ラ・ラ・ランドのオマージュしたミュージカル映画まとめ
2016年に全米で公開されたミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」。
母国アメリカをはじめ世界中で大ヒットを記録し、アカデミー賞では監督賞をはじめ6部門で賞を受賞しました。そんな「ラ・ラ・ランド」にはミュージカル映画の名作のオマージュがちりばめられていて、それも見どころになっております。
今回は、「ラ・ラ・ランド」でオマージュされている映画について紹介します。
ドレスを選ぶミアが胸にカーテンを当てるシーン。
このシーンは、ニューヨークのウェストサイドを舞台に、プエルトリコ系移民のマリアとイタリア系移民のトニーの悲劇的な恋模様を描いた「ウェスト・サイド・ストーリー」のシーンへのオマージュです。
「ウェスト・サイド・ストーリー」の中に、トニーへの恋心がピークに達したマリアが、家でドレスを見繕っているときに「I feel pretty」を歌いながら踊るシーンがあるのですが、ここでマリアがカーテンを胸に当てます。
「ラ・ラ・ランド」でミアがドレスに胸を当てるシーンは、この「I feel pretty」でマリアがカーテンを胸に当てるシーンへのオマージュになっています。
スウィート・チャリティー
ドレスに身を包んだミアとルームメイトが家を出てから道路を闊歩するまでのシーン。
このシーンは男運がない、ダンスホールのホステスのチャリティ・ホープ・ヴァレンタインの悲喜劇を描いた「スウィート・チャリティー」のシーンへのオマージュです。
「スウィート・チャリティー」の中に人気俳優ヴィットリオの家で夢のような時間を過ごしていたところ、ヴィットリオの恋人がやって来て追い出されてしまい落ち込んでいたチャリティが、ダンスホールで、鬱憤を晴らすようにホステスたちと「There’s Gotta Be Something Better Than This」をバックに踊るシーンがあります。
「ラ・ラ・ランド」の家を出るときのダンスの振り、またスカートを使ったダンスの振りなどこの「スウィート・チャリティー」のダンスから影響を受けています。
ミアとセブがパーティを抜け坂道にやって来るシーンに登場するオマージュ
夕暮れ時、ミアに付きまとっていた脚本家から逃げるため、パーティーから抜け出したミアとセブは、坂の上で「A Lovely Night」をバックにタップダンスを踊ります。このシーンには1938年に公開された「シャルウィーダンス」、1952年に公開された「雨に歌えば」、1951年二項回された「バンドワゴン」へのオマージュがちりばめられています。
雨に唄えば
セブが街灯の柱に手をかけるシーンは、1952年に公開された「雨に唄えば」に登場するシーンへのオマージュです。
「雨に謳えば」の主人公のドンは主演映画が失敗に終わり悲嘆に暮れていましたが、ある雨の日、親友のコズモの家で、恋仲にあったキャシーと親友のコズモと共に失敗した主演映画をミュージカル化する構想を思いつきます。帰り道、すべてが上手く回り出したドンは高揚感を抑えられず、雨の中で傘を差さずに踊ります。そしてそのシーンの中に電灯の柱に手をかけ回るダンスがあるのです。
「ラ・ラ・ランド」でセブが電灯の柱に手をかけ回るのは、「雨に歌えば」のこのシーンから来ています。
踊らん哉
ミアとセブがベンチでタップダンスを踊るシーン。
これは1937年に公開されたミュージカル映画「踊らん哉」で、黄金期ハリウッドでRKOの黄金コンビと謳われたフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースがタップダンスを踊るシーンへのがオマージュになっています。
「踊らん哉」の中に、ひょんなことから結婚することになった有名なバレエダンサーのペトロフ(フレッド・アステア)とアメリカのレビュースターのリンダ(ジンジャー・ロジャース)が、公園のベンチで、ローラースケートを履いてタップダンスを踊るところがあります。
「ラ・ラ・ランド」のベンチでタップダンスを踊るシーンは「踊らん哉」のそのシーンへのオマージュです。
バンドワゴン
また、ベンチを立ってから見せるダンスは、1957年に公開された「バンドワゴン」でフレッド・アステアとシド・チャリシーが見せるダンスの振りを取り入れています。
ミュージカルコメディ「バンドワゴン」に出演することになった斜陽の映画スターのトニー(フレッド・アステア)は、映画出演のプレッシャーからナーバスになっていたため、相手役のバレエ界の新星ギャビー(シド・チャリシー)と喧嘩。しかし2人は話し合い、お互いのわだかまりを解くと、セントラルパークで一緒にダンスを踊り意気投合します。
「ラ・ラ・ランド」のダンスの振りは「バンドワゴン」のこのセントラルパークで見せるダンスの振りから来てます。
ムーランルージュ
「理由なき反抗」の撮影舞台になったグリフィス天文台でミアとセブがワルツを踊り、宇宙へと舞い上がるシーン。
このシーンは、ニコール・キッドマンとユアン・マクレガー主演のミュージカル映画「ムーラン・ルージュ」に登場するシーンが元になっています。
ひょんなことからキャバレー「ムーランルージュ」の舞台作家になったクリスチャン(ユアンマクレガー)は、クリスチャンを資産家だと思い込んだムーランルージュの売れっ子スターのサティーン(ニコール・キッドマン)から誘いを受けます。その時に、クリスチャンがサティーンのために詩を口ずさむと、サティーンはクリスチャンのことを心から愛するようになります。そしてここでクリスチャンとサティーンが「Your Song」をバックにパリの空に広がる星空の中で歌い踊ります。
「ラ・ラ・ランド」のミアとセブが舞い踊るシーンはこれが元になっています。
ミアがセブとの成功物語を妄想するシーンに登場するオマージュ
パリで撮影した映画が成功を収めハリウッドスターに仲間入りしたミアが、セブがピアノを演奏するジャズ・バーにやって来るラストのシーン。ミアはセブの姿を見て、セブと一緒にパリを訪れ、ハリウッドで成功し、このジャズ・バーにやって来ることを妄想します。
この映画を鑑賞した映画評論家、観客からこの映画の1番の見どころだと言われているラストのミアの妄想シーンには、ジーン・ケリーが出演した50年代のミュージカル「雨に唄えば」、「巴里のアメリカ人」、フレッド・アステアとエレノア・パウエルが出演した40年代のミュージカル「踊るニュウ・ヨーク」に登場するシーンへのオマージュです。
雨に唄えば
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