うる星やつら(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『うる星やつら』(うるせいやつら)とは、高橋留美子の漫画作品で、浮気性の少年と宇宙人の少女を中心に描かれる、日本の高校から宇宙の果てまでを舞台にした壮大無比にしてハチャメチャなラブコメディ。地球の未来を賭けた“追いかけっこ”で鬼星の少女ラムに勝利した諸星あたるは、この時に発した言葉を誤解されて彼女から婚約者扱いされることとなる。女好きなあたるは熱烈な愛情と嫉妬深さを隠そうともしないラムから逃げ回るが、次々と来訪しては傍迷惑な事件を起こす珍客を相手にする内、彼女と強い絆で結ばれていく。
『うる星やつら』の概要
『うる星やつら』(うるせいやつら)とは、高橋留美子の漫画作品で、浮気性の少年諸星あたる(もろぼし あたる)と宇宙人の少女ラムを中心に描かれる、日本の高校から宇宙の果てまでを舞台にした壮大無比にしてハチャメチャ極まるラブコメディ。
連載開始は1978年だが、SF、コメディ、恋愛、アクション、様々な要素をごった煮のように混ぜ込んだその作風は当時極めて斬新なもので、後の日本のサブカルチャーに多大な影響を与えた。1981年から断続的にアニメ化され、映画作品も多数作られるなど、1980年代を代表する漫画作品である。完結から25年後の2022年に再アニメ化が決定し、大きな話題となった。
前半は『攻殻機動隊』『イノセンス』の押井守がチーフディレクターをしていたことが有名である。押井守が前半でチーフディレクターを交代しため、後半は画風が少し異なっている。
地求侵略を目論む鬼星の鬼型宇宙人たちだったが、あまりに科学力が違うために「普通に侵略してもつまらない」という理由から、“代表者同士での鬼ごっこ”で勝負を決めようと地球側に提案してくる。まともに戦っても勝ち目のない地球側はこれに逆らえず、鬼星のコンピュータが指定した諸星あたるという高校生の少年に全てを託すこととなる。「どうして自分がそんな面倒なことをしなければならないのか」と不平満々なあたるだったが、幼馴染にして恋人の三宅しのぶ(みやけ しのぶ)から「勝ったら結婚してあげる」と言われて俄然やる気になる。
鬼星側の代表であるラムという少女と対戦した末、どうにか彼女を捕まえて地球を救ったあたるだったが、この際に己を奮起させようと叫んだ「勝ったら結婚だ」という言葉を勘違いされて、ラムから自分の婚約者として扱われるようになる。この状況に不満しかないしのぶ、熱烈な愛情と嫉妬心を隠そうともしないラム、そして「自分は地球を救った英雄なのだから、もっといろんな女の子と仲良くなりたい」と彼女たちから逃げ回るあたる。てんやわんやの騒動を繰り返す中、地球どころか宇宙のあちこちからも招きもしない珍客が次々に押し寄せる事態となり、彼らの日常はいよいよ混沌としていくのだった。
『うる星やつら』のあらすじ・ストーリー
地球を賭けた“追いかけっこ”
地球は鬼星の鬼型宇宙人たちによって狙われていた。しかしあまりに科学力が違うため、「このまま戦ってもつまらない」と考えた鬼星の人々は、“代表者1名ずつによる地球を賭けた追いかけっこ”で決着をつけることを提案。まともに戦っても勝ち目のない地球側はこれを拒否することもできず、鬼星のコンピュータが指定した諸星あたるという高校生の少年に全てを託す。
しかし当のあたるは「なぜ自分がそんな面倒なことをしなければならないのか」とさっぱりやる気が無く、地球の命運を背負わされることを迷惑だとさえ感じていた。そんな彼を奮起させようと、幼馴染で恋人でもある三宅しのぶは「勝ったら結婚してあげる」と提案。これによりあたるは俄然やる気を出し、全力で鬼星との追いかけっこ勝負に臨むこととなる。
鬼星の代表者として現れたのは、ラムという名のあたると同年代の少女だった。空を飛び電撃を放つ彼女をどうにかこうにか捕まえて地球を救ったあたるだったが、その最中に己を奮い立たせるために「勝ったら結婚だ」と叫んだのを誤解され、ラムから自分の婚約者として扱われるようになってしまう。
その後ラムは地球に押しかけ、諸星家の居候となり、あたるの学校にまで通うようになる。当然しのぶは不満を隠そうともしないが、ラムはラムであたるへの熱烈な愛情と嫉妬心を全開にして彼に迫る。当初しのぶとの結婚の約束に浮かれていたあたるだったが、「よく考えれば自分は地球を救った英雄なのだし、もっとモテていいはずだ。いろんな女の子と仲良くなりたい」と三角関係の解消を求める彼女たちから逃げ回るようになるのだった。
混沌の恋模様
あたるたちの三角関係は、しのぶがあたるを見限ったことでいったんの解決を見る。しかしあたるは相変わらずラムへの態度をはっきりさせずに次から次へと他の女の子へのアプローチを繰り返し、ラムがそれを空を飛んで追いかけては「うちという者がありながら」と電撃でお仕置きするのが2人の日常となっていた。
一方、そんなラムの美貌や鬼星の宇宙人という出自に興味を抱いて近づいてくる者は後を絶たず、あたるたちの前には招きもしない珍客が次々と現れては傍迷惑な騒ぎを起こしていく。
面倒財閥の跡継ぎである面堂終太郎(めんどう しゅうたろう)。
「ラム親衛隊」を結成し、あたるを目の敵にするメガネ、パーマ、チビ、カクガリ。
男として育てられた少女藤波竜之介(ふじなみ りゅうのすけ)。
霊能力を持つ教師サクラ。
ラムの従弟である鬼星の子供テン。
ラムの幼馴染で“彼女の婚約者”だというあたるに興味津々な3人の宇宙人おユキ、弁天、ラン。
時に地球で、時に宇宙で、壮大にして荒唐無稽かつハチャメチャな痴話ゲンカを繰り広げるあたるとラム。そんな日々を過ごす内に、次第にあたるもラムのことを大切な存在だと感じるようになっていくも、決して認めずに浮気を繰り返すのだった。
闇の世界からの誘い
幾多の冒険と大騒ぎを経てもあたるの浮気性は治らず、ラムはラムで決して諦めることも容赦することもなく彼の婚約者として振る舞い浮気には折檻を繰り返す。しかしラムの角が生え変わった頃、その許嫁を自称するルパという少年が現れ、彼女を強引に連れ去っていったことで2人の関係は危機を迎える。
ルパの曾祖父は、かつて行き倒れていたラムの曾祖父を助けたことがあり、その際に「一族に女の子が生まれたら嫁にもらう」という約束を交わしていた。そんなことは受け入れられないとする面堂ら地球でのラムの友人一同は、おユキたちの協力を得てルパの暮らす闇の世界へと向かう。口では「アイツ(ラム)にも婚約者がいるというなら好きにすればいい」と言いつつも、あたるもこれに同行することとなった。
ルパは一族の決定に従い結婚する準備を進めてはいたが、彼は彼で密かにカルラという幼馴染の少女に想いを寄せており、ラムを妻とすることを完全には受け入れられずにいた。そのカルラは「ルパが本当に会ったこともない女と結婚するつもりなのか確かめたい」と考えて結婚式に乱入することを計画しており、偶然出会ったあたると共にその準備を進めていく。
しかしいざ結婚式に乗り込んだあたるは、ラムへの想いを素直に打ち明けられず、「散々浮気してきたのに、自分を助けに来てくれてなお好きだと言ってくれないのか」と彼女の怒りを爆発させてしまう。ルパとカルラも似たような形で関係をずっと足踏みさせていたらしく、カルラに「本当にその女(ラム)と結婚するつもりなのか」と尋ねられたルパは咄嗟に「お前には関係ない」と言葉を返して彼女を涙させる。
売り言葉に買い言葉で険悪極まった時、あたるは当てつけるように「カルラと結婚する」と宣言。ラムも「それならうちはルパと結婚する」と言い返し、意を決した結婚式乱入作戦は当初とはまるで違う結果となってしまうのだった。
未来を懸けた“鬼ごっこ”
後悔を抱えたままラムと別れ、面堂たちと共に地球に戻ったあたるだったが、それでも素直になることはできなかった。しかしこの時誤って持ち込まれた宇宙キノコが大繁殖し、地球は存亡の危機に立たされる。地球の科学力では対応できないと見た宇宙人たちが手を差し伸べようとした時、ラムがルパや鬼星の権力を総動員してそれを止め、あたるを地球人代表に指定して“未来を懸けた鬼ごっこ”を申し込む。初めて出会った時のように自分を捕まえるか、「好きだ」と言ってくれればキノコを駆除するための特殊なブタを提供するというのだ。
ルパは一族の決定に従った結果カルラを悲しませたことを後悔しており、あたるが勝っても負けてもラムを帰してブタを提供するつもりでいた。しかしラムは、自分のために宇宙を旅して闇の世界までも来てくれたあたるがなぜ「好きだ」と言ってくれないのか分からず、もう1度だけ彼を信じて本当の気持ちを見極めようとしていた。つまりラムは地球の命運だけでなく、自分とあたるの関係についても懸けていたのである。
うっかりで地球に持ち込まれた記憶喪失装置が作動を開始し、このままでは地球は鬼星の侵略のことも含めて宇宙人たちに関する全ての記憶を失う。あたるがラムを捕まえればそれも解決するということで、地球と宇宙の全ての者が注目する中鬼ごっこは進んでいくが、空を飛んで本気で逃げ回るラムを前にただの人間でしかないあたるは劣勢を強いられる。「どうしてそこまで意地を張るのか」「好きだと言ってくれないのか」「自分たちと一緒に過ごした日々の記憶を失ってもいいのか」と問うラムに、あたるは「忘れるもんか」と絶叫する。その手には、ラムがルパに連れ去られた際に落としていった彼女の角が固く握り締められていた。
あたるが本心では自分をどうしようもなく愛おしく持ってくれていることを、たとえ地球の運命がどうなろうと“ラムという少女”のことを己だけは決して忘れまいと決意していることを知り、ラムは感極まって彼の胸に飛び込んでいく。これを見たルパは地球にキノコ駆除用のブタを放ち、カルラにプロポーズした上で彼女と共に闇の世界へと帰還。何度目かの地球の危機はこうして回避される。
しかし、あたるはラムへの気持ちを明確な言葉にすることだけは、なおも断固として拒む。「これだけ大騒ぎしていいかげんにしろ」とさすがに怒り心頭の面堂や仲間たちに追い回されつつ、あたるは今日も逃げ回る。それを追いかけ、「一生かけても(好きだと)言わせてみせる」というラムに、あたるは「今わの際に言ってやる」と言い返すのだった。
『うる星やつら』の登場人物・キャラクター
主要人物
諸星あたる(もろぼし あたる)
CV:古川登志夫(1981年版)/神谷浩史(2022年版)/岸尾だいすけ(パチスロ版)
本作の主人公。高校生の少年で、根っからの楽観主義者にして怠け者。頭脳労働も嫌うが地頭は良く、いざという時にはすさまじい行動力と生命力を発揮する。地球の命運を賭けた鬼ごっこでラムを捕まえるも、その際に発した「勝ったら結婚だ」との言葉を勘違いされ、彼女から婚約者扱いされるようになった。
当初は幼馴染のしのぶと交際しており、彼女から結婚しようと持ち掛けられた際は舞い上がっていたが、ラムとの鬼ごっこに勝利してからは「地球を救ったんだからもっとモテたい、いろんな女の子と仲良くしたい」と女好きな一面を隠そうとしなくなった。
熱烈な愛情を示してくるラムに対して内心では特別な存在だと認めているものの、少年らしい気恥ずかしさ、まだ1人の女の子に縛られず自由でありたいという願望。そして意識して考えないようにしている「あんなに全力で好意を示してくれるラムに自分はふさわしい人間なのか」という若干の迷いから、決してそれを伝えずに普段は素っ気ない態度を貫いている。
ラム
CV:平野文(1981年版)/上坂すみれ(2022年版)
本作のヒロイン。あたると同年代の鬼型宇宙人の少女。性格は明朗快活で、自分のことを「うち」と呼び、好きな相手にははっきり好きというタイプ。人が走る程度の速さで空を飛び、電撃を放つ力を持つ。
地球の命運を賭けた鬼ごっこであたるに負けて以来その際に彼が発した「勝ったら結婚だ」という言葉を自分への求婚だと勘違いし、自分を彼の婚約者(あるいは妻)だと周囲に触れ回り、行動するようになる。
あたるの浮気性にはストレートに怒りを示し、容赦なく追い回しては電撃を浴びせるのが常。何が起きても彼に対する熱烈な愛情を捨てず、それを示し続ける一方で、「あたるは自分のことをどう思っているのか」については内心で不安を感じている。
地球人
三宅しのぶ(みやけ しのぶ)
CV:島津冴子(1981年版)/内田真礼(2022年版)/西村ちなみ(パチスロ版)
あたるの幼馴染。物語が始まる以前から交際しており、あたるが地球の命運を賭けた鬼ごっこに挑む際は「勝ったら結婚してあげる」と言って奮起させていた。
ラムが「自分はあたるの婚約者」だとして彼の家に押しかけてからは対抗心を燃やし、しばし三角関係を繰り広げたが、浮気を繰り返すあたるに呆れて愛想を尽かす。以後はクラスメートとして、ある程度の距離を置きつつも友人として接するようになった。並外れた怪力の持ち主で、怒らせると土管などの重くて大きいものを持ち上げて投げつけてくる。
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目次 - Contents
- 『うる星やつら』の概要
- 『うる星やつら』のあらすじ・ストーリー
- 地球を賭けた“追いかけっこ”
- 混沌の恋模様
- 闇の世界からの誘い
- 未来を懸けた“鬼ごっこ”
- 『うる星やつら』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 諸星あたる(もろぼし あたる)
- ラム
- 地球人
- 三宅しのぶ(みやけ しのぶ)
- 面堂終太郎(めんどう しゅうたろう)
- 藤波竜之介(ふじなみ りゅうのすけ)
- ラム親衛隊:メガネ/パーマ/チビ/カクガリ
- 宇宙人
- テン
- おユキ
- 弁天(べんてん)
- ラン
- 『うる星やつら』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ラム「うちという者がありながら!」
- あたる「好きな人を好きでいるために、その人から自由でいたいのさ」
- ラム「一生かけても言わせてみせるっちゃ!」 あたる「いまわの際に言ってやる!」
- 『うる星やつら』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 大成功につながった“ヒロイン交代”
- メガネ役声優・千葉繁の躍進
- 『うる星やつら』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):松谷祐子『ラムのラブソング』(1話~77話)
- OP(オープニング):小林泉美『DANCING STAR』(78話~106話)
- OP(オープニング):成清加奈子『パジャマ・じゃまだ!』(107話~127話)
- OP(オープニング):CINDY『Chance on Love』(128話~149話)
- OP(オープニング):Steffanie『ROCK THE PLANET』(150話~165話)
- OP(オープニング):南翔子『殿方ごめん遊ばせ』(166話~195話)
- OP(オープニング):MAISONdes『アイウエ feat. 美波, SAKURAmoti』(2022年版)
- ED(エンディング):松谷祐子『宇宙は大ヘンだ!』(1話~21話)
- ED(エンディング):ヘレン笹野『心細いな』(22話~43話)
- ED(エンディング):ヴァージンVS『星空サイクリング』(44話~54話、65話~77話)
- ED(エンディング):小林泉美『I, I, YOU & 愛』(55話~64話)
- ED(エンディング):小林泉美『夢はLOVE ME MORE』(78話~106話)
- ED(エンディング):リッツ『恋のメビウス』(107話~127話)
- ED(エンディング):CINDY『OPEN INVITATION』(128話~149話)
- ED(エンディング):Steffanie『エヴリデイ』(150話~165話)
- ED(エンディング):南翔子『GOOD LUCK ~永遠より愛をこめて』(166話~195話)
- ED(エンディング):MAISONdes『トウキョウ・シャンディ・ランデヴ feat. 花譜, ツミキ』(2022年版)