【進撃の巨人】アルミン「新宿の巨人」クリスタ「サザンテラス口」 【厳選名作SS】

進撃の巨人の厳選名作SSを掲載しています。なぜか現代の新宿に行けるようになった調査兵団。喜び勇んで調査に向かおうとするアルミンをエルヴィンが呼び止め、ある重大な任務を言い渡します。

アルミン「新宿の巨人」クリスタ「サザンテラス口」

出典: shingekistyle.info

1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/03(火) 22:52:47 ID:j/arwguA

エルヴィン「諸君ら104期を呼び出したのは他でもない。明日一日かけて遠征調査に行ってもらう」

一同 ザワ

アルミン(僕たちが初参加する壁外調査は2週間後のはずだぞ……?)

エルヴィン「調査と言っても壁外ではない。この世界の外だ」

アルミン(!?)

エルヴィン「昨日、地下の食料庫の荷台に乗り……なんやかんやでつきあたりの壁につっこむと」

エルヴィン「異世界に行けることが判明した」

アルミン(また適当な)

2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/03(火) 22:53:47 ID:j/arwguA

新宿駅周辺を舞台にした調査兵団104期の一日。アルミン視点。
104期最後です。もう少しだけお付き合い下さい。

以下ssと同日の話のはずなのでこちらもよろしく。いっぱい…。

renote.net

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4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/03(火) 22:59:24 ID:j/arwguA

エルヴィン「昨夜、ハンジとリヴァイが荷台で遊んでいた際に発見した」

リヴァイ「エルヴィンお前もだろ」

ハンジ「レースで負けたからって、情報操作はよくないよ~」

エルヴィン「この世界ではない、未来世界に存在する極東の島国に繋がった」

エルヴィン「早急な調査が急務である。この世界にとって有益な情報が得られるかもしれない」

エルヴィン「よって諸君ら104期の中から志願者を募り、スパイを送ろうと思う」

アルミン(やったぞ!壁の外を探険できるんだ!でも、なぜ僕ら新兵が……?)

ジャン「なんだよそれ」

コニー「非科学的じゃねえか」

サシャ「コニー、キャラがぶれてます」

エルヴィン「志願者は明日、その荷台に乗り、目標の地域の最重要人口密集地帯に送られる」

エルヴィン「シンジュク駅という巨大なダンジョンだ」

アルミン(シンジュクダンジョン……)

エルヴィン「そこで君たちには現地の人間や文化を偵察してきてほしい」

6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/03(火) 23:02:29 ID:j/arwguA

クリスタ「偵察……見るだけでよいのですか?」

ユミル「戦闘が起こる可能性は?」

ハンジ「私が昨日事前調査に行ってきたけど、基本的に治安はいいし確率は極めて低いと思うよ」

アルミン(ハンジさんが事前調査を……)

ハンジ「皆格闘術を心得ていないもやしっ子みたいだったしね」

ハンジ「まあ難しいことはさておいて、純粋に未来の異国を楽しんでくるといいよ」

ハンジ「ただ、シンジュクダンジョンは現地の人間でさえ飲み込む迷宮だよ……気をつけてね」

一同 ゴクッ

エルヴィン「以上だ。志願者は明日9時ここに集合」

エルヴィン「約1時間ハンジより向こうの情報を聴講したのち10時出発だ。それでは解散したまえ」

――解散後

ガヤガヤ

「アルミン」

7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/03(火) 23:07:37 ID:j/arwguA

アルミン(エルヴィン団長!)

アルミン「はっ」

エルヴィン「先程の話だが、君はどうする?」

アルミン「えっと、参加するつもりです」

エルヴィン「そうか」

アルミン「はい」

エルヴィン「……すまないが君には特別任務をやってもらいたい。極秘任務だ」

アルミン「はい。どのような任務でしょうか?」

エルヴィン「……」

アルミン「……」

エルヴィン「私はカツ……ウィッグだ」ボソ

アルミン「お、驚きです……」

アルミン(うわあ胃に穴空きそう)

エルヴィン「……」

アルミン「つ、つまり、最先端技術のウィッグを入手する任務……ですか」

9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/03(火) 23:19:30 ID:j/arwguA

エルヴィン「察しが良くて助かるな。それに加えて、他にもいくつかやってもらう」

エルヴィン「食後に私の部屋まで来なさい。任務の説明と、購入リストを渡そう」

アルミン「はい」

エルヴィン「君に、敬意を」ニコ

アルミン(カツラのおつかい。はあ。パパッとやってしまおう……)ゲッソリ

エレン「おーいアルミン!」

アルミン(今度はエレンが呼んでる)

アルミン「なんだい?」タタタ

エレン「何かゲッソリしてないか? 団長に何か言われたのか?」

アルミン「あはは……まあ。明日のことで」ハァ

エレン「やっぱ行くよな?」キラキラ

アルミン「もちろん行くさ! 異世界なんて、興奮で今夜は寝不足になりそうだよ」キラキラ

ミカサ「ふたりとも今日は早く寝よう。必要なら子守唄を歌ってあげる」

10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/03(火) 23:21:40 ID:j/arwguA

ライナー「しかし壁の外に出るより先に、世界の壁を超えるなんてな」

ベルトルト「おかしな話だね」

ジャン「任務っつーくせにノルマがないみたいだな」

ユミル「つまりはバカンスだろ」

クリスタ「楽しみだね。お土産いっぱい買っちゃお」

サシャ「お肉いっぱい食べられますかね///」ハァハァ

コニー「芋くらいはあんじゃねーか、芋女」

サシャ「夢が膨らみます!ですがその前に、夕食の時間ですよ!行きましょう皆さん!」

ゾロゾロ

アルミン(やっぱり皆行くのか。楽しみだなあ)ホクホク

エレン「アルミンちょっと、相談がある」コソ

アルミン「!?」

アルミン「君も僕の胃に穴空けるの?」ゾッ

エレン「何だ君もって。ごしょごしょ……」

12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/03(火) 23:31:52 ID:j/arwguA

――食後

トコトコ

エレンの相談は、ミカサについてだった。最近ミカサのことが気になると。

この気持ちは家族としてか女の子としてか、よくわからないって。まあ時間の問題だろう。

エレンに答えを出してもらうために、僕は明日2人きりで過ごすべきだと提案した。

エレンは3人でと言ってくれた……でも2人が幸せになってくれることが僕の一番の幸せだから。

まあ……せっかくの異世界でひとりぼっちはちょっと寂しいけど。

よかった。やっと2人が両思いになるんだ。

で、

ふう。緊張する。団長の部屋に来るのって初めてだ。髪、むしられたりしないよね……。

コンコン

「入りなさい」

ガチャ

アルミン「失礼します」

エルヴィン「アルミン。そこに座って楽にしてくれ」

13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/03(火) 23:38:52 ID:j/arwguA

アルミン「はい」ヨイショ

エルヴィン「小食か、もしくは早食いか」

アルミン「え」

エルヴィン「君がドアをノックするのはもう少し後と踏んでいたものでな」

アルミン「早かったですか……すみません」

エルヴィン「いや。丁度いいところに来た」

アルミン「?」

エルヴィン「淹れたてだ、君も飲んで行きなさい」カチャ

アルミン(紅茶だ)

アルミン「ありがとうございます。頂きます」

アルミン(熱っ……ちょっと冷まそう。ふうふう)

エルヴィン「明日は楽しみか?」

アルミン「任務ですから」

エルヴィン「正直に」

アルミン「えと……はい。とても」

14 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/03(火) 23:51:28 ID:j/arwguA

エルヴィン「素直でいいな。そんな君に特別任務を押し付けてしまって申し訳ない」

アルミン「いえ、そんなことは!お役に立てるよう力を尽くします」

エルヴィン「昨日ハンジが行った際には時間がなくてな」

エルヴィン「向こうの基本的な社会のルールや地域情勢しか調べることができなかった」

エルヴィン「よって、多くを君に頼むことになってしまった」

アルミン「……」

エルヴィン「これが君にやってもらいたい任務、そして購入リストだ」スッ

エルヴィン「それ以外の物資の調達については君に一任する。有益だと思うものを手にいれてくれればいい」

アルミン「はい」

エルヴィン「……ウィッグだけは、是非とも忘れないでくれたまえ」ボソ

アルミン「は、はい」ゾッ

エルヴィン「よろしくな」ニコ

アルミン(そこまで深刻なのか……頭皮)

エルヴィン「ダンジョンにはコインロッカーというものがあるらしい」

アルミン「コインロッカー?」

15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/03(火) 23:56:14 ID:j/arwguA

エルヴィン「荷物を一時的に保管することができる……小さな貸倉庫だな」

アルミン「便利ですね。治安の良さが窺えます」

エルヴィン「ああ。帰還の荷台はJR西口改札の世界時計前に現れる。その近くのロッカーを活用しなさい」

アルミン「はい。そうします……」

エルヴィン「良い返事だ。しかし腑に落ちない顔をしている」

アルミン「いえ」

エルヴィン「言ってごらん」

アルミン「団長、なぜ……ハンジさんではなく、僕らなのですか?」

エルヴィン「……」

アルミン「僕ら新兵はあくまでも、与えられた任務を全うするつもりです。しかし……」

アルミン「昨日事前調査をしたのなら、ハンジさんがもう一度行って情報収集をした方が確実だと思うんです」

エルヴィン「確かに新兵に任せるのは効率的ではないな」

アルミン「ハンジさんでなくても、巨人との戦闘経験のある先輩に同行してもらった方が……」

エルヴィン「ハンジについて言えば、ちょうど研究の仕事で行けないようだ」

エルヴィン「そしてなぜ君たち新兵なのか」

16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 00:24:19 ID:Xkb6t42A

エルヴィン「まず2週間後の壁外調査に向けて人手が足りなくなっている」

エルヴィン「カラネス区からの出発、そしてエレンの存在によって作戦の変更点が多くみられるからだ」

エルヴィン「これはわかるね?」

アルミン「はい」

エルヴィン「もう1つの理由は、我々調査兵団の私情だな」

アルミン「私情、ですか?」

エルヴィン「ああ。君たち新兵に行ってほしいと、そう思うんだ」

アルミン「?」

エルヴィン「死と隣り合わせな兵団だ」

エルヴィン「常に巨人、そして巨人への恐怖と戦って、他に何も知らないまま多くの人間が死んでいく」

エルヴィン「それを私たちは嫌という程見てきた」

アルミン「……」

17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 00:25:53 ID:Xkb6t42A

エルヴィン「だからせめて君たちには、一度でいい。恐怖など忘れて生きて欲しいと思う」

エルヴィン「戦場に赴く前に、ただの少年少女として」

エルヴィン「これは君らの先輩たちの願いなんだ。深く考えず受けとってほしい」

アルミン「そうでしたか……。無粋な質問をしてしまったようで」

エルヴィン「いや、気になって当然のことだ」

アルミン「あの、ありがとうございます」

エルヴィン「ああ」

アルミン「……」

エルヴィン「……」

アルミン(でも……まだ気になることはたくさん……)

エルヴィン「アルミン。やはり君は聡明だ」

アルミン「!」

エルヴィン「疑問は尽きないだろう。しかし困ったことに、こちらも同じなんだ」

アルミン「はい……」

19 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 00:35:43 ID:Xkb6t42A

エルヴィン「いいかアルミン。君が今回やるべきことは、さっき頼んだ特別任務を遂行して」

エルヴィン「それ以外は何も考えず、純粋に楽しんでくることだ」

アルミン「何も考えず?」

エルヴィン「ああ。ただの少年でいなさい」

アルミン「少年で」

アルミン(どういうことだ?)

エルヴィン「どういうことだと考えるのもなしだ」

アルミン「あはは……」アセ

エルヴィン「ただ楽しんで来なさい。これは命令だ。従いなさい」

アルミン「はい」

アルミン(不思議な命令だ)

32 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:01:21 ID:hGE3o6CQ

――

翌日

1000――地下食料庫

エルヴィン「志願者はこれだけか。心より尊敬する」

ハンジ「じゃあ向こうの情報も伝えたところで、出発するよ!荷台に乗って乗って!」

アルミン(人類の勝利のためであれば、こんな不可解な現象でも利用しようとするのはわかる)

アルミン(けど……それにしても、盲信しすぎてないか。エレンを安々行かせるみたいだし)

アルミン(あ、団長に考えるなって言われたんだった。今日はやめよう)

アルミン(向こうの世界は想像を遥かに上回るほどの高度な文明を持っている。わくわくする!)ニコニコ

33 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:02:21 ID:hGE3o6CQ

『さあみんな。

君たちは今荷台に揺られている。この暗がりを抜けたらシンジュクダンジョンに到着するよ。

でも手が滑っちゃって。到着地点がJR中央線、東京行きのホームになっちゃった。ごめんね。

君たちの任務。それはこの世界の情報をなんでもいいから集めてくること。

そして、この国の要である超大型ダンジョン、シンジュク周辺の調査だ。

でもこれは外形的な任務内容。旅行に行ったと思って楽しんできてよ。

緊急のため、立体機動装置は装備、雨具で隠しておくこと。一般人との混乱、戦闘は極力避けてね。

帰還は、2200。JR新宿駅西口、世界時計前に集合だ。帰りの荷台がくるから。

遅れたら最期、戻ってこれる保証はできないから覚悟してね。

それじゃあ良い旅を!』

34 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:03:41 ID:hGE3o6CQ

――

ガタンガタン

ライナー「真っ暗だな。本当に目的地に進んでいるのか?」

アルミン「はは……明るくなってのお楽しみってとこかな」

ミカサ「減速してる、到着するみたい」

サシャ「緊張しますね!」

コニー「俺が一番に降りるからな!」

エレン「はあ?子どもかよコニー。俺が先だろ」

ジャン「どけよ、前見えねえよ」

キキィーッ

エレジャンコニ「わっ」グラッ

エレジャンコニ「うわあああ!」スッテンコロリン

プシュー

クリスタ「いちばんのり!」ピョン

ライユミ(結婚)

35 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:04:22 ID:hGE3o6CQ

1005――JR新宿駅 中央線東京行ホーム

ガヤガヤ

エレン「ここが、シンジュクダンジョン!!」

ライナー「すげえ人の数だ!押し流されちまいそうだな」

ユミル「安心しろ、ゴリラは流されねえから」

アルミン「出口へは階段を下るみたいだ」

エレン「なんかすげえのあんぞ!」

アルミン「あれがハンジさんの言ってたエスカレーターって乗り物だね」

エレン「乗ろうぜアルミン!ミカサ!」ワクワク

アルミカ「うん!」

スタスタ

36 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:04:52 ID:hGE3o6CQ

ライナー「甘いなエレンは。ラクしてたら兵士失格だぞ、常に鍛えなければな」クリスタチラッ

ライナー「俺とベルトルトはそこの階段からいかせてもらう」

ベルトルト(変なとこ格好つけないでよ…)

スタスタ

クリスタ「ユミルー」キラキラ

ユミル「わかってるよクリスタちゃん。乗ってみてえんだろ動く階段」

クリスタ「うんっ!皆も行こう?」

コニー「ジャン!サシャ!そこの出店見てみてえ!行こうぜ!」

ジャン「おい!下手に行動したらはぐれちまうぞ!ここはクリスタたちに続いて行くべ」

サシャ「食べ物買ってから行きましょう!クリスタ、すぐ追いますから!」

コニサシャ「うひょー!!」ダダダ

ジャン「話聞けよ!」

ユミル「子守はジャンに一任だな」

クリスタ「わんぱくって可愛いね」

37 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:06:15 ID:hGE3o6CQ

――

アルミン「さて、エスカレーターを降りたところで」

アルミン「どうやら左にいくと西口、右にいくと東口に出るみたいだ」

エレン「全部の出口に出れるわけじゃないんだな」

クリスタ キョロキョロ

ユミル「どうしたクリスタ?」

クリスタ「あの……さっきすぐ近くの階段をライナーたちが降りてきてるはずなんだけど、見当たらなくて」

ユミル「さっそく迷子かよ。でけえくせに」

アルミン「シンジュクダンジョンは方角を狂わせ、人を迷宮へと誘う……」

一同 ゾッ

エレン「じゃあ俺たちは東口を行くか」

クリスタ「私たちは西口を出てみよう」

アルミン「集合時間には遅れないようにねー」

クリスタ「じゃあねー」フリフリ

エレン「じゃあ行こうぜ……シンジュクダンジョン東口、調査開始だ!!」

38 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:27:28 ID:hGE3o6CQ

――東口改札前

エレン「人すげえ!」

アルミン「目の前はファッションビルみたいだね。ルミネエスト。駅と併設されているんだ」

エレン「とりあえず外がどんな景色なのか見てえよな」

アルミン「そこに地上への階段があるみたいだ、上ってみよう」

トコトコ

――東口出口

エレン「到着!おおおおすげえ!建物でけえ!ごちゃごちゃしてる!」キラキラ

アルミン「すごいね!乗り物もたくさんある!これが異世界かあ」キラキラ

アルミン(ハンジさんの情報通り、壁より高い建物が乱立している。センスはさておいて、素晴らしい建築技術だ)

アルミン(ルールを守っているおかげで交通に混乱がない。皆青色点灯で歩き出してる。すごいや)

アルミン(ん?空を……鳥じゃない物体が飛んでいるぞ?あれは何だ?)

エレン「ってあっちい!東洋ってこんなにあちいのか」

アルミン「はは。立体機動装置を隠すのに雨具着てるからね。出番はなさそうだけど」

アルミン(逆に目立つよなあ、この装束)

39 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:29:53 ID:hGE3o6CQ

エレン「こっちの人間、肌の露出多すぎねえか?あいつ、あいつも、パンツみえそうじゃねえか」

アルミン「やめなよ!///時代と文化の違いってやつだ」

エレン「あっちはブラジャーが透けてるぞ。見とけよ。透けてんだから見ていいもんなんだろ」

アルミン(……///)チラッ

エレン「ワタタに実ってるな」

アルミン「タワワだよエレン///」

ミカサ「……」ゴゴゴゴ

エレン「まま待てよミカサ!ただの野郎のジョークじゃねえか」

アルミン「ごめんって!アルタ前で早速ブレードに手をかけないでくれ!テレビ局に声かけられたらどうするんだ!」

ミカサ「2人とも落ち着いて。これはミカサジョーク」

エレアル ホッ

ミカサ「ただしエレンは適用外」スッ

エレアル「」

40 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:32:16 ID:hGE3o6CQ

エレン「で、まず目的地はどっちだ?」

アルミン「えっと……あっちだ!あそこ、新宿通りを新宿三丁目方面へ進む、はずだ!」

エレン「その紙は?」

アルミン「駅で取ってきた周辺地図さ。でも方角が分かりづらくて難解だよ」

テクテク

エレン「それにしても本当にすげえ街だな……建物の巨人に囲まれてる気分だ」

ミカサ「空がせまい」

エレン「でもよ、こんなに高い建物の中を立体機動で飛び回ったら、すげえ気持ちいいだろうな!」

ミカサ「だめ」

エレン「やんねえよ」

アルミン「ついた、ここだよ!」

41 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:52:43 ID:hGE3o6CQ

1020――新宿通り 紀伊國屋書店本店前

エレン「この建物全部本屋だって言うのか?」

アルミン「そうなんだ。こんなに大きな書店、シーナにもないよ」

アルミン(すごいぞ!宝の山だ!)キラキラ

アルミン「ここが本店で、奥が別館だ。別館は小さいから先に見よう」

エレン「どきどきしてきた!」タタッ

アルミン「ちょエレン急ぎすぎ!」

ミカサ「子どもみたい」クスッ

アルミン「ねえミカサ」

ミカサ「?」

アルミン「今日は羽を伸ばして、楽しもう。エレンともっと近づけるといいね」ニコ

ミカサ「……うん/// しかしアルミン。あなたも同じ。気負ってはいけない」

アルミン「わかってるさ」ニコッ

「超大型巨人だあああああ!!」

42 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:56:15 ID:hGE3o6CQ

アルミカ「!?」

アルミン「別館からエレンの声が!」

ミカサ「一体何!?」ダダダ

アルミン「巨人ってどういう……!」

エレン「こいつを見ろ!超大型巨人だ!!」

アルミカ「!」

エレン「戦闘準備!」ジャキン

アルミン「え……ちょ!」

ミカサ「アルミンは下がって!」サッ

エレン「うおおおお!」ダッ

アルミン「待つんだエレン!!」

エレン「何いってんだアルミン!? 今ここで駆逐しねえと…!」

アルミン「よく見てくれ! こいつは偽物だ!」

エレミカ「!?」

43 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/04(水) 23:59:02 ID:hGE3o6CQ

アルミン「店の大きなガラスに……超大型巨人の顔の絵が書いてあるだけだ」

エレンミカサ「」

エレン「ほ、本当だ……動かねえと、思ったら……」

ミカサ「……」

アルミン「……」

アルミン「……プッ いや。エレン……無事でよかっ……」クスクス

エレン「笑うなよ!///」カァッ

ミカサ「……///」フルフル

エレン「お前も!こらえてんじゃねえ!///」

ミカサ「笑ってない……///」

アルミン「ミカサだって焦ってたじゃないか!あはは!涙でてきたよ!」ケラケラ

エレン「ちくしょう……恥ずかしすぎんだろ///」グズッ

アルミン(こうして3人で笑ってると、シガンシナにいた頃を思い出すなあ)

44 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/05(木) 00:01:32 ID:KzsvHs2Q

アルミン「それにしても……どうしてこんな所に」

ミカアル「!」ハッ

ミカサ「エレン!」

エレン ビクッ

ミカサ「ブレードを収めて……。人だかりが……できている」ジリッ

エレン「……!」

アルミン(迂闊だった!街中で大声出して刃物振るってしまった)

アルミン(ここの人間の恐怖を煽ったに違いない。この場を切り抜けないと!)

エレミカアル「!」

アルミン(まずい、若者2人組が近づいてくる!エレン!ミカサ……!)

エレン「え?“それはコスプレですか”?」

45 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/05(木) 00:07:14 ID:KzsvHs2Q

――

アルミン「ふう……危機は去ったようだね」

エレン「あいつら俺達のシャシンっつーの撮ってたが、何の意味があるんだ?」

アルミン「こっちの世界の情報知ってるみたいだったし、調べる必要がありそうだ」

アルミン「ということで僕はこの書店をじっくり見ていくから別行動にするね」

アルミン(エレン!がんばってね!)チラ

エレン「……おう」チラ

ミカサ「? せっかくの異世界。3人で一緒に探検するべき。何より1人は危険」

アルミン「大丈夫、恐らくここの人間に敵対心はない。それに僕は団長からの任務があるから……」

ミカサ「3人でやれば早く終わる。手伝おうエレン」

エレン「……」

ミカサ「エレン?」

アルミン(嬉しいけど、今日は……)

46 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/05(木) 00:08:07 ID:KzsvHs2Q

アルミン「ええっと! 気持ちは嬉しいよミカサ。ただちょっと話せない任務なんだ」

アルミン「だから2人で他を探検して、あとで僕に教えてくれたら嬉しいな」

エレン「……」

ミカサ「では……夕食は、一緒に」

アルミン(えと……)

エレン「そうしようアルミン」

アルミン「! ありがとう。じゃあ5時に帰りの集合場所にもなってる世界時計前……あ」

エレン「どうした?」

アルミン「皆と流れ解散しちゃったけど、夕方に一度点呼を取りたいな」

アルミン「皆適当だから……22時に本当に集まれるか不安だし」

アルミン「もし他の皆に会えた場合は、5時に僕らと一緒に一度集まってくれって言ってくれないか?」

エレン「わかった。JR新宿ダンジョン西口改札、世界時計前だな!」

47 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/05(木) 00:09:06 ID:KzsvHs2Q

アルミン「あと夕食後には少し付き合ってほしい場所があるから、よろしくね」

アルミン(2人を展望台に連れて行こう。きっと喜んでくれるはず!)ニコニコ

エレン「もちろんだ」

ミカサ「アルミン。何かあったらすぐ駆けつける。呼んで」

アルミン「うん。ありがとう」ニコ

アルミン(このダンジョン、叫んで呼んだって届かない気がするけど、あはは)

エレン「じゃあとりあえず俺らも書店一回り見てから行くか」

ミカサ コクッ

アルミン「エレン、頑張ってね。ただいつもより少し正直でいればいいのさ」ヒソヒソ

エレン「……努力するよ」

48 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/05(木) 00:11:47 ID:KzsvHs2Q

エレンとミカサがついに恋人同士に……報告が楽しみだな。ソワソワ

……。ポツン

やっぱり話相手がいないのは寂しい。

ううん、わがまま言わない言わない。

あれ。そういえば僕、初恋ってまだだなあ。

どういう気持ちになるんだろう。本はあてにならないからなあ、こういうの。

僕にはまだ早いってことかな。

もうちょっと身長が伸びたら……の、伸びるかな?ゾッ

もうちょっと声が男っぽくなったら……、もうちょっと筋力ついたら……。

はあ。ガクッ

さて……。まずは気になるアレからだ。

「すみません店員さん。あのガラスの絵の巨人、ご存知ですか?」

55 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/06(金) 23:02:46 ID:HfIo4cao

「超大型巨人を知っているんですか!?」

「『シンゲキノキョジン』?マンガ……?これが……?」

この絵、僕らに……似てる?

僕に似てる人物、5巻で頭から出血してないか?不吉だ。背後の巨人は一体……?

あ、背表紙に本の概要が書いてあるみたいだ。

1巻、“人類は巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた”

えっ?

2巻、“アルミンを助けようとするエレンであったが、代わりに自らが巨人に食われ”

僕?エレン?

4巻、“「巨人化したエレンが巨大な岩で穴を塞ぐ」という作戦が開始”

これってもしかして……!ハッ

じゃあ、この先は!

56 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/06(金) 23:11:47 ID:HfIo4cao

6巻、“アルミンの前に「女型の巨人」が現れて陣形を破壊し”

8巻、“壁外調査失敗”

9巻、“ウォールローゼ破壊”

11巻、“超大型巨人と鎧の巨人の正体が発覚”

僕らの世界の……未来ってことか!?

こっちの世界は僕らの世界の情勢を全て把握しているってこと?史実なんだろうか。

中身を見てみないと断言はできない。でもこれが現実になるとしたら、まずいぞ。

ん?

10人が敬礼してる……。髪型や身長的に104期の成績上位者だろう。

エレンとマルコが消えたのを鑑みるに……消えるイコール死ってことか?

じゃあこの先アニと、ライナーとベルトルトは……?

アニは憲兵になったから、僕らより死ぬ確率ははるかに低そうなんだけどな……。

10番に入っていないユミルと僕、他の皆は大丈夫なんだろうか。

……。

57 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/06(金) 23:29:40 ID:HfIo4cao

さすがに中身を読んでいる暇はないな。先に任務を済ませないと。

とりあえずこのシリーズと他の書物を買って、団長が教えてくれた通り、西口のロッカーにしまおう。

壁外調査まで2週間、その間にこれを解析する。

これで……これで巨人の秘密に迫れる……!

「すみません。『シンゲキノキョジン』にまつわる本、1冊ずつ下さい」

「はい、巨人中学校も」

1240――青梅街道 新都心歩道橋付近

ガヤガヤ

「すみません。お尋ねしたいことが……」

「すみません。これについて聞きたいことがあるんですけど……」

はあ。

だめだなあ。やっぱり晴れた暑い日に雨具なんて怪しいよ。

この任務の購入リストの内容、よくわからないから聞き込みしてるけど。ペラッ

58 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/06(金) 23:37:55 ID:HfIo4cao

「お話よろしいですか?」

「……本当ですか!?ありがとうございます!」

(やった!)

「え?……15歳です。はい。出身は、シガンシナというところで……知らない、ですよね」

「はい旅行です。泊まる場所?もう今日帰るんで結構です!あは、あはは」

「それで、これについて……」

「へっ?かっ彼女!?いや、そんな僕にはまだ……早いっていうか……///」

「えっと、あの、ですから……このリストの物を売っている店を探していて……」アセッ

(なんだこの人……さっきから、ち、近い。気持ち悪い……)

「案内ですか?いえいえそんな!場所を教えていただけるだけでもうじゅうぶ」

(ヒッ!?)

「ああああの!ちょっと!?……手が、僕のおしり……ええっと……っ」

「探したよアルミン」

アルミン「!?」

60 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/06(金) 23:59:54 ID:HfIo4cao

ユミル「悪いな。こいつは私のものなんだ。貸してなんかあげないよ」グイッ

アルミン「ユミル、ベルトルト……」

ユミル「おら、さっさと失せろあばずれ女。下品が伝染る」シッシッ

アルベル「……」

ユミル「行ったな……」

アルミン「……」

ベルトルト「……」

ユミル「おい。黙ってんなよ」

アルミン(下品って……)

ベルトルト(君は上品なのか……?)

ユミル「顔に出てるぞ。助けてやるんじゃなかった」

61 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 00:14:23 ID:TU8BIPTQ

――

ユミル「ダハハハハ!」ゲラゲラ

アルミン「」ヌケガラ

ベルトルト「それ以上笑ったらアルミンがかわいそうだって」アセ

アルミン(最悪だ。ベルトルトとユミルにリストの内容を見てもらったら)

アルミン(まさか大人のオモチャだったなんて……。団長、いや、男の性が憎いよ……)ゲッソリ

ユミル「はー!笑った笑った!ところでさ」

ユミル「なんでお前ひとりぼっちなんだ?ご両親はどちらに?」

アルミン「エレンとミカサなら別行動中だよ。僕はこういった極秘任務を託されたから」

ベルトルト「いくつもあるの?」

アルミン「うん」

ユミル「なあお前、その任務……兵団のお荷物になりたくないから受けたのか」

ユミル「2人をくっつけるために受けたのか……」

アルミン「……半分ずつってところかな」

62 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 00:15:30 ID:TU8BIPTQ

ユミル「最悪の回答だ。3人で壁外を探検しますーみたいな夢があんだろ?」

アルミン「うん。でも今回は2人が幸せになってくれたら、僕は幸せだ」

ユミル「欲張らないと死ぬぞ」

アルミン「人並みに欲張りだと思うけど」

ユミル「……寂しいな、お前」

アルミン「……?」

ユミル「みなしごなのはお前も同じなのにな」

ユミル「いくら健気に尽くしても、あの家族には入れない」

アルミン「へえ、ユミル」

アルミン「なかなか痛いところをついてくるね」ニコ

ユミル「痛いか」

アルミン「ちょっとね。でもいいんだ別に」

ユミル「?」

63 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 00:16:04 ID:TU8BIPTQ

アルミン「エレンが駐屯兵団に囲まれたとき」

アルミン「僕は思っていたほど2人の足手まといになってないって気付かされたから」

アルミン「僕はもうそれだけで」

ユミル「いいのか?」

アルミン「ああ。それに僕ら、皆みなしごみたいなものだろう。文句は言わないよ」ニコ

ユミル「……」

ユミル「やってやるよ、その任務」

アルミン「!」

ユミル「ベルトルトが」

ベルトルト ビクッ

69 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 00:33:42 ID:5ZWiq77.

1440――南口改札付近

テクテク

あのいかがわしい任務はベルトルトとユミルに任せちゃった……申し訳ない。

でもそのおかげで思いの外早く、他の物資も団長のカツラも手に入れることができた。

カツラはもしもの時のために兵団の袋に入れておいたし、これで一安心。

他の荷物もずいぶん増えちゃったな……重いし、物資で前が見えない。早く西口ロッカーに行かないと。フラフラ

もっと体力付けなくちゃなあ。

「アルミーン!」タタタ

アルミン「あっ!コニー」

コニー「俺1人になってたから会えてよかったぜ!」

アルミン「それはよかった」ニコ

コニー「お前何やってんだ?」

アルミン「団長の頼まれごとを少しね」ヨイショ

70 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 00:34:31 ID:5ZWiq77.

コニー「なんだその荷物、ひとりで運ぶ気か!?」

アルミン「はは」アセ

コニー「手伝うぜ!」

アルミン「い、いいの?」

コニー「当たり前だろ。でもなんでエレンとミカサと一緒じゃねえんだ?」

アルミン「今日は2人で過ごして欲しいから」

コニー「つまんなくねえの?」

アルミン「確かに一緒の方が楽しいけど……1人でも結構わくわくしてるよ」

コニー「そんなもんかね」

「コニー!アルミン!」

コニアル「!」

コニー「ライナーとクリスタじゃねえか」

アルミン「どうしたの?なんか2人とも息切らしてない?」

71 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 00:35:40 ID:5ZWiq77.

ライナー「い……いや、まさか」アセ

クリスタ「そ、そんなことないよ」ニコ

ライナー「お前たちこそ、任務か?」

アルミン「うん」

クリスタ「私たちも手伝っていい?」

ライナー「なんでもするぞ」

アルミン「ありがとう!皆!」

アルミン「西口改札世界時計近くのロッカーをいくつか借りているんだ」

アルミン「だからそこまで一緒に荷物運んでもらってもいいかい?」

コニー「ロッカー?」

アルミン「持ち物を一時的に保管することができる場所のこと」

アルミン「そこに物資をためておけば、わざわざ持って移動しなくてすむだろ?」

72 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 00:36:16 ID:5ZWiq77.

コニー「頭いいな」

アルミン「じゃあこれ、よろしく」ヨイショ

ライナー「おう。だが俺らは南口から西口への行き方がわからないんだが」キョロキョロ

アルミン「大丈夫。南口改札の横のモザイク通りを通れば西口ロータリーに着くはずだから」

アルミン「そしたら右にある小田急百貨店に入って……」

コニー「アルミンお前ここに住めるな」

73 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 00:41:22 ID:5ZWiq77.

1450――西口世界時計付近ロッカー

ガチャッ

アルミン「ふう。これでおしまい。皆手伝ってくれてありがとう。助かったよ!」

アルミン(17時世界時計前の点呼の話が全員に行き渡ったみたいでよかった)

アルミン(僕が集合時間に行けないかもってことも言えたし、これで……)

アルミン「あっ」

ライナー「どうした?」

アルミン「さっき17時に間に合わないかもって言ったよね。エレンとミカサに伝言をお願いしてもいい?」

ライナー「ああ」

アルミン「西口センタービルには無料の展望台があるから行っておいでって」

コニー「展望台?」

ライナー「そりゃいいな」

クリスタ「さっき私たちトウキョウトチョウの展望台に上ろうとしたけど、荷物検査があったから諦めたの」

74 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 00:42:12 ID:5ZWiq77.

アルミン「それならライナーたちも行きなよ。きっと絶景だよ」

ライナー「了解した」

クリスタ「ねえアルミン。私たちのこと、もっと頼ってくれていいんだよ?」

コニー「だなー」

アルミン「じゃ、じゃあさ、僕お昼がまだなんだ。付き合ってもらってもいいかな?」

コニー「おう!」

ライナー「もう3時前だぞ。よく倒れなかったな」

クリスタ「どこか行きたいところはあるの?」

アルミン「すぐそこの小田急エースってところに、うどん屋があるんだ。そこに行ってみたい」

クリスタ「うどん屋?」

75 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 01:01:25 ID:5ZWiq77.

1515――西口 うどん屋

※コニー編のうどん屋シーンは1450と書いていた。これ1510くらいに脳内変更してね。すまん。

ズルズルッ

アルミン「あと面白いと思った情報は……伝書鳩かな」モグモグ

ライナー「デンショバト?」

アルミン「そう。鳩の帰巣本能を利用した伝達方法さ。この世界で昔から使われていたみたい」

クリスタ「どうやって利用するの?」

アルミン「種にもよるけど、鳩は方向感覚や視覚に優れているらしくてね」

コニー「頭いいのか」

アルミン「うん。飼いならせば、はるか遠くから自身の鳩舎に戻ってこさせることが可能みたいなんだ」

アルミン「その鳩にメッセージを持たせてやれば、その鳩自身の鳩舎までそれを届けてくれるって仕組みさ」

アルミン「帰巣本能なわけだから一方通行だけど、訓練次第では馬を走らせるより迅速で簡単な伝達が可能だ」

アルミン「実験してみる価値はあると思う」

76 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 01:02:57 ID:5ZWiq77.

ライナー「万が一巨人がいる場所でも、上空だから妨害される心配いらんな」

コニー「さっき街で歩いてる鳩見たが、あれは皆迷子か?」ハテ

アルミン「あれは普通の鳩だよ。今の時代では使われていない技術みたい」

クリスタ「すごいね。どこで知ったの?」

アルミン「通信技術の歴史書で。詳しくは帰って読むつもり」

アルミン「というわけで、ごちそうさま。おいしかった」

ライナー「結局箸使ってたアルミンが最後だな」

クリスタ「いろんなこと教えてくれたしね」

アルミン「あはは、お箸はやっぱり難しかった」

クリスタ「あっごめん。私お手洗いに行ってくる」ガタッ

タタタ

ライナー「クリスタがお花を摘みに……」ハナヂダラダラ

コニー「今日ずっと鼻血だしてんのか?」

アルミン「貧血起こしちゃうよ?」

77 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 01:04:32 ID:5ZWiq77.

ライナー「仕方ないさ。なんせ今日俺とクリスタは結ばれるからな」

アルコニ(また始まった)

ライナー「おい、あからさまな呆れ顔してくれるな。2人きりになりたいと言ったのはクリスタだぞ」

アルコニ「ええっ!?」ガタッ

ライナー「今日はライナーと過ごしたいってな。ユミルといたのにだ。確実に両思いだろこりゃ」フフン

アルミン「両思いってことは、付き合うの?」

ライナー「それ以外に何があるってんだ。童貞卒業もお前たちより一足先になるな」ニヤ

コニー「すげえ!」

アルミン「い、いや僕にはまだ早いかな」アセ

アルミン(クリスタってライナーのこと好きだったのか……。皆恋してるんだなあ)

83 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 19:08:14 ID:GGmUC5jE

1535――西口 世界時計付近コインロッカー

「アルミン!」タタタ

アルミン「!」

アルミン「クリスタ?さっきうどん屋で解散したはずじゃ……?急用ができたって」

クリスタ「ごめんね。私、相談があるの。皆には内緒で」

アルミン「なに?」

クリスタ「さっきくじでお金を当てて、今手元に数万円残ってる」

クリスタ「このお金で、皆をカラオケに招待したいんだけど……」

アルミン「カラオケ?」

クリスタ「みんなで楽しくわいわいご飯を食べられる場所なんだって。とても素敵じゃない?」

アルミン「面白そうだね!でもクリスタが当てたお金なのに、いいの?」

クリスタ「うん。皆が喜んでくれたら、私も嬉しい」

84 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 19:09:13 ID:GGmUC5jE

アルミン「そっか。じゃあ17時に西口世界時計前に集まったら行くといいよ」

クリスタ「アルミンはさっき用事があるって言ってたもんね。でも場所が分かれば後からでも、来てほしいな」

アルミン「ああ。じゃあそうしようかな」

クリスタ「うん。あっ皆には内緒だよ?驚かせたいの」

アルミン(ライナーに相談しないのかなって思ったけど、好きな人を驚かせたいってことかな)

アルミン「わかった」

クリスタ「それで……大人数は予約が必要みたいだから、デンワするんだけど」

クリスタ「上手くできるか、ちょっと怖くて。アルミン一緒にやってもらっていい?」

アルミン「もちろん」

クリスタ「ありがとう」

クリスタ「あれっアルミン。雨具も、立体機動装置もはずしちゃったの?」

アルミン「うん。今ロッカーにしまったところ」

クリスタ「どうして?危ないよ」

85 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 19:12:20 ID:GGmUC5jE

アルミン「今から武器……この世界で言うと、護身用品を見に行くからさ」

アルミン「見慣れない顔立ちの男が物騒な格好で行ったらさすがに目立つんだ」

クリスタ「アルミンは優しさが顔に出ているから大丈夫だよ」

アルミン「あはは、ありがとう。でも人は見かけによらないって言葉もあるし、やっぱり警戒される」

クリスタ「私も付いていきたい。いい?」

アルミン「僕はいいけど」

クリスタ「?」

アルミン「ライナーはいいの?」

クリスタ「このダンジョンだから、もうきっと会えないよ」

アルミン(まあ確かに……)

クリスタ「それにアルミンが心配なんだもの」

アルミン「じゃあお願いしようかな」ニコ

クリスタ「うん」

86 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 19:13:32 ID:GGmUC5jE

アルミン「何かあったときのために、クリスタは装置をつけていてほしい」

クリスタ「わかった」

アルミン「じゃあ先にデンワしちゃおう。そこにコウシュウデンワがあるから」

クリスタ「うんっ」ルンルン

アルミン(やっぱりクリスタは優しいなあ。癒される。さすが神様)

テクテク

アルミン「これがデンワ」ドキドキ

クリスタ「緊張するね」ドキドキ

アルミン「やり方が書いてある。まずジュワキを取るって」

クリスタ「本当に取っていい?」

アルミン「うん」

87 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 19:14:26 ID:GGmUC5jE

ガチャ

クリスタ「……何も聞こえないよ?」

アルミン「お金入れてないからね。お金を入れる」チャリーン

クリスタ「……アルミン」

アルミン「番号押してないからね。ボタンを押して」

クリスタ「このボタン?」スッ

アルミン「やめて!それ110番!」ガシッ

プルルル

アルミン「いいかい。繋がったら“モシモシ”って言ってから話し始めるんだよ」

クリスタ「まかせて」ドキドキ

プルルル

ガチャ

クリスタ「モリモリ!こちらクリスタ・レンズです!」

アルミン(声が大きい)

92 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 20:34:25 ID:GGmUC5jE

1545――南口改札付近 甲州街道

トコトコ

クリスタ「さっきは緊張しちゃったよー」

アルミン「コウシュウデンワからじゃ基本的に予約ってできないんだね」

クリスタ「頼み込んだら了承してくれて、本当によかった。武器のお店はこっち?」

アルミン「うん。近いし、後で東急ハンズにも寄っていいかな」

クリスタ キョロキョロ

アルミン「さっきから何を見てるの?」

クリスタ「あ、鳩を見てるの」

アルミン「鳩か」

クリスタ「さっきの伝書鳩の話を聞いたら、鳩ってすごいなって思って」

アルミン「人にも馬にも好かれるクリスタだ。鳩ともすぐに仲良くなれるだろうね」

アルミン「神様の使いって言われているし」

93 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 20:38:13 ID:GGmUC5jE

クリスタ「そうなんだ」

アルミン「うん」

クリスタ「アルミン」

アルミン「ん」

クリスタ「私、神様なの」

アルミン「そうだね」

クリスタ「そうじゃなくて」

アルミン「?」

クリスタ「本当の神様」

アルミン「本当の神様って……何の?」

クリスタ「わからない。気づいたのは一昨日だから」

アルミン「一昨日って……荷台が異世界に繋がった日……」

94 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 20:44:12 ID:GGmUC5jE

クリスタ「うん。今回、私たちの世界とこの異世界を繋げたのは私なの」

アルミン「え……?」

クリスタ「……」

アルミン「……」

クリスタ「私なの」

アルミン「……君が?どうやって?」

クリスタ「神様の力で。と言っても無意識なんだけどね」

アルミン「冗談じゃなくて……?」

クリスタ「うん。さっきうどん屋さんでコニーがここの神様の話をしていたよね。ハンジさんから聞いたっていう」

アルミン「信教の自由があり多神教……」

クリスタ「そう。いろんな神様がいる。トイレの神様だって、いるんだよ」

クリスタ「この世界には……私を、クリスタ・レンズを神様だと言ってくれる人がいるみたいなの」

95 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 20:46:45 ID:GGmUC5jE

アルミン「君を?」

クリスタ「どうしてだろうね。私はこの世界の人間じゃないのに」

クリスタ「でもその共通認識が、私がこの世界に繋げた要因の1つなんじゃないかって」

アルミン(なぜだ?もしかしてあの『シンゲキノキョジン』に起因して……?)

アルミン(あの本をこっちの人間が読んで、僕らと同じようにクリスタを神様と認識していたとしたら)

クリスタ「もう1つ要因はあるみたいなんだけど……言えない」

アルミン「えっ気になるよ」

クリスタ「男の子には言えないの。恥ずかしいから///」

アルミン(どういうこと?)

クリスタ「とにかく、ハンジさんはそう推論してた」

アルミン「上の人には話してあるの?」

クリスタ「うん。不思議と自覚があったから。一昨日申告して、ハンジさんが事前調査をしたの」

アルミン(だから団長はこの現象を信用していたのか)

クリスタ「うふふ。アルミンが首をかしげてる」

96 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 20:49:06 ID:GGmUC5jE

アルミン「からかわないでよ」

クリスタ「珍しいんだもん」クスクス

アルミン「君のことを神様って言う人間は多い。でも本当に神様になるなんて……」

クリスタ「不思議だね」

アルミン「神様って特別な力使えたりするの?千里眼とか、人を思いのままに動かしたりとか」

クリスタ「ううん。できない。ただ少し……予感がするくらいかな」

アルミン「予感」

クリスタ「うん。でもなんとなくしかわからないし、そんなに確実でもない」

クリスタ「神様同士が作用し合うから、正確なことは把握しきれない……んだと思う」

アルミン「……」

クリスタ「……」

アルミン「驚きすぎて反応に困ってる……」

クリスタ「私も」

97 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/08(日) 20:49:53 ID:GGmUC5jE

アルミン「と、とりあえずひれ伏した方がいいかな」サッ

クリスタ「うふふ。苦しゅうない、面を上げい」

アルミン「それちょっと違う」

アルミン「でも……この話、僕にしていいの?団長から秘密にしとけって言われなかった?」

クリスタ「言われたけど、いいの」

アルミン「どうして?」

クリスタ「私は、アルミン。あなたを選ぶことにしたから」

アルミン「?」

102 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/09(月) 01:44:59 ID:AAf9q8rs

――護身用品店

クリスタ「あっアルミンお帰り!」

アルミン「お待たせクリスタ。出口で待たせちゃってごめんね」

クリスタ「ううん。収穫はどうだった?」

アルミン「思いの外不作だ。拳銃や刀の所持に厳しい国だけあって」

アルミン「うーん、デンチがなくちゃ使えないものばかりなんだよなあ」

クリスタ「デンチ?」

アルミン「うん。でもデンキの力によってこの世界が飛躍的に発展したことは明白だ」

アルミン「つまり僕たちもこの技術を学べば、生活が一気に進展するだろう」

アルミン「研究ためにもデンチ、デンキュウなんかは持って帰るつもりだよ」

クリスタ「これは……催涙スプレー?」マジマジ

アルミン「あはは、それはならず者撃退用」

103 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/09(月) 01:46:11 ID:AAf9q8rs

クリスタ「面白そう」ゴソゴソ

アルミン「あはは、さり気なく開封しないで」

クリスタ「うふふ。アルミンが焦ってる」ゴソゴソ

アルミン「クリスタって意外とおてんばだよね。だめだってばもー」

クリスタ「あはは、こっちだよー」フリフリ

アルミン「ちょっとー」

クリスタ「はは」

アルミン「返してってばー」

ガバッ

アルミン「!」

アルミン(後ろから抱きつく感じになっちゃった……!)

アルミン「ごっごめん!///」バッ

104 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/09(月) 01:47:08 ID:AAf9q8rs

クリスタ「ううん。大丈夫だよ」

アルミン「そ、そう///」

クリスタ「あ、でもならず者だったら催涙スプレー使えたね」ウフフ

アルミン「勘弁して」

クリスタ「ごめんね。返します」スッ

アルミン「うん」

アルミン(訓練以外でもないのに女の子に抱きついちゃうなんて!僕のばか!///)ブンブン

アルミン「ととと東急ハンズはあちらでございます」

クリスタ「落ち着いてアルミン」

105 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/09(月) 01:56:25 ID:AAf9q8rs

1635――サザンテラス口改札前付近

クリスタ「サザンテラス口って可愛らしい名前だよね。サザンって南のこと?」

アルミン「うん。でもサザンテラス口の甲州街道挟んだ向かいには南口があるし、あっちの奥には新南口もある」

クリスタ「シンジュクは南が好きなんだ」

アルミン「そうかもね。それでこれからのことなんだけど」

クリスタ「うん」

アルミン「東急ハンズも行けた。集合時間の17時も近いし、クリスタは世界時計に向かったほうがいい」

アルミン「これから僕はデンシャに乗ってコウダンシャに行く」

クリスタ「コウダンシャ?」

アルミン「うん。待ち合わせに間に合わないって言ったのはこのためだ」

アルミン「コウダンシャに行けば巨人の手がかりが掴めそうだからね。デンシャに乗って……」

クリスタ「だめだよ」

アルミン「……どうして?」

106 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/09(月) 02:08:59 ID:AAf9q8rs

クリスタ「……?」

アルミン「どうかした?」

クリスタ「なんの音?」

キーン

アルミン「あれか。ヒコウキって言うんだって。たくさんの人を乗せて飛ぶ、巨大な鉄の鳥さ」

クリスタ「小さく見えるよ?」

アルミン「ずっと高所、雲の上を飛んでいるからだよ。近くでみたらすごく大きいはず」

アルミン「すごいなあ。僕も乗ってみたい」キラキラ

クリスタ「この世界ってすごいよね」

アルミン「ああ。驚かされてばかりだ。全く飽きないよ」

アルミン「きっと壁なんてないから行きたい場所に行けるだろうし、知りたいことも知れるだろう」

クリスタ「アルミン」

アルミン「ん?」

クリスタ「今日がずっと続くといい?」

107 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/09(月) 02:11:41 ID:AAf9q8rs

アルミン「あはは、悪くないね。でも叶わないよ」

クリスタ「……」

アルミン「時間も迫ってきてるし、僕そろそろ行かなきゃ」

クリスタ「待って!」グイッ

アルミン「へ……?」

クリスタ「もう少しここにいて」

アルミン「もう少しって……」

クリスタ「あと少し」

アルミン「……」

クリスタ「……」

アルミン「えっと……」アセ

クリスタ「私が」

クリスタ「叶えてあげる」

108 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/09(月) 02:13:19 ID:AAf9q8rs

アルミン「……?」

クリスタ「今日がずっと続くように、叶えてあげる」

アルミン「どうやって……」

クリスタ「誰にも言ってないけど……私は今日」

クリスタ「この世界に残るつもり」

アルミン「!?」

クリスタ「私、壁の世界で消えたいと思ってた。早く死んで消えちゃいたいって」

クリスタ「でも死ぬのが怖くないわけじゃない」

クリスタ「今日22時に間に合わなければ、死なずに、あの世界からいなくなることができる」

クリスタ「これはチャンスなの」

アルミン「……本気?」

クリスタ「うん」

アルミン「い、いや、大げさだよ。また荷台を繋げれば、行き来できるんだろ?」

クリスタ「ううん。もう今日だけだよ。多分もう一生繋がらない」

109 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/09(月) 02:14:49 ID:AAf9q8rs

アルミン「……!」

クリスタ「アルミン。私、一緒にここで生きてくれる人、家族になってくれる人、探してたの」

アルミン「は……」

クリスタ「一緒にこの世界で、生きよう?」

アルミン「……」

クリスタ「……」

アルミン「はは……」

クリスタ「……」

アルミン「冗談は、よしてよ……」

クリスタ「考えてみて。この世界に残れば、新しい場所、新しいものにたくさん出会えるよ」

クリスタ「アルミンが望むもの、きっとある。世界中冒険できる」

クリスタ「炎の水や氷の大地、砂の雪原……見たいものが見れる」

アルミン「だめだよ……考え直すんだクリスタ」

110 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/09(月) 02:16:50 ID:AAf9q8rs

クリスタ「決めたの」

アルミン「まだ間に合う」

クリスタ チラッ

アルミン(……僕の後ろを見てる?)

クリスタ「ううん。もう時間。ごめんねアルミン」

ガンッ!!

アルミン「!?」

アルミン(頭……殴られた……?)

フッ

120 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/10(火) 01:15:32 ID:mougFFrM

――

ブロロロロ……

ハッ!

アルミン「っつ……いたた……」ズキズキ

アルミン(何者かに後ろから頭を殴られて、拘束されたのか……?)

クリスタ「アルミン」

アルミン「クリスタ!大丈夫!?怪我はない!?」

クリスタ「大丈夫」

アルミン「そうか……よかった……」

アルミン「ここはクルマの荷台、だよね?真っ暗だし……僕ら2人で窮屈だ」

クリスタ「うん」

アルミン(両手は布で固く縛られている……)

アルミン(足だけでは、いや、両手使えたって自力では出られそうにない)

121 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/10(火) 01:23:35 ID:mougFFrM

アルミン「クリスタのブレード、出せる?」

クリスタ「ううん」

アルミン「だよね狭すぎる……。そうだ荷物は?」

クリスタ「多分足下に。でも取れない」

アルミン「護身用品はあるか……。でも脱出に役立つものは入ってないな……」

クリスタ「……」

アルミン「ねえ」

クリスタ「……」

アルミン「……君がやったの?」

クリスタ「うん」

アルミン「さらわれてしまえば、22時に間に合わなくなるから」

クリスタ「そう。私はあの場所であの時間に、人さらいが現れることを予感してたの」

クリスタ「だからアルミンを誘導した」

アルミン「僕は神様に嵌められたのか」

122 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/10(火) 01:32:58 ID:mougFFrM

クリスタ「私、わがままなの。消えたいけど、ひとりぼっちは嫌。家族がほしい」

アルミン「わがままって……度を越してると思うよ……」

クリスタ「だからアルミン、一緒に来て?」

アルミン「いやだ」

クリスタ「お願い」

アルミン「……!」

クリスタ「どうしたの?」

アルミン「……」

クリスタ「来てくれるの?」

アルミン「いや……。話の腰を折って悪いんだけど……」

アルミン「足」

クリスタ「?」

アルミン「あの……僕の足に挟まってる君の太もも……位置、ずらせない……?」

123 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/10(火) 01:48:15 ID:mougFFrM

クリスタ「え?」

アルミン「少しでいいんだ。下にひいて欲しい」

クリスタ「えっと」スッ

アルミン「う、ううん……そっちじゃなくて……クリスタ側にひいて」

クリスタ「ん?」スリッ

アルミン「え……っ!///ちょっと!なんで上なの!」

クリスタ「これ以上下がんないよ」

アルミン「そう……じゃあ悪いんだけど、動かないでもらっていい?1ミリたりとも」

クリスタ「どうして?」

アルミン「どうしても」

アルミン(落ち着け……脱出の方法を考えるんだ)

クリスタ「……」

アルミン「……」

スリスリ

アルミン「ちょっ……!///」

127 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/10(火) 02:08:32 ID:mougFFrM

アルミン「やめてクリスタ!動かないでって言ったばかりだよ!?」

クリスタ「機動装置が邪魔で安定しなくて」

アルミン「そ、そうなの……ごめん。じゃあ待つから、上手く体勢とってね」

クリスタ「うん」モゾモゾ

アルミン「……」

スリスリ

アルミン「ねえ……///」

スリスリ

アルミン「ねえまだ……っ?///」

スリ……

アルミン「待ってよ!わざとやってるでしょ!?」

クリスタ「ごめんねアルミン」スリスリ

アルミン「謝る、くらいなら……っ!やめてっ!///」

クリスタ「脱出の手段を考えてるんでしょ?やだよそんなの」

128 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/10(火) 02:51:55 ID:mougFFrM

アルミン「やだよじゃないよ!待って待ってストップ!本当に……やめて!///」

クリスタ「ならついて来てくれるって言って!」

アルミン「やだってば!ちょっと離れて……っ」ジダバタ

クリスタ「やだってばじゃないよ!お願いだか」グイグイ

スッ

クリスタ「いたっ!」

アルミン「!?」

アルミン「ごっごめん!」

アルミン(クリスタの……その、胸?かな。さ、触っちゃった……?)

アルミン(で、でもそんなに痛がるほど触っちゃったの僕?触れただけっぽかったけど……)

アルミン「痛かったよね……ごめん」

クリスタ「ううん。大丈夫……」

129 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/10(火) 02:57:11 ID:mougFFrM

クリスタ「アルミンが触りたいって思ってくれるなら……」

スス

アルミン(僕の手を……)

ピトッ

アルミン「へ」

アルミン(柔らかくて……あったかくて)

アルミン(頂きの感触?)

アルミン「は……っ!?///」カアァァ

アルミン「雨具の下!着てないの!?///」

クリスタ「うん」

アルミン「どうして!?露出狂なの!?」

143 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/11(水) 20:02:18 ID:tZbG9R2U

クリスタ「アルミンはいい人だから、ここまでしないとと思って。シャツと下着脱いできたの」

アルミン「脱いできたって」

クリスタ「い、色仕掛け……?」キョトン

アルミン「大胆すぎて引くよ!」

クリスタ「だよね……。でもこれ以外アルミンを連れて行く方法、思いつかなくて」シュン

アルミン「好きでもない男にこんなことするなんてだめだ。自分を大切にしてよ」

クリスタ「ごめんなさい」

アルミン「い、いや僕に謝られても……。君はライナーが好きなんだろ?」

クリスタ「……本当はライナーを連れて行こうと思ってた」

アルミン「はあ。僕は次点でこんな目に……」

クリスタ「でも本当の本当はユミルを連れて行こうと思ってたの」

アルミン「三番手じゃないか!」

144 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/11(水) 20:03:28 ID:tZbG9R2U

クリスタ「お願い」ギュムッ

アルミン「ヒッ!押し付けないでっ」

クリスタ「ん……っ」

アルミン「勝手に変な声出さないでよ!///」

アルミン(どうしよう……今僕と暗がりで密着してるのは、皆のクリスタだ)

アルミン(彼女が僕にこんなこと……!このままじゃ僕……まずいって!///)

スリスリ

クリスタ「アルミン……」

アルミン「こんなやり方……ずるいよ……///」

クリスタ「本当にごめんね……。でも、さらわれても、きっと大丈夫だから安心して」

アルミン「うう……っ///」

クリスタ「だから今は……ここから出ようと考えないで……」

スリスリ

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