死刑にいたる病(小説・映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『死刑にいたる病』とは、櫛木理宇による小説、およびそれを原作として白石和彌監督によって実写化されたサイコミステリー映画である。鬱屈した日々を過ごす岡田健史(水上恒司)演じる大学生・筧井雅也の元に、阿部サダヲ演じる24人もの少年少女を殺害し世間を震撼させた連続殺人犯・榛村大和からある日突然1通の手紙が届くことから物語がスタートする。PG-12指定。
榛村が爪に異常な執着心を持っていた。根津かおる以外の被害者たちは爪を剥がれてから殺されており、それを記念品としてコレクションした榛村が水路に被害者たちの爪をまき散らすシーンが印象的である。
死刑にいたる病
本作品のタイトルであり、本作品の登場人物は皆この病に支配され翻弄されていく。
デンマークの哲学者セーレン・キェルケゴールの著書『死に至る病』に由来しており、本作品の小説冒頭には「絶望とは死にいたる病である」という彼の言葉が引用されている。
作中で榛村は、人を傷つけることが「自分にとって必要だった」と語るシーンがあり、榛村がこの病に罹患し支配されていることを表していると言えるだろう。
『死刑にいたる病』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
金山一輝「自分で決めると、ろくなことにならないから」
拘置所の帰り道で、雅也が金山と出会った際にかけられる言葉。
過去に榛村から、弟と互いに刃物で傷つける「痛い遊び」をさせられており、どちらがどちらを傷つけるのかを自分たちで決めさせてられていたことがずっとトラウマであった金山にとっての、自ら選択する事への恐怖心を表した言葉であった。
筧井雅也「みんな、彼を好きになる」
榛村の事件や人物像を追う中で、雅也が発した独り言。
関係した人々は皆、榛村に親しみを持ち悪口を言う者もいない。それだけでなく、初めは榛村に対して高圧的で毅然とした態度であった刑務官が物語中盤では榛村と談笑し、面会時間が規定時間を越えてしまっても見て見ぬふりをしていた。
それほどに、榛村が周りの人間を取り込むことができる魅力的な人間を演じていたということを表すセリフである。
戦慄のラストシーン
榛村に支配された日々から抜け出した雅也に対して、灯里が「剥がしたくなる?」という言葉を発したことが、雅也を一気に榛村の支配下に引き戻させた。
榛村を蝕んだ「死刑にいたる病」に、灯里も罹患していたことを表す戦慄のラストである。
『死刑にいたる病』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
映画の方向性を決めたのは、榛村宅のロケ地
事件の舞台となる榛村の自宅は、「ここを見つけてこの映画の方向性がほぼ決まった」と白石監督が語るほど重要なロケーションであった。また、被害者たちが監禁、拷問される燻製小屋は美術を担当する今村力氏のこだわりがたくさん盛り込まれているそう。
トークは、榛村が若者を殺しながら優雅に暮らす自宅のロケ地に関する話題へ。うっそうとした森を裏手にし、近くに水門がある榛村の自宅は、白石が「ここを見つけてこの映画の方向性がほぼ決まった」と語るほど重要なロケーションだった。榛村が水路に花びらのようなものを散らす冒頭のアイデアも現場で生まれたものだそう。今村も「ドキドキした。いい映画を観てるぞという気になった。それぐらいロケ地として完璧」と高く評価する。
榛村が若者たちを監禁・拷問する燻製小屋には、今村のこだわりが多数込められた。惨劇を際立たせるために、小屋の脇には白い百合を植えたことや、拷問に使われるフックを鉄工所に特注で作ってもらったエピソードなどを披露。白石は「今村さんは(部屋の)真ん中に柱を置いたり、狭かったりと、どうやって撮影したらいいの?ってなるものを作ってくれる」と語り、燻製小屋もカメラマン1人が入るのがやっとの狭さだったと撮影時の苦労を笑いながら打ち明ける。さらに今村の美術に「どの方向にカメラを向けても絵になる。心強さをいつも感じている」と全幅の信頼を寄せた。
出典: natalie.mu
共演者も怯えた、阿部サダヲの怪演
連続殺人鬼である榛村大和を演じた阿部サダヲの怪演が大きな話題を呼んだが、阿部と初共演であった金山一輝役の岩田剛典も実際に阿部の演技を目の当たりにし、恐怖を感じたそう。
初共演となった阿部について、岩田は「あっという間といいいますか。一日だけ共演させていただいた。映画のポスターの目のまんまなんです。本当に殺されるかと思いました。目に全く光が宿っていない状態の阿部さんだったので、怖いなと思いながら共演されていただきました」と阿部の役作りを振り返った。「今はどうか?」と問われ、「気さくな。白(の衣装)が似合っていらっしゃいます」。
雅也がサラリーマンを襲撃するシーンは、まさに怪我の功名
雅也がだんだんと攻撃的な性格に変わっていく様子を表したシーンの中の1つに、夜道で肩がぶつかったサラリーマンに殴りかかったことで手の甲に傷を負うシーンがある。
実は、雅也役の岡田健史(水上恒司)が他のシーンの撮影中に手の甲に怪我をしてしまい、その傷を生かした脚本に変更するために取り入れられたシーンであったそう。
岡田さんが別の場面で怪我をしてしまい、絆創膏を貼らなきゃいけなくなってしまった。岡田さんは「これによって手を見せないように芝居をすることは、やりたくない」とおっしゃって。こちらとしても「なんとかしよう」と。そこで、物語のなかでも雅也が怪我する設定にして組み込んだのですが、いろんなところに良い形で影響が出てきて、映画が出来上がってみるとラストまでの流れも怪我がないと成立してないくらいの感じになって。もちろん、怪我はなかった方が良いに決まっていますが、「これはうまくいった」と思いました。
出典: news.yahoo.co.jp
『死刑にいたる病』の主題歌・挿入歌
劇中音楽:大間々昂『映画「死刑にいたる病」 オリジナル・サウンドトラック』
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目次 - Contents
- 『死刑にいたる病』の概要
- 『死刑にいたる病』のあらすじ・ストーリー
- 連続殺人犯・榛村大和からの手紙
- 榛村の起こした事件
- 事件を調べ始める雅也
- 母と榛村との関係
- 母から明かされる事実
- 根津かおる事件の目撃証人は、過去の被害者
- 金山の告白
- 紐解かれる根津かおる事件
- 最後に突き付けられる真実
- 『死刑にいたる病』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 筧井雅也(演:岡田健史/水上恒司)
- 榛村大和(演:阿部サダヲ)
- 金山一輝(演:岩田剛典)
- 筧井衿子(演:中山美穂)
- 加納灯里(演:宮﨑優)
- 根津かおる(演:佐藤玲)
- 『死刑にいたる病』の用語
- ベーカリー「ロシェル」
- 高校生
- 爪
- 死刑にいたる病
- 『死刑にいたる病』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 金山一輝「自分で決めると、ろくなことにならないから」
- 筧井雅也「みんな、彼を好きになる」
- 戦慄のラストシーン
- 『死刑にいたる病』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 映画の方向性を決めたのは、榛村宅のロケ地
- 共演者も怯えた、阿部サダヲの怪演
- 雅也がサラリーマンを襲撃するシーンは、まさに怪我の功名
- 『死刑にいたる病』の主題歌・挿入歌
- 劇中音楽:大間々昂『映画「死刑にいたる病」 オリジナル・サウンドトラック』