スター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲(SW5)のネタバレ解説・考察まとめ

『スター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲』とは、1980年製作のアメリカ映画。日本公開も同じく、1980年の6月。前作の大ヒットを受けて作られたシリーズ2作目で、9部作からなるスター・ウォーズサーガの5番目の物語に当たる。凶悪な銀河帝国が反乱軍への攻勢を強める中、故郷を出て反乱軍の一員となった青年ルーク・スカイウォーカーが、自らの思いがけない運命に直面するまでを描く。

レイア姫とハン・ソロが互いの愛情を確かめ合うシーン

カーボン冷凍により凍らされる前に、キスを交わすレイア姫とハン・ソロ

純粋な極上のエンターテイメント作品として仕上がっていた前作では、ヒロインであるレイア姫に主人公のルーク・スカイウォーカーが憧れの気持ちを抱いたり、密輸業社のハン・ソロが勇ましいレイア姫を見て「惚れそうになるぜ」などと言うシーンはあったが、際立って恋愛感情を表現したシーンはなかった。しかし本作では映画の冒頭から、レイア姫とハン・ソロの、「恋のさやあて」が描かれていく。レイア姫の登場シーンからして、借金を返すため反乱軍から離れる予定だったハン・ソロを熱い視線で見つめるというものであり、ハン・ソロはそれに気付いていて、本音を言いなよとレイアに迫るなど、無法者らしい口振りでレイアをモノにしようとする。しかし勝気な性格のレイアはそれを認めず、当て付けのようにソロの目の前でルークにキスをしたりする、いじましいシーンも登場する。中盤になり、修理中のファルコン号の中で二人きりになった時いい雰囲気になり、初めて二人の「ラブシーン」と言える描写になるのだが、これは空気を読めないドロイドのC-3POによって邪魔されてしまう。結局お互いの気持ちに気付いていながら、それを言葉にして相手に伝えることが出来ぬままクライマックスを迎え、帝国軍に捕らえられたハン・ソロはカーボン冷凍されることになってしまう。ハン・ソロを救おうと暴れ出すチューバッカを、ハン・ソロは「お前が姫を守るんだ!」とたしなめる。このセリフがもう、レイアに直接言ったのではないが、ハン・ソロのレイアへの熱い想いが込められたものであるのは明らかである。二人はキスを交わし、ここで初めてレイアは、ハン・ソロに「あなたを愛してる」と告げる。それにハン・ソロは、「知ってるよ」と答える。シンプルながら、この交わされた言葉が全てを物語り、そして愛を伝えた直後に冷凍されたハン・ソロを見ることになるという痛ましい展開も加わって、スター・ウォーズサーガの中では珍しい、「愛の名シーン」となっている。

ヨーダ「『やってみる』ではない。『やる』か『やらぬ』かだ。試しなどいらぬ」

ルーク・スカイウォーカーが惑星ダゴバへ乗ってきた小型戦闘機は、計器の故障でダゴバの沼へ軟着陸するのだが、ジェダイマスター・ヨーダの元で修行をしている最中、その小型機が沼の中へズブズブと沈み始めてしまう。沼の中に完全に消した小型機を見て悲観に暮れるルークに、ヨーダはフォースの力を用いよと指示する。あんな大きなモノを無理ですよと言うルークに、ヨーダは大きさは問題ではない、信じることが大切だと説く。それに対しルークは「では、やってみます」と答えるのだが、その言葉へのヨーダの返答がこの「『やってみる』ではない。『やる』か『やらぬ』かだ。試しなどいらぬ」である。やってみるなどという半端な気持ちでは成功などしない、やると決めたらそれが出来ると信じるのだという教えは、劇中の設定であるフォースの教えを超えて、人生の教訓とも言える名セリフである。このセリフは、イギリスの雑誌「short list」が選出した「名作映画の名セリフ100選」の、堂々第1位に選ばれている。

『スター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ルーク・スカイウォーカーの顔の傷の原因

主人公であるルーク・スカイウォーカーを演じるマーク・ハミルは、本作の撮影に入る寸前大きな交通事故に合い、顔に整形手術が必要になるくらいの大ケガを負ってしまった。このため、映画の冒頭でルークが氷の惑星ホスに住む凶暴な生物・ワンパに殴られ顔に傷を負うシーンを付け加えたとされているが、ジョージ・ルーカス自身はこれを否定している。

フォースの力とは「逆再生」

惑星ホスの生物ワンパに捕らわれたルーク・スカイウォーカーが、雪に埋まったライトセーバーをフォースの力で手元に引き寄せるシーンがあるが、これはルークを演じるマーク・ハミルがライトセーバーを雪の中に投げ入れるカットを、逆再生したものが使われている。

小惑星の中に浮かぶ撮影スタッフの「お遊び」

ハン・ソロがミレニアム・ファルコン号で、レイア姫らを乗せて帝国軍の追跡から逃れるため小惑星群に飛び込むシーンがあるが、このシーンではスタッフのお遊びで、小惑星に混じって本物のジャガイモやスニーカーが、宇宙空間を漂っている。

映画に「重み」を持たせたアレック・ギネスの出演

前作でジェダイの騎士の生き残りであるオビ=ワン・ケノービを演じたアレック・ギネスは、当初は続編である本作に出演する意思はなかったが、「あなたが出演することにより、映画に重みが増す」というジョージ・ルーカスたっての懇願により、出演することが決定した。

冷凍中に「着替えた」ハン・ソロ

本作の終盤、ハン・ソロは惑星ベスピンの空中都市でカーボン冷凍されてしまうが、この時ハン・ソロが着ていた服と、本作の次の作品となる「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」の冒頭で救出され解凍されたハン・ソロが着ている服が、違うものになっている。

NG連発が変えた愛のセリフ

本作終盤、カーボン冷凍される直前のハン・ソロに、レイア姫が「愛してる」と告白するシーンがあるが、ここで劇中ではハン・ソロは「I know(知っている)」と答えるが、脚本の段階では「I love you,too(俺も愛している)」だった。これは、このシーンでレイア姫を演じるキャリー・フィッシャーがNGを連発したため、ハン・ソロを演じるハリソン・フォードが業を煮やし「愛してるって、もう何度も聞いてるから知ってるよ」という意味で「I know」と言ったものが使われたと言われている。また、次作の「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」では、お互いがこのセリフをそれぞれ逆に言い合うシーンがある。

ダース・ベイダーは殺陣が苦手だった

ダース・ベイダーを演じるデヴィッド・プラウズは殺陣が苦手で、前作「スター・ウォーズ 新たなる希望」の撮影中、ライトセーバーの小道具を何本も折ってしまった。そのため本作と次作「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」では、ライトセーバーを使う殺陣のシーンのみ、フェンシング選手のボブ・アンダーソンが演じることになった。

念入りに仕組まれた「ネタばれ防止策」

本作の終盤、ダース・ベイダーがルーク・スカイウォーカーの父親であるという衝撃の告白をするシーンがあるが、ジョージ・ルーカスはこの情報が公開前に外部に漏れるのを避けるため、撮影中は違うセリフでこのシーンを撮っていた。撮影時には、ベイダー役のデヴィッド・プラウズは「私がお前の父親だ」ではなく、「オビ=ワンがお前の父親を殺した」というセリフを言っていた。ルーカスはこのシーンの撮影後に、ベイダーの声を担当するジェームズ・アール・ジョーンズに、「お前の父親だ」というセリフを吹き替えさせた。ダース・ベイダーというキャラクターが黒い仮面で顔を覆われ、口の動きが見えることがなく、また動きを演じた俳優と声を担当する俳優が違う人物であるという設定だからこそ出来た、ネタばれ防止策と言える。この防止策は徹底されていて、撮影中に吹き替え後のセリフを知っていたのは、ジョージ・ルーカスとベイダーの相手役となるマーク・ハミルの二人と、吹き替えをしたジェームズを含む関係者ほんの数名だけだった。このため、ベイダーを演じたプラウズ自身も、完成後の作品を見てイスから転げ落ちるほど仰天したという。そして、「本当のセリフを知っていたら、もっと違う演技をしたのに」と不満を漏らしたと言われている。

幻に終わった「ダース・ベイダーの城塞」

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