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めぞん一刻（高橋留美子）のネタバレ解説・考察まとめ

『めぞん一刻』とは、高橋留美子によるラブコメディ漫画。小学館『ビックコミックスピリッツ』で連載された。アニメ、実写映画、実写ドラマ、ゲーム、パチンコ・パチスロなどにもメディアミックスされた大人気作品。
時計坂にあるおんぼろアパート一刻館に住む世渡り下手な浪人・五代裕作と突然管理人としてやってきた美貌の未亡人・音無響子が織り成す恋愛模様を描く。1980年代の恋愛漫画の金字塔として名高い作品。
高橋留美子独自のリズミカルでコミカルな展開が小気味いい作品である。

「おれはもう響子の泣き顔を見るのがいやなんだーっ！！」

引用：めぞん一刻 第15巻

父が熱を出したため、実家に戻った響子に母は五代との仲はどうなっているのかと聞いてみた。
すると、響子は「いずれ分かること」としながら五代との仲を肯定する。
響子と五代の仲を知らなかった父は風邪をひいているにも関わらず激昂し、だめだ、だめだと頭ごなしに反対する。

翌日、熱が高いにも関わらず父は布団を抜け出し、五代の勤め先を覗きに行った。
母から響子に、響子から五代に連絡がいき、父の姿を見かけたら保護すると約束する五代。
しかし、父はサングラスにマスクという出で立ちで幼稚園を覗いていたため、変質者と間違えられて警察で職務質問を受けていた。
ようやく解放された父は、公園で仲良く遊ぶ父娘見かけ、昔の響子のことを思い出していた。

五代の夜の勤め先・キャバレーを訪れた父は、五代に響子をどうするつもりだと問いただす。
五代が、響子にきちんと申し込んでから挨拶しようと考えていた、と話し始めると、父は五代の言葉を遮り、「みすみす響子を不幸にしてたまるかーっ！」と五代を怒鳴りつけ、立ち上がったのだが、無理がたたり倒れてしまった。

五代は父を介抱し、響子に連絡を取った。

寝ている間、父は過去の夢を見ていた。
惣一郎が亡くなった時、悲しみに打ちひしがれている響子になにもしてやれなかった。もっともっと結婚を反対していれば、と後悔ばかりが募る。
父は、泣きながら「響子～～っ！！」と叫び目が覚めた。
目が覚めた父は、看病していた五代に驚いた。
父が目覚めたと知ったキャバレーの従業員たちは、父を五代の送別会に連れ出した。
その日は、保育園の正職員となった五代がキャバレーを辞める日だったため、従業員たちが送別会を開いていたのだ。
しかし、父が寝込んでいたため、主役である五代がちょこちょこと席を外し、落ち着けなかったため、復活した父も送別会に参加させたのだ。

送別会では、五代と別れるのがさみしいと、子供たちが泣きじゃくり、やだ、やだとだだをこねる。
その泣き声を聞いていた父は、じわっと涙がこみ上げ一緒に泣き始めた。
ホステスたちに五代の新しい門出だ、と言われた父は「んなこと関係ないわい！おれはもう響子の泣き顔を見るのがいやなんだーっ！！」と叫んだ。
父の叫びは、ちょうどキャバレーに到着した響子に聞かれてしまった。

一回目の結婚で惣一郎を亡くし、打ちひしがれた響子の姿を見た父は、もう二度と響子に悲しい思いをさせたくないと五代との結婚に反対する。
娘の幸せを思う父の深い愛情が伝わる名シーン。

「お願い…一日でいいから、あたしより長生きして… もう、ひとりじゃ、生きていけそうにないから…」

引用：めぞん一刻 第15巻

響子を心配して五代の職場に乗り込んだ父は、高熱のため五代の職場で倒れてしまった。
五代は父を背負いながら、響子と共に家へと歩く。
父にひどいことを言われなかったかと心配する響子に、五代は「別に…」と答えた。
父が響子のことを心から案じているのを感じた五代は、父の中では響子はいつまでも小さな女の子だが、自分にとってはたった一人の女の人、と告げて「結婚してください」とプロポーズした。
「泣かせるようなことは絶対しません。残りの人生をおれに…ください」
そういった五代に響子は「ひとつだけ、約束…守って…」と言い始めた。
「浮気なんか絶対しません。付き合い酒はひかえます。貧乏もなるべくしません」と言い募る五代に響子は言った。
「…そんなことじゃ泣きませんよ。怒るけど。お願い…一日でいいから、あたしより長生きして…もう一人じゃ、生きていけそうにないから…」
五代は「…決して一人にはしません…」と誓い、それを聞いていた父にも結婚の許しをもらった。

ようやくできたプロポーズ。
五代の真摯な言葉に胸を打たれ、さらに、響子の返事であるお願いは、響子の切なる思いが込められていて涙を誘う名言。

「あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます。」

引用：めぞん一刻 第15巻

五代との結婚を控えた響子は、惣一郎の遺品を音無家に返そうとする。
しかし、響子の辛そうな姿を見て五代は無理をしなくてもいいと響子に告げるのだが、響子はけじめだとして五代の言葉に頷かない。
五代としてみれば、響子が惣一郎と結婚していたことを知っているのだから、気にしないのだが、響子は頑なだ。

遺品を返す前に惣一郎に報告しようと考えた響子は、惣一郎のお墓へと向かった。
するとそこには、五代の姿があった。
響子はお墓の裏に回り込み、五代の様子を伺う。

「正直言って、あなたがねたましいです…遺品返したところで響子さん…絶対にあなたのことを忘れないと思う。…忘れるとか…そんなんじゃないな…あなたはもう響子さんの心の一部なんだ…だけどおれ、なんとかやっていきます。初めて会った日から響子さんの中に、あなたがいて…そんな響子さんをおれは好きになった。だから…あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます」
この言葉を聞いた響子は、涙が溢れだした。
「惣一郎さん…あたしがこの人に会えたこと、喜んでくれるわね」と響子は空を見上げ、惣一郎に語りかけた。
響子は五代の前に姿を現し、「あなたに会えて、本当に良かった」と五代の手を取り「…さようなら惣一郎さん…」と惣一郎に別れを告げた。

響子を心から思う五代の懐の大きさがよくわかる名言。
響子の抱える全てを包み込む五代の思いの深さが伝わって来る。

「うんとしあわせになりなさい。今までの分もね…あんたはこの日のために生まれてきたんだよ。響子さん。」

引用：めぞん一刻 第15巻

五代と響子の結婚式の日。
亡き夫の父・音無老人は、花嫁姿の響子に声をかけた。
「うんとしあわせになりなさい。今までの分もね…あんたはこの日のために生まれてきたんだよ。響子さん」

音無老人は、息子・惣一郎が亡くなった後も一途に惣一郎を想い続ける響子に感謝しつつも、早く再婚し幸せになってもらいたいと言い続けてきた。
漸くこの日を迎え、安心した音無老人の言葉。
響子を本当の娘のように思いやり、息子の代わりに支え、幸せを願い続けた義父の名言。

「ただいま」

引用：めぞん一刻 第15巻

結婚式から月日は流れた。
子供が出来たら引っ越すと当初話していた五代たちだが、結局響子が妊娠しても、一刻館から離れることはなかった。
今日は、響子が病院から退院してくる日。
今は一刻館を出て喫茶茶々丸のマスターと結婚した朱美もお土産を携えて一刻館を訪れた。
一の瀬、四谷と朱美が旧交を温めていると、タクシーから五代と生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた響子が降りてきた。
住人たちは響子を取り囲み、赤ちゃんを見せてもらいながら五代たちを迎えた。
赤ちゃんの名前は春の香りではるか。
響子ははるかの名前を呼びながら、語りかけた。
「春香ちゃん、おうちに帰ってきたのよ。ここはね…パパとママが初めて会った場所なの…」

響子が初めて一刻館を訪れてから7年。
各々がゆっくりと成長し、近づき、数々の問題をクリアして結ばれた2人にとうとう娘が生まれた。
五代や響子にとって、当初は最悪の環境と感じていた一刻館だったが、長年住み続け今では自然に「ただいま」と言える場所となっていた。
最終回、これまで一刻館の来し方行く末を見守ってきた読者がほっこりと満足するハッピーエンド。
最高の名シーン。

『めぞん一刻』の実写映画

『めぞん一刻』の実写映画概要

『めぞん一刻』実写映画は、石原真理子主演の『Apartment Fantasy めぞん一刻』と改題されて1986年10月10日に封切となった。
人物構成以外は原作を離れたオリジナルストーリーとなっている。
原作の特徴である軽妙さや、原作者・高橋留美子独特のコミカルな「間」などはほとんど描かれていない。
監督・澤井信一郎の感性が活かされたしっとりとした、やや暗めの不思議なラブコメディ作品となっている。

配役は、原作のイメージを重視してキャスティングされている。
特に、四谷役の伊武雅刀の再現率が高く、「はまり役」との呼び声も高い。

五代祐作を演じた石黒賢は、この作品が本格的な主演デビュー作となっている。

映画『めぞん一刻』のテーマソング、ギルバート・オサリバンの「Alone Again (Naturally)」「Get Down」は、公開時期に合わせてアニメ版第24話の主題歌として起用されたが、著作権上の問題により1回しか起用されていない。
（再放送では2回起用されている）
配給収入は2.5億円。

『めぞん一刻』の実写映画主なキャスト

音無 響子： 石原真理子
五代 裕作：石黒賢
四谷：伊武雅刀
六本木 朱美： 宮崎美子
一の瀬 花枝：藤田弓子
七尾 こずえ：河合美智子
茶々丸マスター： 深見博
一の瀬 賢太郎：中垣克麻
惣一郎（犬）：アンジェラ （犬）
男 ：田中邦衛
女 ：萬田久子
和尚 ：大滝秀治
音無響子のお父さん：有島一郎

『めぞん一刻』のテレビドラマ

『めぞん一刻』のテレビドラマ概要

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