【進撃の巨人】「アルミンくんは女の子じゃないもん!」【厳選名作SS】

進撃の巨人の厳選名作SSを掲載しています。ある日突然医者から女の子だと言われたアルミン。困惑を隠せないアルミンは、いつものように訓練に取り組もうとしますが、なかなか同期の男子たちについて行けず…。

188 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:24:04 ID:PkBzCj5s

マルコ「エレンとジャンの最終決戦は、コニーの登場によって収められる」

コニー「ようやく俺の出番か。でも、最後の最後に表れるってのはヒーローらしくていいな」

マルコ「大公エスカラスにあたる役で、原作では両勢力の不和を諌めるだけなんだけど、ここでは全知全能のヒーローとして登場」

マルコ「クリスタの眠りは覚め、死んだはずの人物は全て生き返り、両勢力も和解して大団円となって幕が降りるんだ」

ライナー「なんつー強引な……」

ユミル「ちょっとご都合主義過ぎじゃないか?」

ミーナ「そんな事ないよ!やっぱり最後はハッピーエンドじゃないと」

189 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:24:38 ID:PkBzCj5s

アニ「物語に整合性を求めるのは近代以降の悪癖でしかない……ってアルミンなら言いそうだけど」ボソッ

クリスタ「私はこれ、面白いと思うな。そもそも『ロミオとジュリエット』が原作を尊重する形で上演されるようになった歴史は意外と浅いの」

クリスタ「それまでは改作された様々なヴァージョンでもって上演されていて、なかには二人とも生き残るハッピーエンド版もあったんだって」

クリスタ「そうやって長い年月を生き残ってきたお芝居なんだから、こういう風に手を加えるのも悪くないんじゃないかな」

エレン「理屈はともかくとして、アルミンの書いた物なら俺は信用できる」

ミカサ「私もエレンと同じ気持ち」

191 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:30:43 ID:PkBzCj5s

マルコ「まぁ、とにかく、アルミンが退院するまで、皆で本読みくらいしておこう。ちなみにアルミンは演出兼舞台監督ということで、劇中には登場しない」

ベルトルト「マルコ……」

マルコ「なんだい?」

ベルトルト「僕の役は?」

マルコ「ん?」

ベルトルト「……」

マルコ「……あ、ここに書いてあった」

ベルトルト「……」

マルコ「壁、だって」

ベルトルト「……」

194 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:42:06 ID:PkBzCj5s

ライナー(イジメか?イジメなのか?!)

ベルトルト「……あ」

ライナー「どうした?」

ベルトルト「結構、台詞多いな」

ライナー「マジか?!」

クリスタ「ちなみに、『ロミジュリ』とほぼ同時期に書かれた『真夏の夜の夢』には、『ピラマスとシスビー』という劇中劇が出てくるんだけど、これは『ロミジュリ』を茶化したような内容で、しゃべる壁の役が登場するの」

ユミル「誰に向けての解説だい、それは」

195 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:52:04 ID:PkBzCj5s

_________
____
_

数日後 訓練終了後

ライナー「だから立体機動装置調整の際にファンの角度をだな~」ウンヌンカンヌン

エレン「でもそれじゃ吸入口から入るガスが排出部に干渉しちゃいそうで~」ウンヌンカンヌン

ライナー「シャフトが摩耗していないなら、その心配はない筈で~」ウンヌンカンヌン

エレン「う~ん……なぁ、アルミンはどう思う?……って、まだ帰ってきてないんだったな……」

ライナー「こういった理論はアルミンの方が説明上手だからな」

ジャン「言っとくが、実践だったら俺のが圧倒的だぞ」

ライナー「今は誰もそんな事きいてねーぞ」

コニー「あ~あ、早く戻ってこねーかな、あいつ」

エレン「……」

197 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/26(水) 23:59:13 ID:PkBzCj5s

エレン「……!来た!!」

ライナー「え?!」

エレン「アルミンだ!帰って来た!!」

ダダダッ

エレン「お~い!アルミン!!」

アルミン「ビクッ

エレン「帰って来たんだな!今、こっちに着いたばかりか?」

アルミン「や、やぁ、エレン……それに、皆も……」

201 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/27(木) 00:08:44 ID:C3.nL9ck

ライナー「今ちょうどお前の噂をしてたとこなんだぜ」

エレン「体調はもういいのか?」

アルミン「あ、ああ……ひとまず問題ないよ……心配かけてゴメンね……」

ジャン「で、結局のところ、お前の手術ってなんだったんだ?」

アルミン「そ、それは……」

コニー「まさか包茎手術とかじゃねーだろうなwww」

アルミン「ハハハ……」

202 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/27(木) 00:10:55 ID:C3.nL9ck

アルミン(どうしよう……後で教官から皆に向けての説明があるけど、今ここで僕の口から言ってしまおうか)

アルミン(信じてもらえるかな?……信じてもらえなくても言うしかないんだけど……奇異の目で見られやしないかな)

アルミン(そして何よりも怖いのは……皆が僕から離れてしまう事……エレンが僕から離れてしまう事……)

エレン「アルミン、お前……」

アルミン「……え?」

エレン「もしかして、ちょっと変わった?」

アルミン「!!」

アルミン(まだ見た目はそれほど変化していない筈なんだけど……エレンには気付かれた?!)

203 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/27(木) 00:17:03 ID:C3.nL9ck

アルミン「か、変わったって、何が……?」ヒヤアセ

エレン「ちょっと髪が伸びすぎじゃねぇか?ここんとこ、ずっと切ってなかったろ」

ジャン「女じゃあるまいし、男のくせに鬱陶しいんだよ」

アルミン「ああ、そんなことか……」ホッ

ライナー「?おかしなヤツだな」

アルミン「あ、あの!僕、寮の方に荷物を置いてきちゃうよ。それじゃ、また後で!」

タッタッタッタッ

204 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/27(木) 00:21:50 ID:C3.nL9ck

エレン「おい、何もそんなに急がなくたって……って行っちゃったか」

ジャン「あいつ、何考えてんだ?あっちは女子寮の方角だぞ。こんな時間から覗きにいく気か?」

コニー「パンツでも盗みにいくんじゃね?」

ライナー「誰もが自分と同じだと思わない方がいいぞ、コニー」

コニー「はぁ?何言ってんだ、ライナー。俺はパンツなんか欲しくないぞ。俺は靴下にしか興味無いし」

ジャン「……お前を見てると、自分がまともに思えて救われた気分になるよ」

コニー「褒めたって何もやんねーからな」

206 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/27(木) 00:26:38 ID:C3.nL9ck

タッタッタッタッ

アルミン「ハァハァハァ

ミカサ「!!アルミン」

アルミン「ミカサ……」

ミカサ「今日、戻ってきたの?」

アルミン「うん……」

サシャ「なんか久しぶりですね~」

クリスタ「心配してたんだよ」

ミーナ「具合は大丈夫なの?」

アニ「……お帰り」

207 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/27(木) 00:33:29 ID:C3.nL9ck

アルミン「みんな……あ、あの……」

ミカサ「どうしたの?」

アルミン「今日から宜しくお願いします!!」ガバッ

ダッダッダッダッダッ

一同「キョトン

サシャ「改まって挨拶だなんてどうしたんですかね」

ユミル「入院中に脳ミソでもイジられたんじゃねーの?それよりも、ハゲ教官から集合かけられてんだから、さっさと行こうぜ」

228 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 22:19:27 ID:lMxM1Nlk

集会施設

ザワザワ

ライナー「それにしても、わざわざ訓練兵全員を集めてアルミン退院の報告するって、なんでなんだ?」

マルコ「随分と大袈裟だよね」

エレン「本人は心配するなって言ってたけど、こんな事されちゃ余計気になるよな~」

コニー「分かったぞ!アルミンは極秘に研究されていた巨人化生体実験の被験者なんだ!!」

ジャン「はぁ?」

231 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 22:25:12 ID:lMxM1Nlk

コニー「実は、巨人化できる薬が発明されていて、いざという時、アルミンは巨人兵に変身して口からビームを吐いて、悪い巨人を一掃してくれるんだ!」

エレン「そんな夢みたいな事あるかよーwww」

コニー「だよなーwww」

ジャン「そもそも、口からビームって……そりゃ巨人兵じゃなく巨神兵だろ」

マルコ「ジャン、何を言ってるの?」

ジャン「……いや、俺、疲れてんのかな。電波な事を口走っちまった……」

キース「静かにしろ!」

233 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 22:30:56 ID:lMxM1Nlk

キース「~というわけで、本日よりアルレルト訓練兵が復帰するが、先日の検査により彼は、いや、彼女は女性であることが判明した」

「……」

キース「詳しい病名等については省くが、彼が、いや彼女が(……ムム、慣れないとどうも言い間違えるな)その事実を意図的に隠蔽した疑いは全く無い」

「……」

キース「よって、これまで男性として行動していた事に関しては不問と処す」

「……」

キース「なお、彼は(……彼でも構わんだろう)本日より女子寮へと移る事になる」

234 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 22:33:54 ID:lMxM1Nlk

一同「……」

ジャン「やっぱり、俺、疲れてんのかな。幻聴が聞こえる……」

ライナー(どっきりカメラだな、どっきりカメラなんだろ!!俺は騙されないぞ!理不尽な暴力も受けないぞ!!)

クリスタ「教官のジョークって、どこが面白いのかよく分からないね、アハハハハハ……」

マルコ(という事は、今までアルミンとは男女混浴?!)

ミーナ(れ、冷静にならなきゃ!こういう時は手のひらに豚って書いて飲み込むんだっけ)

コニー「アルミンのパンツはいいパンツ~♪すごいぞ~♪」メダパニ

236 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 22:37:49 ID:lMxM1Nlk

ミカサ「エレン、落ち着いて」

エレン「俺は落ち着いてるぞ。って言うか、今ミカサが話しかけてんのはサシャだ。俺はこっちだ」

アニ「……そう言ってるエレンも、私に向かって話しかけてるけど……」

サシャ「ありゃ~、みんな良い具合に現実逃避してますね」

サシャ「『人は許容量を超える驚きに直面した時、心凍てつかせる』ってヤツですね」ウンウン

ユミル「んな恰好良い言い回しをしてる場合じゃねー!!」ゲシッ

239 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 22:42:43 ID:lMxM1Nlk

アルミン(みんな驚いてる……当然だよな)

アルミン(エレンたちはひたすら当惑してるし、僕の事を知らない人たちは何か得体のしれない物に遭遇したかのようだ……)

アルミン(でも、僕は、これから先エレンやミカサが態度を変えずに接してくれる事を知っている)

アルミン(今は驚いているけど、二人は必ず僕を受け入れてくれるだろう。他の皆もきっと……)

アルミン(なのに何故、僕はエレンが離れてしまうんじゃないかという心配をしたのか)

アルミン(答えは簡単。僕自身がまだ自分の事をどこか受け入れられずにいるからだ)

アルミン(そのせいで、僕の目の前には薄いもやがかかってるみたい。何もかもがハッキリと見えなくなっている……)

240 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 22:48:13 ID:lMxM1Nlk

キース「女子寮では、△△△訓練兵とXXX訓練兵の部屋に空きがあるそうなので、そこへ入ってもらう」

△△△「きょ、教官!」バッ

△△△「お言葉ですが、仮にもつい数日前まで男性であった人間と同室になるのは、あまりにも……」

キース「認識が誤っているようだな。アルレルト訓練兵はこれまで男性であった事実は無い。生来、女性であったのだ」

△△△「では、言い直させていただきます。先日まで、男性として生活してきた者と同室になるのは……」

キース「これは命令だ。貴様の意見は必要としていない」

△△△「!……」

242 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 22:52:47 ID:lMxM1Nlk

ミカサ「教官、私から提案があります」スッ

キース「なんだ、アッカーマン訓練兵」

ミカサ「私はアルレルト訓練兵の同室を希望します」

ミカサ「私とアルレルト訓練兵は同郷の出身です……。ので私は……他の人よりも彼の事を理解しています」

ミカサ「今後、彼の生活面において様々なフォローが可能と思われます」

キース「ふむ……」

246 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 22:56:49 ID:lMxM1Nlk

サシャ「あ、それなら、私もアルレルト訓練兵と同室を希望します」

サシャ「多分、他の人に比べて、私はあまり抵抗を感じませんから」

キース「宜しい、許可しよう。では、△△△訓練兵とXXX訓練兵は、それぞれアッカーマン訓練兵とブラウス訓練兵の部屋に移れ」

キース「空いた部屋にアルレルト訓練兵たち三名が入るように。以上、解散」

ザワザワ

アルミン「……」

エレン「アルミン!」

パタパタパタ

247 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:01:23 ID:lMxM1Nlk

アルミン「……みんな、今まで黙っててゴメン……」

エレン「いや、つーか、お前も最近知ったばかりなんだろ?…そもそも、本当の事なのか?」

アルミン「うん……僕もショックだけど……事実なんだ……」

コニー「じゃあ入院してたってのは……分かった!チ○コ取っちゃったんだな!チ○コ!!」

ジャン「恥ずかしいから連呼すんじゃねー」ゲシッ

アルミン「あ、あの、別に性転換したわけじゃないから……」

コニー「?よっく分かんねーな」

248 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:05:48 ID:lMxM1Nlk

ライナー(今、あの服には、見慣れたはずのアルミンの身体が包まれている……)

ライナー(そう、俺は何度もあの身体を見たはずなんだ。普段は気にも留めてなかったが……)

ライナー(しかし、教官の話では、アルミンは女に変わったのではなく、元から女だったという)

ライナー(つまり、俺の記憶の中には本物の女の裸が確かにインプットされている筈なんだ!)

ライナー(思い出せ、思い出すんだ!風呂場で見たはずの裸を!!恥部を!!!)ブフーッ

マルコ「ライナー、鼻息が荒くて怖いよ……」

249 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:09:36 ID:lMxM1Nlk

サシャ「ハイハイ、皆さん、色々聞きたい事はあると思いますけど、インタビューはここまでですよー」

クリスタ「そうね、アルミンだってまだ戸惑ってるだろうし、話はおいおい聞いていこう」

アルミン「うん、ありがとう……そうしてくれると助かるかな」

ミーナ「あの、これからはアルミンのこと、アルミンちゃんって呼んだ方がいいのかな?」

アルミン「それは勘弁してほしいかな、アハハ……第一、ちゃん付けで呼ばれてる人なんて誰もいないよね」

エレン「ミカサ、アルミンのこと、宜しく頼んだぞ」

ミカサ「うん、まかせて」

250 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:13:12 ID:lMxM1Nlk

女子部屋

アルミン「ミカサもサシャも、あらためて、さっきは有難う。二人のおかげで、揉めたりせずに済んだよ」

ミカサ「気にしないで、アルミン。あなたは私の大事な友達だから」

サシャ「そ~ですよ。アルミンにはいつも座学で分からない箇所を教わったりしてるし、こんな時くらい恩返しさせてください」

アルミン「あの、同部屋で迷惑かけるかもしれないけど、気に障る事あったら遠慮しないで言ってね」

サシャ「アルミンは、人に迷惑かかるような変な癖とかあるんですか?」

サシャ「ちなみに、私は食べられそうな物を何でも口に入れちゃう癖があるんで、貴重品は出しっぱなしにしない方がいいですよ」

252 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:17:57 ID:lMxM1Nlk

アルミン「そういう意味じゃなくて……と言うか、サシャのその癖は危険だから止めた方がいいと思うんだけど」

サシャ「そうなんですよ~。この前もカリン糖だと思って口に入れたら、犬のウ」

アルミン「言わなくていいから!!いや、ほら、僕がいると着替えたり何したりする時、気になるだろうって意味で……」

ミカサ「そんな事は無い。だって、アルミンは女の子なんでしょ?」

アルミン「うっ……そう言い切られると、まだかなり抵抗あるんだけど……」

サシャ「大丈夫ですよ。アルミンは元から女の子みたいでしたもん!むしろ、ユミルなんかより、ずっと女の子らしくて可愛いですよ」

ユミル「話は聞かせてもらった。サシャ、表出ろ」ガチャ

256 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:22:21 ID:lMxM1Nlk

サシャ「ひぇっ?!何しに来たんですかぁ~?!」

ミーナ「ユミルだけじゃなくて、私とクリスタも来てるよ」

クリスタ「お邪魔します。もしよければ、荷物の片づけ、手伝おうかと思って」

ユミル「アニのやつは面倒くさいからパスだってよ。相変わらず冷たいヤツだぜ」

アルミン「わざわざ有難う、みんな。でも、荷物はそんなに多くなかったから大丈夫だよ」

ユミル「ま、色々戸惑う事も多いだろうが、男だったらクヨクヨすんな!おっと、男じゃないんだな、ウシシ」ニヤニヤ

クリスタ「も~、またそうやって憎まれ口叩くんだから……」

257 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:26:32 ID:lMxM1Nlk

ミーナ「実際のところ、アルミンには自分が女性だっていう自覚はあるの?」

アルミン「う~ん、今のところはそう思えないかな。でも、男性だと言い張るだけの自信もないんだ」

ミカサ「?」

アルミン「僕は子供の頃から腕力も体力も弱くて、いつもエレンやミカサに助けられていたじゃない。それって男の子としてはコンプレックスだったんだよね」

アルミン「女性であることを受け入れれば、今さらだけど、そういった幼少期のコンプレックスとは完全に決別できる」

アルミン「そういった思いも含め、男だと主張し続ける事に、あまり意義を見出せないでいるんだ」

ユミル「兵団という組織に属していた事は、ある意味であんたにとって幸運だったかもな」

258 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:29:10 ID:lMxM1Nlk

クリスタ「どういう事?」

ユミル「兵団って組織は寮こそ男女で分けられているものの、訓練じゃ扱いに差は無いし、実戦ともなれば完全に男女の区別なく行動する事になる」

ユミル「だから、アルミンみたいなイレギュラーな存在に対しても、カリキュラムの面で不都合な事態は起こらないだろう」

サシャ「そうですね。女の役割、男の役割なんて分けられ方は、ここでは無いですからね~」

クリスタ「あるとすれば……」

ミーナ「……お薬の支給かなぁ」

アルミン「薬?」

259 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:33:50 ID:lMxM1Nlk

ミカサ「……アルミン、正直に答えてほしい」

アルミン「?」

ミカサ「生理はあるの?」

アルミン「ブホォ!!

サシャ「うひゃっ!唾と鼻水がコンボで私の顔面直撃です!!」

アルミン「ご、ごめん」フキフキ

アルミン「……えっと」///

260 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:38:27 ID:lMxM1Nlk

ミカサ「ジーッ

アルミン「お、お医者さん曰く、初潮はきてるって話なんだ。ただ、それは僕の知らぬ間に身体の中で起こっていた事で……」

ミーナ「じゃあ、まだ実際には体験してないんだ……」

アルミン「えっと、もしかして薬って……生理痛用の鎮痛剤のこと?」

ユミル「甘い!甘いわ!!そんなものだけで過酷な訓練が乗り切れると思ったら大間違いだぞ!!」

アルミン「?」

ミカサ「アルミンも覚えておくといい。私たち兵士にはこれが優先して配給される」サッ

261 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:44:05 ID:lMxM1Nlk

アルミン「このシート状の錠剤は?」

ユミル「俗に言うピルだな」

アルミン「!!!そ、それって、あの……」

ミーナ「まぁ、アルミンも男の子だったわけだし、ピルって聞けば避妊薬としか思わないんだろうけど……」

クリスタ「生理痛の軽減にも効果はあるんだよ」

ミカサ「少なくとも、鎮痛剤よりはよっぽど効果的」

262 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:49:20 ID:lMxM1Nlk

クリスタ「勿論、お薬だから体質によって個人差はあるし、中には服用して逆に重くなっちゃう人もいるみたいだけど……」

ミカサ「だけど、大半の人はこれでかなり助かっている。痛みが軽くなるだけじゃなくて、量も減る」

ミーナ「定期的に服用すれば、生理不順なんかとも無縁になれるしね」

アルミン「……」

ユミル「おい、アルミン。今、お前が考えてる事を当ててやろうか」

ユミル「お前は『こいつら全員ピル飲んでんならヤリ放題中出しウハウハ』とか思ってんだろ!このドすけべゲスミン野郎め!!」

アルミン「お、思ってないよ!」///

265 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/29(土) 23:54:49 ID:lMxM1Nlk

アルミン「僕が考えてたのは、その……身体に悪い影響は出ないのかなって事なんだ……」

ユミル「ほーほー、お優しいアルミンくんは、私たちが将来不妊に悩まされるのではないかと、心痛めていると」

クリスタ「嫌味はダメだよ、ユミル。でも……アルミンの疑問に答えるとしたら、少なくとも安全を確認してから処方は受けてるけど」

ミカサ「私はもともと重い方だったから、薬は必需品」

ミーナ「そもそも、あんな無茶な行軍訓練なんてしてたら、誰だって生理不順になるって話よね」

サシャ「私は大丈夫ですよ。普段から生理痛はほとんどありませんし、皆さんみたいに薬も飲んでません」エヘン

ユミル「野生児かつ健康優良児って、一昔前の熱血少年漫画の主人公みたいなヤツだな、お前は」

266 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 00:00:16 ID:BtJe5F3Q

ミカサ「ナプキンやショーツはもう用意してある?」

アルミン「い、一応は。入院中に紙資料を渡されたから、それで勉強して、必要そうなものは揃えておいたよ」

ミカサ「どんな物か見せて」ズイッ

アルミン「う、うん。いいけど……」

アルミン(う~ん、やっぱりミカサって世話やきの母親みたいなところがあるな。エレンが鬱陶しがるのも分かる気がする……)

ミカサ「ちなみに、私はカルラおばさんから布ナプキンの作り方を教わったの」

ミカサ「……カルラおばさん、厳しいけど、とっても優しい人だった……」グスッ

267 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 00:05:24 ID:BtJe5F3Q

アルミン「ミカサ……」

アルミン(そうか、ミカサはカルラおばさんから教わった事を僕に伝える事で、亡くなった人の思いを繋げていこうとしてるんだ……)

アルミン(ゴメンよ、ミカサ……一瞬でも鬱陶しいと思ってしまった僕を許してくれ……)

アルミン「……僕も教わりたいな。ミカサ、お願いするよ」

ミカサ「うん、任せてほしい。アルミンの周期も私がキチンと把握しておく」グッ

アルミン「いや、そこまではしてもらわなくても……」

270 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 00:11:17 ID:BtJe5F3Q

クリスタ「でもミカサ、ナプキンだと立体機動の時とか簡単にズレちゃって困らない?」

ミカサ「大丈夫。ちゃんと羽根も作るから」

ミーナ「う~ん、それでも私は不安だなぁ」

ユミル「ジャンみたいに中途半端な知識しか持ってないヤツは、タンポンを使うヤツは非処女!とか思ってそうwww」

アルミン(ううっ……みんな本気で僕のことを男だと思ってなさそうな会話……男子部屋の時とはまた別の意味で居づらいな)

アルミン(けど、そもそもは僕のために色々アドバイスしようと思って集まってくれたんだから、多少の恥ずかしさは我慢しなきゃ)

ワイワイガヤガヤ

273 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 00:16:19 ID:BtJe5F3Q

小一時間経過

クリスタ「あ、もうこんな時間。長居し過ぎちゃったね」

ユミル「そろそろ部屋に戻るか。邪魔して悪かったね」

アルミン「いや、色々と教えてくれて助かったよ。有難う」

ミーナ「また遊びにくるから。じゃあね」

パタン

アルミン「ふぅ……」

275 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 00:18:05 ID:BtJe5F3Q

ミカサ「アルミン、疲れた?」

サシャ「考えてみたら、今日、退院したばっかりなんですよね」

アルミン「ああ、でも大丈夫だよ。ただ、ちょっと外の空気が吸いたくなっただけ」

ミカサ「私もついていこうか?」

アルミン「いや、いいって。本当にミカサは過保護だなぁ」クスッ

ミカサ「だって、エレンから、アルミンを宜しくって頼まれたから」

アルミン「ああ、なるほど。でも、僕がエレンほど無鉄砲でないのは知ってるだろ?だから心配しないで」

279 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 00:24:11 ID:BtJe5F3Q

アルミン「少し気分転換したら戻ってくるよ」

ギィバタン

ミカサ「……」

サシャ「確かにアルミンって、いつも落ち着いてて、慎重派って感じですよね」

ミカサ「うん……。でも、落ち着いてるから慎重ということはない」

サシャ「え?」

ミカサ「アルミンは落ち着いている時ほど、かえって大胆な行動に出たりする……そういう種類の人間」

281 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 00:29:37 ID:BtJe5F3Q

図書室

アニ「……」ペラ

ガラッ

アルミン「やっぱりここに居たんだね」

アニ「……何か用でも?」

アルミン「特別に用事があるわけじゃないけど……ちょっと気分転換に話をしたくなって、ね」

295 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 22:19:37 ID:BtJe5F3Q

アニ「私は別に話したい事は無いけどね……。どうせさっきまで、ユミルやクリスタたちのいい玩具になってたんじゃないの?」

アルミン「玩具扱いっていうのは、厳しい言い方だなぁ」ハハハ……

アルミン「まぁ、ユミルからは『男らしくない』みたいに、からかわれたりもしたけど……」

アルミン「よくよく考えてみたら、ほんの少し前まで、僕は『女みたいだ』って言われる事に反発してたんだ」

アルミン「それを思うと、この状況は何とも皮肉だよね」

アニ「……」

296 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 22:22:04 ID:BtJe5F3Q

アルミン「ともかく、さっきはユミルも含めて、みんな僕のために集まってくれてたんだ。悪い気は全然しないよ」

アニ「悪意がないからこそ、逆にタチが悪いね」

アルミン「どの話も、これから女性として生きるにあたって必要になる情報だったよ」

アニ「知ってる。あいつら、私にも知っておいた方がいいとか言って、色々と押し付けてくるからね」

アルミン(なるほど……アニは、男子部屋にいた頃の僕と似ているのかも)

297 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 22:27:47 ID:BtJe5F3Q

アルミン「アニはユミル、クリスタと同室なんだよね。ユミルはともかく、クリスタはデリカシーありそうだけど……」

アニ「……私は、みんなの優しさと思い遣りで息が詰まりそうだよ……」

アルミン「……」

アニ「共同生活ってのは、同じ時間を過ごしつつ、誰もが背を向けて生きるべきなんじゃないかな……」

アルミン「……」

アニ「もしそうであったなら、あんたが男だろうと女だろうと、誰も騒ぎ立てたりはしない」

アルミン「それだと確かに心乱れる事はないだろうけど、何だか寂しい気がするな~」

298 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 22:33:19 ID:BtJe5F3Q

アニ「『私たちは誰しも暗夜の海の遊泳者』……」ペラ

アルミン「ん?」

アニ「この本にたまたま書いてあったんだけどね、生活する事って、本当はそんなもんじゃないの?」

アニ「真っ暗だから周囲なんか見えないけど、他の人がバシャバシャ水を掻く音だけ聞こえてる」

アニ「私には、そんな距離が一番気楽でいいよ……」

アニ「……ちょっと言い回しがスノッブ染みてて恥ずかしくなってきた。今言った事は忘れて」

アルミン「ハハハ……」

299 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 22:38:09 ID:BtJe5F3Q

アルミン「アニは……実は皆の事が気にかかって仕方ないんだね」

アニ「ハァ?!なんでそうなるのよ」

アルミン「アニにとって暗夜の海は、冬の晴れた日みたいに見通せる場所なんだよ、きっと」

アニ「勝手なこと言って……。私はもう部屋に戻るから」プイ

アルミン「……」

アルミン(僕は薄もやの向こうに皆を見て不安になっている。アニは、クリアな視界で他人を見ることを恐れてる)

アルミン(僕らは異なるようで似ているのかな。それとも、似ているようで異なるのかな……)

300 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 22:50:21 ID:BtJe5F3Q

_________
____
_

数日後 劇の練習

ジャン『それはともかく、例のお願いの件は?』
ライナー『彼女は世間知らずの箱入りのまま、まだ十四の春を迎えていない』

アルミン「……どうやら、みんな真面目に取り組んでいるようだね」ヒソヒソ

マルコ「うん、みんなアルミンの脚本を気に入ってくれたから、練習にも積極的に参加してくれてるよ」ヒソヒソ

ライナー『あと二夏がそのさかりを過ぎぬうちは、花嫁となる年頃に思われないのだ』
ジャン『世の中には、もっと若くして幸せな母となった例えもある』

301 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 22:51:09 ID:BtJe5F3Q

アルミン「衣装の手配はどうなってるの?」ヒソヒソ

マルコ「クリスタとミーナを中心に、私服をアレンジしたりして用意してる」ヒソヒソ

ミカサ『しち面倒な挨拶なんて流行遅れ。登場するのに、しどろもどろな台詞など御免こうむる。さっさと踊りに行こう』
エレン『お前の靴底は軽いかもしれないが、俺の心の底は鉛のように重い。踊りに行く気にはなれないよ』
ミーナ『あなたが沈んだら、下で支えるのは大変だ。かよわい乙女には重すぎる荷物だもの』

アルミン「大道具は?」ヒソヒソ

マルコ「最低限のものだけ、ベルトルトを中心にして作ってもらってるよ」ヒソヒソ

エレン『もしもこの卑しい手がきみの手に触れ、聖堂を汚したとあれば、罰はもとより覚悟の上』
クリスタ『このような礼儀正しい手に、そのお仕打ちはあまりにひどい。指の触れ合いは、巡礼の優美な口づけと申します』

302 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 22:52:42 ID:BtJe5F3Q

アルミン「クリスタはさすがに堂に入った演技だね」ヒソヒソ

マルコ「箱入りのお嬢様って役柄もピッタリ合ってるんだよ。しかし、それよりも……」ヒソヒソ

エレン『俺は誓おう、夜を銀一色に染める清浄な月にかけて』
クリスタ『いけません、月にかけては。不実な月は満ち欠けするもの。あなたの心も変わり易いものになります』

マルコ「驚いたのはエレンだね。最初は不安だったけど、今じゃすっかり役に馴染んでる」ヒソヒソ

アルミン「エレンは感情で動くタイプだからね。感情移入できるようになれば、能力を充分に発揮してくれるのさ」ヒソヒソ

ミーナ『お前に九つの命があるのなら、そのうち一つを頂戴しよう。態度次第じゃ、残りの八つも貰ってあげようか』
アニ『相手になってやろう』
エレン『二人とも剣をおさめろ!』

303 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 22:53:56 ID:BtJe5F3Q

マルコ「これを見たら、104期生の女子の中でエレン人気が沸騰するんじゃないの?」ヒソヒソ

アルミン「アハハ……どうだろう……」ヒソヒソ

ユミル『この指輪は私の可愛いプティ・スールからの贈り物。これが身の証となるだろう』
サシャ『では、何かあれば、私があの方の元まで知らせに参ります』

マルコ「あ、ベルトルトが大道具を運んできてくれた」ヒソヒソ

アルミン「なんかグラついてるけど、大丈夫?」ヒソヒソ

グラッ

304 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 23:01:28 ID:BtJe5F3Q

アルミン「!」

エレン「アルミン、危ない!!」

トッ゙シーン

クリスタ「キャーッ!!」

アニ「!」

ライナー「どうした?!!」

305 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 23:02:02 ID:BtJe5F3Q

マルコ「大道具が倒れてきたんだ!!」

ミカサ「エレンがアルミンをかばって、二人とも下敷きに!」

コニー「早くどかせ!」

ワッセワッセ

エレン「いてて……」

ミカサ「二人とも大丈夫?!」

アルミン「ぼ、僕はエレンがかばってくれたから大丈夫。それよりもエレンが……」

306 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 23:02:38 ID:BtJe5F3Q

エレン「ああ、俺も大した事ないよ。所詮はベニヤ板だしな」

ベルトルト「いや、わりと硬めのラワン材なんだけど……」

ジャン「まぁ、こいつはタフさだけが取り柄だから、丸太で殴っても平気だろ」

エレン「なんかお前に言われるとムカつくな……」

ミカサ「でも、心配だから医務室へは行っておこう」

エレン「これぐらい平気だって」

ミカサ「ダメ!かすり傷が化膿して破傷風になって死んじゃったらどうするの!!」

307 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 23:09:13 ID:BtJe5F3Q

エレン「そんなことまで心配してたら訓練なんか一つも出来ないだろ……。まぁ、ついでだしアルミンと一緒に行っておくか」

アルミン「え!?」

エレン「アルミンだってちょっとくらい擦ったんじゃないのか?ミカサがうるさいし、休憩がてら医務室へ行ってこようぜ」

アルミン「ぼ、僕は本当に大丈夫だよ」

ミカサ「アルミンも行ってきた方がいい。そして、エレンが治療を嫌がって逃げ出さないか見張っていてほしい」

エレン「俺は歯医者で泣きわめくガキか……まぁともかく行ってくるよ」

マルコ「じゃあ、皆は少し休憩しよう」

308 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 23:12:21 ID:BtJe5F3Q

医務室

エレン「失礼いたします!……って誰もいないのか」

アルミン「どこかを巡回しているのかもね。自分たちで出来る限りの応急処置をしておこう。エレン、擦った箇所、見せて」

エレン「おう」ウデマクリ

アルミン「……」

エレン「……」

アルミン「……」

エレン「……それにしても」

309 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 23:16:26 ID:BtJe5F3Q

アルミン「なに?」

エレン「前にも言ったけど、髪伸びたよな。伸ばしてんのか?」

アルミン「あ、髪ね……。別に伸ばしてるわけじゃないんだけど、最近ゴタゴタしてて切る余裕がなかったんだよね」

エレン「ふ~ん。なんなら俺が切ってやろうか?」

アルミン「えっ、ヤダよ。エレンに頼んだら虎刈りになっちゃいそう」アハハハ

エレン「ムッ、そんな事はないぞ。ここに入ったばっかの時、ミカサの髪を切ってやったのは俺だぞ」

アルミン「だから、それが毛先バラバラの虎刈りだったんだってば」

310 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 23:20:55 ID:BtJe5F3Q

エレン「そうなのか?!ミカサは何も文句言わなかったぞ」

アルミン「ミカサは言わないさ。エレンに切ってもらえただけで満足だったんだよ」

エレン「なんだよ、そりゃ。……ところで、なんでアルミンは子供の頃からキノコ頭なんだ?」

アルミン「キ、キノコ……。これはマッシュボブって言うんだけど……」

エレン「マッシュポテト?芋頭なのか、これって」

アルミン「……キノコ頭でいいよ」

311 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/06/30(日) 23:26:14 ID:BtJe5F3Q

エレン「しかし、このキノコ、結べるんじゃねぇか?」サワッ

アルミン「!」///ビクッ

エレン「横でも結べそうだし、後ろでも結べそうだな」サワサワ

アルミン「!!」///ビクビクッ

エレン「それにしても、アルミンの髪の毛は、俺やミカサの剛毛と違って柔らかいな」サワサワサワ

アルミン「エ、エレン!」

エレン「ん?」サワサワサワサワ

アルミン「……髪の毛あんまりクシャクシャにしないでよ……」///

314 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/01(月) 00:07:14 ID:Sh8XE0HA

エレン「おっと、悪い悪い。あんまり柔らかいんでな、ついついいじり過ぎちゃったよ。ゴメンな」

アルミン「……もう」ナデツケ

エレン「まぁ、そのうち余裕が出来たら、切るか結ぶかしといた方がいいぜ」

アルミン「うん、そうする。……あの、エレン、ありがとうね」

エレン「は?」

アルミン「エレンがエレンのままでいてくれて、僕は本当に嬉しいんだ……」

アルミン「僕自身はまだ迷ってばかりで心落ち着かないんだけど、エレンが変わらずいてくれる事で、凄く心強い。エレンは僕の道標なんだ」

315 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/01(月) 00:12:43 ID:Sh8XE0HA

エレン「お、おう。そんなに持ち上げられると照れ臭いけど、まかせとけ。何しろアルミンとはミカサ以上に長い付き合いだからな」

アルミン「うん!」

エレン「あ、さっき俺が髪の毛いじり過ぎたせいで、ゴミがついちゃってるな」

アルミン「え、どのあたり?」パッパッ

エレン「あ~、手で払ったせいで落ちてきて、前髪のあたりに引っかかっちゃたな。俺が取ってやるよ」

アルミン「あっ……(か、顔が近い)」///

アニ「休憩そろそろ終わ」ガラッ

318 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/01(月) 00:16:28 ID:Sh8XE0HA

アルミン「」

アニ「」

エレン「よし、取れたぞ」

アルミン「あ、あの、アニ。これは……」///

アニ「るから、戻って来いってマルコから伝言」

エレン「おう、了解だ」

アニ「邪魔して悪かった。先に戻ってる」ガラガラピシャ

319 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/01(月) 00:23:06 ID:Sh8XE0HA

アルミン「ちょ!待って、アニ!!」ダッ

エレン「そんなに急いで戻らなくたって怒られないだろ」

アルミン「アニ!何か誤解してない?」スタスタ

アニ「別に何も……」スタスタ

アルミン「あの、エレンは髪の毛についたゴミを取ってくれてただけで……」スタスタ

アニ「興味無いね……」スタスタ

マルコ「あ、戻って来たね。それじゃ練習を再開しようか」

328 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 22:25:13 ID:EGoCWGx.

前回までのまとめ
性染色体は女性だったことが判明したアルミンくんは、戸惑いながらも兵団に復帰
心までは女の子じゃないもん!と思ってたけど、エレンとドッキリイベント発動
アニにも見られちゃって、どうする?どうなる?……という少女マンガ脳SS

329 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 22:27:05 ID:EGoCWGx.

その日の夜 図書館

アニ「……」ペラ

ガラッ

アルミン「アニ!」

アニ「……」ペラ

アルミン「練習中の事を説明させて欲しいんだけど」スタスタ

アニ「……説明してもらう必要性は感じないけどね」

331 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 22:29:11 ID:EGoCWGx.

アルミン「本当に?」

アニ「ああ……」

アルミン「変な誤解とかない?」

アニ「ないよ……」

アルミン「ならいんだけど」

アニ「しつこいね……」

アルミン「ご、ごめん……」

332 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 22:31:33 ID:EGoCWGx.

アニ「……」ペラ

アルミン「……」

アニ「……」ペラ

アルミン「……」

アニ「……で」ペラ

アルミン「……ん?」

アニ「あんたはエレンが好きなの?」

アルミン「だーかーらー!!」

334 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 22:35:20 ID:EGoCWGx.

アニ「違うの?」

アルミン「違うよ!何度も言ってるじゃないか、医務室でアニが見た事は誤解だって!!」

アニ「私がどんな誤解をしてるって言うの?」

アルミン「んぐっ……。と、とにかく!エレンと僕の間には友情以上の何物も入り込まないから!!」

アニ「そう……」

アルミン「そうだよ!」

アニ「……」ペラ

336 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 22:42:04 ID:EGoCWGx.

アニ「『男女間にあるのは情熱、敵意、崇拝、そして恋愛。 友情だけが無い』……」ペラ

アルミン「むぐぐぐぐ……最近は読書量でも完全にアニに負けてる……」

アニ「……今読んでる本にたまたま書いてあっただけだよ」ペラ

アルミン「でも、本当に僕とエレンは友達以上には成り得ないから!」

アルミン「そもそも、僕は男として育ったんだから、急に心が変わる事なんて無いって!!」

アニ「『人は女に生まれるのではない。女になるのだ』……」ペラ

アルミン「それ、さっきの本と違うでしょ?!」

337 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 22:48:31 ID:EGoCWGx.

女子寮 廊下

アルミン「はぁ、疲れた……」トボトボ

サシャ「あ、アルミン、いい所で会いました。クリスタたちの部屋へちょっと来てくれます?みんな集まってるんで」

アルミン「どうしたの?」

サシャ「クリスタが衣装を仮縫いみたいな感じで仕上げたんで、舞台監督のアルミンにもチェックしてもらいたいんです」

アルミン「うん、分かった。すぐ行くよ」

338 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 22:51:54 ID:EGoCWGx.

クリスタたちの部屋

ミーナ「じゃじゃーん!どう?クリスタのドレス姿!!」

アルミン「すごい!まるで本物の夜会用ドレスみたいだ!!これ、どうやって用意したの?」

クリスタ「元になってるのはパフスリーブのロングナイティ、つまり寝巻なんだ。そこにフリルとリボンを付け足しただけ」

クリスタ「上からドレスマント……って言っても、これはただ布を縫い合わせただけのものなんだけど、それを羽織れば、遠目からなら粗も見えない筈よ」

ミカサ「とっても似合ってる。可愛い」

ユミル「クリスターッ!今すぐ結婚して、私の子供を産んでくれ!!私もあんたの子供産んであげるからーっ!!!」ガバーッ

クリスタ「キャーッ!」

339 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 22:57:11 ID:EGoCWGx.

アルミン「ミカサの衣装もだいたい出来あがってるみたいだね」

ミカサ「うん。私のは私服を借りただけだけど」

アルミン「それにしても、黒のフリルシャツにレザーパンツって……」

サシャ「ミカサ、その恰好でポーズとって『男は黒に染まれ!』って言ってみてください」

アルミン「言わなくていいから!……ちなみに、それって誰から借りたの?」

ミカサ「ユミル」

アルミン「うわ~……」

340 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 23:03:28 ID:EGoCWGx.

ミーナ「本格的に男装コスプレするんだったら、ナベシャツかBホルダーも使おうよ!」

アルミン「ナベシャツ?Bホルダー?」

ミーナ「胸が出てない方がシルエット的に映える男装コスをする時、こういうのをつけると胸がギュッと潰れて目立たなくなるの」

ミカサ「なんだか苦しそう」

ミーナ「ゴムで抑えるわけだから、かなり圧迫感あるかもしれないけど、そのうち慣れるよ。あとは我慢!コスの基本は我慢!!」

アルミン(女性になってから無駄知識ばっかり増えてく気がする……)

341 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 23:09:00 ID:EGoCWGx.

サシャ「でも、どこから調達してくるんですか?わざわざ今回のためだけに買うのはムダだと思うんですが……」

ミーナ「大丈夫、私がもってるから貸してあげる」

アルミン(なんで持ってるの?なんて突っ込んだら負けだよね……)

ユミル「ちょっと待て、ミーナ。私は、男装時にやたら胸を潰したがる風潮をどうかと思ってるんだけどね」

ミーナ「どうして?だって、胸が出てたらキャラのイメージが壊れちゃうじゃん!」

ユミル「そもそも、潰したって、完全に無くなるわけじゃないんだ。中途半端に潰すくらいなら、男装の倒錯感を大事にすべきなんだ」

アルミン(なに?なんの話?なんで二人はこんなにヒートアップしてるの?)

342 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 23:14:07 ID:EGoCWGx.

ミーナ「だったら宅コスでもやってればいいじゃない!みんな苦しい思いして潰してるのに、そんなのキャラに対して失礼だよ!!」

ユミル「キャラに対して失礼とか、新参どものそういった物言いが気に食わないんだ!昔は誰も胸なんか潰してなかったぞ!!」ヒトセダイマエノハナシダケド

ミーナ「なによ、老害!」

ユミル「うるせぇ、にわか!」

ミーナ「アルミンはどっちの味方なの!!」

アルミン「ふぇっ?!」

ユミル「元男性の目線から見て、どっちの男装コスが正しいと思えるんだ?」

345 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/02(火) 23:20:22 ID:EGoCWGx.

アルミン(ううっ、知りたくもないユミルの趣味まで知っちゃった気分だよ……)

アルミン「えっと……そもそも、今回のはコスプレじゃないんだけど……」

サシャ「当事者のミカサの意見はどうなんですか?」

ミカサ「私はどちらでも構わない。けど、エレンが気にいる方にしたい。……ので、エレンに聞いてくる」

スタスタ

ミカサ「アルミンも一緒に来て。私は男子寮の部屋割りを知らないから」

アルミン「あ、うん、分かった」

352 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 22:19:58 ID:Qo/VR4f2

男子寮 廊下

アルミン「ふぅ……助かったよ、ミカサ。あの場から連れ出してくれて」テクテク

ミカサ「アルミンはなにか困ってたの?気付かなかった……」

アルミン「あ、いや、別にいいんだ。結果的に助かったってだけの話だから……」

ミカサ「ところで、エレンの部屋はどこ?」

アルミン「もう少し先かな。3人部屋が主流の女子と違って、男子は6~7人の大部屋が基本なんだ」

ミカサ「私もエレンと一緒の部屋がよかった……」

353 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 22:23:35 ID:Qo/VR4f2

アルミン「ほら、エレンたちの部屋はあそこだよ」

ミカサ「どの部屋?」

アルミン「あの、ドアノブに傘が引っかかってる部屋」

ミカサ「あれがエレンの部屋……」テクテク

アルミン「テクテク

アルミン(あれ?なにか頭に引っかかる事が……)

354 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 22:28:29 ID:Qo/VR4f2

回想 ホワンホワンホワンホワワワ~ン

コニー「最初に決めるルールつったら、コレしかないだろ!!抜くための、一人で部屋を使用できる時間の確保!!」

ライナー「想像派にもオカズ派にも、一人で部屋を使用できる時間の確保は悪い話じゃない。早急にルールを作るべきだ」

アルミン「部屋の前に何かサインを出しておくというのはどうかな」

アルミン「さり気無いものでいいと思うんだ。例えばドアノブのところに傘を引っかけておくとか」

_________

アルミン「思い出した!」

355 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 22:33:32 ID:Qo/VR4f2

ミカサ「突然どうしたの?」

アルミン「ミカサ!今、部屋に入っちゃダメだ!!」

ミカサ「どうして?」

アルミン「ええええっと、今は部屋に誰もいないかも!」

ミカサ「そうなの?」コンコン

アルミン「のおおおおおっ!」

ミカサ「誰かいる?」

356 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 22:37:45 ID:Qo/VR4f2

ガサガサゴソゴソドコンッ

シーン

アルミン「ゴクリッ

ミカサ「物音がした。誰かいるみたい」ドアノブグッ

アルミン「あああああっ!勝手に開けちゃまずいんじゃ……」

ミカサ「でも、もしかしたら、中でエレンがいじめられてるかも」

アルミン「いやいや、絶対にそんな心配は必要ないから!」

357 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 22:42:37 ID:Qo/VR4f2

ミカサ「エレン!」ガチャ

アルミン「わああああああ~!!」

コニー「わああああああ~!!いてててててて、はさんだはさんだ!!」チャックニハサマッタ!!

ミカサ「……コニー一人?」

コニー「お、おま、お前ら、なに勝手に入ってきてんだよ。つーか、ルール違反だぞ、アルミン!」テンガカクサナキャ

アルミン「ご、ごめん」

358 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 22:48:31 ID:Qo/VR4f2

ミカサ「ルール?」

アルミン「い、いや、こっちの話……」

ミカサ「コニー、エレンはどこに行ったの?」

コニー「知らねーよ……今は俺のリフレッシュタイムだったんだよ」ブツブツ

ミカサ「?」

コニー「つーか、アルミン、次回からは体張ってでも止めてくれよな……マジでビビるから」

アルミン「……肝に銘じておくよ」

359 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 22:53:31 ID:Qo/VR4f2

エレン「お、アルミンとミカサじゃないか」テクテク

ミカサ「エレン!どう、この衣装?」トテトテ

エレン「なんつーか、随分と男前な恰好だな」タカラヅカ?

ミカサ「この衣装について、エレンの意見を聞きたい箇所があるの」

エレン「なんだ?」

ミカサ「エレンは胸が出てるのと出てないの、どっちが好き?」

エレン「……は?」

361 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 22:58:23 ID:Qo/VR4f2

_________
____
_

数日後 兵站訓練中

キース「どうした、アルレルト!貴様だけ遅れているぞ!」

アルミン「ハァハァ

キース「貴様には重いか!?貴様だけ装備を外すか!?」

アルミン「ハァハァ……また…この場面か……」

ライナー「貸せ、アルミン!」ヒョイッ

アルミン「ライナー……これってデジャヴ……」

ライナー「バレねぇように尽くせ!俺の気が変わらねぇうちにな!」

362 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 23:00:33 ID:Qo/VR4f2

アルミン(取り敢えず「お荷物なんか死んでもごめんだ!」って言っておくか……)ハァハァ

アルミン(それにしても胸が擦れて痛い……なんとなく張ってる気もする……)ハァハァ

アルミン(これって確か……)ハァハァ

ジャン「貸せ、ライナー!アルミンの装備は俺が持つ!」ヒョイッ

ライナー「な!」

アルミン「あれ?」

363 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 23:05:40 ID:Qo/VR4f2

ジャン「べ、別にアルミンが辛そうだから助けてやるわけじゃないからな!」

ジャン「このぐらいの装備じゃ、俺には軽くて物足りないから持ってやるだけなんだ!」

ライナー「意味分かんねぇ……。とにかく返せ!アルミンの荷物は俺が持ってやるんだ!」グイッ

ジャン「騒ぐな、ホモゴリラ!教官にバレるだろーが!!」グイッ

ライナー「なんだと!お前こそテンプレのツンデレなんか今どき流行んねーんだよ!!」グイッ

テメーハナセ!ウルセー!オマエガハナセ!!

アルミン「……なんなの、これ?」

366 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 23:10:46 ID:Qo/VR4f2

キース(アルミン・アルレルト、体力面において兵士の基準に達しないものの、仲間からの妙な親愛を集める)

キース(本人が自分の魅力を利用できるようになればあるいは……)

アルミン「いい加減、装備返してよ」ヒョイッ

ジャン「あ……」

ライナー「う……」

アルミン「まったくもう……」ハァハァ

アルミン(……お腹にもなんとなく違和感あるなぁ)

アルミン(!)

アルミン(……今なにかヌルッとしたものが下に……。もしかして……)

368 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 23:15:18 ID:Qo/VR4f2

訓練終了後

コニー「ひー、今日も終わったなー。みんな、お疲れ!」

エレン「おぅ、お疲れ!あれ、アルミン。どこ行くんだ?」

アルミン「トイレ!」ダッダッダッダッ

コニー「なんだ、あいつ?腹でも壊したのか?」

タッタッタッ

アルミン(うう、女性トイレに入るのは、未だに抵抗があるんだよな……)

369 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 23:21:00 ID:Qo/VR4f2

サシャ「アルミン、あせってどこ行くんですか?」

アルミン「サシャ!ちょうどいいところに。実は、トイレに行きたいんだけど……」

サシャ「連れションですか?いーですよー」

アルミン「いや、そうじゃなくって、中に誰もいないか見てきて欲しいんだ」

サシャ「へ?はぁ、構いませんけど……なんで?」

アルミン「やっぱり僕が一緒に入ってると、気になる人もいるだろうし……」

サシャ「ん~、そんなもんですかね?じゃあ、ちょっと待ってて下さい」

370 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 23:25:42 ID:Qo/VR4f2

サシャ「OKです。中には誰もいませんよ」

アルミン「ありがとう。ついでに、誰か入ってこないかも見ててくれるかな……」

ギィ パタン

アルミン「ヌギヌギ

アルミン(さっきの感触……もしかして生理がきたのかな?)

アルミン(……あれ?別に血は出てないみたい……)

アルミン(え、じゃあ僕この年になっておしっこ漏らしちゃったの?!)

372 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 23:30:22 ID:Qo/VR4f2

アルミン(でも、おしっこにしては色があるし、ちょっとネチョッとしてる……)

アルミン(なんだろう……何かの病気?この上まだ何かが僕の身体にはあるのかなぁ……)

アルミン(なんで僕ばっかり……ううぅ、泣きそう……)ジワッ

ゴボッ ジャー ギィ パタン

サシャ「お帰りなさい、アルミン。……ってどうしたんですか?なんだかヒドイ顔してますよ」

アルミン「……え?そんなヒドイ顔…してる……かな…」ボロッ

374 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/03(水) 23:35:47 ID:Qo/VR4f2

サシャ「!!あ、あわわわ~私、何か悪いこと言っちゃいましたか?!泣かないでくださいよ~」オロオロ

ミカサ「二人ともどうしたの?」

サシャ「あ、いいところに来てくれました!実はアルミンが……」オロオロ

アルミン「ミカサ……」グスッ

ミカサ「? とにかく部屋へ行こう」

391 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/05(金) 22:26:53 ID:YvoWDTNw

女子寮 ミカサたちの部屋

サシャ「ははぁ」

ミカサ「なるほど」

アルミン「さっきは取り乱してゴメン……」

サシャ「いやぁ、急に泣き出したんでビックリしちゃいましたよ」

アルミン「恥ずかしいから、あんまり言わないでね……」

ミカサ「アルミン、何も心配する事はない。あなたの身体はちゃんと働いてる」

392 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/05(金) 22:30:36 ID:YvoWDTNw

アルミン「どういう事?」

ミカサ「以前にアルミンは、入院中に渡された紙資料で一通り勉強したと言っていたけど、恐らくそこに書いてあると思う」

アルミン「え?」

サシャ「単なるおりものですよ」

アルミン「あ……」

ミカサ「これまでなかったのなら、少ない体質なんだと思う。きっと、あと数日したら生理が始まる」

アルミン「そ、そう言えば、そんな事も書いてあったな……パニックになってすっかり忘れてた……」

393 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/05(金) 22:38:06 ID:YvoWDTNw

アルミン「じゃ、じゃあ、胸が擦れて痛かったり、張るなぁって感じてたのも……」

ミカサ「うん、生理の始まるサイン」

アルミン「そうか……よかったぁ~」ホッ

ミカサ「アルミン、不安だったのね……」スッ

ヤサシクダキシメ

アルミン「!」///

サシャ「ありゃま」

394 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/05(金) 22:46:06 ID:YvoWDTNw

ミカサ「大丈夫、心配しないで……アルミンは独りじゃないから。不安があったら私に相談して……」

アルミン「あ、あの、その、ありがとう……」///

ミカサ「うん……」ダキシメー

アルミン(いい年して女の子に抱きしめられるなんて、恥ずかしいな…でも、なんだかとっても安心する……)

ミカサ「こうやっていると、カルラおばさんの事を思い出す……」

アルミン「え?」

ミカサ「カルラおばさんも、私が初めてで不安だった時、こうして抱きしめて『おめでとう』って言ってくれた……」

395 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/05(金) 22:49:27 ID:YvoWDTNw

ミカサ「お母さんも生きてたら、きっとそうしてくれた……」グスッ

アルミン「ミカサ……」

ミカサ「これ以上、家族を失いたくない……」

アルミン「僕も同じ気持ちだよ。エレンとミカサが家族なのと同じように、僕も二人の事をそう思ってるよ……」

ミカサ「うん、アルミンの周期もなんとなく把握できたし、これで家族同然」

アルミン「いや、そのネタはもういいから」

396 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/05(金) 22:56:58 ID:YvoWDTNw

サシャ「ところで、胸が擦れて痛いのなら、そろそろ下着買った方がいいんじゃないですか?」

アルミン「下着って、もしかしていわゆる一つの……」

サシャ「はい、ブラジャーです」

アルミン「うう、ついに僕にもその時が来てしまうのか……なんだか自分が変態になった気分だよ」

サシャ「今さら何を言ってるんですか。私たちと一緒にお風呂まで入っておいて」

アルミン「だ、だから、せめてもの言い訳に、他の部屋の人とは時間をズラして入ってるじゃないか……」

397 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/05(金) 23:02:03 ID:YvoWDTNw

ミカサ「でも、擦れて痛いと感じるのならやっぱり必要」

アルミン「そうだね……僕もいつまでもこんな些事で悩んでいても仕方ない。覚悟を決めるよ」

ミカサ「今週末は一般開放日の当日。その前日は準備日で、演習はお休み。だから、その日にでも街へ一緒に買いに行こう」

アルミン「一人じゃどれを買っていいか分からないし……お願いするよ」

ユミル「話は聞かせてもらった。私たちも同行するぞ」ガラッ

サシャ「またこのパターンですか?!」

400 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/05(金) 23:07:28 ID:YvoWDTNw

クリスタ「アハハ……お邪魔します。ユミルがどうしてもって言うから」

ミーナ「毎度のことながら、アニは不参加だけど。ホントに付き合い悪いんだから」

ユミル「こんな面白いイベントを逃すなんて、生活に潤いの無いヤツだな」

アルミン「面白いイベントって……」

ミカサ「ユミル、これは遊びではない。アルミンにとっては、とても重要な買い物」

ユミル「分かってる分かってる。まぁ、どうせ最初に買うブラなんて、誰しも色気のないもんだから、期待はしてない」

クリスタ「アルミンはシャツさえ着てれば、まだ胸の裾野部分は目立たないから、ジュニア用のハーフトップブラでいいと思うよ」

401 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/05(金) 23:12:57 ID:YvoWDTNw

アルミン「ハーフトップっていうのは、タンクトップみたいな形の?」

クリスタ「うん、そう。トップの保護が目的だから、スポーツブラみたいに揺れの保護には向いてないけど、今のアルミンならそれが最適だと思う」

アルミン「タンクトップ型だったら、着けるのにも抵抗感じないかな。普通の着けるのは、なんだか倒錯者めいててイヤだし……」

ミーナ「言っておくけど、私たちだって野外演習のある時はスポーツブラ以外しないわよ」

アルミン「あ、そうなんだ」

ユミル「当たり前だろ!立体機動とか、どんだけハードに動くと思ってんだよ!!」

クリスタ「だから可愛いのをつける機会は休日くらいしかないの」

402 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/07/05(金) 23:17:37 ID:YvoWDTNw

ユミル「と言うわけで、私が今からアルミンのカップサイズを測ってやろう」

アルミン「何が、と言うわけで、に繋がるのか全く分からないよ!」

ユミル「じゃあ、お前は買いに行った先で売り場のお姉さんに測ってもらいたいのか?触ってもらいたいのか?!この変態!!」

アルミン「い、いや、別にそんなわけじゃないよ……。むしろ、そんなの恥ずかしいし……」

ユミル「だったら今、私たちで測ってやった方がましだろ?ほら、脱いで脱いで」ワキワキ

クリスタ「こら、ユミル!いじめちゃダメ!!」コツン

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