めぞん一刻(高橋留美子)のネタバレ解説・考察まとめ
『めぞん一刻』とは、高橋留美子によるラブコメディ漫画。小学館『ビックコミックスピリッツ』で連載された。アニメ、実写映画、実写ドラマ、ゲーム、パチンコ・パチスロなどにもメディアミックスされた大人気作品。
時計坂にあるおんぼろアパート一刻館に住む世渡り下手な浪人・五代裕作と突然管理人としてやってきた美貌の未亡人・音無響子が織り成す恋愛模様を描く。1980年代の恋愛漫画の金字塔として名高い作品。
高橋留美子独自のリズミカルでコミカルな展開が小気味いい作品である。
作品のきっかけ
「めぞん一刻」のきっかけは、作者・高橋留美子が大学時代に住んでいた中野のアパートの向かいにあった下宿屋の住人たちがトランシーバーでやり取りしているのを見て、面白そうだと感じたことがきっかけだった。
下宿屋の人間模様を描く目的で始めたので、恋愛作品の予定ではなかったというが、浪人生の五代を住人たちが弄るストーリーから、次第に恋愛中心のストーリーに変化していった。
この下宿は、1980年の春に取り壊されており、連載が決まった時には取り壊されたあとだった。
作品の時代
西暦1980年代の初期から後期にかけての物語。
当時は、アメリカ経済の行き詰まりによる輸出停滞など、不況が続いている時代だったので、作品中何度か「不景気」という言葉が使われている。
まだ、バブル時代は訪れておらず、無名大学出身の五代は、就職活動に難儀し、就職浪人を経験することになった。
物語の舞台は、連載開始当時、作者が住んでいた西武池袋線東久留米駅北口一帯がモデルと指摘されている。
作中に見られる時計坂の描写は、東久留米駅北口付近、徒歩圏内の街並みが多く描かれていることが愛好家らの研究で明らかにされている。
2009年8月1日、駅舎改装での取り壊しが決定されたため、12時から17時までの5時間だけ、駅名を東久留米駅から時計坂駅に変更するという商店街のイベントが行われた。
2010年に新駅舎が建て替えらている。
連載途中に作者は東久留米から西武線沿線の練馬区に転居したことから、東久留米付近の描写は描かれなくなり、練馬区の街並みが描かれるようになっている。
この当時、固定電話(黒電話)が普及していたが、五代は経済的な理由で電話を引くことができず、当初は管理人室の黒電話に、後に、一刻館に配置されたピンクの公衆電話を連絡手段として使用している。
トルコ風呂
昭和59年10月にトルコ人青年から「特殊浴場に自国の名前を使用しないで欲しい」との訴えがあったことから、特殊浴場協会は「トルコ風呂」の名称を自粛、同年12月に「ソープランド」という名称に統一された。
第40話「事件」(昭和57年10月)では、五代が一時同居する彩子は「トルコ嬢」と呼ばれていたが、第103話「犬が好き」(昭和60年5月)では、五代と坂本はソープランドをはしごしたことになっている。
ワイド版以降からは、トルコをソープランドに訂正されている。
お金
原作で紙幣が出てくるのは第21話「マフ等あげます」(昭和56年12月)。
アニメでは紙幣の描写がいくつか見られるが、全て新紙幣・新貨幣の描写となっている。
上越新幹線
昭和57年11月15日に開業した上越新幹線、
工事が遅れたため、初期は大宮駅を始発とする暫定開業をしていた。
昭和60年3月に上野駅に接続し、平成2年6月に上野-東京間が繋がった。
第64話「別れの18番ホーム」で五代の祖母・ゆかりが上越新幹線で帰省する時にホームで宴会していたのは大宮駅。
アニメ第70話(昭和62年8月)では、上野駅で宴会をしたことになっている。
円高不況
第99話「バラ色の人生」、第120話「シャボン玉翔んだ」でも使用されている「不景気」という言葉は、この当時の円高不況が背景にあったため、使われた言葉である。
五代が就職活動をしていた1984年から1986年は、バブル前夜の景気後退期であった。
この時期のことは「プラザ不況」と呼ばれ、製造業の衰退、国内製造業の空洞化により不況倒産が相次ぎ、完全失業率は高度成長期以降最高値(1985年2.6%、1986年2.8%)であった。
保父
作中で五代の職業として使用されている「保父」という言葉は俗称であり、正式な国家資格としての名称は、男女問わず「保母」であった。
1977年(昭和52年)に男性も保母資格を取得できるようになったものの、男性の保母は数少なかった。
その後、男性の保母の人数も増加していき、1999年(平成11年)児童福祉法改正に伴い、「保母」の名称が「保育士」と改名され男女共通の名称となった。
ディスコ
日本におけるディスコのブームには諸説あるが、1970年代後半の第1次ブーム、バブル期前夜の1986年頃からの第2次ブーム、1992年頃からの第3次ブームとなっているようだ。
第56話「BACHAN IN TOKIO」で五代の祖母・ゆかりが仲間と繰り出した1983年6月は、第2次ブームの手前、ブーム狭間の衰退期に当たっている。
公衆電話
作中にも多く登場する公衆電話は、当時一般的に使われていた赤電話である。
第15話「複雑夜…」で五代が坂本にかけていた公衆電話。
第43話「坂の途中」で五代が坂本・小林にかけた公衆電話。
第49話「なんて器用なの」で五代が響子にかけた駅の公衆電話。
第58話「BACHAN IN TOKIO」でゆかりがかけた時計坂駅前の公衆電話。
100円玉が使用でき、プッシュ方式の黄色電話は、
第103話「犬が好きpart2」で、三鷹が響子にかけた喫茶店の電話。
第132話「Help Meコール」、第134話「朝まで眠れない」で使用されたホテルの公衆電話。
カード方式の緑の公衆電話は、
第153話「TEL YOU SWEET」で五代が響子にかけた発表会場の公衆電話として描かれている。
第16話「桃色電話」で一刻1階廊下に設置されたピンク電話。
ピンク電話は、一般的な公衆電話ではなく、加入者の希望により一般電話を公衆電話としても利用できるようにしたもの。
レストランや喫茶店など比較的人の出入りの多い場所に設置されている。
作中で描かれているピンク電話は、
第3話「勝手に聖夜」の茶々丸の電話。
第42話「明るい五号室」で五代が響子にかけたタバコ屋前の電話。
第95話「案ずるより産むが易し」の八神の高校の電話。
第125話「愛と哀しみの破談」などのテニススクール管理等の電話、である。
職業安定所
五代や一の瀬氏が何度も世話になっている公共職業安定所、通称「職安」。
1989年(平成元年)に旧労働省が愛称を一般公募し、1990年(平成2年)に愛称が「ハローワーク」に決まった。
洗濯機
一刻館管理人室前に置いてある洗濯機は二槽式洗濯機。
現在は全自動、ドラム式などが主体であるが、原作終了時(1986年)、全自動洗濯機の普及率は17%だった。
ポケットベル
第131話「誓の母子星」、第135話「白昼の疑惑」で五代が勤めるキャバクラのホステス・かすみが連絡手段として使用しているのがポケットベル。
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目次 - Contents
- 『めぞん一刻』の概要
- 『めぞん一刻』のあらすじ・ストーリー
- 五代と響子の出会い
- 三角関係
- 重なる想い
- 「響子さんをもらいます」
- 『めぞん一刻』の登場人物・キャラクター
- 一刻館の住人
- 五代 裕作(ごだい ゆうさく)
- 音無 響子(おとなし きょうこ)
- 一の瀬 花枝(いちのせ はなえ)
- 一の瀬(いちのせ)
- 一の瀬 賢太郎(いちのせ けんたろう)
- 二階堂 望(にかいどう のぞみ)
- 三越 善三郎(みつこし ぜんざぶろう)
- 四谷(よつや)
- 六本木 朱美(ろっぽんぎ あけみ)
- 響子と五代に関わる人々
- 惣一郎(犬♂)(そういちろう)
- 三鷹 瞬(みたか しゅん)
- 七尾 こずえ(ななお こずえ)
- 八神 いぶき(やがみ いぶき)
- 五代 春香(ごだい はるか)
- 音無響子の縁者
- 音無 惣一郎(おとなし そういちろう)
- 音無惣一郎の父(音無老人)
- 音無 郁子(おとなし いくこ)
- 郁子の母
- 千草 律子(ちぐさ りつこ)
- 響子の父
- 上荻先生(かみおぎせんせい)
- 五代裕作の縁者
- 五代 ゆかり(ごだい ゆかり)
- 五代の家族
- 五代 晶(ごだい あきら)
- その他
- マスター
- 九条 明日菜(くじょう あすな)
- 坂本(さかもと)
- 飯岡
- 黒木 小夜子(くろき さよこ)
- 早乙女
- マッケンロー(犬♂)
- サラダ(犬♀)
- 『めぞん一刻』の時代背景
- 作品のきっかけ
- 作品の時代
- トルコ風呂
- お金
- 上越新幹線
- 円高不況
- 保父
- ディスコ
- 公衆電話
- 職業安定所
- 洗濯機
- ポケットベル
- 『めぞん一刻』の用語
- 一刻館
- 時計坂
- 『めぞん一刻』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 五代裕作がご町内のみなさまに向けて響子への思いを告白するシーン
- 高校時代の響子が惣一郎と相合傘を狙うシーン
- 「死んでないのじゃない、生きてるんだ。」
- 「女ってのはな、金よりも地位よりも、愛されるのが一番しあわせだと思ったんだな…。」
- 八神がいつまでも素直になれない響子を叱咤激励するシーン
- 保父試験を翌日に控えた五代が、深夜まで帰ってこなかったことに響子が怒るシーン
- 明日菜の言った妊娠が犬の妊娠だったと判明したシーン
- 「ゆっくりとしあわせになりましょう。ぼくたちこれから…ずっと一緒なんだから…」
- 響子が五代を騙してキスするシーン
- 朱美が2人の仲を引っ掻き回しながらもフォローを入れるシーン
- こずえとの別れのシーン
- 「やきもちやきで 早とちりで 泣いたり 怒ったり だけど その女が微笑うと…おれは最高にしあわせなんだ…」
- ようやく2人が結ばれるシーン
- 「ぼっぼくのたみにみそしれ るっ」
- 「おれはもう響子の泣き顔を見るのがいやなんだーっ!!」
- 「お願い…一日でいいから、あたしより長生きして… もう、ひとりじゃ、生きていけそうにないから…」
- 「あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます。」
- 「うんとしあわせになりなさい。今までの分もね…あんたはこの日のために生まれてきたんだよ。響子さん。」
- 「ただいま」
- 『めぞん一刻』の実写映画
- 『めぞん一刻』の実写映画概要
- 『めぞん一刻』の実写映画主なキャスト
- 『めぞん一刻』のテレビドラマ
- 『めぞん一刻』のテレビドラマ概要
- 『めぞん一刻』のテレビドラマ主なキャスト
- 『めぞん一刻』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):斉藤由貴「悲しみよこんにちは」(第1話~23話、25~37話)
- OP(オープニング):ギルバート・オサリバン「Alone Again (Naturally)」(第24話)
- OP(オープニング):安全地帯「好きさ」(第38話~52話)
- OP(オープニング):松尾清憲「サニーシャイニーモーニング」(第53話~76話)
- OP(オープニング):村下孝蔵「陽だまり」(第77話~96話)
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- ED(エンディング):ピカソ「シ・ネ・マ」(第23話、第25話~33話)
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