【進撃の巨人】「アルミンくんは女の子じゃないもん!」【厳選名作SS】

進撃の巨人の厳選名作SSを掲載しています。ある日突然医者から女の子だと言われたアルミン。困惑を隠せないアルミンは、いつものように訓練に取り組もうとしますが、なかなか同期の男子たちについて行けず…。

「アルミンくんは女の子じゃないもん!」

1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/19(水) 23:14:49 ID:8p6Q04L.

医師「いえ、遺伝子上は女性ということが判明しました」

アルミン「え゛」

医師「性染色体は46,XX。疾患名は先天性副腎皮質過形成ということに~」ウンヌンカンヌン

アルミン「……」

医師「極めて稀なケースですが、あり得ないことではなくて~」ウンヌンカンヌン

アルミン「……」

医師「今後は女性ホルモン投与による女性化が最適な治療と思われますが~」ウンヌンカンヌン

アルミン「……」

アルミン「僕が……女?!」

2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/19(水) 23:16:19 ID:8p6Q04L.

時間は少し遡って847年 第104期訓練兵団入団から数ヶ月

風呂場

ジャン「うう……今日も演習がハードで疲れた……」

マルコ「やっぱり演習後のお風呂が一番リラックスできるね……」

ライナー「ふぅー、熱い湯につかると体の芯から疲れが取れるぜ」チャプン

ジャン「ライナー、てめぇオヤジくせえぞ。本当に同い年かよ」

3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/19(水) 23:17:38 ID:8p6Q04L.

ガラッ

コニー「キャッホーッイ!風呂だ風呂!」ジャッボーン

ジャン「プハッ!!おい、コニー!何しやがる!湯船に入る前はちゃんと掛け湯しろ!!」

コニー「堅い事言うな。ほらよ、ちんちんぶ~らぶら♪ちん毛わさわさジャングルわっさっさ~♪」

ジャン「ちょおま!こっちに汚ねぇ湯がかかるだろ!」

コニー「お、ライナーのは太いな!しかも、ちん毛でもっさりガードされてんな!よし、俺が鎧のチンポって命名してやるぜ!」

ライナー「……お前は小学生か」

コニー「ベルトルトのは……うげぇ!デカい!!デカすぎる!!通常時でそれとか、どんだけだよwwwこの超大型チンポめ!!」

マルコ「コニー、はしゃぎすぎだよ……」

ウキャキャキャキャ

5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/19(水) 23:24:56 ID:8p6Q04L.

エレン「やれやれ遅くなっちゃったな。俺たちも早く入らないと」

アルミン「うん、そうだね……」

ガラッ

ライナー「お、エレンたちもようやく来たか。さっさと済ませないと入浴時間終わっちまうぜ」

コニー「おい、アルミン!なにタオルで隠してんだよ!男らしく見せろ!」

アルミン「あっ!やめ……」バッ

コニー「うはwwwちっちぇーwwwしかもチン毛生えてないとかwwwつるつるwww」

アルミン「タ、タオル返せよ!」グイッ

コニー「おーい、みんな!アルミンはちっちぇーぞwwwアルミンじゃなくてピクミンだwww」

6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/19(水) 23:29:13 ID:8p6Q04L.

アルミン「くっ……」ウルッ

エレン「いい加減にしろ!」ゴチン

コニー「いてぇ!」

ライナー「そうだぞ、コニー。言っていい事と悪い事がある。今のは明らかにやり過ぎだ」

コニー「いたた……何も殴らなくたっていいじゃねぇか……ってアルミン、泣いてんのか?」

アルミン「な、泣いてなんかない!!」フイッ

コニー「あわわ、わ、悪かったよ……。ちょっと調子乗り過ぎたわ……」オロオロ

8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/19(水) 23:34:33 ID:8p6Q04L.

ジャン「ちっ。コニーもガキ過ぎてウザいが、そんぐらいで泣くとかアルミンも気持ち悪い野郎だぜ……」

マルコ「ジャン!君はまたそんな事を……」

ジャン「事実じゃねぇか。エレンとベタベタつるんでばっかで……女かっつーの」

アルミン「!」カーッ

ジャン「だいたい、今だってやり返したのはエレンで自分は泣き寝入りとか……」

アルミン「ジャン……」

ジャン「あ?なんだよ……」

9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/19(水) 23:38:41 ID:8p6Q04L.

アルミン「訂正しろ」

ジャン「は?」

アルミン「僕が女みたいだって言った事……訂正しろ!!」

ジャン「なに興奮してんだよ、逆ギレか?」

エレン「おい、挑発すんなよ」

ジャン「はっ、面白ぇ。女みたいだって言われたのがそんなに悔しかったのか!」

10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/19(水) 23:42:24 ID:8p6Q04L.

マルコ「ジャン、やめなよ」

コニー「お、おい、アルミン。俺が悪かったんだ。だから、そんなに怒んないでくれ……ホント、ゴメン!」

アルミン「……ジャン、訂正する気はないのかい……」

ジャン「ああ、ないね。前からそう思ってたんだ、このオカマ野郎!」ドンッ

アルミン「あっ……」ヨロッ

エレン「何しやがる!」ガツン

ジャン「いってぇ……なんでお前が殴るんだよ!!」

11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/19(水) 23:47:04 ID:8p6Q04L.

エレン「うるせぇ!アルミンをバカにすんじゃねぇ!!」

ジャン「この野郎!今日こそ勝負つけてやろーじゃねぇか!!」

ライナー「よせ、二人とも!」

ワーワーウギャーウギャーヤメローヤメロードシーンバターン

ガラッ

キース「大きな音が聞こえるが、誰か説明してもらおうか……」

一同「ーー」

12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/19(水) 23:53:04 ID:8p6Q04L.

シーン

キース「……」

ライナー「俺の放屁した音です……」

キース「……中身は出てないだろうな。……風呂場の換気をしておけ」

ギィバタンッ

一同「ホッ

エレン「ライナー、わりぃ……」

ライナー「まったくだぜ……サシャのせいにするわけにもいかんし……なんで俺が……」

13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/19(水) 23:57:43 ID:8p6Q04L.

マルコ「とにかくケンカはここまでだ。これ以上騒いだら営倉行きだよ」

コニー「いやぁ~本当悪かった。元はと言えば俺のせいだし……アルミン、ゴメンな」

アルミン「コニー……もういいんだ。別に気にしてないよ」

コニー「そ、そうか。ならいいんだ。俺も気にしねーからwww」

ライナー「お前は少し気にしろよ」

15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:02:54 ID:5.cYjYpA

ジャン「……」

アルミン「ジャン、君は僕に謝るつもりはないのかい?」

ジャン「ないね、お前こそ殴り返さないのかよ。へっ、臆病なヤツ。やっぱりカマ野郎だぜ」

アルミン「ああ、僕は殴り返さない。そんなことすれば、君と同レベルになってしまうからね」

ジャン「な!……上等だ、次の対人格闘の時にでも刈ってやるからな」

エレン「おい、ジャン!俺のことも忘れんなよ……」

ジャン「ああ、死に急ぎ野郎もまとめてやってやるよ……このままじゃ収まりがつかねぇ」

16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:08:12 ID:5.cYjYpA

マルコ「まったく、ジャンはすぐそうやって好戦的になるんだから……」

ライナー「取っ組み合うのは訓練の時だけにしとけよ……」

エレン「アルミン、怪我とかしてないか?」

アルミン「う、うん。大丈夫だよ……」

アルミン(僕は……いつも守られてばかりだ……)

17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:12:45 ID:5.cYjYpA

兵舎廊下

エレン「お、ミカサたちだ。おーい、お前たちも風呂上がりか」

ミカサ「エレン……」タッタッタッタッ

ミカサ「お風呂からあがる前、ちゃんと100まで数えてよく温まった?髪の毛はちゃんと拭いた?」

サシャ「いつもながら、二人は本当に仲良しですね~」

エレン「俺はもう突っ込むのも飽きてんだけどな……ミカサ、お前は俺の母親か?」

離れた所

ジャン「あいつ、またイチャイチャして!!グググ……羨まし過ぎんだよぉ……」

マルコ「ジャン、泣かないで……」

18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:17:44 ID:5.cYjYpA

ミーナ「ねぇ、エレンとアルミンは知ってる?年末に一般開放日っていう催しがあるらしいの」

エレン「一般開放?なんだそれ」

アニ「普段は関係者以外立ち入り禁止の兵団基地を、市街地の住民に開放して立ち入らせるらしいよ」

エレン「はぁ?なんだってそんなこと」

アルミン「恐らく、住民との相互理解を深めようという趣旨じゃないかな」

19 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:22:53 ID:5.cYjYpA

アルミン「二年前のウォール・マリア陥落以来、多少は兵士たちに向けられる目も変わったけど、それでも未だに平時は無駄飯を喰らってると反感を持っている人がいる」

アルミン「こういった催しを開く事で、少しでも兵団のイメージアップを図ろうという事なんだろう」

サシャ「さすがアルミン!まさに、一を聞いて獣肉を知る、というヤツですね」

エレン「で、その一般開放日がどうしたって?」

アルミン(うわ、素でスルーした。女子も突っ込む気配ないし……何気にみんなヒドイな)

21 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:28:04 ID:5.cYjYpA

クリスタ「うん、その一般開放なんだけど、その日は演習場や兵団装備の見学を許可したり、戦闘糧食の試食をさせたり、色々企画があるそうなんだけど……」

サシャ「レーションを出すだけじゃなくって、普通の出店もあるそうなんですよ!お肉が食べられるかも!!」

クリスタ「あはは……それで、企画の中には、訓練兵による出し物もあるんだって」

ユミル「まったく、なんだってそんな事やらされるんだか……」

アニ「同感だよ、実に下らないね……」

22 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:34:42 ID:5.cYjYpA

アルミン「出し物って具体的には何をやるのかな」

ミカサ「それはまだ決まっていないらしい。今後、何かしらの連絡があると思うけど」

エレン「なんか面白そうじゃん。せっかくだからみんなで楽しもうぜ」

ミーナ「だよね!やるからには楽しまないとね。ほらほら、アニも楽しもうよ」

アニ「まったく……」

アルミン「ははは……………!っ」フラッ

エレン「!おい、アルミン、どうした?!」

24 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:39:18 ID:5.cYjYpA

アルミン「大丈夫……ちょっと湯あたりしちゃったかな……」

ミカサ「アルミン、顔色が悪い……」

サシャ「貧血ですか?真っ青ですよ」

クリスタ「医務室行く?私、付いて行くけど……」

アルミン「本当に大丈夫だから……みんな、心配かけてゴメン……」

ユミル「……クリスタ、私も貧血だ。医務室連れてって!」

アニ「あんたは一人で行けよ……」

アルミン(最近、頻繁に貧血が起こる……しっかり体調管理しないと……)

26 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:46:21 ID:5.cYjYpA

兵站訓練中

バシャバシャ

キース「どうした、アルレルト!貴様だけ遅れているぞ!」

アルミン「ハァハァ

キース「貴様には重いか!?貴様だけ装備を外すか!?」

アルミン「ハァハァ……く……くそっ…

ライナー「貸せ、アルミン!」ヒョイッ

アルミン「ライナー……」

ライナー「このままじゃ不合格だぞ」

アルミン「そ、そんなことしたらライナーまで不合格に……」

ライナー「バレねぇように尽くせ!俺の気が変わらねぇうちにな!」

27 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:48:17 ID:5.cYjYpA

ザアアアア

キース(ライナー・ブラウン、屈強な体格と精神力を持つ。何より仲間から高い信頼を得ている)

アルミン「……お荷物なんか死んでもごめんだ」ガッ

ライナー「な!?オイ!?」

タッタッタッタッ

キース(アルミン・アルレルト、体力面において兵士の基準に達しないものの、座学の受け応えにおいて非凡な発想を見せると聞く)

キース(本人が自分の方向性を獲得すればあるいは……)

28 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:51:24 ID:5.cYjYpA

アルミン「ハァハァハァハァ……

フラッ…バタッ

キース「!」

ライナー「アルミン!」

キース「止まるな!演習を続行しろ!アルレルト訓練兵はこちらで回収する」

ライナー(くっ……あいつ、だから無理するなってのに……)

29 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 00:56:54 ID:5.cYjYpA

演習終了後 兵舎

エレン「ライナー!演習中にアルミンが倒れたって?!」

ライナー「ああ、教官が運んでった。多分一足先に医務室にいるんじゃないかな」

エレン「そうか……アルミンのやつ、ここんとこ調子悪そうだったんだよな……」

ジャン「ハッ、体調管理も優秀な兵士の条件だ。それが出来ないようじゃ、この先が思いやられるぜ」

エレン「てめぇ、いい加減に……」

ライナー「おいおい、お前ら、こんな時にまで頼むぞ……」

30 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 01:02:05 ID:5.cYjYpA

エレン「……わ、悪い」

ジャン「……」

ライナー「俺はな、ヤツが体調良くなさそうなのに気付いてたんでな、装備の一部を代わりに持ってやろうとしたんだ」

ライナー「そしたら、アイツ、どうしたと思う?俺から奪い返していきやがったんだぜ」

エレン「なっ!」

ジャン「……」

ライナー「アルミンは、なんだかんだで根性あるヤツなんだよ。それはジャンも分かってるんじゃないか?」

31 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 01:07:51 ID:5.cYjYpA

ライナー「お前が体術で挑んでやると凄んできた時だって、自分に勝ち目が無いのに、あいつは意見を曲げなかった。最後までな」

ジャン「……」

ライナー「ま、何も友人になれとまでは言わないけどよ、少しは認めてやったらどうだ?」

エレン「ライナー、お前……」

ライナー「なんだ、惚れたか?」ニカッ

エレン「オヤジ臭いな……本当に同い年か?」

ライナー「ほっとけ!」

32 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 01:13:02 ID:5.cYjYpA

医務室

キース「――では、かりに――の場合には――」

衛生官「――それは――ということも――」

アルミン「……ん、んん……ここは……?」

キース「アルレルト訓練兵、気が付いたか。貴様は訓練中に意識を失い、医務室に運びこまれた」

アルミン「そう、でしたか……申し訳ございません」

衛生官「アルレルト訓練兵、現在、意識はしっかりしてるかい?質問に答えられるかな?」

33 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 01:18:44 ID:5.cYjYpA

アルミン「ハイ、問題ありません……」

衛生官「え~っと……きみ、エストロゲンとか、なにかホルモン剤の類は服用してる?」

アルミン「は?いえ、とくには……」

衛生官「これまで染色体検査を受けた事はある?」

アルミン「いえ……」

衛生官「もう精通は迎えた?」

アルミン「!!し、質問の意図が分かりません!!」

34 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/20(木) 01:23:41 ID:5.cYjYpA

キース「アルレルト訓練兵!質問に答えろ!!」

アルミン「!…………いえ、まだです」

衛生官「そうか……。いや、答えにくい質問ですまなかったね」

衛生官「キース教官、申し訳ないが、この症例は私では扱いかねます。本部から軍医を派遣してもらうか、それでもダメなら専門の民間医師を手配しないと……」

キース「ふむ……」

アルミン(……教官たちはいったい何の話をしているんだ?)

52 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 22:30:33 ID:A5VV.cSM

トボトボ

アルミン(悪性貧血のため、再検査を受けるまでの間は、体に過度の負担がかかる訓練への参加を禁ず……か)

ガチャッ

コニー「そんなこと言って、隠したってムダだぜ!こいつ、ぜってームッツリだよwww」

ワハハハハ ワイワイガヤガヤ

エレン「あ!アルミンが帰って来た!!」

ライナー「お、どうだった。具合は大丈夫か?」

アルミン「う、うん……」カクカクシカジカ

エレン「そうなのか……ここ最近はずっと調子悪そうだったもんな。治るまでしっかり休んどけよ」

アルミン「うん、そうするよ。ところで、だいぶ騒がしかったけど、何かあったの?」

55 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 22:34:15 ID:A5VV.cSM

ライナー「あ~、廊下まで声が響いてたか。そいつはマズいな。実はな……」

マルコ「僕らも相部屋生活はじめて数ヶ月経つじゃない?そろそろキチンとしたルールを作ってもいい頃だという話になって……」

アルミン「ああ、それはいいアイディアなんじゃないかな。僕もルール作りに協力するよ」

エレン「ん……、それ自体は俺も文句無いんだけどな……」

アルミン「?どういうこと?」

コニー「最初に決めるルールつったら、コレしかないだろ!!抜くための、一人で部屋を使用できる時間の確保!!」

アルミン「ブフッ!

ジャン「お前は声がでけえんだよ!!……まぁ、言ってる事自体は賛成だけどな」

56 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 22:36:41 ID:A5VV.cSM

ライナー「風呂の時間は限られてるから風呂場で抜くわけにもいかんし、そのせいで最近は便所一択になっちまってる……」

マルコ「しかし、それは想像派の人なら問題ないだろうけど……」

コニー「オカズ派にはちょっとツラいんだよな……」

ジャン「とにかく、想像派にもオカズ派にも、一人で部屋を使用できる時間の確保は悪い話じゃない。早急にルールを作るべきだな」

ライナー「どうする?一週間でローテーションを組むか?」

コニー「それだと週一でしか部屋で抜けねーじゃねーか。そんなんで足りるか?」

マルコ「僕はそれでも大丈夫だけど……」

ジャン「嘘つけ!!健全な13、4歳の男がそんなんで足りるわけないだろ!このムッツリめ!!」

ライナー「……そうだな、よくよく考えてみれば、俺も週一はちょっと厳しい」

コニー「じゃあ、どうすんだよ?エレンとアルミンは何かアイディアないのか?」

58 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 22:40:25 ID:A5VV.cSM

アルミン「そ、そうだね……」

アルミン(どうしよう……話で得た知識ならあるけど実体験した事が無いから、なんて答えていいか分からない……)

ジャン「まさか、お子様だから抜いた事ないとか?www」

アルミン「ギクッ

エレン「まぁ、さすがに、そんなことは無いけどよ……」

アルミン(やっぱりエレンも経験あるんだ……)

ライナー「ベルトルトはどうなんだ?さっきから一言も喋ってないけど」

ベルトルト「僕には自分の意志がないから、みんなに任せるよ」

ジャン「ちっ……どいつもこいつもムッツリばっかりだぜ」

59 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 22:43:09 ID:A5VV.cSM

アルミン(この話題をあまり引っ張りたくない……したこと無いのを知られたくない……)

アルミン「え、えっと、部屋の前に何かサインを出しておくというのはどうかな……」

コニー「サイン?」

アルミン「そう、サインって言うか、目印みたいなもの」

ライナー「あー、なるほど。使用中みたいな感じか。いいんじゃねぇのか」

マルコ「部屋の前にサインが出てれば入ってはいけない、か。僕もそれでいいと思う」

エレン「じゃあ、使用中って看板でも作るか?」

アルミン「さり気無いものでいいと思うんだ。例えばドアノブのところに傘を引っかけておくとか」

ジャン「グチグチ考えるのも面倒くさいし、それでいいんじゃね?決まりだ、決まり!」

60 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 22:45:06 ID:A5VV.cSM

コニー「ついでに、全員でオカズの共用化しないか?!みんなで使いまわして快適ハッピーライフ!!どーよ、良いアイディアだろ?」

アルミン「ブフッ!

ジャン「だからお前は声がでけえって……。だが、珍しく頭を使ったな、コニー」

コニー「だろ?ちなみに俺のコレクションの傾向は~」ペチャクチャ

アルミン(まだこういう話題が続くのかな……ものすごく居づらい……)

コニー「~というわけで、俺が兵舎に持ち込んだのはこんなところだな」

ライナー「なんつーか……結構マニアックだな、お前の趣味……」

ジャン「共有化したって、俺はお前のコレクションで抜ける気がしねぇ」

マルコ「僕も……」

エレン「俺も……」

コニー「なにぃ!お前らスキンヘッド女子に萌えないのか?!」

61 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 22:47:20 ID:A5VV.cSM

アルミン「……あの、僕ちょっと気分悪いんで席外していいかな……」

エレン「どうした、また貧血か?」

アルミン「ん……そうみたい……少し外の空気を吸ってくるよ」

コニー「おい、アルミン!じゃあ、俺の提案には賛成って事でいいか?」

アルミン「うん……だけど、ゴメン。僕はそういう類の本、一冊も持ってないんだ……」

ギィバタンッ

エレン「……アルミンって実は想像派だったのか。幼馴染だけど知らなかったなぁ」

62 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 22:50:49 ID:A5VV.cSM

兵舎屋外 中庭

アルミン(はぁ、なんとか抜けだすことができた……)

アルミン(腕力が弱い事、体力が無い事は、小さい頃からのコンプレックスだったけど……)

アルミン(ここ最近感じる劣等感はそれだけじゃない……)

アルミン(なんだか、僕だけが置いてけぼりにされてる気分だよ……)

ガサッ

アルミン「ビクッ

アルミン(草むらの影から物音が?!)

63 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 22:52:56 ID:A5VV.cSM

アルミン「だ、誰かいるの?」

ガサゴソッ

フランツ「……ア、アルミンかい?」コソッ

アルミン「なんだ、フランツか。こんな所で何を……」

ゴソゴソッ

アルミン「ん、他にも誰かいるの?」

ハンナ「……」コソコソッ

64 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 22:55:55 ID:A5VV.cSM

アルミン「ハンナ?どうしたの、こんな時間に二人で……って」ピーンッ

ハンナ「あ、あの……」///

アルミン「ゴ、ゴメン!!何でもないんだ、あのぼ、僕はもう行くから!本当に邪魔しちゃってゴメン!!」アタフタ

フランツ「い、いや、その……」///

アルミン「あ、あの、この事は誰にも言わないから!!じゃあね!!」パタパタパタッ

アルミン(ビックリしたビックリしたビックリした~)///

65 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 22:57:59 ID:A5VV.cSM

兵舎屋内 図書室

アルミン(結局ここに行き着くのか……)

アルミン(ここにいるとお爺ちゃんの蔵書を思い出す……子供の頃から、本に囲まれているのが一番落ち着くんだ……)

アルミン(……なんか読もう)

アルミン(……)ペラペラ

アルミン(……そうだよな、フランツとハンナって付き合ってるんだよな)

アルミン(兵舎の中じゃみんなの目があって色々出来ないだろうし……)

66 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 23:00:28 ID:A5VV.cSM

アルミン(……って、色々って何だよ!!)///

アルミン(……)ペラペラ

アルミン(『恋とはちょっぴりの愚かさとたくさんの好奇心のこと』か……)

アルミン(……)ペラペラ

ガラッ

アニ「……ん、先客がいたか……」

68 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 23:04:28 ID:A5VV.cSM

アルミン「アニ、どうしたの?何か調べ物かい?」

アニ「別に……用事があって来たわけじゃないよ」

アルミン「そう……」

アルミン(アニも女子部屋には居づらかったりするのかな?)ジーッ

アニ「……私に何か用でもあるの?」

アルミン「え?!」

アニ「私の方、ずっと見てるから」

アルミン「い、いや、ゴメン。別に用があるわけじゃないんだけど……いや、ここって普段は滅多に人が来ないから……」アハハハ

アニ「……」

70 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 23:09:12 ID:A5VV.cSM

アルミン「あの……僕の祖父は蔵書家でね、家には珍しい本がたくさんあったんだ」

アルミン「子供の頃からそれらの本に親しんでいたせいかな、ここの雰囲気がすごく馴染むんだよね」

アルミン「勿論、兵団基地の図書室だから、ほとんどが軍事学関連の本で占められているけど、少ないながらも普通の読み物だって置いてあるし」

アルミン「アニはどんな本を探しに来たの?」

アニ「……」

アルミン「あ、ゴメン。一人で喋り過ぎちゃったね……」

アニ「……」

アルミン(うるさくして怒らせちゃったかな……アニっていつも怒ったような顔してるから分かりにくいけど……)

アニ「お父さんが……」

アルミン「えっ……」

71 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 23:14:55 ID:A5VV.cSM

アニ「……私の父は、幼い頃から私に体術の習得を強いていた。暇さえあれば、私は型の反復練習をして過ごした。下らないと思いながらも逆らえなかった……」

アルミン「……」

アニ「今となっては、その繰り返しも無意味だ。続ける必要なんてどこにもない」

アニ「だけど、いざとなると代わりに何をしていいのか分からなくて……」

アニ「ここへ来たのは単なる気まぐれ。……私は時間がつぶせれば何でもいいんだよ」

アルミン「そう……」

アルミン(アニって普段はわりと無口だけど、話し出すと止まらないタイプなんだね

72 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/22(土) 23:20:14 ID:A5VV.cSM

アニ「あんたの邪魔になるっていうのなら出ていくけど?」

アルミン「そ、そんなことないよ!第一、僕にそんな権限なんかないんだし」

アニ「そう……じゃ、適当に過ごさせてもらうよ……」

アルミン「うん……」

アニ「……」

アルミン「……」ペラペラ

アニ「……」ペラペラ

アルミン(静かだな……)ペラ

アニ「……」ペラ

アルミン(でも、この静謐な時間……悪くないかも……)ペラ

76 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 00:03:45 ID:6JUPQYUw

_________
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数日後 再検査日(日付は冒頭に戻る)

医師「~というわけで、遺伝子学上は女性ということが判明しました」

アルミン「え゛」

医師「性染色体は46,XX。疾患名は先天性副腎皮質過形成ということに~」ウンヌンカンヌン

医師「極めて稀なケースですが、あり得ないことではなくて~」ウンヌンカンヌン

医師「今後は女性ホルモン投与による女性化が最適な治療と思われますが~」ウンヌンカンヌン

アルミン「僕が……女?!ちょ、ちょっと待って下さい!!なんでいきなり女になんか……」

77 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 00:08:51 ID:6JUPQYUw

医師「突然こんな話を聞かされて混乱しているかもしれません。けれど、急に女に変化したわけではなく、生まれつき、あなたは女性だったのです」

アルミン「どういう……意味ですか?」

医師「簡単に言うと、陰茎に相当しているのは肥大した陰核であり、膣口の一部欠損により外部から膣が視認できないようになっています」

医師「けれど、体内に精巣はなく、卵巣や卵管、子宮が存在しています。これらの症状は出生直後に発覚する事が多いのですが、年齢を重ねてから判明するケースも無いわけではありません」

アルミン「なんで今になって……」

医師「……そこで問題があるのですが……最近、あなたは頻繁に貧血を起こしていますね?」

アルミン「はぁ……」

79 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 00:14:31 ID:6JUPQYUw

医師「今、あなたの身体には第二次性徴が起こっています。そのため、身体の中では月経が始まっています。それが貧血の原因の一つです」

医師「ところが、膣口が閉じているため、月経血が体の中に溜まってしまっているのです。早急に処置しなければ、血腫となる危険があります」

アルミン「処置って……」

医師「具体的に言えば、造膣手術です。恐らく今後も定期的に起こるであろう生理に備え、外子宮口と膣口を繋げる必要があります」

アルミン「ちょ、ちょっと待って下さい!そんな急に色々言われても……」

医師「申し訳ない。ただ、本来ならもう少しゆっくりと理解していってもらうべきなのですが、残念ながら時間が無いのです」

アルミン「……」

81 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 00:20:08 ID:6JUPQYUw

医師「造膣手術の事だけではなく、その先の事も含めて時間があまりありません。あなたには、今後、男性として生きるか、女性として生きるかを決断してもらわなくてはいけません」

アルミン「え、選べる……んですか?……」

医師「選べるというと語弊があるかもしれません。遺伝子学上、女性であるという事は最早変えようがありませんから」

医師「ただ、今後どのような治療をしていくかの方針として、あなたの意思が必要になります」

医師「私としては女性ホルモン投与による女性化をお薦めしますが、あなたがそれに強い違和感を覚えるようでしたら、カウンセリングを通して話し合うべきでしょう」

82 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 00:28:17 ID:6JUPQYUw

医師「ところでご両親は?」

アルミン「え……あ、えっと、昨年のウォール・マリア奪還作戦で亡くなりました……家族はいません……」

医師「そうでしたか。それでは保護者の方は?」

アルミン「トロスト区駐屯部隊長のハンネスさんが……」

医師「では、次回、保護者の方への説明も兼ねて話し合いながら、方針を定めましょう。今は思考がまとまらないでしょうが、どうか落ち着いて考えてみてください」

アルミン「はい……」

アルミン(……落ち着いて考えろって……そんなの無理に決まってるだろ……)

84 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 00:33:56 ID:6JUPQYUw

男子部屋

ワイワイガヤガヤ

エレン「どうしたんだ、アルミン?元気無いな。再検査の結果、よくなかったのか?」

アルミン「う、うん……じゃなくて、だ大丈夫だよ。引き続き検査は必要らしいけど……」

エレン「そうなのか……なんかあったら相談しろよな。俺じゃあんまり役に立つ事、言えないかもしれないど」

アルミン「ありがとう……」

アルミン(幼い頃から僕はエレンとミカサに何度も助けられてきた。それを負い目に感じるほどに守られてきた)

アルミン(でも、今度ばかりは誰も僕を助けることは出来ない……誰にも相談できない……)

85 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 00:34:36 ID:6JUPQYUw

アルミン(僕が女になってしまったら……この部屋にはもういられないだろうな……)

アルミン(エレンやミカサ、みんなとの関係も変わってしまうのだろうか……)

ライナー「~でよ、その後のクリスタなんだが、ありゃどう見ても俺に気があるよな?」

コニー「おいおい、また始まったぞ、ライナーの妄想が」

ジャン「クリスタは天使だから誰にでも優しいんだよ。ベルトルトも黙ってないで何か言ってやれ」

ベルトルト「ライナー、君は……」

86 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 00:39:44 ID:6JUPQYUw

ライナー「おいおい、みんな僻むなよ。クリスタがいつも俺に対して特別優しいのは、誰の目にも明らか……」

ジャン「ったく、これだから童貞は困るぜ」

ライナー「なにぃ?!そいつは聞き捨てならねぇな。ジャンは違うのか?」

コニー「ええ?!嘘だろ?!俺と一緒にヤラハタ目指そうって約束したじゃねーか!!」

ジャン「いつそんな約束したんだよ!気持ちわりーこと言うな!!」

コニー「そう言えば……童貞かどうかは、チ○コ見れば分かるって村で教えられたんだ」

コニー「男には童貞線ってものがあるって……」

ライナー/ジャン「!!」

87 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 00:47:19 ID:6JUPQYUw

コニー「二人とも、童貞かどうか確かめさせろ!チ○コ見せろ!!」

ライナー「ちょ、ちょっと待て!落ち着け、コニー!!」

ジャン「お前は騙されてんだよ!んなもん、男にはねぇ!!」

コニー「いいや、嘘のハズがねぇ!何しろ童貞の俺にはまだあるんだから、そうに決まってる!!」

ジャン「だから、それはどんな男にだってあるんだって……ワプッ!!」バターン

ドシンバタン

88 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 00:53:46 ID:6JUPQYUw

コニー「見せろ!パンツ脱げ!!」

ジャン「だーっ!やめろ!!」

ライナー「おい、二人とも騒ぐな!!」

ゴロゴロゴロドシンバタン

エレン「いて!!」

アルミン「きゃっ!」

ライナー「!」
ジャン「!」
コニー「!」

90 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 00:59:16 ID:6JUPQYUw

シーン

ジャン(な、なんだ?今の『きゃっ!』っていう可愛い悲鳴は……)

ライナー(アルミンが可愛いだと……いかんいかん!俺にはクリスタが……)

ジャン(女みてーな野郎だとは思っていたが、これじゃまるで女そのもの……)ゴクリ

ライナー(いや、クリスタ云々以前に、そもそも俺はホモじゃねぇ!煩悩退散煩悩退散!!)

コニー「なんだよ、アルミンwwwお前の悲鳴、超可愛いなwww」

ライナー/ジャン(コニー!空気読め!!)

92 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 01:06:31 ID:6JUPQYUw

エレン「いたた……アルミン、大丈夫か?」

アルミン「う、うん……ちょっとビックリしただけだから……」ヨッコイショ

ジャン(!!乱れた襟から見えるアルミンの生肌が……)

ライナー(お、俺はホモじゃね!ホモじゃねぇ、が……)ゴクリ

ジャン(くそっ!なんだって今日はアルミンがやたら艶めかしく見えたりするんだ!!)

ライナー(クリスタ……すまない……浮気な俺を許してくれ……)

コニー「アルミンってさぁ、なんか妙に色っぽいよな。変質者に気をつけろよwww」

ライナー/ジャン(コニー!消えろ!!)

コンコン

マルコ「入るよー」

94 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 01:11:53 ID:6JUPQYUw

マルコ「みんないる?……って、うわっ!なんでコニーがジャンのズボン下ろそうとしてるの?」

ジャン「いい加減に放せ!」ゲシッ

コニー「ウギャッ!!」

ライナー(アルミンと違って汚ねぇ悲鳴だ……)

コニー「ううっ、俺はただ童貞線が見たかっただけなのに……」

マルコ「童貞線?いったい何の話だい?」

ライナー「こいつの言う事はほっとけ。ところで、何かあったのか?」

マルコ「うん、今から一般開放日についての説明をするから、大講義室に集合してくれるかい」

116 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 22:43:23 ID:6JUPQYUw

前回までのまとめ

女の子じゃないもん!と強がってたけど、性染色体は女性だったことが判明したアルミンくん
そんなアルミンくんの戸惑いを余所に、兵団基地では一般開放日という催しが計画される
えっ、この話ってまとまるの?……大丈夫、たぶん、きっと、なんとなく大丈夫な気がしなくもない

117 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 22:48:00 ID:6JUPQYUw

大講義室

ワイワイガヤガヤ

エレン「何やかんやあって説明は終了したわけだが……」

アルミン「話をまとめると、訓練兵全員があらかじめ班分けされていて、何を担当するかも決められている、と」

ジャン「なんつーか、班員は成績上位者+αのお馴染メンバーだな。ご都合主義に乾杯したいぜ」

ミーナ「私、成績上位じゃないけど、混ざってていいの?」

ライナー「女子が多い方が華やいでいいからな、何ら問題ない」

119 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 22:54:49 ID:6JUPQYUw

クリスタ「それで、私たちが担当する事になったのは、余興の一つとして用意される演劇ね」

サシャ「出店班から外れるなんて~……うう、私の食べ放題計画がぁ~」ヨヨヨ

マルコ「他には吹奏楽班、模擬訓練班、警備班なんかがあったわけだから、やりがいのある部類だよ」

ユミル「私たちに選ばせるって気はハナからねーのな。民主主義はどこいった」

ジャン「訓練兵団に民主主義を求めるなんざ、寿司屋でカレー食わせろって言うようなもんだぞ」

コニー「何だそれwwwジャン、馬鹿すぎwww」

ジャン「……誰かこいつの口に銃口突っ込んでくれ」

120 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:00:37 ID:6JUPQYUw

アニ「で、どうするの?演目は私たちで決めなきゃいけないそうだけど」

マルコ「取り敢えず、皆どんなのがやりたい?」

エレン「俺は、正義の調査兵団が悪の巨人を駆逐する勧善懲悪ストーリーがいいな」

ミカサ「私はエレンにやりたいものをやらせてあげたい」

サシャ「私はとにかく食べるお話がいいです!美味しいものがたくさん食べられるお話!!」

コニー「エレンのアイディアもいいけど、俺はさすらいのヒーローものに憧れるな。人知れず悪を滅し、背中で語り去っていく旅の武闘家みたいな」

ジャン(コニーは厨二、エレンに至っては小二の発想だろ……)

122 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:06:09 ID:6JUPQYUw

クリスタ「やるなら誰もが知ってるお芝居がいいと思う。フラリと立ち寄ったお客さんにも観てもらえるし」

マルコ「ふむ、一理あるね」

クリスタ「『ロミオとジュリエット』はどうかしら。ストーリーは誰でも知ってるし、台詞がとってもキレイなお芝居よ」

ライナー(さすが俺の天使!言う事も神々しいな)

ライナー「俺もクリスタの意見に賛成するぞ。あれは良い芝居だ。(……詳しく知らないけど)」

クリスタ「ありがとう」ニコッ

ライナー「あ、ああ」ドキッ

ライナー(見たか!今の微笑み!!やっぱりクリスタは俺に特別優しい!さっきはアルミンに心揺らいじまって、すまない……もう二度と浮気はしない!)キリッ

125 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:11:57 ID:6JUPQYUw

ミーナ「でも確か『ロミオとジュリエット』って最後は二人とも死んじゃうんだよね。私、悲劇はイヤだなぁ。ハッピーエンドにしてほしい」

アニ「そこを変えちゃ、もう『ロミジュリ』じゃない気がするけど……。ま、私は何でもいいよ。こんな事くだらないね……」

ユミル「ロミオが私でジュリエットがクリスタなら、やってもいい。もしくは、私とクリスタがスール関係になるやつ。何とか様が見てる、みたいな」

ユミル「どっちにしろ、クリスタと男どもをイチャイチャさせるのは納得できないからな」

ジャン「けっ、レズめ……」ボソッ

ユミル「お前もどうせミカサとイチャイチャすんの狙ってんだろ?同じ穴の狢なんだよ」

ジャン「ば!おま!!そんな大声で言うなよ!!」

マルコ「ジャンは何をやりたい?」

ジャン「あ、ああ、そうだな。俺は……」

126 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:18:31 ID:6JUPQYUw

ジャン(ここでエレンとは一味違う俺のインテリジェンスをミカサに見せつけるんだ!!)

ジャン(まだ考えはまとまっていない……が、やってやる!喋りながらでも考えろ!)

ジャン「えっと……その……なんだ……あれとか……」

ユミル「あれって?」ニヤニヤ

ジャン(で、考えてみた結果、俺は物語なんか全然知らないことに気付いた……)

ジャン(知ってるのっていったら『赤ずきん』とか?子供向け過ぎんだろ!あとは『猿カニ合戦』?って俺は幼稚園児かよ!!)

ジャン「あれだ……ほら……『眠れる森の美女』?」

マルコ「……」

127 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:19:13 ID:6JUPQYUw

ユミル「ブハッwwwなんだそりゃwww」

サシャ「ジャンって意外と女の子みたいな趣味なんですね……」プププッ

クリスタ「ちょっとユミル!なんで笑うの?いいじゃない」クスッ

ジャン(く、屈辱だ……ミカサの反応は?)チラッ

ミカサ「エレン、ボタンが取れかかってる……」

エレン「あ、本当だ」

ジャン(そもそも俺の話を聞いてねー……)ズーン

129 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:24:45 ID:6JUPQYUw

アルミン「しかし、見事に意見がバラバラだね」

マルコ「う~ん、困ったな。どうしようか……そうだな、一つ提案があるんだけど」

マルコ「アルミン、きみが君がみんなの意見を取り入れてオリジナルの脚本を書くというのはどうだろう」

アルミン「えっ?!」

マルコ「アルミンは僕らの中で一番の読書家だし、物語の引き出しも多いと思うんだ」

エレン「そうだな、アルミンになら任せられるな」

ミカサ「うん、きっと適役」

オレモ、ワタシモ、サンセーイ

130 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:29:14 ID:6JUPQYUw

アルミン「そ、そうかな……なら、やってみようかな……」

アルミン(最近はみんなのお荷物になってばかりだし、せめて、こう時くらいは貢献しないと……)

コニー「おー、頼んだぜ、アルミン!」

アニ「……」

マルコ「あ、そう言えば、ベルトルトの意見を聞くの忘れてた」

ベルトルト「僕には自分の意志がないから(ry」

131 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:35:36 ID:6JUPQYUw

図書室

アルミン(……と安請け合いはしたものの、なかなか難しいな)

アルミン(皆の希望をまとめてみると、エレンが巨人駆逐もの、コニーが流浪のヒーロー、ジャンは『眠れる森の美女』)

アルミン(サシャは食べる話、クリスタは『ロミオとジュリエット』、ユミルが百合でミーナがハッピーエンドか)

アルミン(取り敢えず参考になりそうな脚本をいくつか読んでみよう)

アルミン(……)ペラペラ

アルミン(『世界は一つの舞台、全ての人は男女を問わずその役者、一人の人間が一度の登場で多くの役を演じる』……)

アルミン(……)ペラ

ガラッ

アニ「……ん、またあんたか……」

132 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:40:27 ID:6JUPQYUw

アルミン「やぁ、アニ。最近ここでよく会うね」

アニ「……あんたがいつも入り浸ってるからだろ」

アルミン「ハハ、そうかもね。早めに脚本を仕上げちゃおうと思ってさ」

アニ「……あんたも物好きだね。あんな面倒くさい役割を引き受けるだなんて」

アルミン「うん、面倒くさいし大変なのは確かだけど……でも、面白いよ、書くのって」

アニ「……」

133 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:45:39 ID:6JUPQYUw

アルミン「アニもここで色々と本を読んでるみたいだし、もしよかったら協力してくれないかな」

アニ「くだらないね……」

アルミン「ん、そうか……残念」

アニ「あんたさぁ、『生きることは悪であり、業苦である。なかでも書くことは最も罪深い』って言葉、知ってるかい?」

アルミン「え?」

アニ「この部屋だけで何冊の本があると思う?この世界にどれだけの言葉が溢れてると思う?今さら新しいものを書いて何になるの?」

アルミン「……」

134 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:50:08 ID:6JUPQYUw

アニ「表現するってことは、ゴミを生み出すことと同義なんだよ。苦労に見合った価値なんか無い」

アルミン「ハハハハ……手厳しいね……」

アニ「……私はそう思ってるから、手伝う気になれないよ」

アルミン「うん、分かった……」

アルミン(……)ペラ

アニ(……)ペラ

135 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/23(日) 23:55:28 ID:6JUPQYUw

アルミン「アニってさ……実はけっこう優しいよね」

アニ「……は?」

アルミン「だって僕に苦労してほしくないみたいな言い方だし、書かないのも何か理由があるからじゃないの?」

アニ「……いいや、私はただ、自分がラクしたいだけだよ……」

アルミン(アニは厳しい。でも、他人に厳しいのと同等に、自分にも厳しそう……)

アルミン(だからかな、ちょっとだけ生き辛そうに感じてしまう……)

136 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:01:12 ID:t6OKIKpM

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数日後 医務室

医師「~というわけで彼が女性であるということは理解していただけましたか?」

ハンネス「はぁ、いや、まぁ、ここに来るまでの間に一通りは聞いてたんですがね、私はこの子を幼い頃から知ってるせいか、どうも未だに信じられませんね」

医師「恐らくそれは本人も同じ気持ちでしょう。本日は様々な疑問にお答えした後、手術の同意と、術後の女性ホルモン投与に関して判断を下していただきます」

137 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:06:51 ID:t6OKIKpM

ハンネス「手術っていうのは、つまり身体の中に溜まった血を外へ出すために必要だってんですよね?それじゃ、女性ホルモン投与ってのは?」

医師「現在、アルミンくんの身体には性ホルモンが不足しています。このまま放置すれば、慢性的ホルモン不足による骨量低下、それに伴う骨粗しょう症が起こるでしょう」

医師「また、ホルモンのアンバランスによる自律神経失調、卵巣機能の低下による頻発月経など、様々な危険が考えられます」

アルミン「あの……女性ホルモンを投与すると、僕の身体に何か変化は起こるんでしょうか?」

医師「陰核や大陰唇の肥大が無くなり、乳腺と乳管が発達することで乳房が膨らみ始めます」

138 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:12:56 ID:t6OKIKpM

アルミン「女性ホルモンではなく、男性ホルモンで不足を補うことは出来ないんでしょうか?」

医師「不可能ではありません。けれど、あなたは女性ホルモンが働かず男性体型になっているだけで、肉体は女性です」

医師「男性ホルモンの補充治療した場合、何らかの障害を招き、兵士としては致命的な事態となる危険性を孕んでいます」

ハンンス「そいつは困ったな……」

アルミン(……僕はエレン、ミカサの二人と肩を並べて生きていくんだ。だから、二人が調査兵団へ入るなら、僕もそれを追わなくちゃいけない……)

アルミン(こんな所で立ち止まっているわけにはいかないんだ。でも……)

アルミン「例えばの話ですが……僕が女性ホルモンの投与を受けて、身体が女性のように変わっていったとして……心も変わっていくのでしょうか?」

140 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:20:02 ID:t6OKIKpM

医師「と言うと?」

アルミン「つまり、僕は今まで自分が男性だと思って生きてきました。そして今もそう思ってます」

アルミン「今後、女性になったとして……その、例えばですが……男の人を好きになれるとは思えないんです……」

医師「そうですね。今きみがそう考えることを疑いはしません。けれど、きみはまだ若いし、今後その考えが一生続くかどうかは誰にも分かりません」

医師「それと関連して理解していただきたいのは、性別と性自認、性指向の三つはそれぞれ別のものだということです」

アルミン「どういうことですか?」

142 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:25:58 ID:t6OKIKpM

医師「性別とは肉体的に男か女かということ。性自認とは自分が男と感じられるか、女と感じられるかということ」

医師「そして、性指向とは男性を愛するか、女性を愛するか、ということ」

医師「恐らく君が抱いている一般的な女性像は、肉体的に女性で、自分でも女と思っていて、男の子が好きというものでしょう」

医師「しかし、世の中には男だけど男の人が好きだったり、肉体的には男だけど自分のことを女性だと感じている人もいる。人間は複雑なんです」

医師「これら性自認や性指向がホルモンバランスの影響をどれほど受けているかは分からない。きみも女性ホルモンの投与を受けることによって、何かしらの影響を受けるかもしれない」

143 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:32:23 ID:t6OKIKpM

医師「この問題は、人間誰しもが抱える普遍的なものでもあるのです」

アルミン「……つまり、今後僕の心がどう変化していくかは僕のみぞ知る、ということですか」

医師「そうですね。ですが、我々もカウンセリングによって知る事のお手伝いをします」

ハンネス「いやはや、一筋縄ではいかないとは思ってたが、想像以上の難題だな……アルミン、お前はどう考えてる?」

アルミン「僕は……僕は自分が女だと感じられるようになるとは、やっぱり思えない。でも……」

アルミン「僕は兵士を続けることを何よりも優先したい……そのために女性ホルモンの投与が必要だというのなら、その治療を受けようと思います」

144 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:38:45 ID:t6OKIKpM

ハンネス「そうか……ま、お前は賢い頭を持ったヤツだ。俺はお前の判断を信じるぞ」

医師「では、まず造膣手術、並びに尿道上裂に対する尿道形成術を行うため、しばらく入院していただきます」

医師「兵団基地外部の医療施設を使用させていただきますが、宜しいですね?キース教官」

キース「許可しよう。それとアルレルト訓練兵は退院後、女子寮へ転寮してもらうことになるので、私物は入院の際にまとめておくように」

アルミン「!女子寮へ、ですか?!」

キース「周囲の訓練兵の風紀のためにも男子寮に留まらせるわけにはいかない。理解できるか?」

アルミン「……ハイ、理解しました」

148 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:44:19 ID:t6OKIKpM

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数日後 図書室

アルミン(さてと、取り敢えず荷物の整理は終わった。後は病院への出発の時間を待つばかりだ)

アルミン(まだ少し時間の余裕がある。それまでに頼まれていた演劇の脚本だけでも仕上げておこう)

アルミン(あとちょっとで書き上がりそうなんだ)

アルミン(……)カリカリ

アルミン(『かつて、本は文学者が書いて大衆が読んだ。現在、本は大衆が書いて誰にも読まれない』か……)カリカリ

アルミン(ふふっ、アニなら似たようなことを言いそうだな)カリカリ

ガラッ

アニ「……なに一人で思い出し笑いしてるんだい」

151 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:49:36 ID:t6OKIKpM

アルミン「やぁ、アニ。今日も本を読みに来たのかい?」

アニ「ん……その荷物は?」

アルミン「ああ、これね……実は僕、今日からしばらく外部の病院へ入院するんだ……」

アニ「え?」

アルミン「手術といっても命に関わるものではないから、今日まで誰にも言わなかったんだ。心配しなくてもすぐ帰ってくるよ」

アニ「……別にあんたの心配なんかしないけどね」

アルミン(やっぱりアニってけっこう優しいね)クスッ

152 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:52:50 ID:t6OKIKpM

アニ「なに笑ってるんだい?」

アルミン「なんでもないよ、ふふっ。……ともかく、今日から入院するんで、その前に脚本を皆に渡しておきたくてね」カリカリ

アニ「そう……あんたもつくづく真面目だね」

アルミン「……」カリカリ

アニ「……」

小一時間経過

アルミン「よし、出来た!」

154 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:55:44 ID:t6OKIKpM

アルミン「いけない、もう出発の時間が近付いてる!アニ、すまないけど、この原稿を皆に渡しておいてくれないか?」

アニ「別に構わないよ……」

アルミン「それじゃあ、しばらくお別れだ……」

アニ「ああ……」

アルミン(次に会う時……僕はどう変わってしまっているんだろう……)

アニ「?……なに、人の顔をじっと見たりして」

アルミン「……あ、ゴメン。じゃあね!」

ギィバタン

アニ「……」

155 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 00:58:33 ID:t6OKIKpM

兵舎廊下

エレン「アルミンのやつ、当日まで入院のこと伏せてるだなんて水臭いよな……」

コニー「おかげで見送りもロクに出来なかったしよ」

ジャン「本人が大した事ないって言ってんだ。外野がギャーギャー騒ぐ事じゃねーだろ」

マルコ「でも、部屋の私物を全部まとめて出掛けるなんて……やっぱりちょっと気になるよ」

ミカサ「アルミンが問題無いと判断したなら大丈夫。アルミンはいつも間違ってない」

ライナー「だな。座学トップの頭脳を信じてやろうぜ」

156 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 01:01:13 ID:t6OKIKpM

ミーナ「あ、アニだ。おーい!」

サシャ「どこ行ってたんですか?実はアルミンが……」

アニ「ああ、それなら知ってるよ。これはあいつからの預かり物……」バサッ

クリスタ「あ、これって……」

ユミル「一般開放日用の脚本か。仕上げてから行くなんて、律儀なヤツだぜ」

157 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/24(月) 01:06:30 ID:t6OKIKpM

ライナー「どんなのが出来あがったんだ?見せろ見せろ」

サシャ「あ、私も見たいです!」

ガヤガヤ

エレン「どれどれ……」

『進撃のロミオと眠れるジュリエット様がみてるグルメ旅』

一同「……」

ミカサ「なかなか斬新」

176 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 22:58:28 ID:PkBzCj5s

コニー「なんだ、この長ったらしいタイトルは?」

アニ「……あいつは全員の希望を一つにまとめたらしいよ」

クリスタ「それって、つまり、私の『ロミオとジュリエット』と……」

ジャン「『眠れる森の美女』と……」

ユミル「『~様がみてる』ってのは、まさか私の?」

サシャ「私の要望はグルメの部分に反映されているんですね」

エレン「俺の巨人駆逐は『進撃の~』って部分か。どうしてそのフレーズなんだ?」

ミカサ「さぁ」

コニー「なぁ、俺の希望だけハブられてねーか?」

マルコ「多分だけど、流浪のヒーローっていう設定が『旅』に反映されてるんじゃないかな」

コニー「分かんねーよ!」

177 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 22:59:15 ID:PkBzCj5s

マルコ「ざっと目を通した感じだと、基本的な筋は『ロミオとジュリエット』の流れを踏襲してるみたいだ。配役も既に決められてる」

マルコ「あるところに二つの対立している組織がありました。一つは人間勢力、もう一つは巨人勢力で、人間側の代表役は僕、巨人勢力の側役にはライナーが割り振られてる。」

マルコ「そして人間側にはエレン、ミカサ、ミーナが属している。原作で言うところのロミオ、ベンヴォーリオ、マキューシオに当たるね」

ジャン「ちょっと待て!それじゃエレンが主役じゃねーか!!納得いかねーぞ!」

マルコ「落ち着いて、ジャン。この台本は誰か一人が主役ってわけじゃなくって、ちゃんと全員に活躍できる場面が用意してあるから」

ミカサ「私はどんな役?エレンとはどんな関係なの?」

180 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:00:44 ID:PkBzCj5s

マルコ「従兄弟で友人という関係だ。ロミオにとって一番信頼できる誠実な友人というポジションだね」

ミカサ「従兄弟……家族……すごくいい」ジーン

ミーナ「あれ、私のマキューシオって、確かとっても良い役なんじゃなかったっけ?」

マルコ「うん、そうだね。ロミオの友人で、機知に富んだ名台詞のたくさんある、主役格に次ぐ重要人物だ」

ミーナ「え~!!モブに毛の生えた程度の私が、そんな役もらっちゃっていいの?!」

マルコ「そんな自虐しなくても……。ともかく、マキューシオがティボルトに殺されることによって物語は動き出す」

ミーナ「私、死んじゃうんだ~!!」ガーン

182 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:02:41 ID:PkBzCj5s

マルコ「で、ミーナを殺すティボルト役をやるのがアニだ」

アニ「私?」

マルコ「そう。ティボルトはジュリエットの従兄弟で、この劇では巨人勢力側の次期当主候補といったところだ」

マルコ「劇中、ミーナはアニに殺され、アニはエレンに殺され、エレンは追われる身となる。『ロミジュリ』通りの流れだ」

エレン「俺がアニを殺しちゃうのかよ、イヤだなぁ」

アニ「……」

183 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:09:21 ID:PkBzCj5s

ユミル「私は何の役なんだい?」

マルコ「うん、このあたりはユミルの希望に沿う形でアルミンがだいぶ書き替えてるんだけど、まず、ジュリエットがクリスタ」

ユミル「ま、それは当然かな」

マルコ「で、原作ではジュリエットの乳母にあたる役が、ジュリエットのグラン・スールって事になってて、それがユミルの役だ」

ユミル「アルミンのやつ、分かってるじゃないか。ってことはクリスタが私を呼ぶ時は……」

マルコ「『お姉さま』だね」

ユミル「くぅ~、たまんないね!!クリスタ、普段からそう呼んでも構わないんだぜ」ベタベタ

クリスタ「も~、呼ばないよ」

185 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:13:34 ID:PkBzCj5s

マルコ「コホン、それからサシャは、原作のロレンス、バルサザー、ピーターなど複数の役を一つにまとめたようなコメディリリーフ担当になってる」

サシャ「コメディリリーフって何ですか?」

ユミル「お笑い担当のことだよ。あんたの場合、素のままでやれば簡単だろ」

サシャ「そんなことありませんよ!慎み深い私には不向きとさえ言えるかもしれません!」

マルコ「ちなみに、アルミン渾身の梃入れで、サシャの食べ歩き場面が追加されている」

サシャ「私、生まれついてのコメディアンなんです!その役、やらせてください!!」ガバーッ

186 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:16:56 ID:PkBzCj5s

マルコ「エレンとクリスタは両勢力を和解させるべく示し合わせて行動しようとするが、サシャが食べ歩きにうつつを抜かしている間に行き違いが生じてしまう」

マルコ「クリスタは目覚めぬ眠りに落ちてしまい、その呪いを解くために……」

ジャン(お、話が今度は『眠れる森の美女』っぽくなってきたな)

マルコ「ジャン、きみが現れるんだ!」

ジャン「お、俺?!」

マルコ「そう、きみだ。『ロミオとジュリエット』でいうところのパリス役、ジュリエットの婚約者」

マルコ「原作ではロミオにあっけなく殺されてしまうんだけど、この脚本ではクリスタを目覚めさせるためのキスを巡ってエレンと熾烈な戦いを繰り広げる!」

一同「キスぅ?!」

187 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:17:29 ID:PkBzCj5s

クリスタ「キ、キスシーンがあるの?」///

ユミル「ちょっとそれは聞き捨てならないね。そーいうシーンはクリスタ専属マネージャーの私を通してもらわないと」

ライナー「お、俺も承服しかねるぞ」

ミーナ「いーじゃん!やっちゃえ、やっちゃえ♪」

エレン「か、勘弁してくれよ……」

ミカサ「……」
アニ「……」

マルコ「待って待って。実際のキスシーンは無いんだよ」

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