ホビット 思いがけない冒険(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ホビット 思いがけない冒険』は、『ロード・オブ・ザ・リング』の60年前の前日譚となる『ホビット』三部作の1作目で、2012年に公開された。原作はJ・R・R・トールキンの小説『ホビットの冒険』。ニュージーランドの壮大な風景に加え、最新技術を活用した今までにない映像美、臨場感溢れるアクションシーンの連続で、観客を興奮の渦に巻き込む。ホビット族のビルボが困難を乗り越えながら仲間との友情を築いていく冒険物語で、『ロード・オブ・ザ・リング』につながるシーンも多く、シリーズの理解も深まる見逃せない作品。
エルフの国である裂け谷での白の会議の後、残ったガラドリエルになぜホビットを連れていくのか訊かれ、ガンダルフが答えたセリフ。「分かりません。サルマンは偉大な力だけが悪を封じられると考えているが、わしの考えは違う。大事なのは些細な事だと気づいた。普通の人々の日々の行いが闇を追い払うのです。思いやりや愛情が。なぜビルボ・バギンズか?多分、わしも怖いのです。彼は私に勇気を与えてくれる。」 力の強さや剣術で敵を倒すことはできるが、闇そのものを追い払うことができるのは人々の日々の行いや思いやりや愛情だと思っているガンダルフ。ビルボは日々の暮らしを大切にし、他人を思いやり、愛情を持つことができる。平穏な日々からかけ離れた闇と戦う旅の日々を過ごすガンダルフに、そんなビルボの存在は勇気を与えてくれるというビルボの存在の大きさを伝えた名セリフ。
いつもは皆を引き連れ指導者の立場であるガンダルフが、ガラドリエルの前では子供のように正直に怖いという気持ちを伝える珍しいシーンであり、そんなガンダルフに「恐れないで。私がいます。助けが必要な時は私が支えます。」と優しく包み込むように言うガラドリエルとの愛情溢れる名シーンでもある。
アゾグとの戦いで負傷して大鷲に運ばれ、意識を取り戻したトーリンがビルボに謝るシーン
アゾグとの戦いで負傷し、とどめを刺されそうになったトーリン。それを見たビルボが自分の命も顧みず、剣を持ち恐ろしいオークに立ち向かう。ドワーフたちもビルボに続き立ち向かうがワーグに追い込まれる。その時ガンダルフが呼んだ大鷲が飛来し、ワーグやオークを倒し、トーリン一行を助けて、安全な岩山まで運んでくれた。そこで意識を取り戻したトーリンがビルボに「何の真似だ。死にたいのか。足手まといと言ったぞ。身も守れぬ者は旅の仲間にはなれぬと。」とすごい剣幕で言う。トーリンが助かって良かったと安堵していたビルボは言葉を失い、周りの皆の顔もこわばった。しかし、トーリンは続けて「俺が間違っていた。許してくれ。」とビルボに謝り、抱き合う。「疑って悪かった。」と言うトーリンに、ビルボは「疑って当然だ。英雄でも戦士でもない、忍びでもない。」と笑顔で答える。誇り高く気高いトーリンが率直に自分の過ちを認め、ビルボに謝り、ビルボもその謝罪を受け入れ本当の仲間となる名シーン。
『ホビット 思いがけない冒険』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
当初、監督を務めるのは『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロだった。
映画化の企画当初、ピーター・ジャクソンは製作にまわり、後に『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞の作品賞、監督賞を受賞するギレルモ・デル・トロが監督する予定だった。ギレルモ・デル・トロは製作チームと共に約2年間作業に係わったが、スケジュール遅延が原因で、監督を辞退した。遅延の理由は、ピーター・ジャクソンと製作会社ニュー・ライン・シネマの利益についての訴訟問題や、『ホビットの冒険』の配給会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤーの財政危機問題、ニュージーランド映画界の俳優組合によるストライキ問題などであった。
ビルボ役は『ハリー・ポッターシリーズ』のダニエル・ラドクリフや『トランスフォーマーシリーズ』のシャイア・ラブーフになっていたかもしれない。
ピーター・ジャクソンは、ビルボ役は当初からマーティン・フリーマンしかいないと考えていたが、フリーマンはBBCドラマ『SHERLOCK』の2作目が決まっていたため、スケジュールの調整がつかずオファーを断った。ジャクソンは何百ものキャスティング・テープを見た。その中には『ハリー・ポッターシリーズ』のダニエル・ラドクリフや『トランスフォーマーシリーズ』のシャイア・ラブーフもいたが、フリーマン以外の適役は見つからず、フリーマンが『SHERLOCK』を撮影していた8週間、撮影を中止することにして、ビルボ役を再オファーしたのだった。
13人のドワーフのために、2,000枚ものコンセプトアートが描かれた
観客が13人のドワーフ一人一人を見分けることができるように、2,000枚ものコンセプトアートが描かれていた。服装や髪型、体型だけでも見分けがつくようにしたり、それぞれの個性をどう出すかを演じる俳優たちとも話し合って決めた。
ノーリ役のジェド・ブロフィーは、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作にもエキストラで登場していた。
ノーリ役のジェド・ブロフィーは、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作にもオークや村人などで何度もエキストラで登場していた。『ホビット』の三部作のドワーフ役でようやく顔がわかる役を射止めた。
『ホビット』三部作は、世界で初めて導入された最新の3D技術である「HFR 3D」で製作された。
『ホビット』三部作は、世界で初めて導入された最新の3D技術である「HFR 3D」で製作された。
「HFR 3D」とは従来の映画では、毎秒24コマでの撮影だったが、その倍の48コマで撮影するもの。この技術によって、アクションシーンなど動きが激しい場面が、より滑らかで鮮明な映像となった。
『ホビット』は当初二部作だった。
『ホビット』は当初、監督予定だったギレルモ・デル・トロが考えていた構想は二部作だった。デル・トロが監督を辞退し、ピーター・ジャクソンが続投してからも、その脚本に基づいて撮影された。しかし、撮影を行ったものの、『ホビットの冒険』の内容以外にトールキンが書いた作品『追補編』の内容を含めて、三部作とするために追加撮影を行った。
『ホビット 思いがけない冒険』の主題歌・挿入歌
主題歌:ニール・フィン『はなれ山の歌』
挿入歌:リチャード・アーミティッジ、ドワーフキャストたち『霧ふり山脈』
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目次 - Contents
- 『ホビット 思いがけない冒険』の概要
- 『ホビット 思いがけない冒険』のあらすじ・ストーリー
- 遠い昔の話
- ビルボの回想と冒険の始まり
- トーリンとアゾグの因縁とトロルに捕まった旅の一行
- 名剣ゴンドリンとビルボの困惑
- 裂け谷での日々と地図の解読、そして賢者たちの会議
- ゴブリンに捕まったドワーフたちと、ゴラムと出会ったビルボ
- アゾグの襲撃を受けた旅の一行だが、ビルボは勇敢な行動でトーリンに認められる
- 『ホビット 思いがけない冒険』の登場人物・キャラクター
- 冒険の仲間
- ビルボ・バギンズ(演:マーティン・フリーマン(青年期)、イアン・ホルム(老年期))
- ガンダルフ(演:イアン・マッケラン)
- トーリン・オーケンシールド(演:リチャード・アーミティッジ)
- バーリン(演:ケン・ストット)
- ドワーリン(演:グレアム・マクタヴィッシュ)
- フィーリ(演:ディーン・オゴーマン)
- キーリ(演:エイダン・ターナー)
- オイン(演:ジョン・カレン)
- グローイン(演:ピーター・ハンブルトン)
- ドーリ(演:マーク・ハドロウ)
- ノーリ(演:ジェド・ブロフィー)
- オーリ(演:アダム・ブラウン)
- ボンブール(演:スティーブン・ハンター)
- ボフール(演:ジェームズ・ネスビット)
- ビフール(演:ウィリアム・キルシャー)
- エルフ族
- エルロンド(演:ヒューゴ・ウィーヴィング)
- ガラドリエル(演:ケイト・ブランシェット)
- スランドゥイル(演:リー・ペイス)
- ドワーフ族
- スロール(演:ジェフリー・トーマス)
- スライン(演:マイク・ミズラヒ)
- 魔法使い
- サルマン(演:クリストファー・リー)
- ラダガスト(演:シルベスター・マッコイ)
- 闇の勢力
- 死人遣い(ネクロマンサー)
- アングマールの魔王
- アゾグ(演:マヌー・ベネット)
- その他
- ゴラム(演:アンディ・サーキス)
- ゴブリン王(演:バリー・ハンフリーズ)
- トム(演:ウィリアム・キルシャー)、ウィリアム(演:ピーター・ハンブルトン )、バート(演:マーク・ハドロウ)
- スマウグ
- フロド・バギンズ(演:イライジャ・ウッド)
- 『ホビット 思いがけない冒険』の用語
- 中つ国(なかつくに)
- 力の指輪
- 一つの指輪
- 三つの指輪
- 七つの指輪
- 九つの指輪
- はなれ山(エレボール)
- 種族
- ホビット族
- エルフ族
- ドワーフ族
- 魔法使い(イスタリ)
- 人間
- 大鷲
- オーク
- ナズグル
- トロル
- ゴブリン
- 『ホビット 思いがけない冒険』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ガンダルフ「世界は本や地図ではなく、外に広がっている。」
- ガンダルフ「真の勇気が試されるのは命を奪う時ではない。命を助ける時だ。」
- ガンダルフ「普通の人々の日々の行いが闇を追い払うのです。思いやりや愛情が。なぜビルボ・バギンズか?多分、わしも怖いのです。彼は私に勇気を与えてくれる。」
- アゾグとの戦いで負傷して大鷲に運ばれ、意識を取り戻したトーリンがビルボに謝るシーン
- 『ホビット 思いがけない冒険』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 当初、監督を務めるのは『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロだった。
- ビルボ役は『ハリー・ポッターシリーズ』のダニエル・ラドクリフや『トランスフォーマーシリーズ』のシャイア・ラブーフになっていたかもしれない。
- 13人のドワーフのために、2,000枚ものコンセプトアートが描かれた
- ノーリ役のジェド・ブロフィーは、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作にもエキストラで登場していた。
- 『ホビット』三部作は、世界で初めて導入された最新の3D技術である「HFR 3D」で製作された。
- 『ホビット』は当初二部作だった。
- 『ホビット 思いがけない冒険』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ニール・フィン『はなれ山の歌』
- 挿入歌:リチャード・アーミティッジ、ドワーフキャストたち『霧ふり山脈』