容疑者Xの献身（ようぎしゃエックスのけんしん、The Devotion of Suspect X）のネタバレ解説・考察まとめ

帝都大学OB。湯川が友人であり天才と認める数学者で、大学に残り研究者になるつもりだったが、親の介護のため高校の数学教師になる。「数学に似ている」という理由で山に登ることを趣味とする。
人生に絶望していたとき、アパートの隣に越してきた花岡親子と出会い、二人の笑顔や楽しそうな様子に生きる希望を見出す。靖子が元夫の富樫を殺害してしまったことを知り、親子を守るためにとんでもない計画を立てる。

花岡 靖子（松雪 泰子）

弁当屋「みさと」の店長。石神の隣の部屋に、中学生の娘・美里と二人で暮らしている。以前はホステスとして働いていたが、暴力をふるう夫・富樫と離婚し、念願の弁当屋を開く。心機一転を図ろうとしていたが、つきまとわれた挙句、富樫を殺害してしまう。
すぐに自首しようとするが、死体には美里が殺害に関与したと思われるような痕跡があり、美里を巻き込みたくない一心で、石神のアリバイ工作を受け入れる。

見どころ

天才物理学者 VS 天才数学者

本作の見どころは天才物理学者・湯川と天才数学者・石神の壮絶な頭脳戦である。劇中、湯川が石神に向けて言った「誰にも解けない問題を作るのと、その問題を解くのとでは、どちらが難しいか」という言葉の通り、誰にも解けない問題を作った石神に対し、湯川は全力でその問題を解こうとする。
しかしそこには公式では解けない人の気持ちが存在しており、冷静沈着な二人が時折見せる人間らしさも見どころのひとつである。

『容疑者Xの献身』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

「隣同士が同じ色になってはいけない」

大学時代、湯川と石神が出会うきっかけとなったのが、石神が取り組んでいた四色問題である。「いかなる平面地図も四色で塗り分けられるか？」というこの問題は、1976年にコンピュータを利用して証明された。しかし未だに手計算で証明した人物はおらず、石神のように「この証明は美しくない」という意見も多い。
自首をして留置所で一夜を過ごすことになった石神は、頭の中で天井を四色に塗りつぶしていく。そして「隣同士が同じ色になってはいけない」とつぶやく。この言葉は四色問題の定理を表しているとともに、隣人である花岡靖子への石神の思いを表しているように思える。

魂が震えるラストシーン

原作において石神は、ずんぐりした体形で顔も丸く、髪は薄くて老けて見えるという風に描かれている。そんな石神を堤真一が演じることとなり、原作ファンからは「風貌が違いすぎる」と公開前から不安の声が上がった。しかし役作りのため髪の毛を抜いて石神役に挑んだ堤真一の演技は、新しい石神像として多くのファンに受け入れられた。
全ての謎が明らかにされ、靖子と石神が対面するラストシーン。靖子と美里を守るため全てを犠牲にした石神の、あらゆる感情が溢れ出た魂の咆哮は、観るものを震わせ、涙を誘う名シーンである。

『容疑者Xの献身』のエピソード・逸話

最後の出演映画となった伊藤隆大

俳優・伊藤淳史の弟であり、自身も子役としてデビューし、数々の作品に出演してきた伊藤隆大。ガリレオシリーズにおいて、湯川が受け持つ物理学科第13研究室のゼミ学生としてドラマ版から出演してきたが、2009年に21歳の若さで他界。この映画が最後の出演作品となった。

音楽家としての福山雅治

本作で映画初主演を果たした福山雅治だが、ドラマ版同様、主題歌の作詞作曲を担当、内海薫を演じる柴咲コウがボーカルを務めている。さらに福山は劇中歌である「99」の作曲も担当しており、音楽家としてもこの作品において大きな役割を果たしている。

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