パディントン(Paddington)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『パディントン(Paddington)』とは、イギリス作家マイケル・ボンドの児童小説「くまのパディントン」を実写映画化した2014年制作のファミリー映画。ペルーのジャングルから、住む家を探しにロンドンにやってきた礼儀正しいクマが、ブラウンさん一家と出会い、大騒動を巻き起こす物語。全世界で320億円超えの大ヒットを放った作品。

『パディントン(Paddington)』の概要

世界40カ国語以上に翻訳され、全世界で3500万部の売り上げを誇る、マイケル・ボンドの児童小説「パディントン」シリーズを、「ハリー・ポッター」シリーズを手掛けたプロデューサー、デヴィッド・ハイマンが実写映画化した作品。
監督・脚本は、イギリスのTVコメディで注目された俊英ポール・キング。主人公のパディントンの声を「007スカイフォール」のQ役などで知られるベン・ウィショーが務め、共演は「めぐりあう時間たち」でアカデミー主演賞をゲットしたニコール・キッドマン、TVシリーズ「ダウントン・アビー」のグランサム伯爵で広く知名度がアップしたヒュー・ボネヴィル、「GODZILLA ゴジラ」のサリー・ホーキンスと実力派キャスト揃い。原作者のマイケル・ボンドもワンシーン・カメオ出演している。
ロンドンの街でパディントンが巻き起こす騒動を、絵本のようなカラフルな色彩とユーモアたっぷりにテンポよく描き、英国アカデミー・チルドレンアワード長編編映画部門作品賞を受賞。
世界的に大ヒットした作品だけに、続編「パディントン2」の制作が決まり、2016年10月にクランクイン。2017年11月にイギリスを皮切りに世界公開(日本では2018年1月公開)される。

『パディントン』のあらすじ・ストーリー

その昔、ペルーのジャングルにやってきたイギリスの地理学者クライドは、人なつっこいクマのカップルと遭遇し、とても親しくなった。クライドは、彼らに人間の暮らしをいろいろ紹介したが、なかでもマーマーレードのジャムがクマたちのお気に入りになった。
クライドは、人の言葉も話せるようになったクマたちをパストゥーゾ、ルーシーと名付け、しばらく一緒に過ごしたが、やがて故郷に帰ることになり、被っていた帽子をクマたちにプレゼントし、「ロンドンに来てくれたら温かく歓迎するよ」と言い残してイギリスに帰っていった。

時が流れ、甥っ子のクマと暮らすパストゥーゾとルーシー。クライドに教わったマーマーレード作りに励んでいたが、ある時、大地震に見舞われ、住んでいた家を失い、呆然と立ち尽くしたパストゥーゾは逃げ遅れて亡くなってしまう。
しかたなく、ルーシーは甥っ子のこれから先のことを考え、パストゥーゾの形見でもある帽子を彼に渡し、地理学者を頼ってみなさいとロンドン行きの貨物船に潜り込ませた。そして、ルーシーは、もうお婆さんだから一緒に行けないと老クマホームに行くことにした。

カバンにいっぱい詰め込んだマーマーレードを食べながらロンドンについた甥っ子クマは、パディントン駅で、道行く人に声を掛けるが誰にも相手にされず、しょんぼりしてしまう。
そんな彼の前に、オナカをすかせた一羽の鳩がやってきた。帽子の中に入れていた非常食のマーマーレード・サンドイッチを少し千切って与えると、他の鳩まで現れてきてしまった。
これはたまらんと鳩たちを追い払っていたとき、電車が到着し、ブラウン一家が下りてきた。
甥っ子クマは挨拶をしようとするが、ブラウン家の主人ヘンリーは無視して通り過ぎてしまう。
でも、心優しい奥さんのメアリーは、心配そうに近寄ってきて彼の話を聞いてくれた。
そして、泊まる場所を探してくれたが見つからず、一晩だけなら私の家に泊まればいいと言い、夫のヘンリーも渋々承知した。
メアリーから名前を聞かれ、クマ語は理解してもらえないと言ったら、駅の名前をとってパディントンに決まった。

タクシーでブラウン家についたパディントンは、人間の暮らしが初めてだけに、歯ブラシを耳かきと間違ったり、洗剤を飲んだり、あげくにトイレを詰まらせバスルームを水浸しにし、主人のヘンリーを怒らせてしまう。
翌日、役所に連れて行けという夫の言葉を無視して、メアリーは、パディントンの帽子の元の持ち主が分かればいいのではと友人の骨董品屋グルーバーの店に彼を連れて行った。
そして、帽子が地理学者協会の会員であることを示すものだとがわかった。
またその時、なりゆきでグルーバーを困らせていたスリを捕まえる大手柄をたて、パディントンは感謝される。

その頃、ロンドンの自然史博物館の剥製担当部長ミリセントは、警備員から貨物船に乗っていたマーマーレードを食べていた動物の話を聞き、その動物を探し、捕まえて剥製にしようと目を輝かせる。
剥製室の壁には、地理学者クライドと2匹のクマが肩を寄せ合って撮った写真が貼ってあった。

メアリーはもちろん、娘のジュディ、息子のジョナサン、親戚で住み込みの家政婦バード夫人とも親しくなっていったパディントン。
パディントンと一緒に地理学者協会に調べに行ってほしいとメアリー達から懇願されて、家族思いのヘンリーは仕方なくOKすることに。

そして、協会に行き、ペルー探検隊のメンバーの名前を調べようとしたら、記録は抹消されていた。
諦めて帰りかけたヘンリーに、パディントンは書庫に忍び込んで調べてみましょうと提案。
嫌がるヘンリーだったが、パディントンの真剣な表情を目の当たりにし、結局折れて掃除婦に化けて書庫に入った。
そこで、パディントンは古いフィルムを見つけた。
持ち帰ったフィルムには、地理学者クライドと親しく肩を寄せ合うパディントンの伯父・叔母が映っていた。
帽子の持ち主がクライドと判り、自分の居場所がもう少しで見つかりそうと一安心のパディントン。

ミリセントは、駅の監視映像からクマがブラウン家にいることを突き止めると、一家の隣に住むカリーに近づいた。
美人のミリセントに一目ぼれしたカリーは、彼女からクマが一人っきりになったら知らせてほしいと頼まれ、あっさり承諾。
そして、家族が出払い、パディントンが一人で留守番をしていた時、カリーから連絡を受けたミリセントは、彼を捕まえようと屋上から忍び込んだ。
だが、パディントンが追いかける彼女から逃れようとして、キッチンでボヤ騒ぎを起こしてしまう。

怒ったヘンリーは、パディントンの言い訳も聞かず、家族を危険にさらすし、もう一緒に住めないと口走る。
それを聞いたパディントンは、ブラウン一家へのお礼の置き手紙を残し、一人でクライド氏を探そうと出て行った。
何軒も尋ね回り、やっとクライド氏の家を見つけた。
だが、彼の前に現れたのはミリセントだった。実は、彼女はクライド氏の娘だったのだ。
父親が、ペルーのクマを見本として持ち帰らなかったばかりに記録を抹消され、地理学会から追放されたのを憎々しく思っていたのだ。そして、もしそのクマを見つけたら剥製にしてやろうと考えていたのだ。
そうとも知らず、親切にもてなしてくれるミリセントをすっかり信用し、自然史博物館に連れて行かれるパディントン。
そこで本性を現したミリセントは、お前を剥製にしてやると言い放ち、彼に麻酔銃を撃って気絶させた。

ブラウン家のお隣さんのカリーは、ミリセントから急に態度が変わり、冷たくされたことから、彼女がパディントンを連れ去ったことをブラウン一家に打ち明けた。
ヘンリーは、自分がパディントンのことを誤解していたと悟り、家族みんなで彼を救出しようと自然史博物館に駆けつけた。
バード夫人が警備員の注意を逸らしている隙に、地下道から館内に忍び込んだヘンリーたちは、今まさにメスを入れられようとしていたパディントンを見つけた。

ヘンリーの声で目を覚ましたパディントンは、ミリセントから逃げようと博物館内を駆けまわり、ヘンリーたちと共に、彼女に屋根の上に追い詰められてしまった。
麻酔銃を向けるミリセントに、ヘンリーは、パディントンを助けようと立ちはだかるが、自分を思いやってくれる彼を犠牲にしちゃいけないと自ら歩み出る。
そのとき、屋根に止まっていた鳩たちを目にしたパディントンは、駅での出来事を思い出し、彼女に「最後のお願いです。サンドイッチが食べたい」と言った。好きにすればの返事に、彼は帽子からマーマーレード・サンドイッチを取り出すと、彼女に向かって投げつけた。
案の定、鳩たちが群れをなしてミリセントに押し寄せてきた。
屋根から滑り落ちそうになる彼女だったが、間一髪でなんとか持ちこたえ、またもや銃を構え直した。
もはやこれまでと思った時、彼女の足元の屋根扉が開き、彼女はそれに当たって真っ逆さまに屋根から落ちた。
開いたのは、バード夫人だった。
そしてパディントン救出作戦は成功し、彼は、ブラウン家の家族の一員と仲良く暮らすこととなった。
ミリセントは、博物館に内緒で珍しい動物を勝手に剥製にしていることがばれてしまい、判決で罰として地域奉仕のために動物園のフン掃除係を言い渡され、フンまみれの毎日となった。

主な登場人物・キャラクター

パディントン(声:ベン・ウィショー、日本語吹替:松坂桃李)

ペルーのジャングルから、住む家を探しにロンドンの街にやってきた礼儀正しく、英語が話せるクマ。好物はマーマレード。駅でブラウン一家と出会い、奥さんのメアリーから駅の名前をとって「パディントン」と名付けられる。伯父パストゥーゾの形見でもある帽子を手掛かりに、伯父たちがジャングルで知り合った地理学者の居所を、ブラウン一家の助け得て探そうとするが、とんでもないトラブルに見舞われてしまう。

ヘンリー・ブラウン(演:ヒュー・ボネヴィル、日本語吹替:古田新太)

家族思いのブラウン家の主。仕事はリスク管理で、とても心配性。家にクマがいると災難が起きる確率が4000%増えると計算し、早速保険をかけてしまう。最初はパディントンを厄介者扱いしていたけど、妻や子供たちにパディントンの人探しを懇願されると、嫌とはいえず協力することに。
家政婦のバードさんによると結婚前はかなりワイルドだったらしく、自然史博物館でのパディントン救出作戦では、危険を顧みず窓の外を伝ったり、以前のワイルドさを取り戻していく。

ジュディ・ブラウン(演:サリー・ホーキンス、日本語吹替:斉藤由貴)

心優しく面倒見がいい、ヘンリーの奥さん。冒険物語の挿絵画家の仕事している。ロンドンの下水道を舞台にした新作のヒーローの顔が浮かばず悩んでいる。でも娘のジュディのあだ名はキラキラちゃん、キャンディちゃんとポンポン浮かぶ。ご主人の意にそむいて、パディントンの地理学者探しの手助けをするが、彼が引き起こす度重なるトラブルに、ちょっと迷いが生じることも。

ミリセント・クライド(演:ニコール・キッドマン、日本語吹替:木村佳乃)

ロンドンの自然史博物館で剥製部長を務めている美人館員。博物館に内緒で珍しい動物の剥製をコレクションしている。警備員から、ペルーからの貨物船にマーマレードを食料にしていた動物の跡があったと聞き、その動物を捕まえて剥製にしようと居場所を探り始める。
実は、彼女は地理学者クライドの娘で、クマをロンドンに持ち帰らなかったばかりに父が地理学者協会を追放されたのを恨んでいて、ペルー産のクマの剥製を作ることに執念を燃やしていたのだ。

ジュディ・ブラウン(演:マデリン・ハリス、日本語吹替:三戸なつめ)

ブラウン家の長女。中国語を勉強していて、将来は家を出て起業したいと思っている。最初はパディントンをよそ者扱いしていたが、彼がスリを捕まえる手柄をたて、学校のクラスメイト達から褒められたおかげで親しくなっていく。どこの国の言語もすぐに覚えられる特技があり、パディントンからクマ語を教えてもらい、それが彼の危険を察知するのにとても役立った。

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