草摩依鈴(フルーツバスケット)の徹底解説・考察まとめ
草摩依鈴(そうま いすず)とは、高屋奈月の漫画『フルーツバスケット』に登場する、午(馬)の物の怪に取り憑かれた人物である。他者に手厳しい態度を取るが、その実は恋人の草摩潑春を呪いから解放し、主人公本田透を傷つけまいとする優しい性格。1人ですべてをしょい込む傾向にある。その一方、軽率で詰めの甘い一面もある。当初はロングヘアだったが、十二支の神に当たる草摩慊人に髪を切られてからはショートヘアになった。
慊人の箱
本家の近くに来た依鈴は、慊人の母である草摩楝(そうま れん)と会った。楝に呪いの解き方を知らないかと尋ねると、意味深に微笑んだ。依鈴は、楝から交換条件を突き付けられる。慊人の部屋にしまわれている箱を取ってきてほしいというのだ。依鈴はこれで呪いの解き方を教えてもらえると思い、箱を取りに行く。しかし、慊人に見つかってしまった。
その箱は慊人が大切にしているものだった。依鈴は猫憑きを監禁するための蔵に閉じ込められ、髪を切られる。潑春に危害を加えられるよりはと依鈴は監禁される道を選び、その後運ばれる食事に手を付けることはなかった。衰弱した依鈴は、数日後に酉(鳥)憑きの草摩紅野(そうま くれの)に助け出され病院に搬送される。
慊人に捕らえられ監禁された時のことを夢に見た依鈴は、胸中で潑春に詫びながら病院を抜け出す。自分は何一つまともにできない。「お前、いらない」との慊人の言葉を反芻し、自分は本当にいらない存在だと感じる。
夢うつつの中、依鈴の前に潑春が現れた。潑春の幸せを探し出せなかったと詫びる依鈴に、彼は「ってことは、リンの旅はこれで終わりだね。じゃあ、おかえり」と優しく声を掛けた。帰って来てくれないと寂しいとも潑春は言う。潑春の下に帰れた、いい夢が見られたと言う依鈴だがそれは夢ではなかった。
病院から抜け出したという依鈴を、潑春が探し当てたのだ。潑春に担ぎ上げられた依鈴は自分で歩けると言うが、彼はかつて彼女を助けた時よりは成長し、「リンを背負って歩けるくらいにはなった」と語る。潑春は依鈴を諦めないこと、彼女が疲れたら担ぐこと、それが重荷ではないことを告げた。その言葉に、依鈴はようやく素直になり、「ただいま」と言った。
紫呉が語ったこと
慊人に切られた髪を短く切りそろえた依鈴は、透と再会する。透に対し、「髪は鬱陶しいから切った」とだけ言った。その後、依鈴は夾の養父である草摩藉真(そうま かずま)の家に住むことになる。
しばらくした頃、紫呉が依鈴の前に現れた。紫呉は、慊人の親子喧嘩に巻き込まれた依鈴に皮肉を言う。次いで紫呉は、呪いは放っておいてもいずれ解けると言った。
十二支は、神と「何度生まれ変わっても宴を開こう」との約束を交わした。はっきりとした記憶はないが、物の怪憑きたちはそのような認識を抱いていた。紫呉はその約束を遠い昔のものであり、もう壊れかけていると口にする。それを聞いた依鈴は、いずれであっても潑春が解放されるならいいと結論付ける。
それに異を唱えたのが、依鈴を訪ねに来た透だった。透は卒業までに呪いが解けなくてはならないと言う。呪われたまま卒業すれば、夾が幽閉されてしまうからであった。透が夾に恋愛感情を抱いていることを知った依鈴は、「よりによって夾?」と驚く。猫憑きは、十二支にとって「あれよりはマシ」と思える精神的な生け贄のような存在だったのだ。
依鈴は、透に「猫憑きの夾に同情しているのか」と尋ねる。透は、十二支の皆を呪いから解放したいというより、夾が一番大切だから呪いを解きたいのだと絞り出すように答えた。そこに、楽羅が現れ、透を叩いた。夾への気持ちは、本人にちゃんと言えというのが楽羅の気持ちだった。
楽羅は幼い頃から「夾の妻になる」と公言していた。しかし、それは彼女が幼いころ夾を見下していたことへの罪悪感から来る辻褄合わせのものでしかなかった。それに対し、透は本気で夾に惹かれている。初めこそ辻褄合わせだったが、楽羅もまた夾に対する本気の恋愛感情を抱いていた。その気持ちに区切りをつけた楽羅は、透の気持ちは同情ではないと依鈴に言う。
解放の日
そんな中、透が崖下に転落したとの知らせが入る。依鈴も含め、透と関りのある物の怪憑きたちは心配するが幸い命に別状はなく、後遺症が残ることもなく数日で退院できた。
透が退院したその日。突如として、物の怪が去って行くのが感覚で分かった。紫呉の言った呪いからの解放の時が訪れたのだ。潑春もそれは同じで、「これはこれで、結構寂しいもんだね」と言った。後日、十二支だった者たちが本家に集められる。
慊人は振り袖姿で現れた。依鈴も含め、慊人より年少の物の怪憑きたちは、初めて慊人が女性だと知る。慊人からは、かつてのような圧はなかった。それは呪いが消えた為だけではないようだった。もう神ではないが、当主として皆を守ると慊人は誓う。
物の怪憑き出会であった者たちはその言葉を受け入れたが、依鈴は慊人を許すことができなかった。透は、そんな依鈴の気持ちに寄り添う。
高校を卒業した透は、夾と共に藉真の知人が経営する道場がある土地へと引っ越すことになった。依鈴は潑春と、かつて十二支だった者たちと共に透を見送った。
草摩依鈴の関連人物・キャラクター
依鈴の両親
CV:加藤将之(父)、緒乃冬華(母)
回想シーンにのみ登場。当初は娘をかわいがり、幸福な家族を演じていた。それでも実際は動物に変身する呪われた我が子を愛することができず、「本当にパパとママは幸せなの?」という依鈴の言葉で感情が爆発。以降、娘を虐待するようになった。
依鈴が路上で体調を崩し、入院した時「もうどうやって愛したらいいか分からないから、帰ってこなくていい」と告げ、その後娘を迎えに来ることはなかった。依鈴はそれでも両親を愛し、娘を置いて病室から帰ろうとする2人に謝り続けた。
草摩潑春(そうま はつはる)
CV:陶山章央(旧アニメ版)、岡村明美(旧アニメ版幼少期)、古川慎(新アニメ版)、東内マリ子(新アニメ版幼少期)
丑(牛)の物の怪憑きで、依鈴より2歳年少。通称は「はーくん」、「春」で、依鈴とは「春」、「リン」と呼び合っている。変身後の姿はホルスタイン牛で、人間の時も白髪と黒という独特の髪色を持つ。通常はぼんやりしたつかみどころのない印象だが、キレると攻撃的になる。身内ではキレた状態を「ブラック春」、通常の状態を「ホワイト春」と呼ぶ。
小学生の頃、路上で倒れていた依鈴を発見。娘を見捨てる発言をした依鈴の両親に、彼女への謝罪を要求するなどして庇った。その後も度々依鈴の下を訪れ、彼女の心の支えとなる。いつしか互いに愛し合うようになるが、物の怪憑きの特性故に慊人以外の人物を愛することへの危機感もあった。それでも依鈴を独占したいとの感情が勝り、結果として彼女の転落事件を招いてしまう。
依鈴の怪我が慊人によるものだと知った時は、彼女を詰問。自分も依鈴のことを何も分かっていなかったと悟り、彼女の下へ向かう。依鈴を諦めるつもりはなく、彼女が1人で歩けなくなったら自分が担いでいくと、依鈴を守る決意を口にした。
草摩潑春(フルーツバスケット)の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]
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草摩潑春(そうま はつはる)とは、高屋奈月の漫画作品『フルーツバスケット』に登場する、十二支の丑(牛)の物の怪に取り憑かれた人物である。普段はつかみどころのない印象ながら優しく、他者を気遣うことが多い。しかし、キレると好戦的な「ブラック春」と呼ばれる状態になる。特徴的な白髪は地毛。幼い頃、自分のコンプレックスを拭ってくれた子(鼠)憑きの草摩由希を特別視し、彼を心配している。午(馬)の物の怪憑きである草摩依鈴とは相思相愛だが、互いを想い合うが故の障壁もある。
草摩燈路(そうま ひろ)
CV:渕崎ゆり子(旧アニメ版)、大地葉(新アニメ版)
未(羊)の物の怪憑きで、十二支では最年少。矢継ぎ早に嫌味を繰り出す毒舌家だが、子供ゆえに愛する杞紗を守れない自分へのいら立ちもある。物の怪憑きとしては珍しく、一般的な温かい家庭で育った。
依鈴が慊人に突き落とされたところを目撃しており、病院に見舞いに行くなどして彼女を気遣っていた。依鈴が呪いを解こうとしていることや慊人が彼女を突き落とした理由など諸々の事情を知っており、後に潑春に真相を伝えている。
尚、依鈴からは「お優しい家族に愛されていろ」と突き放すようなことを言われたが、これは自分に関わらず幸福に生きていればいいとの彼女の気遣いである。
草摩燈路(フルーツバスケット)の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]
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草摩燈路(そうま ひろ)とは、高屋奈月の漫画『フルーツバスケット』に登場する、未(羊)の物の怪に取り憑かれた人物である。物の怪憑きとしては最年少。次々と嫌味を繰り出す毒舌家で、年齢も相まって生意気な印象を与える。その一方、幼さ故の浅慮や無力さから、大好きな草摩杞紗を守れない自分へのいら立ちも感じている。杞紗と仲が良い主人公の本田透に嫉妬するが、透からの励ましもあり毒舌攻撃はしなくなる。失敗と成長を繰り返す中、妹の日向が誕生し、杞紗との仲も前以上に良くなっていった。
草摩紫呉(そうま しぐれ)
CV:置鮎龍太郎(旧アニメ版)、中村悠一(新アニメ版)、日野まり(新アニメ版幼少期)
戌(犬)の物の怪憑き。「ぐれさん」、「しーちゃん」などと呼ばれる。知的で爽やかな美男子だが、人をおちょくって楽しむことが多い。在宅で小説家の仕事をしており、度々若者に道を示すこともある。
呪いについて知っているかもしれないと考えた依鈴に接触されるが、何も知らないと答えた。その一方で、神と十二支の絆が壊れかけていることを実感。自分たちの代で物の怪憑きが解放されることを感づいており、後にそのことを依鈴に告げた。
草摩紫呉(フルーツバスケット)の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]
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草摩紫呉(そうま しぐれ)とは、高屋奈月による漫画作品『フルーツバスケット』に登場する、戌(犬)の物の怪に取り憑かれた人物である。一見すると爽やかな美形で性格も飄々としている。その一方で自身を「最低」と評するように、十二支の神である草摩慊人を自分のものにするという己の野望の為に他者を利用する。といっても完全な悪人ではなく、物の怪憑きを受け入れる本田透を巻き込むことへの罪悪感も口にした。職業は小説家で、時たま迷い、悩む若者たちに道を示すこともある。
草摩楽羅(そうま かぐら)
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目次 - Contents
- 草摩依鈴の概要
- 草摩依鈴のプロフィール・人物像
- 草摩依鈴の能力
- 午憑き
- イラスト
- 草摩依鈴の来歴・活躍
- 幸せな家族という芝居
- 草摩潑春との出会い
- 潑春との交際と破局
- 本田透との出会い
- 透と手を組む依鈴
- 慊人の箱
- 紫呉が語ったこと
- 解放の日
- 草摩依鈴の関連人物・キャラクター
- 依鈴の両親
- 草摩潑春(そうま はつはる)
- 草摩燈路(そうま ひろ)
- 草摩紫呉(そうま しぐれ)
- 草摩楽羅(そうま かぐら)
- 草摩慊人(そうま あきと)
- 草摩楝(そうま れん)
- 本田透(ほんだ とおる)
- 草摩依鈴の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「誰が諦めるもんか」
- 潑春と再会した依鈴
- 「あいつ許せない」
- 草摩依鈴の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 名前の由来は6月の異名「彌涼暮月」から
- 当初はショートヘアの予定だった
- 続編に登場する潑春と依鈴の子供たち