めぞん一刻(高橋留美子)のネタバレ解説・考察まとめ
『めぞん一刻』とは、高橋留美子によるラブコメディ漫画。小学館『ビックコミックスピリッツ』で連載された。アニメ、実写映画、実写ドラマ、ゲーム、パチンコ・パチスロなどにもメディアミックスされた大人気作品。
時計坂にあるおんぼろアパート一刻館に住む世渡り下手な浪人・五代裕作と突然管理人としてやってきた美貌の未亡人・音無響子が織り成す恋愛模様を描く。1980年代の恋愛漫画の金字塔として名高い作品。
高橋留美子独自のリズミカルでコミカルな展開が小気味いい作品である。
CV:千葉繁
響子の愛犬。響子が一刻館に住み始めた時に一緒に連れてきた。
野良犬だったが、響子の亡き夫・惣一郎が帰宅途中に買った焼き鳥の匂いにつられて音無家まで付いてきて、そのまま住み着いてしまった。
風采の上がらない雑種の白犬(賢太郎いわく「白くてじじむさい犬」)。
惣一郎は「シロ」と名付けたが、その名で呼んでも反応せず、響子が「惣一郎さん」と夫を呼ぶとシロも反応し、惣一郎はいつも困っていた。
夫の死後、その名を引き継いだ。
「惣一郎」が響子の夫の名と知った五代は、響子が惣一郎(犬)を呼ぶたびに、響子の亡き夫のを意識させられ、初期の頃は惣一郎(犬)に対して嫉妬の炎を燃やしていた。
焼き鳥が大好物で、焼き鳥を持っていた通りすがりの人の後を付いていってしまい、一週間行方不明になった。
三鷹 瞬(みたか しゅん)
CV:神谷明
1955年生まれ。東京都出身。
近所の奥様方が通うテニスクラブのコーチ。
主婦の参加が多いクラスを主に受け持っている。他に女子大にも出向いてコーチしている。
第133話・危ない夜で31歳と言われていた。
笑顔を見せるとその度に白い歯がキラッと輝くのが特徴で、親族も皆白い歯が輝いている。
容姿端麗、高学歴、スポーツ万能、実家は資産家で、料理の腕もよく、家賃20万程度の高級マンションに一人暮らししている。
明るい性格で、社交的、女性に対する気遣いも細やかで、女性に非常にモテる人物。
老若男女問わず誰に対しても紳士的。五代が風邪をひいた時には、お粥を作ってくれるなど面倒見が良い。
響子に対してはかなり積極的にアプローチするが、鈍い響子にはなかなか本意が伝わらず、響子にもわかるようなセリフでアピールを繰り返している。
非の打ち所のない男性だが、唯一、幼少時の体験から犬が苦手なことが欠点。
犬種問わず鳴き声を聞いただけで鳥肌が立ち、近づかれるだけで顔が真っ青になり、引きつけを起こして倒れそうになる。
しかし、犬からは非常に好かれる体質のようで、響子の愛犬・惣一郎も三鷹を気に入っている。
物語後半、犬にまとわりつかれ恐怖のあまり、手近な女性に縋りついてしまったところを響子に見られ、誤解されてしまったため、犬恐怖症を克服する決意を固める。
小型犬を飼い徐々に犬に慣れていこうと努力を続けていた。
しかし、愛犬・マッケンローが、親戚に無理やり勧められたお見合い相手・九条明日菜の愛犬と結ばれてしまい、それが原因で誤解が生じ、響子への思いを断念せざるを得ない状況に追い込まれた。
後に誤解は解かれたが、お見合い相手の明日菜と交際をはじめ、響子を潔く諦めた。
その後は五代の恋を応援している。
最終回では、明日菜と結婚し、2人の間には双子の女児が生まれており、さらにお腹には三人目も授かっていた。
七尾 こずえ(ななお こずえ)
CV:冨永みーな
五代のガールフレンド。
無邪気で天然、空気が読めない不思議ちゃん。
五代に対しては積極的にアピールする。
思い込みが激しく、人の話を最後まできちんと聞かないという悪癖がある。
五代より1歳年下。五代とは違う大学に実家から通っている。
両親と小学生の弟・葉介の4人家族。五代と出会った当初はメガネをかけていたが、後にコンタクトになった。
響子を誘おうと映画のチケットを用意したのだが、響子を誘えず、仕方なく友人の坂本を誘うが断られ、困っている時に会話を聞いていたこずえが近づき、映画に行きたい素振りを見せたため、五代はこずえとともに映画に行った。
これがきっかけで二人はよく会うようになる。
五代にネクタイを着用させ、メロンを持たせ、五代には何も知らせず自宅に連れて行き、自分で買ったメロンを五代からの手土産として家族に渡し、五代を好印象に見せるよう画策するなど、策略家な一面を持つ。
その後、こずえと五代は家族公認の付き合いとなり、週に何度か七尾家で夕食をともにする時期があった。
五代の大学時代、就職浪人中も五代と付き合いがあったが、五代の本命は響子のため、プラトニックな関係が続いていた。
143話で、五代を騙して目を閉じさせてこずえからキスしたのが最初で最後のキスである。
五代は、比較的早い段階からこずえに別れ話をするタイミングを図っていたが、なかなか言い出せず、曖昧な関係が続いていた。
大学を卒業すると、父のコネで銀行に就職。
後に同僚から求婚され、五代との間で悩む。
その後、五代からプロポーズされたと勘違いしたこずえは同僚を断ろうとするのだが、必死な様子に断りきれず、五代に泣きついた。
それを響子が誤解してと大騒動が起こる。
五代が意を決して「自分には好きな人がいる」とこずえに告白すると、こずえは「なんだそうだったの」と言葉を漏らし、同僚からの求婚を承諾したと打ち明けた。
お互いが別の人との結婚を考えていたことで「おあいこ」として、円満に別れることになった。
最終話では同僚と結婚し名古屋で幸せに暮らしている場面が描かれている。
こずえは最後まで五代の好きな人が誰だか知らないままだった。
八神 いぶき(やがみ いぶき)
CV:渕崎ゆり子
1967年4月4日生まれ。血液型はAB型。
五代が教育実習で響子の母校を訪れた際に五代の受け持ちのクラスの委員長として知り合った。
担任教諭は響子のかつて担任だった人物。
地味でおどおどしていた五代を、恋人を亡くした影のある人物と誤解し恋をしてしまった。
その学校では、若い男性教員の白いワイシャツに、手の平に塗った絵の具でハートマークを付けるいたずらが伝統的に行われており、八神は五代の背中にベッタリとハートマークをつけた。
容姿端麗、成績もよく、委員長を務めるなど優秀な人物だが、気が強く行動力に溢れている。
五代を気に入り、一刻館にたびたび訪れるようになる。
五代の教育実習終了に伴い、恋が冷めると思ったものの、別れ際に涙がこぼれ落ちたことから、再度五代にアタックを繰り返すようになった。
五代が就職活動に苦しんでいるのを見て、大手商社の人事部長を務める父に五代を採用するように頼み込むが、父からは娘を利用して就職しようとする男、認識されてしまい五代をピンチにしてしまった。
八神が一刻館籠城を行い、八神の父から孫会社「霞商会」を紹介状をもらい、ようやく就職が決まった。しかし、入社直前に霞商会は倒産、五代は就職浪人することになった。
聡い八神は五代が響子を思っていることも、響子も五代を気にしていることに気づいており、響子に対しライバル意識を持つようになった。
八神の積極的な行動にやきもちを焼いているにも関わらず、素直に五代への気持ちを認めない響子に苛立ち、強くあたってしまっていた。
担任から響子の複雑な事情を聞いた八神は、これまでの自分の態度を少し反省し、響子を叱咤激励するために一刻館に赴き、響子を見つけると「弱虫!」と叫んだ。
最終話では、女子大生となった八神がまだ五代を忘れられない様が描かれている。
五代 春香(ごだい はるか)
五代と響子の娘。
最終話に登場する。
音無響子の縁者
音無 惣一郎(おとなし そういちろう)
CV:田中秀幸
響子の亡き夫。響子が通っていた女子高の地学の非常勤講師をしていた。
響子より10歳上。
高校時代の響子に思いを寄せられ、響子が高校を卒業すると結婚。
結婚してから半年も経たない桜の季節に亡くなった(死因は不明)。
物語中、五代が何度も惣一郎の顔を確認しようとするのだが、惣一郎の顔の部分だけ写真が破れていたり、遺影のガラスがひび割れていて顔が見えなかったりして、最終話近くまで五代は惣一郎の顔を知らなかった。
物語の回想の中では、影で隠されており、読者はその顔、表情を知ることができない。
響子が義父から渡された惣一郎の日記を見ると、食べ物の話ばかり書いてあることから、よく食べる人物であったようだ。
数日間、食べ物のことが全く書かれていない時期があり、惣一郎が誰かからもらったはがきについて悩んでいるような記述が続いていた。原因のはがきが紛失されていたため、日記を読んだ響子は、惣一郎が何に悩んでいたのか気にしていた。響子の義父から日記を預かった五代のカバンから、原因のはがき(響子が出した暑中見舞い)が出てきたことで、自分の出した暑中見舞いでここまで悩んでくれたのかと、響子の憂いは晴れた。
響子の気持ちは、だんだん五代に傾いていくのだが、それを認めず意地を張って五代と喧嘩していた時、響子の夢の中に現れて、「バカ」と言い響子を諭した。
音無惣一郎の父(音無老人)
CV:槐柳二
名は不明。響子の義父で、惣一郎の父。
一刻館の大家であり、響子の母校である女子高の理事も務めている。
そのため、就職せずにいた惣一郎を非常勤講師として女子高に勤めさせることができた。
五代が教育実習先に困っていた時も、音無老人のつてで女子高に実習に行くことになった。
非常に穏やかな老人で、結婚後半年も経たず夫に先立たれた響子を気にかけており、惣一郎を忘れ、再婚するように響子に勧めている。
腰が悪く、出歩く時は、孫の郁子をよく伴っている。
音無 郁子(おとなし いくこ)
CV:荘真由美
惣一郎の姉の娘、響子の姪。
元気で明るい性格。響子のことを「おばさま」と呼んでいる。
一刻館で知り合った五代を気に入り、「おにいちゃん」と呼ぶようになり、中学3年間は五代を家庭教師としていた。
五代が響子と遠出をする時などは、郁子と一刻館住人・一の瀬の息子・賢太郎も一緒に一緒に出かけることが多かった。
賢太郎の初恋の相手だが、郁子本人は気づいていない。
高校時代、生活に困っていた五代を救うため、もう一度家庭教師をと考えたが、五代の学力では高校生の家庭教師は無理と断念した。
響子と五代の結婚式では、賢太郎とともに受付をしている。
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目次 - Contents
- 『めぞん一刻』の概要
- 『めぞん一刻』のあらすじ・ストーリー
- 五代と響子の出会い
- 三角関係
- 重なる想い
- 「響子さんをもらいます」
- 『めぞん一刻』の登場人物・キャラクター
- 一刻館の住人
- 五代 裕作(ごだい ゆうさく)
- 音無 響子(おとなし きょうこ)
- 一の瀬 花枝(いちのせ はなえ)
- 一の瀬(いちのせ)
- 一の瀬 賢太郎(いちのせ けんたろう)
- 二階堂 望(にかいどう のぞみ)
- 三越 善三郎(みつこし ぜんざぶろう)
- 四谷(よつや)
- 六本木 朱美(ろっぽんぎ あけみ)
- 響子と五代に関わる人々
- 惣一郎(犬♂)(そういちろう)
- 三鷹 瞬(みたか しゅん)
- 七尾 こずえ(ななお こずえ)
- 八神 いぶき(やがみ いぶき)
- 五代 春香(ごだい はるか)
- 音無響子の縁者
- 音無 惣一郎(おとなし そういちろう)
- 音無惣一郎の父(音無老人)
- 音無 郁子(おとなし いくこ)
- 郁子の母
- 千草 律子(ちぐさ りつこ)
- 響子の父
- 上荻先生(かみおぎせんせい)
- 五代裕作の縁者
- 五代 ゆかり(ごだい ゆかり)
- 五代の家族
- 五代 晶(ごだい あきら)
- その他
- マスター
- 九条 明日菜(くじょう あすな)
- 坂本(さかもと)
- 飯岡
- 黒木 小夜子(くろき さよこ)
- 早乙女
- マッケンロー(犬♂)
- サラダ(犬♀)
- 『めぞん一刻』の時代背景
- 作品のきっかけ
- 作品の時代
- トルコ風呂
- お金
- 上越新幹線
- 円高不況
- 保父
- ディスコ
- 公衆電話
- 職業安定所
- 洗濯機
- ポケットベル
- 『めぞん一刻』の用語
- 一刻館
- 時計坂
- 『めぞん一刻』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 五代裕作がご町内のみなさまに向けて響子への思いを告白するシーン
- 高校時代の響子が惣一郎と相合傘を狙うシーン
- 「死んでないのじゃない、生きてるんだ。」
- 「女ってのはな、金よりも地位よりも、愛されるのが一番しあわせだと思ったんだな…。」
- 八神がいつまでも素直になれない響子を叱咤激励するシーン
- 保父試験を翌日に控えた五代が、深夜まで帰ってこなかったことに響子が怒るシーン
- 明日菜の言った妊娠が犬の妊娠だったと判明したシーン
- 「ゆっくりとしあわせになりましょう。ぼくたちこれから…ずっと一緒なんだから…」
- 響子が五代を騙してキスするシーン
- 朱美が2人の仲を引っ掻き回しながらもフォローを入れるシーン
- こずえとの別れのシーン
- 「やきもちやきで 早とちりで 泣いたり 怒ったり だけど その女が微笑うと…おれは最高にしあわせなんだ…」
- ようやく2人が結ばれるシーン
- 「ぼっぼくのたみにみそしれ るっ」
- 「おれはもう響子の泣き顔を見るのがいやなんだーっ!!」
- 「お願い…一日でいいから、あたしより長生きして… もう、ひとりじゃ、生きていけそうにないから…」
- 「あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます。」
- 「うんとしあわせになりなさい。今までの分もね…あんたはこの日のために生まれてきたんだよ。響子さん。」
- 「ただいま」
- 『めぞん一刻』の実写映画
- 『めぞん一刻』の実写映画概要
- 『めぞん一刻』の実写映画主なキャスト
- 『めぞん一刻』のテレビドラマ
- 『めぞん一刻』のテレビドラマ概要
- 『めぞん一刻』のテレビドラマ主なキャスト
- 『めぞん一刻』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):斉藤由貴「悲しみよこんにちは」(第1話~23話、25~37話)
- OP(オープニング):ギルバート・オサリバン「Alone Again (Naturally)」(第24話)
- OP(オープニング):安全地帯「好きさ」(第38話~52話)
- OP(オープニング):松尾清憲「サニーシャイニーモーニング」(第53話~76話)
- OP(オープニング):村下孝蔵「陽だまり」(第77話~96話)
- ED(エンディング):来生たかお「あした晴れるか」(第1話~14話)
- ED(エンディング):ピカソ「シ・ネ・マ」(第23話、第25話~33話)
- ED(エンディング):ギルバート・オサリバン「Get Down」(第24話)
- ED(エンディング):ピカソ「ファンタジー」(第34話~52話)
- ED(エンディング):ピカソ「さよならの素描」(第53話~第76話)
- ED(エンディング):ピカソ「ビギン・ザ・ナイト」(第77話~第96話)
- テレビドラマED(エンディング):松任谷由実「守ってあげたい」
- 『めぞん一刻』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作者・高橋留美子が国際的な漫画祭でグランプリの快挙
- アニメファンが選ぶ「人生で初めて恋したアニメの初恋キャラ」で響子が8位にランクイン
- めぞん一刻の登場人物に数字がつくのは偶然だった
- 作者・高橋留美子は仕事の鬼だった