぃを密かに監視していたディタがちぃのプログラムが起動される前に止めにいこうとするも、相棒のジーマはこれから起こる事を見届けたいとその様子を伺っていた。痺れを切らしたディタはちぃのいる場所へと急ぐ。
ジーマはちぃに幸せになってほしいと願っており、その幸せは後にパソコンたちの幸せにも繋がってくると考えていた。ちぃを見つけた秀樹が意識を失って宙に浮いているちぃの身体に触れようとすると、そこへ「Chobitsの1人である」と名乗るディタが現れる。
プログラムを止めようと、ちぃに掴みかかろうとするディタを秀樹が止めに入る。そこへ現れた千歳が「プログラムの事はまだ秀樹には知らせないで」とディタに頼む。
ちぃの異変により周りの全てのパソコンに影響が出ていた。電気は停電になり、信号機の故障で車道は大渋滞、水道管が破裂するなど街中がパニックに陥っていた。このパニックを鎮めるためにディタは再びちぃに掴みかかろうとするも、今度はそれをジーマが止めた。
そしてジーマとディタは他のパソコンたちと同じように、ちぃの異変の影響で倒れてしまう。その様子を見たちぃが秀樹に向かって「ヒデキの特別は誰?」と聞く。「この答え次第でさらに誰かに迷惑がかかるかもしれない」と思い、秀樹は返答に困っていた。
しかし「自分にとって大事なのは、世間や他人ではなくちぃだ」と思った秀樹は「俺の特別はちぃだよ」と言って、ちぃを抱きしめた。
するとちぃの様子が変わり、フレイヤの人格が表れ「その好きは全部欲しい好き?ココロもカラダも全部」と聞いた。その質問に秀樹は「そう思ってなかったらこんなに悩まねぇ」と言い放つ。
その答えに納得したのかフレイヤは、ちぃの起動スイッチの場所を秀樹に伝えた。そしてフレイヤは「ちぃの全てが欲しかったとしても、ちぃは再起動して初期化され、ちぃはちぃでは無くなってしまう」と言う。
それに対し秀樹はちぃの目を見つめ「それでもオレはちぃが良いよ」と伝えた。その言葉を聞いたちぃが人格を取り戻し「見つけた。ちぃだけのヒト」と口にした。するとパソコンたちは正常に戻り、街は今までと同じように動き始めた。
幸せでいない人が誰もいない町
ジーマは、自分達を作った一郎の願いは「人型パソコンに幸せになってもらう事だったんだ」とディタに話し始める。
結果的に秀樹はちぃを選んだが、もし選んでもらえなかった場合、今の人型パソコン全てにフレイヤと同じことが起こる。
ちぃにしか出来ない事とはフレイヤのような悲しいパソコンが存在しないように、全ての個別認識プログラムを破壊する事だった。そうすれば好きも嫌いも無くパソコンは感情プログラムを無くし、ただの箱となる。
そんな危険なプログラムの起動を回避できて、ちぃと秀樹が幸せな日々を送る事が出来た。そんな2人の姿を見ながらディタとジーマは「パソコンの未来は明るい」と胸を躍らせた。
予備校に向かうため家を出た秀樹と、外出のため家を出たちぃはアパートの前で千歳と挨拶を交わしてから2人揃って歩き始めた。笑顔のちぃの薬指の指輪が幸せな光に照らされキラキラと輝いていた。
千歳が書いていた絵本も最終話を迎え、「ここはシアワセでないヒトが誰もいない町。アタシだけのヒトがいる、たいせつな町」という言葉で幕を閉じた。
『ちょびっッ』の登場人物・キャラクター
主要人物
本須和秀樹(もとすわひでき)
CV:杉田智和
北道海出身。大学受験に失敗し、浪人生として予備校に通っている。千歳が運営するアパートに住居している。バイトは居酒屋「よろこんで」。
パソコンが欲しい気持ちはあったが万年金欠で手にすることができなかった。しかし、ある日ゴミ捨て場でちぃを見つけ持ち帰る。
パソコン音痴で知識もほとんどない。ちぃに対しては初めから単なるパソコンのような扱いをせず、誠実に対応している。機種やスペックが謎に包まれているちぃが、万が一故障や不具合が生じた場合にどのように対処すればいいのかと危機感を覚え、パソコンについて勉強する必要性を強く感じるようになる。
そそっかしい面も垣間見えるが、基本的に素直で優しい。悩みを抱えている人には親身になって寄り添う。秀樹の素直さあふれる誠実な行動は、パソコンと人間との関係に迷っている友人たちを勇気づけることになる。
ちぃ
CV:田中理恵
人型パソコン。裸の状態で梱包用のテープでグルグル巻きにされ、ゴミ捨て場に置かれていたものを本須和秀樹が持ち帰る。基本ソフトもインストールされていないような状態で、「ちぃ」としか喋れなかったため秀樹は便宜上ちぃと名付けたが定着した名前となる。一般常識も知らず、無垢な状態。それにより様々な行動で周囲を驚かせたりするが、率直で愛くるしい。人型パソコン特有の耳には外部モニター等に接続するためのコード類が収納されており、起動スイッチは女性器の奥にある。 製造元は不明で、OSの種類やスペックも謎に包まれている。その理由はちぃは都市伝説になっているパソコン「Chobits」そのものであり、過去の名はエルダ。元はパソコンシステムの創造主である三原一郎によって、フレイヤの妹として作られたパソコンである。フレイヤが壊れてしまった時、まだ自分はアタシだけのヒトを見つけていないからと、彼女の心と記憶を守るため自分自身に移し変えた。エルダとしての記憶は自分で初期化したせいで失われていた。ちぃには世界中の人型パソコンと連結して発動するプログラムが組み込まれている。それはちぃが探している「アタシだけのヒト」がちぃの全てを受け入れない場合に、現在の人間と機械の関係を人型パソコンにおいて不幸なものであると認識し、世界中の人型パソコンから個別認識プログラムが全て破壊してしまうものとされている。
フレイヤ
CV:田中理恵
ちぃとそっくりの人型パソコン。千歳の子どもとして三原一郎によりつくられた。目覚めた当初は千歳と一郎を本当の両親のように慕い、幸せに暮らしていた。しかしフレイヤ自身が愛し愛される存在になってくれるようにと、彼女のために一郎が組み込んだプログラムにより、一郎をアタシだけのヒトとして認識してしまう。千歳を困らせたくない気持ちと一郎を愛する想いに嘘はつけないという矛盾に、心は耐えきれなくなり壊れていく。エルダはフレイヤの心を守りたいという一心から、自分の中に招き入れることを決意し、フレイヤの心と記憶はエルダに託されることになる。記憶を失ったエルダ(ちぃ)が「アタシだけのヒト」を見つけれるよう、ちぃの中で彼女の幸せを願っている。
秀樹を取り巻く人々
新保弘(しんぼひろむ)
CV: 関智一
秀樹の友人。秀樹と同じ予備校に通う。陽気で明るい性格。パソコンには知識がある方であり、国分寺稔と交流がある。講師の清水多香子と付き合っているが、一筋縄ではいかず一騒動起こすことになる。
すもも
CV:くまいもとこ
新保がいつも持ち歩いているノートパソコン。後に新保から秀一時的に預かるかたちとなるが、物語が進むにつれて新保から秀樹へ正式に譲渡される。
清水多香子(しみずたかこ)
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目次 - Contents
- 『ちょびっツ』の概要
- 『ちょびっツ』のあらすじ・ストーリー
- ちぃとの出会い
- Chobitsかもしれない
- 謎に包まれた写真
- パソコンと人間との距離感
- もう一人のちぃ
- 千歳とちぃ
- ちぃがいなくなる
- パソコンと恋愛
- 無事にちぃが見つかる
- 植田店長と裕美
- 秀樹にプレゼントしたい
- ちぃだけのヒト
- 幸せでいない人が誰もいない町
- 『ちょびっッ』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 本須和秀樹(もとすわひでき)
- ちぃ
- フレイヤ
- 秀樹を取り巻く人々
- 新保弘(しんぼひろむ)
- すもも
- 清水多香子(しみずたかこ)
- 大村裕美(おおむらゆみ)
- 国分寺稔(こくぶんじみのる)
- 柚姫(ゆずき)
- 日比谷千歳(ひびやちとせ)
- 植田弘康(うえだひろやす)
- 小島良由起(こじまよしゆき)
- 琴子(ことこ)
- 登場人物の過去に関わる人々
- ユミ
- 三原一郎(みはらいちろう)
- 謎のパソコン二人組
- ジーマ
- ディタ
- 『ちょびっツ』の用語
- Chobits
- パソコン
- 絵本(だれもいない町)
- ロボット三原則
- 『ちょびっツ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 秀樹とちぃとの出会い
- 応答していないパソコンの位置を割り出すちぃ
- ちぃのアタシだけの人は「ヒデキ」
- 『ちょびっツ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 他のCLAMP作品にも『ちょびっツ』のキャラが登場
- 原作と展開が異なるアニメ版
- 『ちょびっツ』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):ROUND TABLE featuring Nino『Let Me Be With You』
- ED(エンディング):田中理恵『Raison d'être』(※第1話-14話)
- ED(エンディング):田中理恵『ニンギョヒメ』(※第15話-25話)
- ED(エンディング):田中理恵、杉田智和『かたことの恋』(※第26話)