ブレードランナー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ブレードランナー』とは、フィリップ・K・ディック作のSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の映画化作品。監督はリドリー・スコット、脚本はハンプトン・ファンチャーであり、1982年に公開された。
レプリカントと呼ばれる、人間と区別がつきにくい人造人間6名が火星から地球へと逃亡してくるのをきっかけに、主人公リック・デッカードがレプリカント狩りのため復職につく。すべてのレプリカントを狩れるのか。人間と機械の違いとは何か。SF映画「禁断の惑星」や「メトロポリス」に次ぐSF映画の金字塔。
バッティ「俺は、お前たちが想像もできないものを見てきた。オリオン座の近くで燃える宇宙船、タンホイザー・ゲートの闇に輝くオーロラ。だが、そんな思い出も消えていく。雨の中の涙のように…」
本作での終盤。執拗にデッカードを追い詰めていくロイは瞬時に自らの死期を悟る。追われたデッカードは建物から飛び移ることに失敗して落ちる寸前のところ、ロイに助けられる。デッカードの前にロイは鳩を抱えて座り込み、定められた生存年数の中で自らが経験し記憶してきたことを語り、やがて動かなくなった。
その後、空に飛び立つ鳩がやっと自由になったロイの心を現わしているような美しい場面である。
「雨の中の涙のように…」の部分はバッティを演じたルドガー・ハウアーのアドリブ。
ガフ「彼女も残念ですな!」
バッティとの死闘後、デッカードに銃を投げ渡したガフが言い放った言葉。デッカードがレイチェルを連れて逃避行することを予見したかのようなセリフである。その後デッカードがレイチェルを連れに行った自宅通路にも、劇中デッカードが夢で見たユニコーンを模した折り紙が置かれている。謎めいた伏線キャラクターとして味がある。
『ブレードランナー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
ブリスのメイクの元ネタ
ブリスは目元に特徴的なメイクをしているが、これは吸血鬼映画の名作『ノスフェラトゥ』の主人公ドラキュラ伯爵が参考にされている。
『シャイニング』で撮影された映像
『ブレードランナー』は試写での評価がよくなく、監督のリドリー・スコットはエンディングの変更を変えなければならなくなった。そこで頼りにされたのが『シャイニング』『時計仕掛けのオレンジ』などで有名なスタンリー・キューブリックだった。
リドリー・スコットはスタンリー・キューブリックに頼み込んで、『シャイニング』で使用しなかったカットをエンディングで使うことにした。
元のタイトルは『デンジャラス・デイズ』
この作品の元のタイトルは『デンジャラス・デイズ』だった。
レプリカントを処刑する役職を警官にする訳にはいかず、リドリー・スコットは脚本のファンチャーに何かいい名称を考えてくるように頼む。
そこでファンチャーが出したのが『ブレードランナー』であった。この名称はアメリカの小説家のウィリアム・バロウズの作品から取られたものであった。
この名前をいたく気に入ったリドリー・スコットはウィリアム・バロウズと交渉して、タイトルまでも変更することになった。
レイチェル役のショーン・ヤングを泣かせたハリソン・フォード
リドリー・スコット監督は経験年数の浅い女優を好んで採用する傾向があることから、当時それほど知名度もないショーン・ヤングがヒロインのレイチェルを演じた。まだ若いショーン・ヤングは劇中のハリソン・フォードとキスをする場面では演技の詳細を聞かされておらず、ハリソン・フォードがあまりに乱暴なため泣き出してしまい、その後不仲のまま撮影を終えた。
ネーミングの拝借のみでエンドクレジットに登場
レプリカントの処刑人として適切な職業名を探していたリドリー・スコット監督は、SF作家アラン・E・ナースの小説『The Bladerunner』(1974年)を原案としたウィリアム・S・バロウズの映画化用の翻案『Blade Runner (a movie)』(1979年、訳題『映画:ブレードランナー』)を見つけ、本のタイトルのみを借り受けた。いずれの小説も本作の原作および映画とも全く関連はないが、作品タイトルとするにあたり、ナースとバロウズに使用権料を払い、エンドクレジットに謝辞を記している。
最期の名場面はルドガー・ハウアーのアドリブ
各ある名場面の中でも特に挙げられるルドガー・ハウアー演じるロイ・バッティの最後の独白シーン。
リドリー・スコット監督はルドガー・ハウアー主演作を気に入っていて面接せずにロイ・バッティ役に抜擢した。ロイの独白シーンは台本を読み、死を直前にした者のセリフとしては長すぎる、と感じたルドガー・ハウアーが台本の内容に独自の解釈を入れ、アドリブで演じたものだった。鳩が大空に飛んでいくアイディアもルドガー・ハウアーが考えたものである。
『ブレードランナー』のロケ撮影現場の裏側
J・F・セバスチャンが住むアパートとして使用されたのは、他の映画やTVドラマのロケ地としても有名な、ロサンゼルスのダウンタウンにあり、アメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されているブラッドベリ・ビルディング(1893年建設)である。作中の設定では超高層ビルという設定のため、外観や屋上のシーンは合成処理で高層建築に見えるように加工されているが、内部は演出上、荒れた雰囲気に飾り付けられた以外は、玄関部分をビルの北西側エントランスにセットの柱を付け足しただけで元のまま用いられている。床や壁、手摺の装飾はもちろん、内部の吹き抜け、天井のガラス張り、内廊下の外周にあるオープンケージタイプのエレベーターもオリジナルのままである。また、撮影の際も現役のオフィスビルとして使用されていたことから、撮影は午後6時から翌日の午前6時の限られた時間内で行われた。美術設定に従って各種の装飾とウェザリングを施した後に撮影を行い、使用期限の前に装飾を撤去し、施した汚し塗装を清掃して使用前の状態にして撤収するというハードスケジュールが連日繰り返されたのである。
6人目のレプリカントはデッカード
劇中では反逆レプリカントの数は6人と報告されているが、実際はタイレル社に押し入った際処刑された1体、ロイ、リオン、プリス、ゾーラの5人である。当初6人目として女性レプリカントの配役も決まっていたが予算の都合でカットされた。しかし、台本の修正がされずそのまま撮影され、数に矛盾が生じることとなった。このことから「デッカード=レプリカント」説が考察され、監督のリドリー・スコットもその説を気に入ってはいたものの、劇場公開版には入れられなかったためディレクターズカット版にデッカードの見る「ユニコーンの夢」を追加し、ラストシーンの「ガフが作ったユニコーンの折り紙」と結びつけた。つまり、「デッカードの夢の内容が知られているということは彼の記憶は作られたものである。従ってデッカードもレプリカントである」という可能性を示唆した。スコット自身は、2000年にイギリスのChannel 4 Televisionが制作したドキュメンタリー『ON THE EDGE OF BLADE RUNNER』のインタビューにおいて「デッカードはレプリカントだ」と明言している。だが、作品中ではあくまでも示唆であり、明確にデッカードはレプリカントだと示す個所はない。
タイレル博士もレプリカントという構想
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目次 - Contents
- 『ブレードランナー』の概要
- 『ブレードランナー』のあらすじ・ストーリー
- ブレードランナー
- デッカードとレイチェル
- バッティの反乱
- 『ブレードランナー』の登場人物・キャラクター
- リック・デッカード(Rick Deckard/演:ハリソン・フォード)
- ロイ・バッティ(Roy Batty/演:ルトガー・ハウアー)
- レイチェル(Rachael/演:ショーン・ヤング)
- J・F・セバスチャン(J. F. Sebastian/演:ウィリアム・サンダーソン)
- エルドン・タイレル博士(Dr. Eldon Tyrell/演:ジョー・ターケル)
- プリス・ストラットン(Pris Stratton/演:ダリル・ハンナ)
- リオン・コワルスキー(Leon Kowalski/演:ブライオン・ジェームズ)
- ゾーラ・サロメ (Zhora Salome/演:ジョアンナ・キャシディ)
- ハリー・ブライアント(Harry Bryant/演:M・エメット・ウォルシュ)
- ガフ(Gaff/演:エドワード・ジェームズ・オルモス)
- ハンニバル・チュウ(Hannibal Chew/演:ジェームズ・ホン)
- スシバーの店主
- 『ブレードランナー』の用語
- ブレードランナー
- レプリカント
- フォークト=カンプフ検査(VKテスト)
- 『ブレードランナー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- リオン「答えはこれだ」
- スシバーの店主「2つで十分ですよ!!」
- バッティ「俺の見せられたものを貴様にも見せてやりたい」
- プリス「迷子なの」
- リオン「起きろ、死ぬ時間だ」
- タイレル博士「明るい火は早く燃え尽きる。君は輝かしく生きてきたんだ」
- バッティ「俺は、お前たちが想像もできないものを見てきた。オリオン座の近くで燃える宇宙船、タンホイザー・ゲートの闇に輝くオーロラ。だが、そんな思い出も消えていく。雨の中の涙のように…」
- ガフ「彼女も残念ですな!」
- 『ブレードランナー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ブリスのメイクの元ネタ
- 『シャイニング』で撮影された映像
- 元のタイトルは『デンジャラス・デイズ』
- レイチェル役のショーン・ヤングを泣かせたハリソン・フォード
- ネーミングの拝借のみでエンドクレジットに登場
- 最期の名場面はルドガー・ハウアーのアドリブ
- 『ブレードランナー』のロケ撮影現場の裏側
- 6人目のレプリカントはデッカード
- タイレル博士もレプリカントという構想
- ハリソン・フォードとリドリー・スコット監督の和解
- リドリー・スコットが語った『ブレードランナー』
- 『ブレードランナー』のサウンドトラック
- 続編『ブレードランナー 2049』