半妖の夜叉姫 壱の章(犬夜叉続編アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『半妖の夜叉姫 壱の章』(はんようのやしゃひめ いちのしょう)とは、高橋留美子の漫画作品『犬夜叉』の十数年後の世界を描いたアニメ作品。
女子高生の日暮かごめと半妖の少年犬夜叉が、現代と戦国時代を行き来しながら繰り広げた大冒険から十数年。2人の姪であるとわは、幼い頃に生き別れた双子の妹せつなと再会するが、彼女は夢の胡蝶という妖怪によって過去の記憶も失っていた。かごめと犬夜叉の娘であるもろはも加わり、かつて彼女たちの親がそうしていたように、3人は現代と戦国時代を行き来しながら大冒険を繰り広げる。

『半妖の夜叉姫 壱の章』の概要

『半妖の夜叉姫 壱の章』(はんようのやしゃひめ いちのしょう)とは、高橋留美子の漫画作品『犬夜叉』の十数年後の世界を描いたアニメ作品。高橋留美子はキャラクターデザインのみの参加であり、シナリオには携わっていない。
世界的ヒット作である『犬夜叉』の正当な続編として、2020年5月に制作が発表された。以来前作ファンや高橋留美子作品を見て育った層から大きな注目を集め、ネット上では前作キャラクターたちの去就について盛んに議論が交わされた。放送局は前作と同様に日本テレビ系列を中心に、ネット配信にも力を入れている。
普通の女子中学生日暮かごめと、半妖の少年犬夜叉が、現代と戦国時代を行き来しながら繰り広げた大冒険から十数年。犬夜叉の兄殺生丸の娘であるとわは、双子の妹であるせつなと共に戦国時代の村で平穏に暮らしていた。しかしある時山火事から逃げ惑う内にせつなと離れ離れになり、自身は現代にタイムスリップしてしまう。
10年後。とわは現代で普通の少女として成長し、中学生になっていた。そんな彼女の前に、ある日せつなが現れる。かつてのとわ同様にタイムスリップしてきたせつなは、夢の胡蝶という妖怪によって眠りを奪われ、過去の記憶も失ってしまっていた。
妹の眠りと記憶を取り戻すため、とわは戦国時代で夢の胡蝶を探す旅を始める。かごめと犬夜叉の娘であるもろはもそこに加わり、3人は冒険を繰り広げる中で大妖怪麒麟丸との戦いへと導かれていくのだった。

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『半妖の夜叉姫 壱の章』のあらすじ・ストーリー

三姫の邂逅

中学2年生の日暮とわ(ひぐらし とわ)には、「幼い頃、どこかの森の中で妹のせつなと2人で暮らしていた」という記憶があった。その森が火災に見舞われた際、せつなと離れ離れになってしまい、不思議な通路を辿って気が付くと神社にいた。そこを日暮家の人々に保護され、その家に暖かく迎えられ、自身も彼らを掛け替えのない家族と認識するも、心のどこかで「自分はこの世界の人々とは何かが違う、ここでの生活が窮屈でならない」との想いを拭えずにいた。
聖ガブリエル学園への転校初日、いきなり不良とケンカ騒ぎを起こしたとわは、担任の希林理(きりん おさむ)に呼び出される。注意されて解放されたその夜、とわはかつて自分が通ってきた不思議な通路が再び開き、そこから2人の少女が飛び出してくるのを目撃する。その内の1人は生き別れた妹のせつなで、もう1人は妖怪限定の賞金稼ぎをしているもろはという少女だった。

実はあの不思議な通路は戦国時代へと通じる時空の扉であり、とわはもともとその時代の生まれで、彼女の父親は殺生丸という戦国屈指の強大な力を持つ妖怪なのだった。とわやせつなのような人と妖怪の間に生まれた存在を半妖といい、もろははその半妖と人間との間に生まれた四半妖で、さらにはとわたち姉妹とは親戚関係にあるという。せつなともろはは妖怪を追って時空の扉に飛び込み、そのまま現代にやってきてしまったらしい。
妹との再会を喜ぶとわだったが、せつなは「お前のことなど知らない」と言い張る。せつなは「夢の胡蝶」と呼ばれる精霊に取り憑かれており、過去の記憶の大半と眠りを奪われた状態にあった。これを知ったとわは、せつなに思い出してもらうため、妹に眠りを取り戻すため、自分たち姉妹がなぜ生き別れることになったのかを突き止めるため、戦国時代で夢の胡蝶を探すことを決意する。

いざ戦国時代へ

日暮家の人々に別れを告げて、せつなやもろはと共に戦国時代に向かうとわ。時空の扉を通って移動する中、彼女たちは時代樹の精霊という存在に出会い、「麒麟丸(きりんまる)を倒してほしい」と依頼される。麒麟丸は戦国時代にその名を轟かす大妖怪で、“末法末世をもたらして世界を滅ぼす”と予言された存在であるという。とわたちの父である殺生丸は、麒麟丸に匹敵する力の持ち主ではあったが、彼には麒麟丸を倒すことはできないらしく、「時を超える半妖」だけがそれを成すと言われている。とわたちこそが麒麟丸を倒す存在だと目した時代樹の精霊からの依頼を、それがどれほど困難なことかも知らないまま安請け合いすると、とわたちはいよいよ戦国時代へと降り立つ。

せつなが所属する妖怪退治屋の琥珀(こはく)や翡翠(ひすい)。
もろはが討ち取った妖怪の首を持ち込む屍屋の主人・屍屋獣兵衛(しかばねや じゅうべえ)と、その小間使いである妖怪子ダヌキの竹千代(たけちよ)。
関東管領である扇谷柊弾正(おうぎたにひいらぎだんじょう)と、その娘の愛矢(あいや)姫。
様々な人々と出会い、交流を重ねながら、とわはせつなやもろはと共に夢の胡蝶について情報を集めていく。
そんな中、彼女たちはそれぞれが持っていた虹色真珠という不思議な宝玉の力をたびたび借りることとなる。虹色真珠はとある強大な妖怪の力の欠片であるらしく、それを巡って様々な戦いが繰り広げられる。

理玖と四凶と麒麟丸

夢の胡蝶と虹色真珠を巡る冒険の中、とわたちは「四凶(しきょう)」と呼ばれる4体の強力な妖怪と出会い、幾度も交戦する。四凶は麒麟丸直属の妖怪で、「時を超える半妖」が現れたという話を聞いて、麒麟丸の姉である是露(ぜろ)にとわたちを討伐するよう命じられていたのだった。
この頃、とわは理玖という名の不思議な少年と出会う。理玖は麒麟丸や四凶とは知り合いらしく、なんらかの意図を持ってとわの周囲で暗躍するも、そのとわに対しては紳士的な態度を崩さない。その正体も思惑も分からぬまま、とわは理玖に信頼を寄せていく。

一方、その麒麟丸は、“自分を倒す”と予言されたとわたちに興味を抱いていた。四凶が彼女たちに返り討ちにされたことを知り、麒麟丸は直接その力を測ろうと接触する。その圧倒的な強さの前に窮地に陥るとわたちだったが、そこに殺生丸が現れる。
激突する戦国屈指の大妖怪は、しかし決着をつけることなくそれぞれに引き上げていく。生まれて初めて見た父の姿とその強さにとわたちが圧倒される一方、理玖は四凶が個々に所持していた虹色真珠を密かに回収していく。

虹色真珠の秘密

とわたちの祖父である大妖怪・犬の大将が死んだのは、今から二百年ほど前のことである。麒麟丸と犬の大将は良き好敵手の間柄で、是露にとっては密かに想いを寄せる相手でもあった。“犬の大将の命が危うい”という予言を受けていた是露は、「犬の大将ほどの大妖怪が死ぬはずがない、私や麒麟丸が助けようとすること自体彼の誇りを穢してしまう」との考えから、結果として愛する相手を見殺しにしてしまう。嘆き悲しんだ是露は、「こんなにつらいのなら涙などいらない」と言って自身の感情ごと己の妖力の一部を切り離した。これが虹色真珠である。
犬の大将の長男である殺生丸は、腹違いの弟である犬夜叉(いぬやしゃ)や彼の仲間たちと衝突しながら繰り広げた冒険の末、りんという人間の少女を妻としていた。しかしりんが双子の姉妹を産むなり何も言わずにそれをどこかに運び、りん自身も時代樹の中に封じてしまう。さらには弟夫婦を冥道に通じる黒真珠の中に閉じ込め、成長したとわたちにもほとんど手助けしない一方、そのとわたちが危ういと見ると割って入るなど、不可思議な行動を繰り返していた。親族としての直感から、とわたちは殺生丸のことを「油断ならない存在だが、恐らく完全な敵ではない」と判断する。

同時に、謎めいた理玖の立場とその目的も明らかとなる。理玖はかつて麒麟丸たちと行動を共にしており、特に配下としてかわいがってくれた是露には大きな恩義を感じていた。その是露の力の欠片である虹色真珠を集め、これを彼女に返して喜んでもらおうと考え、理玖は今の所有者であるとわたちや四凶の周囲で動き回っていたのである。
しかし自分を信頼し、無垢な心で接するとわのことを理玖もまた気にかけていくようになり、彼女への想いと是露への恩の間で苦悩していく。

挑み破れた果てに

四凶が全滅したことを知った是露は、弟を守るため、とわたちを抹殺せんと自ら動き出す。是露の策に翻弄されるも、とわたちは力を合わせてこれを打ち破り、彼女を打ち破る。この時、時代樹の中に封じられているりんの身にも異変が生じる。りんと是露は“縁”という力で運命が同調しており、一方が死ぬともう一方も死んでしまう状態にあった。
これを見た殺生丸は、倒れた是露の前に現れ、死せる者を一度だけ蘇らせる力を持つ天生牙で彼女を助ける。しかしもはや自分の命になど未練のなかった是露は、生き返らせてもらったことを喜ぶどころか憤慨。撤退していく是露を理玖が追い、殺生丸もそれを追う中、とわたちの前には是露を止めるためにやってきた麒麟丸が現れる。

時代樹の精霊から頼まれた依頼を果たすチャンスだと、今度こそ雌雄を決さんとするとわたち。理玖や殺生丸とのやり取りの中で負傷していた麒麟丸だったが、その力はなおとわたちを上回り、せつなが命を落としてしまう。妹を、仲間を失った悲しみに、とわともろはは潜在能力を開放して麒麟丸に挑み、しかし力及ばず敗れてしまう。
久々に骨のある相手と戦えたと満足して引き上げる麒麟丸。せつなを死なせてしまい、その仇を討つこともできず、慟哭するとわの前に、殺生丸が戻ってくる。せつなが死んでいることを見て取ると、殺生丸はとわに「使ってみるか」と言いながら、戦いの中で折れてしまった天生牙を差し出すのだった。

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『半妖の夜叉姫 壱の章』の登場人物・キャラクター

主要人物

日暮 とわ(ひぐらし とわ)

CV:松本沙羅
本作主人公の一人。犬夜叉の腹違いの兄である大妖怪殺生丸の娘。14歳。男装をしているが、これは「この方が戦いやすいから」との理由からで、れっきとした女性である。
気風の良い性格で勇猛果敢。意志が強く行動力もあるが、出生も含めて自身が他の人間とは違うという想いがあったためか、現代ではやや孤立気味の学生生活を送っていた。一方で身内への情は深く、義妹である芽衣には甘い。せつなやもろはとは強い信頼関係にある。
戦国時代の生まれだったが、10年前に山火事に巻き込まれ、双子の妹であるせつなと生き別れになる。その際にかつてのかごめのように自身はタイムスリップしてしまい、現代に取り残される。帰る方法も分からず、かごめの弟である草太に引き取られ、普通の少女として育つ。父の血か優れた身体能力の持ち主で、特技は武道で同年代ではほとんど無敵。その強さから反感を買ってしまい、不良に目を付けられてはケンカに明け暮れ、転校を繰り返している。

10年ぶりに妹のせつなと再会するが、せつなが夢の胡蝶という妖怪によって眠りを奪われ、過去の記憶も失っていると知って愕然。彼女の夢を取り戻すため、自分のことを思い出してもらうため、戦国時代で夢の胡蝶を探す旅を始める。国宝級の名刀菊十文字を得物とするが物語序盤であっさりと折れてしまい、代わりに自らの妖気を刃の形に生成する技を会得。そこから放つ龍の形をした衝撃波を切り札としている。理玖曰く、これは未完成ながらとわの父である殺生丸の必殺技“蒼龍波”と同じものであるらしい。左目の中に赤ん坊の頃に殺生丸から送られた銀色の虹色真珠を宿すも、21話で恩人のために集めていると聞いて理玖にこれを渡してしまう。その際、彼に「愛とかよく分からないけど、私は理玖が好き」と伝える。自分で言葉にして以降、何かと理玖を意識する場面が見られるようになった。

平和な現代で暮らしていたため、戦国時代で生き抜くには思想や言動など甘い点が多いものの、屍屋獣兵衛からは「せつなやもろはより頼りになる」との評価を受けている。実際、妖気の扱いやそれを応用する能力では三人の中で頭一つ以上抜けており、戦闘のたびに新たな技を編み出しては強敵を倒していっている。

せつな

CV:小松未可子
本作主人公の一人。犬夜叉の腹違いの兄である大妖怪殺生丸の娘。とわの双子の妹。14歳。
10年前に山火事に巻き込まれ、自身は逃げ延びるものの姉であるとわと生き別れる。その後かごめの仲間でもあった退治屋の琥珀の下で修行を積み、妖怪退治を生業とするようになった。

父に似たのか、妖怪退治という危険な仕事をしているためか、冷静沈着な少女。やや自信過剰ながら常に冷徹に戦況を見定め、仲間をフォローするような動きが目立つ。一方でそれが行き過ぎてか普段から感情の起伏に乏しく、やや不愛想な印象を与えやすい。
現代に向かった際、萌からバイオリンの手解きを受ける。萌によれば「五百年に一人の天才」とのことだが、本人は「教え方がいいのだろう」と謙遜していた。バイオリン自体は気に入ったらしく、萌から譲られたものを戦国時代に持ち帰っている。
夢の胡蝶という妖怪によって眠りを奪われており、その副作用として過去の記憶も失っている。眠れないことによる影響は特に無いらしく、睡眠という大きな隙を作らずにすむことから本人は「便利だ」程度にしか思っていない。

再び時空を渡ることができるようになった際、現代に赴いてとわと再会を果たす。しかし前述の理由からとわが姉だとは気づかず、彼女にそう説明されても信じられずにいる。平和な現代で育ったとわの甘さに良い顔はしていないものの、「そんな覚悟ではいつか死ぬこになる」との助言を繰り返したり、時には身を挺して庇うなど、彼女自身に対してはそれなりに情を抱きつつある。
兼光の巴と呼ばれる薙刀を得物とし、無数の風刃を放つ「群れ発ちのツバメ」や竜巻を発生させる「旋風陣」など様々な技を使いこなす。右目の中に、赤ん坊の頃に殺生丸から送られた金色の虹色真珠を宿す。

麒麟丸との戦いで致命傷を受け、命を落とす。その際、共に冒険を続けてきたとわに「ごめんね、お姉ちゃん」と言葉を残した。

もろは

shuichi
shuichi
@shuichi

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