スター・ウォーズ エピソード8 最後のジェダイ(SW8)のネタバレ解説・考察まとめ

『スター・ウォーズ エピソード8 最後のジェダイ』とは、2017年製作のアメリカ映画。日本公開も同じく2017年の12月。全9部作からなるスター・ウォーズサーガの、8番目の物語になる。前作「フォースの覚醒」で銀河新共和国を壊滅させたものの、拠点であるスターキラー基地をレジスタンスにより破壊されてしまった、ファースト・オーダーの猛反撃が始まった。この恐るべき猛攻に対抗する、レジスタンスたちの決死の攻防を描く。

レジスタンスVSファースト・オーダー、惑星クレイトでの攻防シーン

惑星クレイトの、塩の粉塵に覆われた赤い鉱物を含む土塵を巻き上げながら突進する、レジスタンスの乗った小型攻撃機

ホルド提督の捨て身の特攻により、なんとか全滅を免れ、惑星クレイトの古い反乱軍の基地へ逃げ込んだレジスタンス。ここに篭城し、銀河各地へ要請した救援を待つレジスタンスだったが、ファースト・オーダーの攻撃隊は、レジスタンスが篭城する基地の防護壁をたやすく打ち破る強大なキャノン砲を用意していた。このキャノン砲に立ち向かうべく、基地内に保存されていた、オンボロの小型攻撃機で突撃していくレジスタンスたち。一見、一面が白い土に覆われたように見えるクレイトの地表だが、実はこの白いものは塩の粉塵で、その下には赤い鉱物を含んだ土壌があった。レジスタンスの乗った攻撃機は「モノスキーモード」で土壌に降ろしたスキーの板のような箇所でバランスを取り、塩の粉塵に覆われた赤い土壌を巻きあげながら、ファースト・オーダーの攻撃隊に突進していく。
このシーンは、旧三部作の2作目「エピソード4/帝国の逆襲」の序盤で、雪と氷に覆われた惑星ホスで、帝国軍と反乱軍が戦いを繰り広げたシーンを彷彿とさせる(「帝国の逆襲」で帝国軍が使用していた大型歩行兵器AT-ATと似た造詣の、AT-M6と呼ばれる歩行兵器をファースト・オーダーが使用していることも挙げられる)。旧三部作の名シーンを思い出させながら、赤い土壌を巻き上げ複数の小型機が突進するビジュアルは美しく斬新であり、新しい3部作の中でも格別の名シーンとなっている。

「お前の両親は?」「名もない、ひとたち」

ファースト・オーダーの巨大母艦で、最高指導者スノークを倒したカイロ・レンだったが、レイが期待したようにフォースの暗黒面から脱してスノークを討ったのではなく、自らがスノークに代わりファースト・オーダーの最高指導者となり、銀河系にレンが思い描く新たな秩序を作り上げることが目的だった。「俺と一緒に来てくれ」と言うレンに、レイは「あなたは間違っている」とその誘いを拒絶する。しかしレンは、レイがずっと心の中に秘めていた、レイの両親のことを問うのだった。「お前の両親を、俺は見た。お前も本当は知ってるな?言ってみろ」と言うレンに、レイは涙を流しながら、「名もない、普通の人たちだった」と答える。

幼い頃、両親に捨てられ辺境の惑星ジャクーに置き去りにされたレイは、いつか両親が自分を迎えに来てくれると信じていた。しかし本当は、両親はすでに死んでいて、迎えになど来ないことをわかっていたのだった。それを認めたくないレイは、事実を封印し、自分を迎えに来るはずの両親をジャクーで待ち続けていた。そして、名もない民間人であり、自分の傍にいてくれなかった親の代わりに、反乱軍の英雄であるハン・ソロやルーク・スカイウォーカーを、父親のような存在だと感じていたのだった。自分の親がすでにいないことを認めた瞬間、自分の帰る場所、自分の居場所を失くし孤独感にさいなまれるレイを、レンは自分がその居場所になるとばかりに、「一緒に来てくれ」と誘うのだった。

これまでスター・ウォーズサーガの物語は、「フォースの意思により」父親の存在無しで生まれたアナキン・ウォーカー(後の銀河帝国指揮官ダース・ベイダー)から始まり、その息子のルーク・スカイウォーカーと娘レイア・オーガナ、レイアの息子であるカイロ・レンへと、主要人物の血筋が強力なフォースの力を、敵味方へと受け継いで来ていた。いわば、スター・ウォーズサーガは、スカイウォーカーの血筋の物語でもあった。ディズニーが製作を始めた新しい3部作で主役となったレイも、誰かの血筋を引いて強いフォースを持っているのではないかという予測がファンの間でなされていたが、本作のこのシーンで、レイが「誰の血も引いていない」ことが明らかになる。それは、ファンにとっては少なからずショッキングなシーンであった。

このシーンに対し脚本も書いた監督のライアン・ジョンソンは、次のように語っている。
「(ファンの間で評価の高い)「エピソード5/帝国の逆襲」で、ベイダーがルークに向かって「私が、お前の父親だ!」と告白するシーンがあるが、あれが当時の観客にとってショックであり、また成功したのは、ルークにとってそれが最も望まない、つらい真実だったということがある。一番の敵が、自分の身内であった、一番近い人物であったと。」

「僕らの作った映画は、「帝国の逆襲」の逆だ。レイが自分の両親を知るシーンで、「実は、著名な人物の血筋を引いていた」とわかるのというのが、一番"生ぬるい答え”だと思う。そのことによりレイは、探していた自分の居場所を、心の拠り所を見つけてしまう。答えとしては「帝国の逆襲」の逆になってるけど、主人公が一番つらい真実を知る(両親が、名もない民間人だと知る)という点では、同じなんだ」

旧三部作からのファンにとってはショックなシーンではあったが、ライアン・ジョンソンが目指した「新しいサーガを作り出す」という点で、これまでのサーガ(スカイウォーカーの血筋の物語という)と決別し新しい物語を紡ぎ出すという意思の表れでもあり、新しい3部作の中でも重要な意味を持つ名シーン、名セリフとなっている。

『スター・ウォーズ エピソード8 最後のジェダイ』の用語

ジェダイの騎士

旧銀河共和国時代に、舞台となる銀河系に存在するフォースと呼ばれる特異な力を操り、銀河系の平和維持のため活動していた騎士たちのこと。しかし、銀河共和国が銀河帝国に乗っ取られる際に、帝国の対抗勢力となるジェダイの騎士は、わずかな生き残りを除いて抹殺されてしまった。ルーク・スカイウォーカーは、そのわずかな生き残りであったオビ=ワン・ケノービやマスター・ヨーダの弟子となり、ジェダイとフォースについて教わった、実質上ジェダイの騎士最後の一人である。銀河帝国に反旗を翻した反乱軍が帝国を打ち破り、再び共和国が再建されてからは、ルークもジェダイの騎士を再興させようと試み、双子の妹であるレイア・オーガナとハン・ソロの子供であるベン・ソロを始めとする有望な若者たちを、新世代のジェダイとすべく育成していた。しかし、ファースト・オーダーの最高指導者スノークにより、ベン・ソロはフォースの暗黒面に引き入れられ、カイロ・レンと名前を変えたベンにより他のジェダイの若者たちも抹殺されてしまい、ルークは再びジェダイの騎士最後の一人となってしまった。このことに責務を感じたルークは、惑星オク=トーで隠遁生活を送るようになり、レジスタンスへの協力も拒んでいたが、レイの強いフォースの力に、新たなジェダイの誕生を感じ取った。

フォース

舞台となる銀河系に存在する特異な力で、銀河系に存在するあらゆる有機体や物質、それらを繋ぐ空間にもフォースは存在するとされている。この力をマスターした者は、純粋に筋力や瞬発力などの身体能力が上がるだけでなく、精神面にも大きな影響を及ぼし、精神的に弱い相手の心を自由に操ることも出来るようになる。それゆえ、自分の欲望を果たすため、また人々を自分の思うがままに支配するためにフォースの力を使おうと考える者も現れ、こういった考えに陥ることを、フォースの暗黒面に落ちると呼ぶ。銀河系の平和維持のためフォースの力を使用していたジェダイの騎士と対照的に、フォースの暗黒面を駆使して銀河系を支配しようとしていた「シス」と呼ばれる者たちが、旧銀河帝国を設立した。ファースト・オーダーの最高指導者スノークも、このシスの系譜を継ぐフォースの暗黒面のマスターであり、ジェダイの修行を受けていたカイロ・レンを暗黒面に誘い、自分の弟子とした。

ファースト・オーダー

旧銀河帝国が反乱軍により制圧され、その力を失った後に、帝国の残党により結成された、武力と恐怖による銀河系制圧を目指す組織。当初は銀河系の未知領域と呼ばれる辺境の星々に拠点を置いていたが、のちにフォースの暗黒面を操るスノークが実権を握り最高指導者となってから、その影響力は飛躍的に増すことになった。一番の対抗勢力となると思われるジェダイの騎士も、ルーク・スカイウォーカーが再建を試みていた時期に、ルークの弟子ベン・ソロをフォースの暗黒面に誘惑、ベンにジェダイの若者たちを抹殺させることで再建計画を頓挫させることに成功。ルーク自身もその後消息を絶ったため、ファースト・オーダーの脅威は更に拡大することとなった。反乱軍の英雄の一人である、レイア・オーガナ将軍の率いるレジスタンスを、銀河系制圧に立ちはだかる危険な存在だと認識しており、本作ではレジスタンス壊滅のため、その拠点となる基地へ総攻撃を仕掛ける。

レジスタンス

旧銀河帝国衰退後、勢力を拡大しつつあった新たなる脅威ファースト・オーダーに対抗するため、立ち上げられた組織。銀河帝国に反旗を翻した反乱軍のリーダーとして戦ったレイア・オーガナが、ファースト・オーダーの脅威をいち早く察し、レジスタンスを結成した。銀河帝国衰退後に新たに設立された新共和国とは独立した組織であるが、レイアの意思に賛同した共和国元老院の一部の議員などから援助を受けて活動していた。しかし新共和国自体がファースト・オーダーの攻撃により壊滅してしまったため、レジスタンスは大きな後ろ盾を失い、ファースト・オーダーの総攻撃を受けて、基地を捨て逃亡を開始することになる。自分たちがなんとか生き延びることが、銀河系に希望の光を灯し続けることになると必死の逃亡を続けていたが、ファースト・オーダーの容赦ない攻撃により、その人員は数百人にまで減ってしまった。

カント・カジノ

惑星カントニカの都市、カント・バイトにあるカジノのこと。主にファースト・オーダーや、時にはファースト・オーダーと敵対するレジスタンスにも武器を売る、武器商人たちで賑わっていた。カジノの建物の外周には、ファジアーと呼ばれる獣のレース場も設けている。

最初のジェダイ・テンプル

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