松田平太(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
松田平太(まつだ へいた)とは、『週刊ヤングジャンプ』で連載の野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の作品に登場する人物。刺青の囚人のうちの一人である。砂金の専門知識を持ち、北海道での砂金の採取に情熱を燃やしている。だが、その本性は多重人格の殺人鬼である。自分がかつて同居していた長兄夫婦、次兄、父親、ヒグマの人格を持つ。自分の家族がヒグマに襲われて殺され、自分もヒグマに襲われて殺される幻覚を見る。その後、自分の体をヒグマに乗っ取られて人を襲って食べるという異常な殺人を行う。
網走監獄を脱獄した松田は北海道中川や湖の砂金を調査する。砂金にはそれぞれ「顔」と呼ばれる粒状、鱗状、板状といった特徴がある。松田はこういった特徴から、北海道で砂金の採れる場所を割り出した。
その中の一つである支惚湖では、同じ刺青の囚人である海賊房太郎と共に行動した。30分以上潜水出来る海賊が水中に潜り、松田は船の上で火を焚いて待機するといった作業分担を行いながら支笏湖の砂金のサンプルを採集する。支笏湖の砂金は他の砂金と違い、特殊な経緯を持つ。のっぺらぼうが以前船で砂金の一部を持って逃げようとしたが、船が転覆してしまい、砂金は船と共に湖に沈んでしまったのだ。支笏湖の水深は360m。北海道で一番深い湖で普通の潜水夫では潜れない深さである。しかも、まだ山に雪の残る春先で下手をすれば死んでしまう状況の中、海賊は支笏湖に潜っていった。そして36㎝もある巨大な足と、水かきの付いた手で驚異的な潜水を成功させ、支笏湖の砂金を採取して戻った。
北海道中から集めたサンプルは、松田が一つ一つ丁寧に紙に包んで保管してある。このサンプルが後に杉元一行の手に渡り、物語の新しい展開のきっかけとなった。この点から松田は『ゴールデンカムイ』において物語主軸のキーマンと言える。
雨竜川を拠点に砂金を採取
北海道中の砂金を採取した後、松田は雨竜川に拠点を置き、本格的に砂金を採取し始める。その腕前は一流で周辺地域で「一日で50円稼いだ男」と評判になっている。ただ、人知れずウェンカムイに支配され、同じ砂金採り師を殺害し喰っている。
杉元一行と遭遇
ウェンカムイの妄想に追われ、額に切り傷を負う。その後も逃げるが崖から滑り落ち、木の根にしがみついて助けを求めていた所で偶然近くに居た杉元一行に助けられる。
杉元一行と行動
杉元一行に助けられた松田は、彼らが砂金に興味を持っている事を知る。妄想の家族に制止されながらも、松田は命の恩人である杉元一行に砂金採りのノウハウを教える。杉元や「脱獄王」の異名を持ち、同じ刺青の囚人で杉元の仲間である白石由竹(しらいし よしたけ)は大喜びで砂金を採取し始める。一方で自然を破壊し、生態系を壊す砂金採りに、のっぺらぼうの娘のアイヌで、メインヒロインのアシリパは乗り気ではなく、冷めた目でその様子を見ていた。
松田と杉元一行は話が弾み、親交を深めていった。その中で杉元一行は松田がアイヌと関わっている事を知る。
砂金について熱い想いと知識を語る松田。そんな松田に杉元と白石は深く感動し、「平太師匠」と呼ぶようになる。
ウェンカムイの妄想が近づいてくる
杉元一行と行動してから初めてウェンカムイの妄想を見る。この時は崖の上から様子を伺っているだけだった。杉元一行がその場所を調べてみると足跡も何も無かった。杉元一行は不可解な現象に首を傾げるしかなかった。一方、松田の妄想ではウェンカムイが人知れず父親を殺して喰っていた。
北海道の自然に詳しいアシリパはチャクチャクカムイ(ミソサザイ)を発見する。これはヒグマが近くにいるとチャクチャク鳴いてヒグマの所に案内させると言われている。そのチャクチャクカムイが静かにしている事にアシリパは疑問を抱く。松田の不気味な描写がこの辺りから増え始める。アシリパと松田の会話の中で、松田が何年もウェンカムイに追われていると話したことでアシリパは松田への疑念を抱くようになる。
ヴァシリに裸体を描かせる
砂金を採取する杉元、白石。別行動を取るアシリパ。その一方、元ロシア帝国兵士で杉元の仲間である、狙撃の名手ヴァシリは北海道の自然をスケッチしていた。そこへ松田の義姉(長兄の妻)が話しかけ、ヴァシリを人のいないテントに連れ込む。そして服を脱ぎ、自らの裸体をスケッチするように依頼した。黙々とスケッチをするヴァシリ。そこへ長兄が怒鳴り込み、義姉をテントの外へ連れ出した。
このシーンは松田の視点で描写されている。魅力的な義姉がその裸体をヴァシリに描かせるという風に見えるシーンになっている。
ヴァシリを殺そうとするも失敗
義姉が立ち去った後もスケッチを続けるヴァシリ。そんなヴァシリに松田の長兄が再びやって来る。そしてヴァシリの双眼鏡が向こうの木に置いてある事を教え、取りに行くように促す。いつの間にか先ほどのやり取りの中で双眼鏡をヴァシリから盗んでいたのだ。その言葉に従い、ヴァシリは双眼鏡を取りに行った。実はその場所にはアマッポが仕掛けてあり、「さわり糸」にヴァシリは触れてしまう。仕掛けてあった毒の弓矢が発射され、危うく命を落としかけるヴァシリだったが、駆け付けたアシリパに付き飛ばされて事なきを得た。
このシーンも松田の視点で描かれている。長兄が自分の妻が誘惑したヴァシリに嫉妬し、殺害しようとアマッポへ誘導した、という風に見えるシーンになっている。
杉元一行、松田が刺青の囚人だと気付く
アシリパは松田の言動に疑問を持ち、ヒグマがいたと松田が発言した場所一帯を広く調べていた。結果的にヒグマの痕跡が発見出来なかった為、アシリパは松田が嘘をついている事を確信する。だが、その後合流した杉元と白石はヒグマの後ろ姿を発見していた。謎が謎を呼び、不可解さが深まっていく。そこで杉元とアシリパはヒグマを探し、白石は別の場所でスケッチをしているヴァシリを連れ、ヒグマに狙われている松田を探しに二手に分かれた。
一方、松田はヒグマが父親と次兄を殺して作った土饅頭を発見し驚愕する。ふと、近くで念仏を聞き、様子を見に行くと長兄が念仏を唱えながらヒグマに喰われていた。更に松田は近くの木陰で息を殺して潜んでいた義姉を見つける。松田に気付くと義姉は泣きながら抱き着いてくる。義姉は目の前で夫を殺され、怯えていたのだ。そんな義姉に欲情したのか、松田は義姉に口付けをするも義姉に拒否される。そんな義姉に「ごめんなさい。嵩ニイにはいわないで。また殴られる」と発言。次の瞬間、ヒグマの巨大な手が義姉の顔を抉り取る。思わず逃げ出す松田。逃げる間際に「ノリ子姉ちゃんが悪いんだ」と捨て台詞を残している。
逃げ出した松田は杉元一行と合流し、助けを求める。パニックになりながら家族が殺された状況を説明する松田に杉元は一言。「さっきから誰の話をしてるんだ?」。場の緊張感が頂点に達する。一方の白石は黙々とスケッチをしているヴァシリを発見。松田を共に探しに行こうと声を掛けた際、そのスケッチを見て驚愕する。そこには刺青が彫られた松田の裸体が描かれていた。松田が刺青囚人の一人だった事が判明する。
松田の家族は、松田の妄想であった事が暴かれる。読者は松田の妄想を見ていたのだ。今まで感じていた違和感や疑問が一気に解決する。
ウェンカムイに支配される
妄想の家族が全員殺された松田。その言動はどんどん奇妙になり、杉元は混乱していた。そんな最中、アシリパは冷静だった。状況を分析し、松田の足元にある風呂敷に包まれたヒグマの毛皮について尋ねる。アシリパの仮説は杉元と白石が見たヒグマはその毛皮ではないか、という事だった。その指摘に支離滅裂な言動の松田。そして、そんな松田に杉元は疑念を募らせていく。不穏な空気は頂点に達する。松田は、「自身の持つヒグマの毛皮が風呂敷を破って徐々に大きくなっていく」のを目撃する。その様子を見て杉元とアシリパに逃げるよう促す松田だった。そんな松田にアシリパは「平太のいうウェンカムイとは平太の頭の中にだけいるんじゃないのか」と指摘する。
ヒグマの毛皮は形を成して行き、松田の顔のヒグマとなった。アシリパの指摘通り、ウェンカムイは松田の妄想の中に存在していたのだ。ウェンカムイは松田の首を妄想の中で叩き折って喰い始めた。杉元の視点からだと松田が急に倒れ、ヒグマの毛皮を毛布の様に被ったように見えていた。毛皮の中で痙攣した後に松田はヒグマの様な鳴き声を発しながら立ち上がる。ヒグマの毛皮を被り、不気味な松田。すると突然、杉元に右腕を叩きつけた。咄嗟に左腕でガードする杉元。その一撃を左腕でモロに受けてしまい、左腕をへし折られてしまう。以前の松田からは想像もつかない怪力を発揮し、ヒグマの様な雄叫びをあげる松田だった。その様子は最早言葉も通じない一匹の凶暴なヒグマであった。
杉元と交戦
襲い掛かる松田に、杉元は応戦する。取っ組み合いとなり、二人は崖から転がり落ちてしまう。その際杉元の持っていた銃が木に引っかかり、杉元は銃を使えなくなってしまう。異様な怪力で掴みかかり、大人の杉元を軽々と放り投げてしまう松田。木に叩きつけられるも、距離を取る事に成功した杉元は銃剣を抜いた。そして再び襲ってきた松田に銃剣を何度も突き立てたのだった。
自ら命を断つ
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津山睦雄(つやま むつお)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する刺青の囚人のうちの一人で、「三十三人殺し」と呼ばれている。本編には登場せず、第七師団の鶴見中尉が刺青人皮を持っている。津山から剥いだ刺青人皮をベストのように着こなす鶴見中尉の姿は、多くの読者に衝撃を与えた。「三十三人殺し」という経歴から、モデルは「津山三十人殺し」の都井睦雄(とい むつお)であるという見方が一般的だ。
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菊田杢太郎(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
菊田杢太郎(きくた もくたろう)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、鶴見中尉率いる第七師団の一員。作中では珍しく、比較的常識的な言動をする男だ。日露戦争で倒したロシア将校の銃を奪い、戦争が終わった後でも持ち歩いている。金塊争奪戦には途中から参戦したが、その正体は軍中央から鶴見中尉に差し向けられたスパイ。また、かつて故郷を出たばかりの杉元佐一(すぎもと さいち)と出会い、軍に入隊するきっかけを作っており、「不死身の杉元」の生みの親とも言える。
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インカラマッ(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
インカラマッとは、『週刊ヤングジャンプ』にて連載されていた野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する人物で、占いで生計を立て北海道を旅するアイヌ女性。少女の頃にアシリパの父ウイルクと交流があり、金塊争奪戦の渦中にいるアシリパの周囲に現れる。目的を明かそうとせず、周囲を占いで惑わすような行動を取るため、その存在を怪しまれている。鶴見中尉率いる第七師団から離れ小樽のアシリパのコタンで療養していた谷垣源次郎と、疱瘡で家族を失ったチカパシとともに、アシリパを追いかけ旅をする。
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江渡貝弥作(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
江渡貝弥作(えどがいやさく)とは、野田サトルによる漫画作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、北海道・夕張で剥製工房を営んでいる青年である。剥製職人としての腕は良いが、人間の死体の皮で革細工を作るという歪んだ趣味を持っている。自分の実の母親を剥製にして所有。母親の偏った教育の下で成長したが、母を慕うなどマザコン気質の持ち主である。鶴見の依頼により贋物の刺青人皮を作成したが、刺青を狙う尾形や杉本に狙われる。初めて自分を受け入れてくれた鶴見を慕っており、最期は鶴見の為に自らの命を犠牲にした。
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目次 - Contents
- 松田平太のプロフィール・人物像
- ウェンカムイの話がトラウマになる
- 人格が分裂し、殺人鬼になる
- 松田平太の装備・能力
- 煙草入れ
- 舶来の長靴
- カナペラ
- ガラス箱
- 砂金の知識
- ネコ板
- アマッポ
- ヒグマの毛皮
- ウェンカムイの人格
- 松田平太の来歴・活躍
- 砂金採り師として道東で活動
- ヒグマに家族を襲わせてしまう
- 死刑囚として網走監獄に収監される
- 脱獄後、北海道中の川と湖を調査
- 雨竜川を拠点に砂金を採取
- 杉元一行と遭遇
- 杉元一行と行動
- ウェンカムイの妄想が近づいてくる
- ヴァシリに裸体を描かせる
- ヴァシリを殺そうとするも失敗
- 杉元一行、松田が刺青の囚人だと気付く
- ウェンカムイに支配される
- 杉元と交戦
- 自ら命を断つ
- 松田平太の関連人物・キャラクター
- 杉元佐一(すぎもと さいち)
- 白石由竹(しらいし よしたけ)
- アシリパ
- ヴァシリ
- 海賊房太郎(かいぞく ぼうたろう)
- 親父
- 嵩ニイ(たかにい)
- ノリコ
- 二郎ニイ(じろうにい)
- 門倉利運(かどくら としゆき)
- キラウシ
- 松田平太の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「これは第二のゴールドラッシュなんですよ!!」
- 「もう何年もです」
- ぺろぺろぺろ
- 「私は必ずあいつに食われる。だから出来るだけ離れてください」
- 家族全員が松田の妄想だったと判明するシーン
- 「平太の頭の中にだけいるんじゃないのか?」
- 松田平太の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 松田平太のモデル
- ビリー・ミリガン
- 物語と類似している事件
- 三毛別羆事件