ナミヤ雑貨店の奇蹟（小説・映画）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

川辺みどり（かわべみどり／演：菜葉菜）

川辺映子の母親。ナミヤ雑貨店の相談窓口へ「グリーンリバー」として手紙を出す。ある男性の子を身ごもったが、産むかどうか迷っていた。お腹の子は、産まれてきても幸せになれないかもしれないと思ったからである。大きな選択に迷う自分に決心をつけるため、相談の手紙を書いたのだった。そして「子供を幸せにするためならどんなことにも耐えるという覚悟がないなら、その子供は産むべきではない」と書かれた手紙の返事を受け取った。事故で亡くなる直前まで、ナミヤ雑貨店からのこの手紙を肌身離さず持っていたことを、のちにセリが娘の映子に伝えている。

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の用語

ナミヤ雑貨店

店主は浪矢雄治。この店は、雄治が手紙のやり取りでさまざまな人の悩み相談に乗る「悩み相談窓口」として有名になった。雄治が亡くなってからは誰も住んでおらず、雑貨店は空き家になっていた。雄治が亡くなる直前に書いた遺言どおりに相談窓口が復活したことで、物語が動き出す。雄治の33回忌である12月20日を前に、偶然ナミヤ雑貨店に侵入した敦也たちとの手紙のやり取りで、過去と未来がつながる奇蹟が起こる。

丸光園

児童養護施設。敦也たちが育った場所。彼らが幼いときに丸光園が全焼する火事があり、救助に入った克郎が亡くなっている。この丸光園を通したつながりが、物語の軸になっている。

REBORN

ミュージシャンとして売れることを夢見ていた克郎。だが、若くして丸光園の火事で亡くなってしまう。この日のクリスマスパーティーの際に披露した克郎のオリジナル曲が「REBORN」である。披露した際には歌詞はなかったが、のちにミュージシャンとなったセリが詞をつけて発表している。作中では、セリがこの曲をライブで歌うシーンが描かれている。

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

浪矢雄治「あなたの未来はまだ白紙です。白紙だからどんな未来も描けます。すべてがあなた次第なのです」

過去と現在がつながっていることを確かめるため、白紙の紙を郵便口にいれた敦也。その手紙は32年前のナミヤ雑貨店へと届いていた。
雄治は、白紙で出された敦也の手紙に対し「あなたの心を表してるのかもしれません」と綴り「決して諦めないでください。あなたの未来はまだ白紙です。白紙だからどんな未来も描けます。すべてがあなた次第なのです」と続けた。人を信じられなくなり、生き方を模索している敦也に寄り添い、彼の背中を押す言葉となった。

矢口敦也「人を信じることを教えてくれてありがとうございます」

白紙で出した手紙に思わぬ返事をもらい、今の敦也の状況に寄り添うような言葉に涙が溢れる。この返事を読んで敦也は、雄治の命日を過ぎたためもう届かないと分かっていながら、思わず「人を信じることを教えてくれてありがとうございます」と感謝を伝える。人を信じることができなかった敦也が、真っ白な手紙に対する思わぬ返事に救われたことが伝わる印象深いセリフである。

松岡克郎が水原セリの弟を火事から救うシーン

松岡克郎がミュージシャン活動の一環として訪れた丸光園で火事が発生し、セリの弟が巻き込まれてしまう。とっさに克郎が助けに走りセリの弟を逃がすことが出来たものの、炎に行く手を阻まれて自分は命を落としてしまう。「自分の足跡を残せ」という父親との約束を死ぬ直前に思い出し、自分は足跡を残せたのだろうかと自問自答しながら死んでいった克郎。夢を追い続けようと決意した矢先に訪れた火事のシーンは、彼の始まりと終わりを凝縮した忘れられないシーンとなった。

ナミヤ雑貨店にたくさんの手紙が届くシーン

「店の郵便口からたくさんの手紙が次々と入ってきて、今まで悩み相談してくれたさまざま人から返事が届く」という光景をよく夢で見ていた雄治。自分の死を近くに感じた雄治は、店で最期の手紙の返事を書きたいと言って病院を出た。その日、いつも見ていた奇妙な夢が目の前で再現されるという光景を目の当たりにする。感動と驚きが隠せないでいる雄治の表情が心に残る、印象深いシーンだった。

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話