岩戸環(すずめの戸締まり)の徹底解説・考察まとめ
岩戸環(いわと たまき)は、『すずめの戸締まり』(すずめのとじまり)の登場人物で、主人公である岩戸鈴芽の叔母。
普段は宮崎の漁業協同組合で働く。東日本大震災で姉の岩戸椿芽が行方不明となり、当時まだ4歳だった姪の鈴芽を引き取り、以後12年間実の親以上の愛情を注ぎながら彼女を育ててきた。鈴芽に対する愛情は本物だが、一方で「鈴芽の世話に時間を取られたせいで、女として大切な時期を犠牲にしてしまった」との想いも捨て切れず、それを持て余している。同僚の岡部稔から想いを寄せられている。
岩戸環の概要
岩戸環(いわと たまき)は、『すずめの戸締まり』(すずめのとじまり)の登場人物で、主人公である岩戸鈴芽(いわと すずめ)の叔母。
東日本大震災で姉の岩戸椿芽(いわと つばめ)が行方不明となり、当時まだ4歳だった姪の鈴芽を引き取り、以後12年間実の親以上の愛情を注ぎながら彼女を育ててきた。鈴芽に対する愛情は本物だが、一方で「鈴芽の世話に時間を取られたせいで、女として大切な時期を犠牲にしてしまった」との想いも捨て切れず、それを持て余している。
その鈴芽がイスに姿を変えられた青年宗像草太(むなかた そうた)と共に、地震を生み出すミミズを鎮めるための旅に出た際、詳しい事情をまったく知らされなかったため、「鈴芽がいきなり家を飛び出し、学校も休んで日本中を旅している」と頭を抱える。スマホの購入履歴を辿って東京にいることを突き止め、そこまで迎えに行くが、この頃には鈴芽は草太のことを真摯に想うようになっており、東京を救おうと自ら要石となって常世という異界に取り残された彼を救うために故郷の宮城に向かうつもりでいた。
頑として“草太を助ける”という意志を譲らない鈴芽に根負けし、草太の友人の芹澤朋也(せりざわ ともや)と共に宮城に向かう。常世に向かう鈴芽を見送り、草太と共に戻ってきた彼女を連れて、旅の中で世話になった人々にお礼を言いながら宮崎へと帰っていった。
岩戸環のプロフィール・人物像
CV:深津絵里
宮崎の漁業協同組合で働くキャリアウーマン。年齢は30代後半。仕事が忙しい中でも鈴芽のために愛情たっぷりのお弁当を作ることを欠かさない、母性愛に溢れた人物。
恋人はおらず、今から相手を作るのは難しいとも考えており、結婚に対する意識は薄い。部下の岡部稔(おかべ みのる)からは想いを寄せられているが、そういった事情もあってあまり本気で取り合っていない。
鈴芽は環の愛情をありがたいものだと感じてはいるが、「自分を育てたせいで叔母さんの時間を奪ってしまったのではないか」とも考えており、彼女に対してやや距離のある態度を取っている。一方で母を失った自分にかけてくれた「家族になろう」という言葉を心の支えにしており、物語終盤でそれを否定された時はショックを受けていた。
岩戸環の来歴・活躍
姉の死と新しい家族
どういう形でそうなったのかは不明ながら、環は宮崎、姉の岩戸椿芽(いわと つばめ)は宮城と日本の南北に別れて暮らす。椿芽が一人娘の鈴芽(すずめ)を儲けた一方で、環は結婚も出産もしていなかったようである。
2011年の3月11日、東日本大震災が発生。椿芽は津波に飲み込まれて行方不明となり、それを聞いて慌てて宮城に駆け付ける。母を亡くした鈴芽は、それがまだ受け入れられず、避難所を抜け出しては椿芽を探し回ることを続けていた。これを見た環は、「姉が遺してくれたのはこの子しかいない、それを守れるのは自分しかいない」と涙し、鈴芽に「私と家族になろう」と訴える。
その後鈴芽を宮崎に連れ帰り、実の親以上にたっぷりと愛情を注いで育てていく。鈴芽の世話と仕事を両立させることで忙しく、自身の結婚や恋愛は次第に諦めていった。内心では“鈴芽を引き取ったせいで女として大切な時期を無駄にした”との考えを捨てられないでいるが、「姉に対しても、あの時自分と家族になることを受け入れてくれた鈴芽に対しても言ってはいけない言葉だ、知られてはならない気持ちだ」と胸の奥底に封じ続ける。
鈴芽の戸締まり
鈴芽が高校生になった頃には、彼女との関係も家族として安定し、冗談を言い合えるような間柄となる。この頃、仕事先の同僚の岡部稔(おかべ みのる)という男性から好意を寄せられるようになり、鈴芽からは応援されるが、今さら恋人や夫を作る気にもなれず本気で応えようとしない状態を続けていた。
しかしある時、大きめの地震が起きた後、見知らぬ青年を自分の部屋に連れ込んだ鈴芽が家を飛び出すという事態が発生。たまきはこれに慌てふためき、「どこにいるのか、何をしているのか」と鈴芽のスマホに再三連絡するも、彼女からは「大丈夫だから心配しないで」との言葉しか戻ってこずに大いに気を揉む。
実はこの時、鈴芽は「大地震を発生させる、“ミミズ”こと常世(とこよ)という異界を流れる強大な力の奔流」と、「ミミズが地上に流れ出ないように封じる要石」の存在を知り、「ミミズを封じる役目を代々受け継ぐ閉じ師の青年宗像草太(むなかた そうた)」と共に、「他ならぬ鈴芽自身がうっかり抜いてしまい、子ネコへと姿を変えて逃走した要石」を追って旅をしていた。その愛らしさで“ダイジン”と名付けられてネットの人気者となった要石は、草太を鈴芽の母の形見のイスと融合させてしまっていた。鈴芽は「ダイジンが逃げたのは自分のせいだ」と責任を感じると共に、イスの姿になってしまった草太を放っておくこともできなかったのである。
しかし鈴芽はこれらの事情を証拠もないまま環に信じさせる自信が無く、彼女に対しては言葉を濁し続けた。姉が遺してくれた、愛情を込めて育ててきた鈴芽が家にも戻らず若い男と旅をしているという状況に焦りに焦った環は、彼女のスマホの決済記録を追跡して迎えに行くことを決意する。
被災地への旅
東京でようやく鈴芽と再会するが、この時にはすでに彼女は宮城に向かうことを決めていた。この時、東京に現れた巨大なミミズを止めるため、何百万という人々を守るために、草太は自らを要石として常世に封じられていた。彼に頼まれてそれを成した鈴芽は、今度は草太を救うために、自分が常世に行く唯一の方法が存在する宮城に向かおうとしていたのである。
頑として“草太を救う”意志を曲げない鈴芽に根負けし、草太の友人の芹澤朋也(せりざわ ともや)の運転する車で宮城を目指す。この旅の最中、「どうして自分に何も教えてくれないのか」と鈴芽と口論になる。この時環はサダイジンこと日本のミミズを封じるためのもう1つの要石が姿を変えた黒ネコに憑依されており、その力で悪意や敵意を刺激されて胸の奥底に封じていた「鈴芽を引き取って育てたせいで女として大切な時期を無駄にした」との想いを口にしてしまう。鈴芽はこれにショックを受けるが、ここでサダイジンが憑依を解除し、環もまた「言うつもりはなかったのに、絶対に言ってはならなかったのに、どうして言ってしまったのか」とショックを受ける。
その後鈴芽とはギクシャクした空気が続くも、12年間家族として共に暮らした絆を信じ、「あれは本音だが、あれだけがあなたとの暮らしの中で感じた全てではない」と打ち明ける。鈴芽はこれを受け入れ、ダイジンやサダイジン、草太についてようやく少しだけ説明。「地震を起こす怪物を封じるために、逃げ出した神様を追いかけていた」との話をさすがにすぐには信じられなかったが、「今さら鈴芽が自分に嘘を言うわけがない」と呵々大笑してなんとなく受け入れる。
やがて彼女たちの旅は、目的地である鈴芽の生家の跡地へと辿り着く。常世に通じる扉を開けて、「好きな人のところに行ってくる」と笑顔で報告してダイジンやサダイジンと共に踏み出していく鈴芽を見送る。
常世の中で、鈴芽は草太を解放し、再び要石になることを了承してくれたダイジンやサダイジンの力でミミズを封印。無事に現世へと帰還する。姪が言う「好きな人」こと草太がどんな男なのか興味を抱きつつ、再会を約していったん別れることを受け入れた2人を見守り、鈴芽と共に宮崎へと戻っていく。その途中、旅の中で鈴芽が世話になった人々のところに顔を出し、お礼を兼ねて挨拶をしていった。
宮崎に戻った後は、岡部と付かず離れずの関係を続けつつ、改めて「自分たちは家族である」と確かめ合った鈴芽とそれまで通りの日常を送っている。
岩戸環の関連人物・キャラクター
岩戸鈴芽(いわと すずめ)
姪。姉の椿芽が東日本大震災で命を落として以来、手元に引き取って実の親以上の愛情を注ぎながら育てている。
時に甘え、時に突き放し、気軽に冗談を言い合うなど家族としての仲は非常に良好だが、環は「鈴芽を引き取ったせいで、女にとって大切な時期を無駄にしてしまった」との想いを心のどこかで感じており、良くないことだと思いながらもそれを捨てられずにいる。
鈴芽も鈴芽で、「自分のせいで環の大切な時間を使わせてしまったのではないか」との想いを抱えている。一方で母を亡くした直後に彼女がかけてくれた「家族になろう」という言葉を胸の支えにしており、サダイジンに操られた彼女がそれを否定した時はショックを受けていた。
岩戸鈴芽(すずめの戸締まり)の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]
renote.net
岩戸鈴芽(いわと すずめ)とは、『すずめの戸締まり』(すずめのとじまり)の登場人物で、常人には見ることができないはずの“地震を生み出す力の奔流”ミミズを視認できる少女。
母子家庭で生まれ育ち、母を失った後は宮崎に住む叔母の岩戸環の下で育つ。幼い頃に「死んだはずの母と再会し、何か大切なことを教えられ、見知らぬ青年と共に見送られる」という不思議な経験をしている。高校生になった時、ミミズを封じることを役目とする宗像草太と出会い、記憶の中の青年と似ていたことから彼に興味を抱き、共に日本中を旅していく。
岩戸椿芽(いわと つばめ)
実姉。環は宮崎、椿芽は宮城とかなり離れて暮らしていたが、どういった経緯があったのかは不明。
東日本大震災で津波に飲み込まれたまま行方不明となり、事実上死亡した扱いとなっている。環は“鈴芽の後見人”という立場も含めて、椿芽の遺産の大部分を受け取っているらしく、作中でそれに言及するシーンがある。
岩戸椿芽(すずめの戸締まり)の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]
renote.net
岩戸椿芽(いわと つばめ)とは、『すずめの戸締まり』(すずめのとじまり)の登場人物で、主人公岩戸鈴芽の母親。物語開始時点ですでに故人である。
夫と死別したのか、離婚したのか、未婚の母だったかは不明だが、宮城の海岸沿いの町で女手1つで鈴芽を育てていた。休日を利用してイスを手作りしてプレゼントするなど、鈴芽には惜しみなく愛情を注いでいた。物語開始の12年前、東日本大震災に被災し、津波に飲み込まれて行方不明となる。死体は未だ見つかっておらず、鈴芽は「母の死」を受け入れるのにかなりの時間を要した。
岡部稔(おかべ みのる)
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