ムカデ人間(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ムカデ人間』とは2011年に公開されたオランダのホラー映画。過激で奇想天外、下劣な内容により日本ではDVDのみの予定だったがネットの口コミで話題となり、本国でも劇場公開できることになった。全部で3作あるうちの1作目である。シャム双生児の分離手術の名医であったヨーゼフ・ハイター博士はある密かな願望を抱いていた。今までやってきた分離手術とは反対に、人同士の口と肛門を繋げ「ムカデ人間」を作りたいということ。ある日タイヤがパンクし助けを求めてきた女性二人とその後捕らえた男性を使い「ムカデ人間」を作る。
『ムカデ人間』の概要
『ムカデ人間』とは2009年に製作され、日本では2011年に公開されたトム・シックス監督のホラー・スリラー映画。原題は『The Human Centipede(First Sequence)』。その英文字タイトルにもあるように本作は3部作のうちの1作目である。続く『ムカデ人間2』、『ムカデ人間3』はスートーリー的に直接繋がっておらず別の構成となっている。その設定があまりにも過激でインモラルな内容であるため問題作と呼ばれている『ムカデ人間』シリーズ。日本を含め全世界で上映禁止騒動が起きたが予想に反しヒットする。日本でのキャッチコピーは「つ・な・げ・て・み・た・い。」。
狂気に満ちた主人公・ハイター博士、彼の名前「ヨーゼフ・ハイター」はドイツに実在したマッドサイエンティスト(狂気の科学者)「ヨーゼフ・メンゲレ」に由来している。
これまでにシャム双生児の分離手術を行ってきた名医、ヨーゼフ・ハイター博士。彼には密かな願望があった。それは人間の口と肛門を繋ぎ合わせて「ムカデ人間」を作ること。「離す」手術をしていた彼は反対に人間を繋げて新たな生き物を創造したいと思っていた。ある日、車がパンクし立ち往生してしまったアメリカ人女性・リンジーとジェニー。二人は助けを求めに近くにあったハイター博士の自宅を訪れる。偶然迷い込んだ2人を使って「ムカデ人間」を作りたいハイター博士。すでに「ムカデ人間」を作るために男を捕らえていたハイター博士は、体格的に彼女たちに合わない彼を殺し、新たに日本人男性・カツローを捕える。これから何をされるのか説明される3名。逃げたくても逃げられない彼らはなすすべなくこのまま「ムカデ人間」にされてしまい、絶望的な恐怖に支配される。
『ムカデ人間』のあらすじ・ストーリー
プロローグ
元外科医のヨーゼフ・ハイター博士は、ハイウェイを逸れた道に車を停めていた。そして、彼の車の後ろにトラックがやって来た。ハイター博士は中から出てきた男を尾行し、手に持っている麻酔銃で男を撃ったのだ。
二人の若いアメリカ人女性は、地元のバーで開かれるパーティーに参加する為、ドイツへ旅行に来ていた。
パーティーに参加する為、レンタカーで山道を走っていたリンジーとジェニーであったが、タイヤがパンクしてしまい立ち往生してしまう。
二人はレンタカーの会社に電話をするが、圏外で通じなかった。
やがて1人の男がやって来る。助けを求める2人であったが、卑猥な事を言っている男が怖くなり、車の窓を締め男をやり過ごす。やがて男がいなくなり、身の危険を感じた2人は、車を降りて歩き始める。
森を彷徨う二人。険悪な雰囲気になりながらも、ついに一軒の家を発見する。しかし二人は、急な雨に襲われてしまう。そして急ぎ足で一軒家へと向かうのであった。
ハイター邸
大きな一軒家に辿り着いたリンジーとジェニーは、大声で助けを求める。出迎えたハイター博士は、快く家に招き入れた。
しかしハイター博士は、こっそり入れた錠剤入りの水を二人に渡す。それに気づかず二人は水を口にする。ところが、リンジーが手を滑らせて水をこぼしてしまう。するとハイター博士は声を荒げリンジーを罵倒する。その後、タオルを取りに行くと言い部屋を後にする。
意識が朦朧としてくるジェニー。二人が飲んだ水にはドラッグが入れられていたのだ。そして戻ってきたハイター博士は、その手に注射器を持っている。まだ意識のあるリンジーであったが、首に注射を打たれ、ついには眠らされてしまったのだ。
ムカデ人間
翌朝、リンジーが目を覚ますとベッドに拘束され、点滴に繋がれた状態であった。慌てて隣のベッドにいるジェニーを起こす。
部屋にはもう一人、男が拘束されていた。しかしハイター博士は、その男を適合しないと言い、殺してしまったのだ。
更にハイターは、カツローという日本人の男を拉致してきた。ベッドに拘束されるカツロー。
カツローが目を覚ますとハイター博士は自己紹介を始める。ハイター博士は、半年前3匹の犬を結合させ1つの生命へと変えたと言う。そして今度は3人の人間を1つの生命へと結合すると言うのだ。
そしてハイター博士は1つに結合された人間を、ムカデ人間と呼んだのだった。
ハイター邸からの脱出
翌朝、ハイター博士は3人に麻酔薬を打とうとする。初めにカツロー、そしてジェニーと続いた。しかしリンジーは、ハイター博士が後ろを向いた隙に拘束具と点滴を外したのである。そして逃げ出したのである。
リンジーは家中を駆け回り、適当に入った部屋の鍵を締める。しかし慌てていたため鍵を落としてしまう。
リンジーが窓から脱出しようとカーテンを開けると、そこには先回りしていたハイター博士がいたのである。
慌てて落とした鍵を拾うリンジー。リンジーはさらにプールのある部屋へと逃げ込んだ。
水の中に落ちてしまうリンジーの元に現れるハイター博士。ハイター博士は壁のスイッチを利用しプールの蓋を閉じる。そして蓋が閉まりきったところで、電気のブレーカーが落ちてしまう。
ハイター博士はそのまま部屋を出て行ってしまう。リンジーは何とか蓋を押し上げ、脱出したのであった。
しかし一人で逃げたリンジーは、ジェニーを助ける為、再びベッドのある地下室へと戻ったのである。
そしてリンジーは、意識のないジェニーを引きずり、再び脱出を図るのだった。
リンジーがジェニーを引きずり中庭まで行ったところで、ハイター博士に背後から麻酔銃を撃たれてしまう。
そして再び意識を失うのであった。
ムカデ人間誕生
ついにハイター博士は手術を終え、口とお尻が繋がったムカデ人間が誕生したのである。カツローを先頭に真ん中をリンジー、そしてジェニーと続く。
ハイター博士は、完成したムカデ人間を見て、感激し号泣するのであった。
そしてその夜、ムカデ人間となった3人は点滴に繋がれ、まるでペットの様にケージに入れられるのであった。
翌日ハイター博士は、ムカデ人間に新聞を取らせに行かせたり、散歩をしたりした。また、犬の餌皿に食事を乗せ、与えたりもした。
更に翌日、カツローはハイター博士の目を盗み逃げ出そうとする。しかしすぐにハイター博士に見つかってしまう。
更に翌日、ハイター博士はムカデ人間を地下室で診察していた。そしてジェニーは病気で死にかけているので、代わりを探そうと言う。
その時警察がハイター邸を訪れ、インターフォンがなったのである。
訪問者
ハイター邸に訪ねて来たのは、クランツとフェラーという名前の二人の警官だった。彼らは、最近続出している行方不明者について調査しているのだ。
ハイター博士は警官二人を部屋へと招き入れる。二人によると行方不明者が出ているというのだ。シラを切るハイターは、二人に睡眠薬入りの水を渡す。
そして彼らは、行方不明者の車の側で、ハイターの愛車が目撃されたというのだ。するとたちまちハイター博士はヒステリーを起こし、クランツが持つ水の入ったグラスをはたき落してしまう。
ハイター博士は、タオルを取ってくると言い、地下室へと向かった。
そして地下にいたカツロー達3人に対し、ジェニーの変わりが見つかったので、ジェニーに別れを告げるように言うのであった。
その後タオルに注射器を隠してハイター博士が、クランツとフェラーの元に戻ってくる。しかし、隠し持っていた注射器を落としてしまう。それを見たクランツは、ハイターが事件の犯人であると確信したのである。
そしてクランツは、捜査令状を取りに戻るのであった。
地下室からの脱出
慌てて地下室へと向かうハイター博士。しかし、そこにはムカデ人間の姿は無かったのである。
辺りを探すハイター博士。そしてついにムカデ人間が現れ、ハイター博士に襲いかかったのである。
ハイター博士は一旦気絶したものの、やがて目を覚ましてムカデ人間を追いかけるのであった。
逃げるムカデ人間であったが、ついにハイター博士に追い詰められる。
カツローは、メスを持って追いかけてきたハイター博士と対峙する。
そしてカツローは、落ちていたガラス片を拾い自らの首を切り裂き、自害してしまうのであった。
落胆するハイター博士。
そこへ再び警察が駆けつけたのである。
エピローグ
ハイター博士は、プールのある部屋に隠れた。そして誰も出てこないのでクランツとフェラーはハイター邸へと押し入る。
フェラーは薬が効き始めた為、吐き気に襲われる。
地下室を捜索するクランツ。そこでクランツは手術室や血痕を目撃する。
クランツは、フェラーを心配して慌てて引き返す。
途中通りかかった部屋を覗くと、そこには3人繋がれた人間がいたのである。そして先頭の男は、血を流して死んでいたのである。
先を急ぐクランツは、プールのある部屋へとたどり着く。そこには、水中で血を流して死んでいるフェラーがいたのだ。
慌てて駆け寄るクランツ。しかしクランツは隠れていたハイター博士に銃で撃たれてしまう。何とか応戦し、クランツはハイター博士の眉間を銃で撃ち抜く。
クランツはハイター博士を倒したが、自身も苦しみながらプールへ落ちてしまい死亡する。
残されたリンジーとジェニーであったが、ついにジェニーも力尽きてしまう。
そしてリンジーは、絶望し泣き続けた。死体に挟まれ誰もいなくなった家で、ただ死を待つだけだった。
『ムカデ人間』の登場人物
ヨーゼフ・ハイター博士/演:ディーター・ラーザー
狂気に満ちたマッドサイエンティスト。元外科医で、シャム双生児の引き離し手術の名医だった。人間を引き離してきた彼は心の奥底に人間を繋げたいという常軌を逸した欲望を持っていた。人間が嫌いだと話し、冷酷無比な性格で、すぐに癇癪を起こす。普段は英語で話すが、ヒステリーを起こすとドイツ語で捲し立てる。外科医を引退した後、ハイター博士は愛犬3匹を使って「ムカデ人間」のプロトタイプを創ることに成功した。今度は人間で繋げてみたいハイター博士は犠牲となる人間を探していた。偶然も重なり素材となる人間を集めることができたハイター博士はとうとうカツロー、リンジー、ジェニーで「ムカデ人間」を作った。まるでペットのように「ムカデ人間」を扱い、満足げなハイター博士の元へある日警察が尋ねて来る。近辺で行方不明者が続出していることからハイター博士の関与が疑われた。「ムカデ人間」が発見されることを恐れたハイター博士は、警官2人も捕らえ、病気にかかって用済みなジェニーの代わりに繋ごうとしていた。命からがら逃亡した「ムカデ人間」に返り討ちにあい、足をメスで刺され首を噛みちぎられる。痛みで気絶するも執念で彼らを追い詰める。しかし先頭のカツローに目の前で死なれてしまう。再びやって来た警察を撃ち殺すが、クランツ刑事が死に際に発砲した銃に眉間を撃ち抜かれ死亡する。
リンジー/演:アシュリー・C・ウィリアムズ
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目次 - Contents
- 『ムカデ人間』の概要
- 『ムカデ人間』のあらすじ・ストーリー
- プロローグ
- ハイター邸
- ムカデ人間
- ハイター邸からの脱出
- ムカデ人間誕生
- 訪問者
- 地下室からの脱出
- エピローグ
- 『ムカデ人間』の登場人物
- ヨーゼフ・ハイター博士/演:ディーター・ラーザー
- リンジー/演:アシュリー・C・ウィリアムズ
- ジェニー/演:アシュリン・イェニー
- カツロー/演:北村 昭博
- クランツ刑事/演:アンドリュー・レオポルド
- フェラー刑事/演:ピーター・フランケンシュタイン
- エイミー/演:ローズマリー・アナベラ
- 『ムカデ人間』の用語
- シャム双生児
- ムカデ犬
- 『ムカデ人間』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- カツロー「ごめん ごめんよぅ、ごめんよぅ、ごめん」
- カツロー「たとえこれがあなたの与えた天罰だとしても、俺は人間であると信じたいです!」
- 「ムカデ人間」の完成に歓喜するハイター博士
- 『ムカデ人間』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ハイター博士のモデルとなった実在の人物「ヨーゼフ・メンゲレ」
- 実際の医学的には「ムカデ人間」実現は不可能
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