フルーツバスケット(フルバ)の草摩家・草摩一族まとめ

『フルーツバスケット』とは、高屋奈月による漫画、及びそれを原作とするアニメ作品である。母と家を失いテント暮らしをしていた女子高生の本田透は、十二支の呪いに取り憑かれた一族・草摩家と関わりを持つようになる。学校で王子と慕われる由希、幼い頃から由希をライバル視する夾を始め、十二支と猫の物の怪に取り憑かれた者たちやその関係者、彼らが関わる人々の心の傷や救済を描く。本項では、草摩家とその一族についてまとめる。

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草摩綾女(そうま あやめ)

CV:子安武人(CDドラマ版) / 宮本充(旧アニメ版) / 櫻井孝宏(新アニメ版) / 藤原夏海(新アニメ版幼少期)

巳(蛇)の物の怪憑きで、由希の兄。見た目は由希を大人にした印象だが、性格は真逆で、自らを王と称しやや大仰な口調で周囲を自分のペースに巻き込む。高校時代はそのルックス、破天荒な言動ゆえに周囲の人望も厚く、生徒会長を務めた。
自信家ではあるが、本人曰く他者の気持ちに鈍感で、弟も含め悪意なく人を傷つけた過去を悔い、由希との関係を改善しようと努めている。自分とは違い、他人を気遣えるはとりを尊敬しており、彼の言うことは素直に聞く。また、由希絡みのことで嬉しいことがあると「聞いてくれたまえ、とりさん」の枕詞と共に携帯やメールではとりに報告する。
「あやめ」という洋裁店を経営し、従業員の倉前美音(くらまえ みね)とは相棒であり恋人でもあり、心の拠り所でもある。物の怪憑きのことは美音にもばれているらしい。店は「誰しも、人には知られたくない秘密の花園はある」とのことで女装用の衣装も扱っており、採寸の為自ら着付けも行う。この仕事を選んだ理由として、「自信を失くした時、何かを作りたくなった」と由希に語った。
紫呉からは「あーや」と呼ばれる。

名前の由来は、5月の異名である菖蒲月(あやめづき)から来ている。

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草摩利津(そうま りつ)

CV:富永み~な(旧アニメ版) / 河西健吾(新アニメ版)

申(猿)の物の怪憑き。通称「りっちゃん」。異常なまでに自信がなく、ことあるごとに凄まじい形相と勢いで「ごめんなさい」を繰り返す。本人が言うには、他の物の怪憑きと違い、特技も才能もなく(本人談)、自分のせいで両親が謝る姿を見続けた為に現在の性格になった。女装をすると少しは気が楽との理由で女物の服を着るようになったが、却って両親が謝る機会を増やしてしまったという。初対面時は振袖を着ており、女性寄りの容姿であることも相まって、アクシデントで透が抱き着き変身するまで女性だと思われていた。
紫呉の担当編集者である満とは、初対面時に同じようなテンションで紫呉を説得するというシンクロを見せ、その後交際を始めた。
常に堂々たる自信を持ったあやめに憧れを持つ。自己肯定感はかなり低いが、申の物の怪が憑いているせいか実は身軽で身体能力は高い。
年長者の物の怪憑きには「兄さん」と敬称をつけて呼ぶ。

名前の由来は、9月の異名である小田刈月(おだかりづき)から来ている。

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草摩燈路(そうま ひろ)

CV:渕崎ゆり子(旧アニメ版) / 大地葉(新アニメ版)

未(羊)の物の怪憑き。初登場時11歳。頭の回転が速く、矢継ぎ早にイヤミを繰り出す毒舌家。人を食った言動も多く、通行人に「殴り飛ばしてやりたい」と思わせるほど生意気な印象を与える。透と出会った当初からイヤミを連発し、彼女の持ち物を取り上げるなどした。
杞紗に好意を抱いており、そのことを慊人に告げたが為に結果として杞紗が慊人に怪我をさせられてしまう。自分が原因だと思いながら幼さや物の怪憑き故に何もできなかったことを悔いている。毒舌も透への嫌がらせも、「ガキ」でしかない自分への苛立ちから来るものであった。
母親は拒絶型でも過保護型でもなく、誕生して変身した燈路に対して「羊大好き」と言った「驚異の母」であり、温かく一般的な親子関係を築く。物語中盤で妹の日向(ひなた)が生まれ中学校に進学してからは毒舌が鳴りを潜め、杞紗との中も縮まっていった。依鈴の転落事件の現場を目撃していたこともあって度々病院を訪れ、気にかけていた。
三番目に呪いが解け、日向を抱きしめられるようになる。呪いからの開放が喜びだけではなく、物の怪との別れを哀しむ複雑な心境から涙を流した。

名前の由来は、7月の異名である文披月(ふみひろげづき)から来ている。

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草摩依鈴(そうま いすず)

CV:桑島法子(まんがDVD版) / 豊崎愛生(新アニメ版)

午(馬)の物の怪憑き。身内からはリンのニックネームで呼ばれる。容姿端麗で、スタイル抜群の美少女である。幼い頃は優しい両親と幸せに暮らしていたが、両親が常に笑顔を浮かべていたのは物の怪憑きの娘を持ったことに耐えての演技であった。依鈴自身の「パパとママは本当に幸せなの?」との言葉で本音をさらけ出した両親は、以降依鈴に虐待を加える。家庭環境へのストレスから道で倒れたところを潑春に救われ病院に運ばれた。虐待が露呈し、両親からは「もうどうやって愛したらいいか分からないから帰ってこなくていい」と言われる。両親は二度と見舞いに来ず、楽羅の家に引き取られた。
ほぼ同時期潑春と付き合い始め、親密な関係となるが慊人に露見し、潑春を傷つけることを仄めかされ高所から突き落とされる。以降、慊人から守るために敢えて潑春を突き放し、彼を救う為、呪いを解く方法を探っていた。
楝に唆されて慊人の自室にあった箱(慊人の父・晶の魂が入っているとされていた)に手を出した為、慊人の怒りを買う。長い髪が不快だと言われ髪を切られて猫憑き用の隔離施設に軟禁されていたが、紅野によって救出される。後に紫呉から「慊人さんとの親子げんかに利用されただけ」と言われて自分の軽率な振る舞いを痛感した。
潑春と気持ちを確かめ合い、再び交際を始める。その後は藉真の家に居候している。イラストを描く趣味があるらしく、透に見つかった時には「落書き」だと言ってスケッチブックを放り投げた。
呪いが解けた後、慊人を許せない気持ちはあるものの謝ってほしいわけでもないスッキリしない気持ちを透に吐露した。

名前の由来は、6月の異名である彌涼暮月(いすずくれづき)から来ている。

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草摩紅野(そうま くれの)

CV:千葉進歩(まんがDVD) / 梅原裕一郎(新アニメ版) / 南真由(新アニメ版幼少期)

酉(鳥)の物の怪憑きで、26歳。
物の気憑きとしては、最後に登場した。慊人のそばにいることが多く、他の物の怪憑きとあまり接することがない。夾が言うには「慊人の仕事のサポート」をしている模様。深夜、慊人の為に菓子を買いに深夜のコンビニに出かけ、アルバイト店員で透の友人の魚谷ありさと出会う。ありさの笑顔に惹かれながらも、後日偶然彼女に呼び止められるまで再会することすらできないと思っていた。
中学生の頃、何の前触れもなく呪いから解放された。自分だけの自我を得られたこと、人間になれたとの実感を得た喜びがあった。同時に、慊人が神ではなく泣いて縋る哀れな子供に見え、「ずっと慊人のそばにいる」と誓った。
他の物の怪憑きとは違い自由にはなれたが、だからこそ自分だけ誰かを愛することはできないと、酉の物の怪に憑かれたふりを続け、慊人のそばを離れることは基本的にない。既に紅野の呪いが解けていることを知るのは、一族では慊人のみである(紫呉は薄々感づいており、他の物の怪憑きも「仲間ではない」と何とはなしに感じていた模様)。
ありさが透の友人で、紅野を慕い会いたがっていることを透から告げられ彼女が映っている学園祭の劇のDVDを渡される。しかし、紅野は慊人のそばにいると決めており、自分がもう呪いから解放されていると教えた上で「ありさとは会わない」と透に告げた。
はとりの騒動の後、慊人の不安を取り除く為彼女と肉体関係を持つようになるが、このことは紫呉と慊人の関係をより拗らせる一因となった。
宴の席で由希が「変わっていきたい」との趣旨の発言をした後は慊人と正面から向き合う意識が生じる。依鈴を監禁した慊人をたしなめ、一度は病院へ行こうとしながらも慊人の元に戻りそうになった潑春の背中を押すなどして、慊人に周囲との変化に向き合わせようとした。
非情になり切れないその優しさから来る躊躇いが災いし、呪いが解けていく事態に絶望した慊人に腰を刺されて負傷する。一命を取り留め、自主的に見舞いに訪れた慊人を見て自分が彼女に必要のない存在になりつつあることを感じ慊人の下を去ることに決める。
病院でありさと再会を果たし、退院後は本家を出て田舎の町に就職した。

名前の由来は、3月の異名である暮れの春(くれのはる)から来ている。

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草摩慊人(そうま あきと)

CV:若葉紫(旧アニメ版) / 今井由香(旧アニメ版幼少期) / 皆川純子(まんがDVD版) / 坂本真綾(新アニメ版)

草摩家当主にして、十二支の魂を統べる神に当たる存在。一族においては絶対的な存在として君臨し、物の怪憑きにとっては呪われた血の絆の主であり、精神的に逆らうことができない。実母である楝の命令で男性として育てられてきたが、実は女性である。慊人の正体は草摩家でもトップシークレットであり、物の怪憑きでも一部の者しか知らない。
父の晶の死に際し、両親の愛が自分ではなく、互いにのみ向けられたものであることを思い知る。晶や古参の使用人たちから十二支にとっての神であることを尊ばれ育ったこともあり、神ではない自分は愛されないと思い込み、十二支との絆に異常なまでに固執する性格となった。
幼い頃は、感情の起伏こそあったものの、十二支との絆が揺るがないものであった為幼い子供の癇癪程度であった。ところが、突如紅野の呪いが解け、神と十二支の絆に不安を覚えるようになる。絆がなくなれば自分の存在意義も揺らぐ為、絆の確認のように十二支の心身を痛めつけるようになった。
母である楝は、生まれた時から複数の異性に愛されることが決まっていた点や、夫の晶が自分よりも娘に夢中になった点から慊人に嫉妬していた。その為、慊人は楝に反発をし、女性性そのものを憎むようになる。燈路が好意を持った杞紗、潑春と恋仲になった依鈴といった女性の物の怪憑きに対し、命さえ奪いかねない所業に出たのは、楝との確執が一因となっている。
晶への執着心もまたあり、女中頭から「晶の魂が入っている」と渡された空箱を、空だと知りながら捨てることもできずに持っていた。

透が紫呉の家に住むことを許したのは、「神と十二支の絆が絶対的なものである」という楝との賭けに利用する為だった。それでも、由希の宴会サボりや、避暑地での紅葉による透を庇う言動、翌年の正月での由希が口にした変化を望む言葉、依鈴を監禁した時の紅野や潑春の言葉から十二支たちが自分以外の誰かを愛し、それぞれの道を歩こうとしている事実を突きつけられる。また紅葉、燈路とたて続けに呪いが解け、やり場のない悲しみと怒りを感じる。呪いが解けた時、見捨てることなくずっとそばにいると誓っておきながら、急に不安を煽るような言動を取り始めた紅野に「中途半端に僕を救って、放り出す」と言って腰を刺して逃走する。

透に怒りをぶつけるが、透からは「お友達になりましょう」と言われる。崩れた崖から落下した透を救う為、紫呉に助けを求める。由希に言われた変化の言葉により考えが少しずつ変わっていき、一命をとりとめた紅野に許されたことから自身の行いを悔い改める気持ちが生じる。

自分には何の取り柄もない、と受け入れた上で自身の中の神と決別し、残りの物の怪憑きを呪いから解放する。神ではなくなったが当主として皆の立場を守ることに決め、男装もやめて紫呉に送られた振袖を着て女性として皆の前に現れ、決意を告げる。
その後は、時雨のサポートの下家での仕事を続けている。

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