ユミル・フリッツ/始祖ユミル(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ユミル・フリッツは『進撃の巨人』の登場人物で、「始祖ユミル」とも呼ばれている。エルディア人こと「ユミルの民」の始祖となった女性で、光るムカデのような生物と接触したことで彼女は「始祖の巨人」の能力を得たとされている。マリア・ローゼ・シーナという名前の3人の娘達がおり、パラディ島の3重の壁は彼女達の名前から名付けられた。ユミルの死後、巨人化能力は3人の娘達に引き継がれ、さらに子々孫々に脈々と継承されることとなった。
ユミル・フリッツ/始祖ユミルの概要
ユミル・フリッツは『進撃の巨人』の登場人物。本編の1820年前に生きていた奴隷の少女で、巨大な樹の洞に落ちて「光るムカデ」と接触したことが原因で巨人化。後のエルディア人こと「ユミルの民」の始祖となった。そのため「始祖ユミル」とも呼ばれている。ユミルはフリッツ王の命じるまま働き、エルディアの領地拡大に貢献。その後、巨人の力を求めるフリッツ王の妻にされた。フリッツ王に娶られたあともユミルはフリッツ王のため、エルディアのために巨人の力を使い、その献身は死後も続くことになる。
ユミル・フリッツ/始祖ユミルのプロフィール・人物像
約1820年前に「大地の悪魔」と契約し、巨人の力を手に入れたとされている。ユミルは死後、魂を九つに分け「九つの巨人」(「始祖の巨人」「進撃の巨人」「超大型巨人」「鎧の巨人」「女型の巨人」「獣の巨人」「顎の巨人」「車力の巨人」「戦鎚の巨人」の九つ)が誕生した。
エルディア人達は巨人の力を使ってエルディア帝国を築き上げ、古代の大国マーレを滅ぼし大陸の支配者となったと伝えられている。
マーレ政権下では、ユミルの民はその後他民族の弾圧を行い、他民族に無理矢理子供を産ませる民族浄化を1700年間続けたと考えられている。
一方グリシャ・イェーガーたちエルディア復権派の研究では、始祖ユミルは巨人の力を用いて荒れ地を耕し道や橋を造るなど、大陸の発展に貢献し人々に富をもたらしたとされている。
時代や場所によって「神のもたらした奇跡」とされることもあれば「悪魔の使い」とされることもあり評価は異なるが、その実態は初代フリッツ王に仕えた奴隷の少女だった。
巨人の力
ユミルはある時偶然有機生物の起源と思われる光るムカデと接触し、「始祖の巨人」の能力を得た。ユミルはフリッツ王の命令に従うまま巨人化能力で領土拡大に貢献し、その褒美としてフリッツ王に娶られ3人の娘を儲けた。
彼女の死後その能力は娘たちに引き継がれ、その後も子孫まで巨人化能力は脈々と受け継がれていった。そうして生まれたのが「ユミルの民」と呼ばれる巨人化能力を持ったエルディア人達である。
しかし、肉体が死んだ後もユミルは死さえ存在しない世界である「道」に存在し続け、たった1人で王家の血を引く者達の命令に従い、巨人を作り続けてきた。
フリッツ王への愛
王家の血を引く者の命令に従い続けたユミル。その理由について王家の末裔であるジーク・イェーガーは「ユミルは自分の意志を持たぬ奴隷であり、王家の血を引く者を自分の主人だと思い込んで服従し続ける」ためと語っているが、実際には「ユミルには自分の意志がない」というのは間違いである。
ユミルが死後も「道」に留まり続け、王家の血を引く者に従い続けていた理由は、彼女が初代フリッツ王を愛していたためであった。しかし同時にユミルは愛の呪縛から解放されたいと願っており、2000年もの間自分を愛の苦しみから解放してくれる存在を求め続けていた。全てのエルディア人が「道」でつながっているのも、彼女を救ってくれる誰かを見つけるために他者とのつながりを求めていたためであろう。
始祖ユミルの実像
2000年以上「道」で存在し続け、半ば神のような存在となっているユミルの人物像を作中から読み取ることは難しい。フリッツ王によって舌を抜かれているせいで自分の想いを口に出すこともできず、エレンによって自由意思を肯定される前はほとんど表情もなかった。
それでも我が子を抱く慈愛に満ちている表情や、自分を奴隷扱いし続けたフリッツ王に対しても身を挺してかばうと言った行動の端々から、彼女が愛情深い女性であったことがわかる。
また、結婚式を羨ましそうに見つめるシーンの回想が何度も繰り返されており、「祝福されながら結婚式を行う」ことが彼女にとって幸せの象徴であったことがうかがえる。
「始祖の巨人」の先々代継承者であるフリーダ・レイスは、妹のヒストリアとの会話で「女の子らしくっていうのはこの子(ユミルのこと)みたいなことかな」「いつも他の人を思いやってる優しい子」とユミルを評している。
声優:三浦千幸
アニメ『進撃の巨人』でユミルの声を担当した声優は三浦千幸である。三浦千幸は『進撃の巨人』でユミルだけでなく、フェイ・イェーガー、エーベル・レイスの声も担当した。
ユミル・フリッツ/始祖ユミルの来歴・活躍
舌を抜かれた奴隷の少女
ユミルの部族はエルディア人に侵略され、ユミルを含めた多くの人々が奴隷として連れ去られた。奴隷にされた人々はものが言えないように舌を抜かれ、厳しい強制労働を課せられた。
豚を逃がした罪
ある時、ユミルを含む奴隷達は豚を逃がした罪に問われ、犯人は名は乗り出るように命じられる。他の奴隷達は一斉にユミルを指さし、ユミルは罰として初代フリッツ王から、自由と言う名の追放を言い渡された。フリッツ王の部下達や犬に狩りのように追い立てられて怪我を負ったユミルは、1本の不思議な大樹の元へたどり着く。その大樹の洞に落ちたユミルは、「光るムカデ」のような脊髄のような何かと接触。その瞬間ユミルは巨人化の能力を手に入れた。
ユミルが豚を逃がしたのは過失ではなく意図的なものだったと考えられている。柵に囚われ自由のない豚たちに自分を重ね、せめて豚たちだけでも自分にしたいという願いから行動したのではないか、と推察されている。
フリッツ王の妻になる
巨人化の力で道を開き、荒れ地を耕し、峠に橋を架けてエルディア領地の拡大に貢献した褒美として、ユミルはフリッツ王に娶られる。巨人の力で大国マーレにも圧勝し、エルディア帝国は隆盛を誇った。
また、ユミルはフリッツ王との間に3人の娘を設け、それぞれ長女をマリア、次女をローゼ、三女をシーナと名付けた。
ユミルはなぜ死んだのか
順風満帆に思えた日々は長くは続かなかった。ある日、投降した敵がフリッツ王に謁見した際、隠し持っていた投げ槍で王が殺害されそうになる。ユミルは身を挺してフリッツ王をかばい、槍に体を貫かれた。
3人の娘達がユミルにすがって嘆き悲しむ中、フリッツ王は「何をしておる 起きよ お前が槍ごときで死なないのはわかっておる 起きて働け お前はそのために生まれてきたのだ 我が奴隷ユミルよ」と語り掛ける。王が最期まで自分のことを奴隷としか見ていなかったことに絶望したユミルは、巨人の力で回復することなく息絶えた。それは彼女が光るムカデと接触し、巨人の力を得てから13年後のことだった。
フリッツ王は巨人の力を継承させるため、ユミルの亡骸を切り刻み3人の娘達に食わせた。フリッツ王が死んだ後も、その遺言によってユミルの血は受け継がれ、子が親の背骨を食うと言う形で巨人の力は継承され続けた。そうして始祖のほかにも特異能力を持つ「九つの巨人」が誕生し、エルディア帝国は巨人の力で長い繁栄を謳歌したのだった。
死さえ存在しない世界へ
肉体は死んだものの、ユミルの魂は少女の姿でその後も「道」に留まり続けた。そして歴代フリッツ王家の求めに忠実に従い、ユミルはたった1人で2000年もの間巨人を作り続けていた。
約100年前、145代フリッツ王カール・フリッツが「始祖の巨人」を継承すると、彼はユミルと「不戦の契り」を交わす。これは王家の人間が「始祖の巨人」を継承すると、カール・フリッツの思想に縛られ始祖の真の能力を引き出すことができなくなるというものである。カール・フリッツは巨人の力を巡る長い争いの反省から、始祖の能力を封じ込め子孫達が戦う手段を無くそうとしたのだった。
しかしこの「不戦の契り」は、王家の人間ではないエレン・イェーガーが始祖を継承したことで無効化される。エレンは異母兄で王家の血を引くジークと接触するという裏口の方法使って、「不戦の契り」に縛られることなく始祖ユミルのいる「道」へ到達した。
同時に「道」にたどり着いたジークは、本来であれば「不戦の契り」の影響を受けるはずだったが、傷ついたエレンが回復するまでの長い時間ユミルと一緒にいたことで、「不戦の契り」の無力化に成功する。
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目次 - Contents
- ユミル・フリッツ/始祖ユミルの概要
- ユミル・フリッツ/始祖ユミルのプロフィール・人物像
- 巨人の力
- フリッツ王への愛
- 始祖ユミルの実像
- 声優:三浦千幸
- ユミル・フリッツ/始祖ユミルの来歴・活躍
- 舌を抜かれた奴隷の少女
- 豚を逃がした罪
- フリッツ王の妻になる
- ユミルはなぜ死んだのか
- 死さえ存在しない世界へ
- 「地鳴らし」の発動
- ミカサによる解放
- ユミル・フリッツ/始祖ユミルの能力
- 「始祖の巨人」
- 巨人の生成
- 巨人の操作
- 身体構造・記憶の操作
- ユミル・フリッツ/始祖ユミルの関連人物・キャラクター
- 初代フリッツ王
- エレン・イェーガー
- ジーク・イェーガー
- ミカサ・アッカーマン
- ユミル(104期)
- ユミル・フリッツ/始祖ユミルの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 有機生物の起源との接触
- ユミルの涙
- ユミル・フリッツ/始祖ユミルの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 元ネタは北欧神話の巨人ユミル
- 始祖ユミルは「かわいい」
- 映画『ミッドサマー』に登場した「始祖の巨人ユミル」