すずめといす(すずめの戸締まりスピンオフ絵本)のネタバレ解説・考察まとめ

『すずめといす』とは、マクドナルドのハッピーセットのおまけとして期間限定で配布された、『すずめの戸締まり』を題材とする絵本。『すずめの戸締まり』の前日譚を描いている。
母子家庭で育つ少女すずめは、仕事や勉強で忙しいあまりに机に突っ伏して寝てしまった母のためにごちそうを作ってあげようと思い立つ。1人で料理を作れるだろうかとすずめが不安に思ったところで、母お手製の“すずめのいす”が動き出し、自分も手伝うと言い出す。

『すずめといす』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

すずめと“すずめのいす”の料理

母のために何を作ろうと悩むすずめに、“すずめのいす”は様々な料理を提案する。個々の料理は非常に色鮮やかに、いかにもおいしそうに描かれており、見るだけでも楽しいものとなっている。
“すずめのいす”の提案する料理の1つ1つがすずめの好物であることが、後の展開の伏線としても機能している。

100ばいげんきになるおにぎり

どんな料理を作ろうかと考えたすずめは、結局自分にできるのはこれくらいだと結論し、母のためにおにぎりを作る。母はそれがすずめからの贈り物であることに気付き、疲れて眠ってしまった彼女をベッドに運びつつ、その傍らで娘が作った初めての料理である自分のためのおにぎりを食べ始める。
すずめと母がいかに互いを大切に想っているかがよく分かる、愛情に満ちた名場面。本編を見たことがある者にとっては、その後2人に待ち受ける悲痛な運命をどうしても意識してしまう、悲しくも胸温まるシーンである。

『すずめといす』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

動き出した“すずめのいす”=イマジナリーフレンド説

本編同様、すずめの前で動き出した“すずめのいす”。どうしていすが動き出したのか、本編のように誰かと融合したのか、作中では特にアンサーが示されていない。
最終的にすずめは1人でおにぎりを作り、“すずめのいす”に突っ伏して眠ってしまっているので、「すずめと“すずめのいす”の2人で母のためのごちそうを作る」という中盤のシーンが彼女の夢か想像でしかなかったことは間違いない。一度寝て、夢を見て、起きてから絵を描いておにぎりを作ったとするとかなり時間が必要なので、「すずめは自身の想像の中で“すずめのいす”と会話し、おにぎりを作ろうと考えた」とするのが妥当である。

幼児が愛用の私物に人格を見出し、友人のように感じたり実際にしゃべっているように感じることはそれほど珍しいことではなく、これを「イマジナリーフレンド(空想上の友人)」と呼んでいる。すずめにとって、母が作ってくれた自分のためのいすは、まさにある種のイマジナリーフレンドだったのだといえる。
果たしてイマジナリーフレンドとしての“すずめのいす”はすずめ自身の声でしゃべっていたのか、いずれ出会う草太の声でしゃべっていたのか、それともダイジンの声でしゃべっていたのか、それによっても大きく印象が変わる話である。

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