宗像草太（すずめの戸締まり）の徹底解説・考察まとめ

宗像草太の概要

宗像草太（むなかた そうた）とは、『すずめの戸締まり』（すずめのとじまり）の登場人物で、ミミズこと“地震を発生させる強大な力の奔流”を封じる役目を持つ閉じ師の一族の青年。
普段は東京の大学に通い、友人の芹澤朋也（せりざわ ともや）と共に教師を目指して勉強している。ミミズの通り道である後ろ戸とそれを封じる要石の様子を確認するために宮崎を訪れた際に、現地の高校生である岩戸鈴芽（いわと すずめ）と出会い、ダイジンこと子ネコへと姿を変えた要石によってイスと融合させられてしまう。

以降、協力を申し出てくれた鈴芽と共にダイジンを追う旅に出発し、日本各地の後ろ戸を閉じていく。しかし実はダイジンに要石としての役目を押し付けられており、次第に自我と意識を失っていた。東京に空前の規模のミミズが現れた際、もはや後ろ戸を探して閉じる余裕は無いとして、鈴芽に自分を要石として事態を打開するよう懇願。逡巡の末に鈴芽がこれを実行した結果、イスの姿のまま新たな要石と化し、ミミズが本来存在する場所でもある“全ての時が同時に存在する”常世に封じられる。
通常であればそのまま永遠にミミズを封じ続けることとなるはずだったが、「草太を助けたい」と願う鈴芽が常世にまで押しかけ、彼女により解放される。再び要石になることを了承したダイジンを自らの代わりに打ち込み、現世への帰還を果たす。

旅の中で鈴芽とは互いに好意と信頼を寄せ合うようになり、命懸けで自分を助けてくれた彼女に感謝し、再会を約していったんそれぞれの暮らす場所へと戻る。季節が廻った後、再び宮崎を訪れ、鈴芽と再会した。

宮崎草太のプロフィール・人物像

CV：松村北斗

心身共に頑健かつ、非常に穏やかで優しい性格。大学に4年通っているので、年齢は最低でも22歳前後だと思われる。友人の芹澤が言うには「自分のことは後回しにしてばかり」らしく、いつか大変な目に遭うのではと心配されていた。作中では肉親は祖父の羊朗（ひつじろう）しか登場しておらず、両親とは死別しているものと思われる。
ミミズの通り道である後ろ戸を閉じて回る“閉じ師”の一族の生まれで、今ではほとんどボランティアにも等しいこの仕事を強い使命感と共に続けている。そのため日本各地を旅して回っており、遠出することに慣れていて、作中で新幹線に乗った際は「初めて乗った」と鈴芽がはしゃいでいたのに対して本人は落ち着き払っていた。

芹澤とは気の置けない友人で、共に教師を目指して勉強してきた間柄。芹澤自身は「草太に2万円貸している」と言っているが、実は貸したのは草太の方であり、彼を探すために鈴芽と共に宮城までやってきた彼は「草太のためにここまでやってやったんだから、これでチャラにしてもらおう」と勝手に納得していた。
作中で大きく関わることになった鈴芽に対しては、「自分が要石を抜いたせいだ」と悔やむ彼女に「自分が早く後ろ戸を見つけなかったのが悪い」と言葉を返すなど、常に気にかけている。無関係の鈴芽を閉じ師の役目に巻き込むことに罪悪感を抱く一方で、いつも明るく振る舞い、周囲に笑顔を振り撒き、危険を承知で献身的に支えてくれる彼女のことを次第に大切な存在として認識していく。完全に要石になる際、自身が浮かべたいくつもの未練の中に鈴芽の姿もあり、この頃には彼女を特別な異性として意識していたことがうかがえる。

宗像草太の来歴・活躍

閉じ師の役目と教師への夢

ミミズこと“地震を発生させる強大な力の奔流”を封じる役目を持つ、閉じ師の一族の一員として生まれる。閉じ師は実質ほとんどボランティアに近い仕事だったが、「自分たちがミミズの通り道である後ろ戸をきちんと管理しなければ、日本各地で大きな災害が発生する」と強い使命感を持って役目を果たし続けていた。
大学生になる頃には、入院生活を送る祖父の宗像羊朗（むなかた ひつじろう）に代わり、日本各地の後ろ戸の管理と監視をほぼ一手に引き受けるようになっていた。作中には両親は登場せず、自身に緊急事態が発生した際も羊朗を頼ろうとしていたため、父や母はこの頃には死亡していたものと思われる。

一方、「教師になる」という夢を持ち、大学に通ってそのための勉強を続ける。同級生の芹澤とはここで知り合い、表面的な性格はかなり違うがどちらもかなりのお人好しであることから親しくなる。
教員試験が迫る中、芹澤に2万円を貸したまま、後ろ戸の様子を確認するために宮崎へと出立する。

鈴芽との出会い

宮崎を訪れた草太は、ここで岩戸鈴芽（いわと すずめ）という高校生の少女と出会う。鈴芽は幼い頃に「どことも知れぬ荒野で死んだはずの自分の母と出会い、見知らぬ青年と2人で見送られながら町に戻る」という経験をしたことがあり、この青年と草太の面影が非常に似ていたことから彼に興味を持つ。
現地の情報を教えてもらった草太は、後ろ戸が出現する可能性がある廃墟を訪れるも、彼の正体を知りたいと考えた鈴芽も同時にここに来訪。草太より早く後ろ戸を発見し、好奇心からこれを開けてしまい、さらに西日本のミミズを抑える要石も弾みで抜いてしまう。これにより後ろ戸からミミズが溢れ出し、宮崎に大地震が発生しかけるも、草太は鈴芽と協力してなんとか後ろ戸を閉じて事態を収拾する。

その際に怪我をした草太は、鈴芽にむりやり彼女の家に連れ込まれ、彼女から応急処置を受けつつミミズや後ろ戸について説明することとなる。半信半疑ながら鈴芽がとりあえずこれを信じたところで、痩せこけた白い子ネコが鈴芽の部屋にやってくる。かわいそうに思った鈴芽がエサを上げて「うちの子になるか」と尋ねたところ、子ネコは「鈴芽、好き」と突然人語を発し、さらに「お前は邪魔」と言って草太を鈴芽の母の形見のイスと融合させてしまう。
この子ネコこそは、鈴芽がそうとは知らずに抜いてしまった要石が変化したものだった。イスと化した草太は即座にこれに気付き、器用に動き回って子ネコを捕まえようとするも、フェリーに乗り込んで追い詰めたところで並走していた別の船に飛び移られ、逃走を許すこととなった。

ダイジンを追う旅

要石が変化した子ネコは、そのネコとしては風変わりな風貌からネットでバズり、「ダイジン」と呼ばれるようになる。草太を心配して自分もフェリーに乗り込んだ鈴芽は、「要石を抜いてしまったのは自分だし、そもそも今の草太を放っておけない」と言い張って彼に協力すると言って聞かず、頑として宮崎に帰ろうとしなかった。手段を選べる状況でもなく、最終的には草太も折れて、鈴芽に協力してもらうこととなる。
宮崎から愛媛へ、愛媛から宮崎へ。ダイジンの目撃情報があった地では、後ろ戸から溢れ出ようとするミミズが暴れており、草太は鈴芽と一緒にこれを閉じていく。そんな中で、草太は幾度かダイジンを捕まえて自分を元の姿にように要求するが、「その役目はお前に譲った」と告げられた上で逃げられてしまう。

果たして草太の自我と意識は徐々に薄れつつあり、彼は「自分がもはや人ではなく、要石になりつつある」ことを受け入れざるを得なくなる。忍び寄る死にも等しいその瞬間を前に、草太は閉じ師としての役目を果たせないまま散ることへの無念、教師になるという夢への未練、そして自分を慕い献身的に支えてくれる鈴芽への想いを抱えたまま1人で苦悩していく。

百万の命を救うために

やがてダイジンを追う2人の旅は、東京へと辿り着く。ここで草太は「東日本の要石の場所を探そう」と鈴芽に提案し、彼女を自分の部屋へと招く。西日本の要石が解放されてしまった以上、東京にあるとされるもう1つの要石も無事では済まない可能性が高いのだ。

草太が持つ閉じ師の資料を調べても詳しいことは分からず、今は入院している彼の祖父に相談するしかないと2人が考え始めたところで、東京にかつてなく巨大なミミズが現れる。これが地面に倒れれば、関東大震災にも匹敵する災害が発生する。肝心の後ろ戸は地下鉄の深部に位置しており、今から正確な場所を探しても到底間に合わない。
このままでは何百万という命が失われる。ダイジンからその事実を伝えられた草太は、自分が新たな要石になりつつあることを鈴芽に説明し、これでミミズを封じてほしいと頼み込む。悩み、苦しみ、しかし無数の命の前には代えられないと判断した鈴芽が完全に要石と化した草太を打ち込むと、ミミズは再び大地の奥底に封じられ、東京壊滅の危機は人知れず回避される。しかしそれは、新たな要石となった草太がミミズもろとも常世に封じられたことをも意味していた。

暗く冷たい常世の中で

その後は人としての自我も意識も失ったまま、半永久的に常世でミミズを封じ続けるはずだった。しかし鈴芽が常世に押し掛け、完全に要石と化した彼を発見し、かつてダイジンをそうした時のようにこれを引き抜こうとする。ただ草太に会いたい一心で常世にまでやってきた鈴芽の強い想いは、要石の奥底に封じられていた草太の魂を解き放ち、彼を人の姿へと戻す。
しかしそれは日本から全ての要石が消えることを意味していた。草太を救うためなら、この国の人々をかつての自分のような苦しみから守るためなら、自分が新たな要石になる。そうとまで言い切る鈴芽の前で、ダイジンが「鈴芽と一緒にいられないなら、この姿でいる意味が無い」と言って要石へと姿を戻す。東日本の要石が変化したサダイジンもこれに続き、鈴芽と草太が2つの要石を常世で荒ぶるミミズに打ち込むと、再び封印は安定。日本は大災害の危機から救われる。

実はこの時、“全ての時が同時に存在する”常世には、幼い頃の鈴芽が迷い込んでいた。彼女が出会った「死んだはずの母と見知らぬ青年」とは、成長した自分自身と草太のことだったのだ。鈴芽が幼い頃の自分自身を励まし、然るべき時の現世へと送り届けるのを見届けると、彼女と共に自分たちがいた時間軸の現世へと帰還する。
帰還した場所は鈴芽の生まれ故郷でもある宮城の東日本大震災の震災跡で、彼女は常世に向かうために芹澤や自身の叔母の岩戸環（いわと たまき）と共にここまでやってきていた。東京に帰るまでの間にこの地の後ろ戸を確認していこうと考えた草太は、再会を約した上で鈴芽といったん別れることとなる。駅まで見送りに来てくれた鈴芽を、敬意と、信頼と、愛情とを込めて抱き締め、「ありがとう」と感謝の言葉を伝える。

その後もろもろの仕事や後始末を片付け、季節が夏から秋に変わった頃、鈴芽との約束を果たすため再び宮崎へと向かう。初めて出会ったのと同じ場所で鈴芽と再会し、甘やかな笑みと共に「お帰り」と言葉をかけられる。

宗像草太の関連人物・キャラクター

岩戸鈴芽（いわと すずめ）

宮崎県で暮らす高校生の少女。常人には見えないはずのミミズを視認することができる。幼い頃に「どことも知れぬ荒野で死んだはずの母に出会い、見知らぬ青年と共に町に送り届けられる」という不思議な経験をしたことがある。
草太にその青年によく似た面影を感じ、何者なのか気になって追いかけたことがきっかけで、彼の閉じ師としての役目に関わっていく。鈴芽が草太の穏やかな性格と優しい人柄に強い好意と信頼を抱いていく一方、草太もまた献身的に自分を支えてくれる鈴芽を次第に大切で特別な異性だと感じるようになっていった。

岩戸鈴芽（すずめの戸締まり）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

renote.net

岩戸鈴芽（いわと すずめ）とは、『すずめの戸締まり』（すずめのとじまり）の登場人物で、常人には見ることができないはずの“地震を生み出す力の奔流”ミミズを視認できる少女。
母子家庭で生まれ育ち、母を失った後は宮崎に住む叔母の岩戸環の下で育つ。幼い頃に「死んだはずの母と再会し、何か大切なことを教えられ、見知らぬ青年と共に見送られる」という不思議な経験をしている。高校生になった時、ミミズを封じることを役目とする宗像草太と出会い、記憶の中の青年と似ていたことから彼に興味を抱き、共に日本中を旅していく。