ラ・ラ・ランド(La La Land)のネタバレ解説・考察まとめ

『ラ・ラ・ランド』とは2016年公開のミュージカル映画。売れないジャズピアニストのセバスチャン(セブ)が弾くピアノに惹かれてバーに入った女優志望のミア。後日あるパーティ会場でミアはセブに再会する。2人は急速に恋に落ち、互いの夢のために励まし合いながら共に暮らすが、ミアの夢を叶えるチャンスを掴むために別れる決断をする。往年の名作ミュージカル映画をオマージュした美しい映像や楽曲、ミアとセブの表現力溢れる歌声やダンス、切ないストーリーで観るもの全てが恋に落ちる極上のエンターテイメント。

『ラ・ラ・ランド』の概要

『ラ・ラ・ランド』とは2016年に公開されたアメリカ合衆国のミュージカル映画。売れないジャズピアニストのセバスチャン(セブ)と女優志望のミアの恋をロマンチックな曲とダンスで描いたミュージカルラブストーリーの傑作。現在のハリウッドでは珍しい、全曲オリジナルの本格ミュージカルである。『巴里のアメリカ人』『バンド・ワゴン』『雨に唄えば』『ロシュフォールの恋人たち』『シェルブールの雨傘』など過去の名作ミュージカルのオマージュに溢れたシーンが満載。
本作の監督は『セッション』で高い評価を得たデイミアン・チャゼル。熱狂的なミュージカル映画ファンであるチャゼルは2010年に『ラ・ラ・ランド』の脚本を執筆し、ハーバード大学の同級生であるジャスティン・ハーウィッツと共に『ラ・ラ・ランド』の映画化を決意する。当時ジャズは絶滅したジャンルと言われており、さらに無名のハーウィッツが作曲したオリジナルの現代ミュージカルに出資するスタジオが現れなかったため、何年も製作できなかった。しかし世界的ジャズドラマーを目指し、伝説の教師の狂気的な指導を受ける青年を描いた映画『セッション』が第87回アカデミー賞において作品賞を含む5部門にノミネートされ、映画製作会社はチャゼルの次の作品に注目するようになった。『セッション』の商業的成功を受け、製作会社と契約できたチャゼルは5年かかって『ラ・ラ・ランド』の映画化にこぎつけた。

主人公のセバスチャン(セブ)を『マネー・ショート 華麗なる大逆転』、『ハーフネルソン』『ブレードランナー2049』などのライアン・ゴズリング。ヒロインのミアを『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『女王陛下のお気に入り』などのエマ・ストーン。さらにセブのアルバイト先のオーナーとして『セッション』のJ・K・シモンズが出演。
本作は第73回ベネチア国際映画祭でエマ・ストーンが最優秀女優賞、第74回ゴールデングローブ賞では作品賞(ミュージカル/コメディ部門)ほか同賞の映画部門で史上最多の7部門を受賞した。第89回アカデミー賞では『タイタニック』(1997年)、『イヴの総て』(1950年)に並ぶ史上最多となる14ノミネートを受け、チャゼルが史上最年少で監督賞、エマ・ストーンが主演女優賞、他に撮影賞・美術賞・作曲賞・主題歌賞と最多6部門で受賞した。また、第41回日本アカデミー賞では最優秀外国作品賞を受賞した。3,000万ドルの製作予算に対し、世界で4億4,600万ドルの興行収入を得た本作は、実写ミュージカルで大ヒットは狙えないという昨今のハリウッドの通説を打ち破った。また、セブとミアが踊るシーンを切り取ったポスターは大きな話題となり、カップルがこのポーズを真似して写真を撮ることが流行した。楽曲の良さも大きな魅力でSNSでは、ミアが映画の中で歌う曲『Audition』を若いファンが歌って投稿することも流行した。映画のタイトル『ラ・ラ・ランド』はロサンゼルス、そしてハリウッドを指す。

売れないジャズピアニストのセバスチャン(セブ)が弾くピアノに惹かれてバーに入った女優志望のミア。後日あるパーティ会場でミアはセブに再会する。2人は急速に恋に落ち、互いの夢のために励まし合いながら共に暮らし幸せな日々を過ごす。しかし、セブが旧友のキースに誘われ、生活のために加入したバンドが成功し、その忙しさから生活はすれ違う。オーディションに落ち続けていたミアは、セブに勧められて自作の脚本で一人芝居をしたが、観客も少ない上に、酷評している声を聞き心が折れて実家に戻ってしまう。しかし一人芝居を観た配役プロジューサーに評価されたミアに映画のオーディションの連絡が入る。もうオーディションに落ちたくないから受けないと言うミアを、セブは説得してオーディションを受けさせる。セブは、見事オーディションに合格したミアを撮影地のパリへ送り出し、2人はそれぞれの道を歩んだ。その5年後、セブは念願の自分の店「SEB’S’」を経営し、女優になる夢を叶えたミアは有名女優の仲間入りをして、優しい夫と可愛い子供もいた。ミアが夫と外出した時、ジャズの音色に惹かれて店に入ると、そこはセブの店だった。

『ラ・ラ・ランド』のあらすじ・ストーリー

オープニング

ロサンゼルスのハイウェイでは、朝から渋滞のためハイウェイ上のすべての車が停車していた。運転手たちがそれぞれの車の中で音楽を聞いていると、一人の女性が車から降り、外で歌い出した。それをきっかけに、次々と人が車から降り全員で『Another Day of Sun』を楽しそうに歌いながら踊り出す。曲が終わった途端、全員が車に戻り物語が始まる。

冬・ロサンゼルスのハイウェイでの出会い

売れないジャズピアニストのセバスチャン(セブ)は、カーステレオで『荒城の月』のジャズアレンジバージョンの同じ個所を巻き戻して何度も聞いていた。セブの車の前の車の中にいた女優志望のミアは、その日に行われる映画のオーディションを受けるために、セリフの練習を続けていた。ようやく車が進み始めたが、ミアは練習に熱中して気づかず車を発進させない。後続車のセブはクラクションを鳴らすが、ミアはすぐに車を発進させなかったため、隣の車線からミアの車を追い越していった。
ハリウッドにあるワーナー・ブラザーズの撮影所のカフェで、ミアがアルバイトをしていると、カフェに有名な女優が来店し、ミアは自分もそうなりたいと憧れを抱くのだった。オーディションに向かう時間になり、急いで店を出ようとしたミアは店に入ってきたセブと正面からぶつかり、セブの持っていたコーヒーをシャツにかけられてしまう。着替える時間もないため、コーヒーの染みの付いた白いシャツの上から青いジャケットを着て、オーディションに臨んだミアだが、落選してしまった。

家に帰り、シャワーを浴びたミアは同じく女優志望のルームメイトである、トレイシー、アレクシス、ケイトリンの3人にパーティに行こうと誘われる。ハリウッドの豪邸で上昇志向の人ばかりが集まるパーティに行って名前を知ってもらおうというのだ。気乗りがせず初めは断ったミアだが、3人が『Someone in the Crowd』を歌いながら、見出してくれる誰かを探そうと誘ううちにミアもパーティに行くことに決める。パーティ会場では、皆が楽しそうに過ごしているのに、特に得られる出会いもなかったミアは1人で帰宅しようとする。しかし、愛車プリウスを駐車禁止の場所に停めていたため、レッカー移動されてしまっていた。仕方なく徒歩で帰宅する途中、聞こえてきたピアノの曲『Mia & Sebastian’s Theme』に誘われて、ミアはレストランに入る。

再び解雇された売れないジャズピアニスト

一方、セブは朝ハイウェイでミアの車を追い抜いて帰宅する途中、好きだったジャズクラブがサンバとタパスの店に変わっているのを見かけ憤慨する。帰宅後、勝手に部屋に入っていた姉のローラに気づき驚くセブ。自分の店を持つ夢があるセブだが、お金も定職もないことを姉は心配していた。セブに定職につき、落ち着いてもらいたい姉に対し、セブは「これから巻き返す。俺は灰から蘇える不死鳥だ」と息巻く。姉が帰ると、セブはピアノの前に座り、『荒城の月』のジャズアレンジバージョンのレコードを聞き、ピアノで弾けるよう練習を始めた。

以前働いていたビルのレストランで、セブはピアニストとして再び働こうとしていた。ジャズを好まないビルと意見が合わないセブだったが、経済的理由から仕方なく戻ってきたのだ。ビルはこの店に合う自分が選んだクリスマスソングを弾くようセブに指示していた。客に愛想笑いをしながらピアノを弾くセブだが、誰もピアノの音色に耳を傾けていない状況を見て、ジャズの曲『Mia & Sebastian’s Theme』を弾いてしまう。一人パーティ会場から徒歩で帰宅途中のミアはその音色に惹きつけられてレストランに入る。気持ちがピアノに乗って勢い込んで弾いていたセブだが、曲が終わった後、ビルに呼び出されクビだと言われる。セブが帰ろうとした時、ミアが近づき演奏を聞いた感想を伝えようとする。しかし、機嫌の悪いセブは彼女を無視してレストランから出ていったのだった。

ミアはその後もオーディションを受け続けるが、ことごとく落ちてしまっていた。

春・プールパーティで4度目の再会

ミアは友人たちと来ていたプールパーティで脚本家のカルロを紹介される。『Take on me』を演奏していた生バンドを何気なく見たミアは、レストランでピアノを弾いていたセブがキーボードを演奏していることに気づいた。リクエストはないかと観客に聞くボーカルに対し、ミアは即座にノリのいい曲『I Ran』をリクエスト。演奏中楽しそうに踊るミアを見て、セブは、以前カフェでコーヒーをかけてしまった女性であり、ビルのレストランで解雇された時に声をかけられたのに無視した女性だということに気づいた。
セブは演奏終了後、ミアのところに行き以前の無礼を謝るが、本物のミュージシャンに『I Ran』をリクエストするのはNGだと言う。セブに仕事を訊かれたミアは女優と答え、名前を告げる。パーティの帰り際、ミアはカルロに「3匹のクマ」に4匹目を出す脚本を書こうとしていると、話しかけられ困っていた。そこに仕事を終えたセブが通りかかり、ミアはカルロから逃げるため、セブに声をかけ一緒に会場を出た。

恋の予感

出典: ontomo-mag.com

息の合ったダンスをするミア(画像左)とセブ(画像右)

駐車場に向かい自分の車を探すミア。何度も偶然に会うことに驚きながらも軽口をたたき合う2人。車を探しながら夕焼けが見える場所に移動した2人は、美しい夜景を見ながらも「普通の風景」「感動しない」と言う。セブがこんな美しい風景を見てもタイプじゃない君とは恋も生まれないという歌『A Lovely Night』を歌い出すと、それを聞いたミアもあなたは対象外だと歌い出す。ベンチに座り靴を脱ぎ、タップシューズに履き替えたミアとセブは息の合った踊りを楽しむ。踊り終えた2人が近づいたその時、ミアのボーイフレンドであるグレッグから電話がかかってきた。ミアは近くにあったプリウスで帰り、セブはパーティ会場の入口に停めていた自分の車まで戻り帰っていった。

お互いの夢を語り共感し合う2人

その後ミアのアルバイト先のカフェに突然セブがやってきた。ミアのアルバイトが終わってから、2人はハリウッド内を散歩する。ミアは女優だった叔母の影響でハリウッド女優を目指すことになったこと、ボールダーシティ出身で家の前の図書館でよく古い映画を観て、その映画のシーンを叔母と演じたこと、そしてオーディションを受け続けていることなどをセブに話した。セブは古き良きジャズが好きなことなどを話し、徐々に打ち解けていく。会話の中でミアが脚本の神童だったと聞いたセブは、ミアに脚本を書いて自作自演すればいいのではと話す。
ジャズが嫌いだと言うミアをセブはジャズバーのライトハウス・カフェに連れていき、本物のジャズを聞かせる(『Herman’s Habbit』)。自分の知ってるジャズはリラックスするような曲だと言うミアに、セブは演奏中のバンドの音を解説し、本当のジャズは刺激的だと熱を込めて語る。そして自分の店を持って自分の好きな曲と好きな時に好きな方法でやると話すのだった。そこにミアの携帯にオーディションの一次通過の連絡が入る。喜ぶミアにおめでとうと伝えるセブ。映画『理由なき反抗』に似ているという青春ドラマのオーディションだが、その映画を観ていないミアに、リアルト映画館で上映中だから研究のために観に行こうと誘うセブ。月曜夜10時に映画を観る約束をしてミアと別れたセブは海辺の桟橋に行き、『City of Stars』を歌い、口笛を吹く。

恋に落ちた2人

翌週月曜日の青春ドラマのオーディション2次審査では、開始数秒セリフを読んだだけで落選したミア。落ち込むものの、セブとの約束で心が浮き立ってきたミアが家で外出の用意をしているとグレッグがやってきた。ミアは彼とその兄との会食の約束を忘れていたのだ。ミアは約束が重なっていることをグレッグに言い出せず、連絡先のわからないセブにも連絡できないまま会食に出かけた。ついていけない仕事や外国の話ばかりの会話の中、店のBGMで思い出の曲『Mia & Sebastian’s Theme』が聞こえてくる。それを聞き、どうしてもセブの元に行きたい気持ちを抑えられなくなったミアは、グレッグに謝り、急ぎリアルト映画館に向かった。
映画は既に始まっていたが、ミアは舞台の上からセブを探して、隣の席に座った。映画を見ながらどちらからともなく手を握り合い、キスをしようとした瞬間、場内が明るくなった。映写機の調子が悪くなり、上映が中止になったのだ。
ミアは「いいアイデアがある」と言い、2人は映画に登場したグリフィス天文台へ向かう。その中にあるプラネタリウムが映し出す満天の星空の中(『Planetarium』)、2人は星空にふわりと浮かび、手を取り合って躍る。そして初めてキスを交わす。

夏・幸せな2人の生活

ミアは、セブの提案で一人芝居の舞台脚本を書いていた。ミアがルームメイトと話していると家の外で大きなクラクションの音が聞こえた。セブがミアを迎えに来た合図だった。セブとミアは2人でいろいろな場所に行きデートを楽しみ、いつしかミアはセブの家で一緒に暮らしていた。
ライトハウス・カフェでセブが弾く曲『Summer Montage/Madeline』に合わせて楽しそうに踊るミア。ピアノを弾き終わったセブがミアと席に着くとセブの昔のバンド仲間であるキースから声を掛けられる。キースのバンドに誘われたセブだが音楽の方向性の違いから断る。

その晩ミアは完成した自作の脚本を演じ、セブに褒められる。ミアはセブのために店名(SEB’S)とロゴを考え提案したが、セブは「CHICKEN ON A STICK」という名前にこだわる。セブの尊敬するジャズ・ミュージシャン、チャーリー・パーカーが鶏肉が好きだったため、それにちなんだ名前にしたかったのだ。

バンドに加入したセブと一人芝居の準備をするミア

翌朝ミアは彼女の母親と電話していた。自分が一人芝居をすることや、その舞台での収入はないこと、恋人が定職についていないことなど話していた。それを聞いていたセブは、昨晩ミアが仕事を紹介してくれるキースに連絡したらどうかと話してきたことを思い出す。自分が定職についていないことをミアは気にしているのではと思い、ミアのためにキースに会いに行く。音楽の大手会社ユニバーサルと契約したキースのバンド「メッセンジャーズ」は、これからツアーに出ること、そして週1000ドルにチケットと商品の収入を歩合でもらうという契約だった。セブは演奏の練習に参加したが、それはセブの目指す古き良きジャズとは大きく違う若者好みの音楽であった。前向きな気持ちになれないセブに対し、キースは「ジャズクラブには老人だけで若者はいない。革命を起こすなら過去にしがみつくな。ジャズは未来だ」と話す。

出典: ameblo.jp

セブ(画像右)の弾くピアノに合わせて共に歌うミア(画像左)

その晩、セブがピアノを弾きながら『City of Stars』を歌い出すとミアも一緒に歌い出す。お互いの目を見つめ合いながら歌う2人。翌日、「ジャズは未来だ」というキースの考えを受け入れたセブは、ミア、そして自分の店の資金のためにお金を稼ぐ目的で、キースのバンド「メッセンジャーズ」に入ることを決め契約する。ミアはハリウッドのカフェのアルバイトを辞め、劇場を借り、本格的に一人芝居の準備に入った。キースのバンドはデビューやツアーに向けて忙しくなり、セブとミアが共に過ごす時間はどんどん少なくなっていった。
ある時、ミアは、セブのバンドのライブに行った。キースが『Start A Fire』を歌い出すとその力強いボーカルとモダンな曲が若者たちを熱狂させた。キーボードとピアノを弾くセブもまた人気を得ていたが、セブの目指す古き良きジャズとは大きく異なる音楽性にミアはとまどいを隠せなかった。

berusaiyu38h8
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@berusaiyu38h8

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