尾形百之助（ゴールデンカムイ）とは【徹底解説・考察まとめ】

尾形は警備隊との戦いの後、風邪をひいたため近くのウイルタ族の村へ行き寝込んでいた。寝ている間に夢で第七師団時代203高地でロシア軍を撃ち落とした後、腹違いの弟で旗手（成績優秀者の少尉）を務める腹違いの弟である勇作を呼び出したことを思い出していた。尾形は戦場で捕虜にしていたロシア兵の前に立ち、戦争でまだ人を殺していない勇作に他の旗手と同じように人を殺す姿が見てみたいと、殺すように指示したが「出来ませんッ」と言う。父親から「お前だけは殺すな」と言いつけられていたことを話す。勇作は続けて誰でも人を殺すことに罪悪感を感じるから、殺しはしないと話すと、尾形は殺した相手に対して殺したことの罪悪感などないと話した。すると勇作は尾形に抱きついて「兄様はけしてそんな人じゃない、きっと分かる日が来ます、人を殺して罪悪感を微塵も感じない人間がこの世にいて良いはずがないのです」と伝えていた。それからの記憶は、勇作を銃で殺したシーンが流れていたが目を覚まし、何も無かったかのようにロシアの亜港を目指して旅を続けた。

アシリパが何かを思い出したのを気づき、問い詰める

ロシアの流氷を歩いている最中に、尾形はアシリパの表情を見て何かを思い出した顔を見逃さなかった。尾形はアシリパの背後から「アシリパおまえ…さっきなにかとても重要なことを思い出したな？」と問い詰めた。だがアシリパは答えないので、顔を近づけて「俺に教えてくれないのか？ここまで命をはって戦った分の報酬が欲しいだけだ」ともっと問い詰めるも答えない。そして「アイヌのことはキロランケやソフィア（亜港監獄に収監されていた、ロシアの近代化を目指し打倒帝政を掲げる反体制組織の長。若い頃のウイルクを知る貴重な存在。）に任せたらいい、お前がそんな重荷を背負うことはない」と尾形は説得するも、アシリパからは「じゃあどうしてキロランケニシパから離れたところで聞き出そうとするんだと？」と聞き返され、尾形は何も答えられなかった。すると遠くから銃声が聞こえたため双眼鏡で銃を放った相手を探していると、杉元が見えて生きていたことに驚く。遠くからソフィアがアシリパを呼ぶと、アシリパは行こうとしたため尾形は急に「網走監獄で杉元とのっぺらぼうが撃たれたとき、キロランケがどこかに合図していた」と言い、アシリパの腕を掴んで歩き出した。アシリパからなぜ今まで話さなかったと聞かれると、尾形は「お前がさっき暗号を解く鍵を思い出したからだ、それにはキロランケの協力が必要だと考えたから俺は黙って様子を伺っていた…」と話す。尾形は焦ったように再び何を思い出したのか聞くが、アシリパは口を割らないため信用してもらおうと網走監獄で倒れた杉元から聞いたという嘘の話の内容を伝えた。その話を聞いたアシリパは嘘を見抜き、怒りから「お前はなにひとつ信用できないッ」と尾形に毒矢をつがえた弓を向ける。それに対し、罪の無い（＝どのような状況でも人を殺さない）人間などいないと信じる尾形は、喜悦さえ浮かべながら「俺を殺してみろ」と煽ってみせた。金塊を巡る戦いの中、アシリパだけが“人を殺さない”ままでいようとするのが、尾形には許せなかったのだ。尾形は冷静な顔をしてアシリパに「お前の父親を殺したのは俺だ」と打ち明けて再び煽るも、アシリパからは攻撃を受けることはなかった。そこに杉元の声で「尾形ぁ！！」と響き渡ると、アシリパは聞こえるはずのない杉元の声に驚いて、体の力が抜けたのか弓を構えていた指が解けて尾形の左目には矢が刺さっていた。これでお前も罪人だとばかり、狂気に満ちた笑みと共に崩れ落ち、駆けつけた杉元によって矢が取り除かれる。

ロシア人の医師に治療を受けるも、病院から抜け出す

尾形は杉元達に亜港近郊のニヴフ族の家に運ばれ、休息をとっていた。それからロシア人の医師のもとへ杉元に運ばれて行くと、医師からは自身のやっている大きな病院に連れていき、清潔な場所で機材が揃っている場所で手術しようと言われる。尾形は犬ぞりに乗せられ、病院に向かおうとすぐに手術になり、終わると医師からは「出来るだけのことはした」と杉元は報告を受けた。手術を受けた尾形は、報告から戻ってきた医師を瀕死の状態にし、手術室で看護師を人質にして院内に隠れていた。尾形の状態を確認しにきた杉元は、尾形が居なくなったと騒ぎ遠くに探しに行き、その間杉元と一緒に行動していた鯉登少尉が手術室を見回す。中に入ると尾形はロシア語で、意識が薄くなって倒れている医師に「この女を刺すぞ！その男を殴り倒せ！」と鯉登を殴るように指示し、背後から殴らせた。倒れた鯉登を尾形は上からにらんだ後、顔面をおもいっきり蹴り飛ばして外にいた馬に乗って病院を抜け出した。上手く抜け出した尾形は、不敵な笑みを浮かべながら走り去って消えていった。

北海道（折り返し編）

杉元達の跡を追う

樺太の大泊の旅館を回って杉元達の情報を探していると、泊まっていた旅館を見つけ出し、旅館の女将さんから「北海道の近くで船から流氷に降りて逃げちゃったんだって」と貴重な情報を得た。尾形は北海道へ戻った杉元達を追うために、負傷兵になりすまし無賃で船に乗ることが出来た。

土方の家に上がり込み、情報を流す

尾形は土方と再開し、網走監獄の出来事や刺青の暗号を解くためにアシリパの父を昔から知っているソフィアに会いにいくも、杉元に邪魔されたことを話した。そして土方にとっておきの樺太土産が2つあると話し、かつてウイルクの仲間でパルチザン（一般人によって組織された非正規軍）のソフィアという女性に会ったこととアシリパが暗号を解くカギを思い出したことが土産だと言った。それから尾形は土方一派の1人だった家永が第七師団に捕まったままでいるため、土方家の場所を特定され、鶴見中尉が追いかけてくると推測した。この推測に土方は納得した後、尾形は外に出てオオハクチョウを捕まえて家に戻り、アイヌ民族のキラウシが料理をしてみんなで美味しく食べて緊迫した時間を終えた。

尾形百之助の関連人物・キャラクター

杉元佐一（すぎもと さいち）

ゴールデンカムイの主人公で、日露戦争でどんな傷を負っても死ななかった活躍っぷりから、周りの兵士から「不死身の杉元」と称される。尾形とは旅をする仲間になったり、反対に敵対して命を狙われる関係になったりと尾形の気分や目的に左右されて付き合う関係性になっている。
戦場で死んだ幼馴染から“眼病を患う彼の妻の梅子をアメリカの医者に診せる”という遺言を託されており、そのための資金とするべくアイヌが隠した金塊を探している。
尾形と会ったときは、尾形が第七師団の兵士時代で小樽の雪山で杉元達が刺青囚人を捕まえていたのを発見し、明け渡すように注意したのが最初の出会いだった。この出会いで囚人を巡って争い、攻撃した時に尾形を崖から転落させて生死の境をさまよわせる。月日が過ぎて夕張に着くと鶴見中尉の部下を見かけ、追っていくと剥製家の家にたどり着くと刺青の人皮の偽物が作られていることに気がつく。その後部下が外に出て再び追っていくと炭鉱につくと炭鉱で尾形と再び出会うことになり、そこから一緒に人皮の偽物が流れる前に本物の人皮を探すための旅に出ることになる。しばらく旅を続けて、アイヌの金塊を隠した張本人であるのっぺらぼうが居る網走監獄に着くと本人と出会うことができた。だがそこで金塊の話を聞こうとした瞬間、遠くから撃ち構えてた尾形にのっぺらぼうも杉元も頭を撃ち抜き仲間であるはずの尾形に裏切られてしまった。その後杉元は、自分を殺そうとした尾形と一緒に行動をしているアシリパを追うため金塊の謎を解くために向かっているであろう樺太に向かうことになる。杉元はロシアの流氷原で出会い、アシリパの弓で負傷した尾形を助けるため病院に運ぶが、またしても裏切られて病院から逃げられる。杉元は金塊のありかを探りつつ、自分を殺そうとした尾形を探すのが旅をもっと楽しくさせているかのように、少し笑みを浮かべて「元気になって戻ってこい、ぶっ殺してやるから」と心で呟いた。

アシリパ

アシリパは小樽周辺に住むアイヌの少女で、アイヌの狩猟生活で培った生活術で、金塊を探す旅の中で生活を担う部分でとても貢献する。父はアイヌの金塊を奪い取ってどこかに隠してしまった。この件を知り、本当に自分の父が犯したことなのか確認するために杉元達と旅を始める。
尾形との間ではあまり目立った関係性は見つからないが、網走監獄の件を境にアシリパは尾形から金塊に関する情報をしつこく聞かれるようになる。尾形は情報を引き出すために嘘をついてアシリパの心を揺るがすように手口が巧妙になっていったが、嘘は簡単にバレてしまう始末になる。
杉元と小樽の山で、刺青囚人の刺青を模写している際の銃撃で出会うことになる。その後は夕張の炭鉱で爆発に巻き込まれた杉元や白石を探しに行くため炭鉱出口に行くと、そこには仲間の牛山を待つ尾形と偶然に会った。それから剥製家の江渡貝宅に行き、尾形の説明で偽の刺青人皮が作られて出回ってしまう可能性を指摘し、美術品の偽物を作る熊岸長庵を探して偽物を見分ける力を借りるためこれを機に尾形達も一緒に旅をするようになった。
網走近郊のアイヌのコタン（村）に着き、アシリパは鮭をチタタプ（細かくたたくこと）させていたが、アイヌではチタタプと言いながらたたくのだが尾形は言わずに調理していた。それを見たアシリパは尾形が無言で行っていたので注意していたが、従わなかった。その場から離れようとしたら、尾形が囁く声で「チタタプ」と囁き、それをアシリパは聞き逃さずに凄い勢いで振り向いて周りに確認するも誰も聞いていなかった。貴重な「チタタプ」を聞いていない杉元達にがっかりしていた。
網走監獄に着いて父であるのっぺらぼうに会うべく、監獄の屋根を歩いて近寄り、双眼鏡を覗くとそこにはのっぺらぼうがいた。だがどこからか銃声が聞こえ、のっぺらぼうと一緒にいた杉元は頭を撃たれてしまい近寄ろうとするもキロランケに引き離される。そのまま監獄の外に出て、近くに停めてあった船に乗るべく歩いていると尾形が合流し、アシリパは尾形から杉元達は死んだと伝えられるとアシリパは泣き叫びながら船に乗った。
樺太では尾形がウイルタ族のトナカイを殺してしまったために、謝罪として山トナカイの狩りを手伝うことになった。アシリパは尾形に狩りを誘われ、父のことを思い出せるかもしれないとキッカケにするため一緒に行くことにした。狩りに行くも特に目立ったことは思い出さなかったが、捕まえたトナカイの皮を剥いだり運びやすくする作業を手伝って、美味しく食べていた。
ロシアの国境を越える際に、警備隊から狙われたので尾形が応戦して勝つも酷い風邪をひいてしまったため近くのウイルタ族の村に行き、アシリパが看病すると回復した。
アシリパはロシアの流氷上で、昔父ウイルクと過ごした日々を回想していたら金塊に繋がるであろう記憶を思い出し、ハッとした顔を尾形は見逃さなかった。気になった尾形は、アシリパに何か大事なことを思い出したんじゃないかと詰め寄るがアシリパは何も答えなかった。答えない痺れを切らした尾形は網走監獄での出来事を話し、キロランケが何かを合図して誰かに狙撃をさせていたと嘘の話をして自分に信用があると思わせる。この嘘に合わせて撃たれた後に杉元が話した好きな食べ物をアシリパに伝えると、明らかな嘘だと気づいて騙そうとしている尾形に向かって矢を構えた。すると尾形の背後から杉元の声が聞こえてびっくりしたアシリパは、手元が緩んで尾形の右目に弓を刺して気が動転したが、その後は病院に尾形を連れて治療を受けさせた。

花沢幸次郎（はなざわ こうじろう）

尾形の父であり、第七師団の陸軍中将である。幸次郎と妾で芸者であった母との間にできたのが尾形で、本妻とできたのが勇作で後に尾形の上司になる存在である。本妻との間に子供が出来てから妾と会うことをやめたため、妾である尾形の母は精神的におかしくさせてしまった。そのため尾形からは幼い頃から恨みを抱かれ、第七師団に入った後に家まで押しかけられたあげく、恨みをこめてめった刺しにされてしまう。これは表向き自殺として処理されるも、自分の子供に殺されるという最後を迎えた。

花沢勇作（はなざわ ゆうさく）

第七師団を率いた陸軍中将の花沢幸次郎の息子で、尾形の異母弟である。尾形とは第七師団に所属していた時に会い、勇作は尾形より位が高いのに「兄様」と読んでいたため、尾形は内部規律がゆるむことを嫌がり呼び方何度も注意していた。だが勇作は一人っ子育ちでずっと兄弟が欲しかったからと尾形に笑顔でまとわり付いてくるのを見て、尾形は両親から愛された人間はこんなにも違うのかと心で納得していた。その後尾形は203高地で勇作の頭を撃ち抜き、父である幸次郎が息子の死を目の当たりにして妾の子である尾形を愛おしく思ったか反応を知りたいという理由で殺されてしまった。尾形曰く、勇作の過ごしてきた生活に妬んでいたわけではないとのこと。