関谷輪一郎(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
関谷輪一郎(せきや わいちろう)とは、『週刊ヤングジャンプ』で連載の野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の作品に登場する人物。24人の刺青囚人のうちの1人である。際立った戦闘力は無いが狡猾さと独自の信仰心を持ち、他人の命を「試練」と称し運任せで毒殺する異様な殺人を繰り返し投獄される。脱獄後は北海道の阿寒湖のほとりで刺青人皮を巡り土方一派を狙う。一時は土方と牛山を持ち前の狡猾さで戦うことなく倒して生き埋めにした。しかし仲間の門倉とキラウシの活躍で復活した土方に逆襲され力尽きる。
戦闘力皆無である門倉の必殺武器である。強靭な肉体でも強力な武器でも無い知識が武器のため、予想が出来ず目に見えない恐ろしさがある。ストリキニーネ、青酸カリ、ヒ素、テトロドトキシン、トリカブトといった天然の毒から薬品の毒まで様々な種類の毒を知り尽くしている。
囚人時代は野草のトリカブトから毒を作り出し、同房の囚人を殺してしまった。監獄の中であろうと場所を選ばず、人を簡単に殺してしまう事が出来る。また、どれだけ武芸に秀でていたとしても「毒を飲む」という条件を達成してしまえば、生け捕りにするのも殺してしまうのも自由自在だ。相手を生け捕りにしたい時は相手を麻痺させて意識を奪う毒を使用し、相手を殺したい場合は致死量の毒を用いる。
毒の性質を知り尽くしているため、それを応用して交渉のカードに使用する。例えば牛山の場合、少量のフグ毒で体の自由を奪い、チョウセンアサガオで意識を奪ってから棺に入れて生き埋めにした。今は生きているが早く助け出さなければ人質は死ぬ、という状況を作り出す事でタイムリミットを設定し、相手を焦らせる。同時に単独犯である関谷が人質を見張る必要を無くし、毒の調整によって人質は時間が来れば自然と息絶えるので、一人で行動しやすくなるというメリットもある。
ゲロリ
下駄にアイススケートのブレードを付けた昔のスケートシューズ。明治時代後半に北海道で爆発的に広がった。劇中では関谷の他に阿寒湖周辺に住む子供のチヨタロウや牛山もゲロリを使っていた。
関谷は冬の凍った阿寒湖の中心で門倉との人質の土方を巡る駆け引きの際に使用した。その時、関谷は門倉にゲロリを履いている事を悟らせないために丈の長いコートで足元を隠していた。駆け引きが失敗に終わるとコートを脱ぎ捨て、ゲロリを露わにすると一気に氷上を滑走。関谷は氷上を素早く滑走出来るための逃走手段としてゲロリを活用した。
シャベル
関谷が人質を棺に入れて生き埋めにしたり、人質を掘り返して移動させる際にも使用した。武器としてではなく、あくまでも穴を掘ったり埋める時に活用している。
蚕の知識
阿寒湖編の終盤、門倉との「毒のロシアンルーレット勝負」の時に披露した。土方や牛山を生き埋めにしていた場所が無人の「蚕種製造所」のため、蚕の繭を活用する事が多い。毒の丸薬を繭に穴を開けて丸薬をその中に仕込み、カプセルのように繭を使用していた。
「蚕種製造所」が養蚕農家ではなく、蚕の品種改良や卵を作って農家に販売する施設であるという知識を披露。蚕種製造所の養蚕過程まで詳しく知っていた。また、蚕産業の時期や雌雄鑑別機という繭の重さで雌雄を判別する手回し機械を使用した際、「繭に穴を開けてサナギの状態で雌雄を判別した方が効率が良かったのかこの機械はあまり普及しなかったらしい」とマイナーな蚕産業機械の歴史について語っていた。養蚕の知識を直接使った犯行という事は無かったが、蚕種製造所を拠点にしたり、蚕繭や蚕産業機械を犯行に活用したりと間接的な舞台装置として活用していた。
関谷輪一郎の来歴・活躍
娘と神を信仰する
関谷にはかつて幼い娘がいた。その娘と日曜日に教会に通い、神を熱心に信仰していた。
娘の理不尽な死から殺人鬼になる
娘との教会からの帰り道、突如落雷による爆発に巻き込まれる。関谷は意識を失い、気が付くと娘は頭と足の先が弾けていた。変わり果てた小さな娘を抱きかかえ、何故幼い娘が死んで自分が生き残ったのか悩みながら、呆然と曇天を見上げるしかなかった。
その後も理不尽に死んでしまった娘の事を思い悩み、やがて「神は存在するのか?」という疑問を抱くようになる。この世の全ての事象は神の意志によるものであるという前提条件が神を信仰する関谷にはあり、この事故は「神が自分ではなく娘を殺してしまった」という結論に達してしまう。ただこの神に対する考えはあまりにも残酷で理不尽であり、受け入れがたいものであった。悩み抜いた末に関谷は「俺のような人間を生き残らせるということは神など存在しないのではないか?」という神の存在に疑問を抱く。そしてその疑問を確かめるべく関谷は「試練」と称した運試しで人を殺すようになる。「何か強い意志を持つ人間」の運命に強い興味を示し、「試練」と称して毒を盛った。元々は子煩悩で人の好さそうな関谷が人を殺し、金銭を奪う犯罪者になったのは「俺のような人間」というセリフから分かるように自分を価値の低い人間にするためだ。自分という「価値の低い人間」と「何か強い意志を持つ人間」の運命を天秤にかけて、神がどちらを選ぶのかはっきりさせる為に関谷は「試練」を繰り返すようになり、30人以上を殺害する狡猾な殺人鬼に変貌していった。
家畜獣医師として活動後、網走監獄に投獄される
北海道で家畜獣医師として働きながら「試練」と称した殺人を繰り返した関谷は遂に捕まり網走監獄に投獄される。監獄内でもその犯行は続けられる。外役の時に密かに持ち帰ったトリカブトから毒を作成し、食事の味噌汁に仕込んだ。相部屋の房内でも「試練」を実行し囚人の一人を毒殺した。以来、関谷が外役から戻った時は徹底的なボディーチェックが行われ、尻の穴まで検査されるようになった。その後はのっぺらぼうによってアイヌの金塊を記した刺青を彫られ、24人の刺青囚人の1人として脱獄する。
牛山を拉致する
脱獄後、阿寒湖周辺にて活動する。金塊を求めて自分の体に彫られている刺青を探す土方一派に強い興味を示し、「試練」のターゲットにする。手始めに牛山の相手をする女郎に金を握らせ、少量のフグ毒を女郎の手から「精力剤」と偽って牛山に飲ませる。体が麻痺した牛山に更に、チョウセンアサガオから作った毒を飲ませて意識混濁状態にしてしまう。意識不明の牛山の身柄を棺に入れ、蚕種製造所の一角に穴を掘って生き埋めにする。
土方を拉致する
牛山を人質に土方を阿寒湖の畔に呼び出す。そこで土方に「試練」を与えて毒を飲ませる。この時の毒は致死量を超えていたが、土方は何故か死なず、意識不明の状態になる。予想とは違い驚く関谷だったが、土方の身柄を牛山同様生き埋めにしておく。身柄を確保する事で、土方の仲間との交渉のカードに利用できる状態を作り出した。
門倉とキラウシを狙う
行方不明の土方を探して、凍った阿寒湖上で聞き込みをしている門倉とキラウシを狙う。この時は釣り人に変装し、複数匹のチカ(ワカサギ)を「ヒメマスを狙ってたんだけどワカサギしか釣れなくてよ」とキラウシに渡す。この中の一匹だけ致死量を超える毒物テトロドトキシンを口の中に仕込み、「試練」を与えて毒殺を画策。ところがキラウシからチカを受け取った門倉が滑って転んでしまい、放り出されたチカが全匹滑って3つの氷の穴に落ちてしまう、という信じられない凶運を発揮したため門倉とキラウシは生き残る。
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目次 - Contents
- 関谷輪一郎のプロフィール・人物像
- 狡猾な殺人犯として登場
- 実力が格上の人間を自分の得意分野で戦わせる知恵者
- 独自の信仰心からくる凶行
- 殺人鬼の顔の裏に隠された本当の関谷輪一郎
- 関谷輪一郎の装備・能力
- 逃走用の馬
- 高い観察力と用意周到性
- 毒の知識
- ゲロリ
- シャベル
- 蚕の知識
- 関谷輪一郎の来歴・活躍
- 娘と神を信仰する
- 娘の理不尽な死から殺人鬼になる
- 家畜獣医師として活動後、網走監獄に投獄される
- 牛山を拉致する
- 土方を拉致する
- 門倉とキラウシを狙う
- 牛山に逃げられる
- 門倉に脅迫文を送付し取引を持ち掛ける
- 阿寒湖の中心で門倉と駆け引きをするも失敗に終わる
- 逃走中に意識の回復した牛山に遭遇
- 追ってきた門倉と命を懸けた毒のロシアンルーレットで勝負
- 奇跡の復活を遂げた土方に逆襲され死亡
- 関谷輪一郎の関連人物・キャラクター
- 牛山 辰馬(うしやま たつま)
- 土方 歳三(ひじかた としぞう)
- 門倉 利運(かどくら としゆき)
- キラウシ
- 永倉 新八(ながくら しんぱち)
- チヨタロウ
- 関谷の娘
- 若山 輝一郎(わかやま きいちろう)
- 関谷輪一郎の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「俺は運を見るのが好きなんだ」
- 「神様って本当にいるのかね?」
- 「運とは神の意志なのか…」
- 「神はようやく俺に裁きを与えやがった」
- 関谷輪一郎の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 関谷輪一郎の殺人手法と人物像によく似た3つの現実の事件
- 1.イギリスの殺人鬼グレアム・ヤング
- 2.埼玉県愛犬家連続殺人事件
- 3.トリカブト保険金殺人事件