容疑者Xの献身(ようぎしゃエックスのけんしん、The Devotion of Suspect X)のネタバレ解説・考察まとめ
ある日川で発見された、顔をつぶされた死体。刑事たちに協力を求められた大学准教授の湯川学は、その犯人を追い求める中で、ある人物にたどり着く。それは、湯川が天才だと認めていた大学時代の同級生、石神哲哉だった。 東野圭吾のガリレオシリーズをテレビドラマ化したキャストとスタッフが再集結し、劇場版として公開されたミステリー映画。
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『容疑者Xの献身』とは、西谷弘が監督を務め2008年に公開された、東野圭吾の小説を映画化した作品。東野圭吾の短編小説を原作としたテレビドラマ『ガリレオ』の劇場版として同ドラマのスタッフやキャストにて制作された。興行収入は49.2億円を記録。大学の准教授・湯川学(ゆかわまなぶ)役を演じる福山雅治にとっては初の主演映画となった。
本作は第33回報知映画賞で高校の数学教師・石神啓哉(いしがみてつや)役を演じた堤真一が主演男優賞を受賞。第32回日本アカデミー賞で優秀作品賞、堤真一は優秀助演男優賞、石神の隣人で弁当屋「べんてん亭」の従業員・花岡靖子(はなおかやすこ)役の松雪泰子が優秀助演女優賞、作品部門で話題賞を受賞した。
天才数学者の石神が、秘かに愛していた隣人・花岡のために、自分に罪を全て着せるように仕向けていく。そのアリバイ工作の解明に天才物理学者の湯川が挑むという、天才同士の頭脳戦が描かれるサスペンス映画である。
ある日川で発見された、顔をつぶされた死体。刑事たちに協力を求められた大学准教授の湯川学は、その犯人を追い求める中で、ある人物にたどり着く。それは、湯川が天才だと認めていた大学時代の同級生、石神哲哉だった。 東野圭吾のガリレオシリーズをテレビドラマ化したキャストとスタッフが再集結し、劇場版として公開されたミステリー映画。
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『真夏の方程式』とは、2010年から連載されていた東野圭吾の『ガリレオ』シリーズが原作の、2013年公開の日本映画である。監督は西谷弘。夏休みを玻璃ヶ浦の川畑(かわはた)家で過ごすことになった柄崎恭平(つかさききょうへい)は、仕事で来ていた湯川学(ゆかわまなぶ)と出会う。しかし同じ時期に玻璃ヶ浦に来ていた元警視庁の刑事が遺体で見つかったことにより、川畑家が抱える秘密が次第に明るみになっていく。この物語は海を臨む美しい町で湯川が少年とともに事件解決に進む様子と、血を超えた家族の愛が描かれている。
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『ガリレオ』とは、ガリレオと称される物理学者・湯川学を主人公とした東野圭吾の連作推理小説。小説を原作にフジテレビ系の月9シリーズにて連続ドラマとして映像化された。主演は福山雅治。 湯川の大学の同級生である警視庁の刑事草薙から、湯川が事件の相談を受けるところから物語は始まる。事件捜査には興味がない湯川だが、人の頭部だけ燃える、見えるはずのないものが見えたなど、一見すると超常現象とも取れる不可解な事件に対し科学者として興味を持った時にこれらの謎の解明に挑む。
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『県庁の星』とは、桂望実により2005年『小学館』から発行されたヒューマン小説及び、それを元にした漫画、映画作品である。県庁に勤める野村聡は、民間人事交流の一員としてスーパー満天堂に配属となる。野村は満天堂の人間を見下し、満天堂の二宮あき達は野村のことを厄介者扱いして衝突を繰り返す。しかし野村が県庁の出世コースから外れたことで二宮との距離が近づき、満天堂の危機も救うこととなる。この物語は立場の違う人間同士が出会い、歩み寄る過程で得る「気づき」を教えてくれる作品となっている。
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『バトル・ロワイアル』は高見広春原作の小説を映画化作品で、アジア某国で施行の「BR法」により選ばれた中学生達のサバイバルゲームを描き、2000年に劇場公開。監督は映画『仁義なき戦い』シリーズ等の巨匠・深作欣二監督。また、藤原竜也や柴咲コウといった俳優が作品を彩り、演技を競う。この作品のキャスト・スタッフは「第24回日本アカデミー賞」「第43回ブルーリボン賞」等を受賞した。2001年には、『バトル・ロワイアル【特別篇】』が、2010年には3D映画版『バトル・ロワイアル3D』が劇場公開された。
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『君たちはどう生きるか』とは、義母を救うために不可思議な世界を旅する少年の姿を描いた、宮崎駿によるアニメ映画。宮崎が「これで本当に最後」と明言して制作した作品で、宣伝も無く、公式HPも無く、一切情報を隠したまま公開されるという独特の手法で話題となった。 太平洋戦争が激化する最中、牧眞人は父と共に郊外へ引っ越し、そこで叔母で新たに自身の義母となるナツコと再会。どう接すればいいのか互いに戸惑う中、ナツコはいずこかへと姿を消し、眞人は彼女を連れ戻すために謎のアオサギに導かれて異界へと旅立っていく。
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『流星の絆』とは、東野圭吾の同名小説『流星の絆』が原作となったミステリードラマである。子どものころに両親を殺された三兄妹が復讐を誓い、真犯人にたどり着くまでを描く。2008年10月から12月に、TBS系22時からの金曜ドラマ枠で放送された。脚本は宮藤官九郎が手掛け、基本のストーリーは守りつつも青春ドラマ的な要素やコメディー的な要素が加わったことで、原作とは大きく異なる世界観となっている。主役の三兄妹を二宮和也、錦戸亮、戸田恵梨香が演じる。
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『白夜行』とは、1999年に刊行された東野圭吾の推理長篇である。発行部数は2010年12月時点で200万部を超えている。1973年、大阪で起きた殺人。犯人は小学5年生の被害者の息子・桐原亮司と、容疑者の娘・西本雪穂。未解決のまま時は流れていく。そして成長した2人は犯罪行為で互いに助け合うようになり、周囲で不可解な事件が次々と起きる。 疑念を抱く刑事が2人の関与に気づき、証言や調査で真相に迫っていくというストーリー。2006年にはテレビドラマ化、2011年には映画化されている。
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『そして父になる』とは、”赤ちゃん取り違え事件”を扱った、2013年制作の日本映画。TVドキュメンタリー出身の是枝裕和が監督・脚本・編集を担当し、主演の福山雅治が初の父親役を演じた。第66回カンヌ国際映画祭では見事に審査委員賞を受賞し大きな話題となった。ある日、突然6年間育てた息子が病院で取り違えられた他人の子どもだったと知らされた対照的な2組の夫婦が、過酷な決断を迫られ、それぞれに葛藤を繰り返す中で本当に大切なものを学んでいく姿を描く。
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『WATER BOYS 2』とは、2004年7月にフジテレビ系で放送されていた青春ドラマで、2003年に放送されたドラマ『WATER BOYS』の続編である。脚本は橋本裕志と中谷まゆみが手掛ける。主演は市原隼人。その他、中尾明慶や斎藤慶太などが出演している。3年前に共学になったばかりの元女子高に転校してきた元水泳部員の水嶋泳吉が、山本洋介と共にシンクロ部を設立する。彼らは様々な問題に直面するも、夢に向かって奮闘していく。本作の平均視聴率は16.8%を超え、大きな反響を呼んだ。
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『WATER BOYS』とは、2003年7月の火曜21時にフジテレビで放送されていたドラマ。映画『ウォーターボーイズ』を元に制作されており、脚本は橋本裕志と中谷まゆみ。主演は山田孝之で、森山未來や瑛太などが出演している。シンクロに憧れて唯野高校水泳部に入部した進藤勘九郎は、学園祭のシンクロ公演でリーダーに選ばれたが、シンクロ公演が急遽中止となってしまう。そこで勘九郎はシンクロ公演を実現させるため動き出す。勘九郎と仲間たちの友情や恋愛を描いた青春ドラマである。
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『嫌われ松子の一生』とは、2006年5月27日に公開された日本のコメディ映画である。山田宗樹の小説『嫌われ松子の一生』を原作としている。川尻笙は、夢をあきらめ、堕落した生活を送っていた。突如故郷の父が来訪し、笙の叔母である松子が死んだことを伝える。松子の住んでいたアパートの片付けを父に頼まれた笙は、会ったことのない叔母の松子の死の真相に迫るとともに、その波乱万丈な人生をたどっていく。ストーリーはシリアスな内容だが、華やかなミュージカルシーンやコミカルな演出が見どころの作品である。
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『名探偵コナン ゼロの執行人』とは、東宝配給、トムス・エンタテインメント製作、立川譲監督によるアニメ映画。東京で開催予定のサミット会場で大規模爆破事件が発生。事件の容疑者として逮捕された毛利小五郎の無実を証明しようとする江戸川コナンの前に、公安警察の古谷零が立ちはだかる。2018年製作・日本作品。
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『舞妓Haaaan!!!』とは、宮藤官九郎が脚本を手がけたコメディ映画である。主人公の鬼塚(おにつか)は舞妓の美しさに魅了され、お茶屋遊びにあこがれていた。しかし京都の茶屋はどこも「一見さんお断り」のため、鬼塚はツテを頼ってなんとか茶屋に入ろうとする。そして贔屓の舞妓・駒子(こまこ)やライバルの内藤(ないとう)、元カノの富士子(ふじこ)等、周りの人物を巻き込みドタバタ劇が繰り広げていく。この作品は鬼塚という舞妓へ異常な執着を持った強烈キャラが、日常を忘れて大笑いさせてくれる映画になっている。
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『プラチナデータ』とは、東野圭吾によるミステリー小説をもとに、2013年に日本で公開された映画作品である。最新のDNA捜査によって検挙率100%、冤罪率0%を目指す近未来の日本を舞台とした作品だ。当初犯人を追う立場だった警察庁特殊捜査機関の天才科学者が突如犯人として追われる立場となり、それをベテラン刑事が追うストーリーとなっている。派手な逃走アクションでは日本映画にはあまり見ない迫力あるシーンも満載だ。ミステリアスな人物達の本当の姿が暴かれていくところも魅力のひとつである。
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『オレンジデイズ』とは、2004年にTBS系列で放送されていた日本のテレビドラマ。妻夫木聡演じる大学4年生の結城櫂(ゆうきかい)と、柴咲コウ演じる病気で聴覚を失った萩尾沙絵(はぎおさえ)のラブストーリーを軸にした若者たちの青春ドラマである。病気で心を閉ざしてしまった沙絵が、櫂の優しさに心を開いていくストーリーが感動を呼んだ。数々のヒット作を生み出してきた北川悦吏子が脚本を手掛けている。
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2016年公開。監督・大根仁、主演・福山雅治の映画。以前は写真週刊誌SCOOP!のエースカメラマンとして数々のスクープ写真を撮っていた都城静だったが、今はうらぶれたフリーランスのパパラッチとして生活していた。静はSCOOP!編集部へ移動してきた新人記者・行川野火と組む事になる。最初は衝突しあうも数々のスクープを撮り二人は次第に惹かれあうが、静にかかってきた1本の電話が悲劇をもたらす事となる。
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『ナミヤ雑貨店の奇蹟』とは東野圭吾の長編小説および、それを基に2017年に制作された日本映画。監督は廣木隆一、脚本を斉藤ひろしが手がけ、主演は山田涼介と名優・西田敏行が務めた。なんとなく悩み相談窓口を始めたナミヤ雑貨店の主・浪矢雄治は手紙のやり取りを通じ、様々な悩みを持つ人たちの人生を変えていく。雑貨店は過去と現在が繋がる不思議な場所となり、現実から逃げ続けてきた青年・矢口敦也を感化させていく。雄治と敦也の奇蹟の一夜の交流を描いた、心温まるファンタジー・ドラマである。
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『花咲舞が黙ってない』とは、池井戸潤の小説『不祥事』、『銀行総務特命』を原作とするドラマ作品である。臨店先へ出向き、業務改善・指導する臨店班に所属する花咲舞と相馬健が、全国の支店で起こる数々の問題の解決に奮闘する痛快ストーリー。2014年にテレビドラマ第1シリーズの放送と講談社『Kiss』での漫画版が掲載。2015年に第2シリーズが放送された。銀行を舞台とし、女性銀行員が次々と行内の不正を暴いていくというストーリーであることから、女版『半沢直樹』と注目された。
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『古畑任三郎』とは、1994年から2008年までフジテレビで放送されたドラマ。主演は田村正和、脚本は三谷幸喜。スペシャル版、スピンオフを含め42回のエピソードがある。ストーリー展開は、物語の出だしで犯人や犯行の様子を明かす倒叙ものと言われる形式である。見所としては、犯人とのスリリングなやり取りや、巧みな話術で自白に追い込む場面である。また、犯人や部下とのコミカルなやり取りも魅力となっている。どんな相手にも敬語で、落ち着いた言動を崩さない。黒のスーツに、ノーネクタイがトレードマーク。
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『るろうに剣心 伝説の最期編』(るろうにけんしん でんせつのさいごへん)とは、和月伸宏の人気漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』を原作とする実写映画。国家転覆を目論む武装組織との戦いを描いた「京都編」の後半を、オリジナルの展開を交えて映画化したもの。前作と合わせて100億近い興行収入を達成する大ヒットとなった。 明治政府打倒を目論む志々雄真実を倒すため、奥義を修得する緋村剣心。その志々雄は明治政府を脅し、剣心を処刑させることを画策。剣心は否応なく人斬りとして犯してきた罪との対峙を迫られる。
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『GOOD LUCK!!』とは、2003年にTBSの日曜劇場枠で放送されたドラマ。木村拓哉演じるパイロットの新海元が、上司や同僚とぶつかりながらも成長していく様子を描いている。また、柴咲コウ演じる整備士の緒川歩実との恋愛模様も見どころのひとつである。撮影には実際の空港が使用され、大手航空会社であるANAが全面協力している。また、今作品の影響により航空業界への就職希望者が続出する現象が起こった。また数々のヒット作を手がけた井上由美子が脚本を担当した。
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『ラストマン-全盲の捜査官-』とは2023年にTBS系「日曜劇場」枠にて放送されていたサスペンスドラマである。現代社会を多く取り上げており、登場人物たちの痛快なやりとりや事件を通しての人間関係などが描かれている。研修生として来日したFBI捜査官である皆実広見(演:福山雅治)は全盲でありながらも数々の事件を解決することから「ラストマン」と呼ばれていた。そんな皆実のアテンドに選ばれたのは護道心太朗(演:大泉洋)という嫌われ者刑事であり、正反対の2人は次々に起こる難事件に挑んでいく。
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『るろうに剣心 京都大火編』(るろうにけんしん きょうとたいかへん)とは、和月伸宏の人気漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』を原作とする実写映画。国家転覆を目論む武装組織との戦いを描いた長編エピソード「京都編」の前半を映画化したもの。人気悪役の志々雄真実を実力派の藤原竜也が演じることで話題となった。 伝説の人斬り緋村剣心が新たな道を踏み出した頃、京都では凄腕の剣客にして野心家の志々雄真実が明治政府打倒のために活動を開始していた。剣心と仲間たちは、志々雄の打倒を目指してそれぞれに動き出す。
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今回紹介させて頂くのは、東野圭吾作『容疑者Xの献身』です。
まず簡単に紹介させていただきます。
東野圭吾の推理小説でガリレオシリーズの第3弾にあたります。
国内の主要ミステリランキングである『本格ミステリ・ベスト10 2006年版』『このミステリーがすごい!2006』『2005年「週刊文春」ミステリベスト10』においてそれぞれ1位を獲得し、3冠と称されました。またそれから他2賞も取り、最終的に5冠となりました。
このように輝かしい受賞の数々。世間からの賞賛の声を欲しいままにしている推理小説になります。
それではあらすじを紹介していきます。
舞台は東京。
アパートに住む花岡靖子と娘の美里を軸に物語は進んでいきます。
娘と平穏な日々を送っていた靖子と美里ですが、ある日急に家を訪れてきた元夫、冨樫慎二と喧嘩になります。
そして暴力を振るわれている母・靖子を助けるために娘の美里は後ろから慎二を殴り、殺害してしまいます。
ことの重大さに怖気付き、パニック状態の二人にまた一人訪問者が来ます。
その男は隣人の天才数学者・石神でした。
石神は物音から、訪ねてきた人物と喧嘩になり殺害してしまったことに気づき、手を差し伸べてきます。
頼ることしかできない二人は見ず知らずの一人の男・石神に家族の命運を託すように指示に従っていきます。
そして、日は経ち、旧江戸川にて一人の遺体が発見されます。
その男は『冨樫慎二』と断定され、内海・草薙刑事は捜査を進め、ある容疑者に辿り着きます。
それが『花岡靖子とその娘・美里』です。
動機・人物との関係・そして何より刑事の勘がこの二人を犯人であると示してくるのです。
だが、それよりも不自然なほどに強力なアリバイが捜査の行く手を阻みます。
困り果てた二人は協力者を訪ねる。
その男とはこのガリレオシリーズの主人公『天才物理学者・湯川学』 です。
内海刑事は事件の概要を説明するとともに、容疑者または関係者の名前を挙げていきます。
そこで不意に出た石神の名前に湯川が過剰に反応するのです。
そう。二人は学生時代の盟友(ライバル)でした。
また湯川が初めて『天才』と思った人物こそ『石神』であったのです。
このことをきっかけに湯川は石神に会うことにします。
『容疑者』としてではなく『友達』として。『捜査』としてではなく『再会』として。
久しぶりの再会、また久しぶりに話が合う人に話が弾む二人。
やはり二人は紛れもない『友人』なのです。
昔と何も変わっていないと語り合う二人。
そんな再会を経て、湯川はこの事件の捜査に協力することになります。
ですが、事件は解決に向かうにつれて湯川が知りたくない事実へと誘うのでした。
湯川が気づいてしまった、石神のほんの些細な『変化』。
石神の指示、そして存在そのものに恐怖を感じるようになりながらも指示に従うしかない 『花岡靖子とその娘・美里』。
見ず知らずの隣人を殺人の容疑から守り続ける石神の真意とは。
そしてどのように二人に完璧なアリバイを作らせたのでしょうか。
「愛」と「正義」。人間として守り続けたい二つの思い。
その両者が対立した時にあなたはどちらを優先しますか?
最後に明かされる、石神が仕掛けた天才級のトリックとは。
儚くも美しく切ない究極のサスペンスをお楽しみください。
「容疑者Xの献身」は、東野圭吾さんの小説を原作にした映画です。以下、ネタバレを含みます。
「偶発的に起きた事件を隠そうとする数学教師」と「真実を明らかにしようとする化学者」の天才同士が対決する話です。全体的にシリアスな雰囲気で笑える場面は少ないです。数学教師の石神(堤真一さん)は、好きな女性(お弁当屋さんの店員・松雪泰子)の罪を隠すために殺人を犯します。さらに好きな女性が別の男性と仲良くしているとその男性のことを調べます。殺人も調査も徹底的に行うので、とても怖いです。また、終盤で「別の男性が信用に値する人であり、自分が全ての罪を被るからその男性と幸せになって欲しい」というメッセージを残して警察に捕まります。「どんなに好きな人でも、私には絶対に無理だ」と感じました。元カノには「元気でいてほしい」とか、「幸せな生活をおくってほしい」とは思います。犯罪、しかも人を殺すなんて、想像もできないです。石神は「人生に絶望していたので、出来た事かな」と感じました。最終的に女性は「人を犠牲にして自分達だけが幸せになる」という結末に耐えられず、自ら出頭して、石神の計画は失敗に終わります。「せめて、服役後、石神と女性が一緒に生活できれば良いなぁ」と映画では描かれていない部分を想像しました。最後はテーマ曲の「最愛」がながれてスタッフロールへと入ります。「最愛」の曲調と歌詞が映画の内容とぴったりフィットするので、しっかりと映画の余韻を楽しむことができます。
東野圭吾原作のガリレオシリーズ初の劇場版にして、邦画の最高傑作の作品。
特筆すべきは湯川の大学の同級生で、現在は高校の数学教員を務めている堤真一演じる石神の存在だ。
原作の中で石神は湯川と対極の冴えない存在として描かれていたので堤真一を配役したのは美化しすぎではないかと鑑賞前は心配になったが、全くの杞憂だった。スクリーンの中の彼は完全に堤真一ではなく「冴えない数学教員の石神」そのものだった。
その石神が暮らすアパートの隣人である花岡親子を思うあまりに起こした行動は正に献身以外の何物でもない。善悪ではなくただただ純粋に彼女達を助けたいと思う気持ちが彼を犯罪へと駆り立て、残忍な方法で自らが盾となり2人を守ろうとした。
友人が凄惨な殺人に手を染めてしまった事に気が付いた湯川が内海に対して「僕がこの謎を解いた所で誰も幸せにならない」とこぼす姿には、いつもの「事件の理論だけを知れればそれで良い」、というドライな心情は欠片もない。
事件が明るみとなり連行される際、全てを悟った花岡靖子が石神に対して涙ながらにかけた「私も罰を受けます」という言葉に、今まで全く感情を表に出す事のなかった石神が「どうして」、と言葉にならない声をあげ、嗚咽しながら連行されていく姿は救い様のない悲しさと共に石神の人間らしい一面、そして数学の天才と称された彼が唯一愛だけを解明する事が出来なかったという事実が表れている。どうしても涙なしには見る事の出来ない悲しい結末だ。
なんともやるせない話である。天才的な頭脳を持つ数学者が、高校教師の職に生きがいを見出せず、人生の生きる気力も失って最後に自分を賭けたのは隣に越してきた親子を守るための偽装殺人トリックだった。もし私が石神だったら自分の持つ数学の天才的な頭脳を活かして大学の研究室に残り研究を続けるとか、高校教師をやっているのだったら未来の天才となる資質を見出して高校生たちの数学力を伸ばすことに生きがいを見つけるとか、いくらでも選択肢はあり自殺まで考えるくらい追い詰められることはなかっただろうと思う。首を吊ろうとしていたまさにその時、隣に越してきた花岡親子の挨拶に気をそがれ、近くでお弁当屋をやっている花岡に惹かれていく。親子を守るのだって犯した殺人の偽装工作ではなく、ちゃんと自首を勧め、服役してくるまで待っていてあげてそれからの苦労を共に歩む生き方もあったはずだ。花岡親子の犯した殺人だって夫の暴力を防ごうとした事故過失なのだから情状酌量の余地も残っていたはずだ。それを自分が罪をかぶり一人死刑を待つという自己破滅的行動に出てしまった。石神が描く花岡親子の将来には自分の姿はなく、ただ自分が身代わりの犠牲になって親子の将来を守るというものである。だが果たしてそれで将来花岡親子が幸せに暮らせるだろうか。自分たちの罪を石神に着せたという強い後悔をずっと引きずっていくに違いない。真相を暴いた湯川学のセリフだが、君のその天才的頭脳をこんなことのために使うなんてとても残念だ。大学時代の親友と本当は一杯酌み交わしながら数学談義でもして過ごしたかったろうに、親友の人生を左右する重い決断を下さなければならなかった湯川学の人生の悲哀。唯一の救いは花岡親子が自首してきて石神の計画をぶち壊したことくらいではないだろうか。この事件で誰も幸せになったものはなく、苦い人間の一面を強く描き出した作品であった。
東野圭吾のガリレオシリーズの映画化です。あまり、湯川さんが目立つ話ではなく、犯人側に焦点を当てた話です。なんか、この話を美談だという人もいるけど、はっきりいってすごくひどい話だと思います。1人、殺される必要のない人が殺されているのに、それをあまり大したことないみたいな感じにして、そこまでするなんてすごい、感動とか言っている人を見ると、はあ?と思います。女の人に殺された人はひどい男だし、襲われてた面もあるんだから、そんなに罪が重くならないように支えてやればいいんだし、だいたい大した関係のない男にあそこまでされたら気持ち悪いです。それに映画は男を堤真一がしていますが、彼だとカッコ良すぎます。原作は、女が相手にしないような男で、それならそんなこともするかもなと思うし、そんな男が見返りを求めないところが良かったと思います。堤真一だと、いくら暗かったって、1人の女に執着する必要がないし、なんかおかしいなと思ってしまいます。そりゃ映画的にはかっこいい人を使ったほうが観客動員数を伸ばせそうですが、ここは思い切ってバイプレーヤーをつかってほしかったです。かっこいい担当は福山くんだけで十分だと思いました。そうしていれば新しい映画て感じですごく良かったと思います。