太陽の牙ダグラム(Fang of the Sun Dougram)のネタバレ解説・考察まとめ

『太陽の牙ダグラム』とは、テレビ東京系列で1981年10月から1983年3月まで放送されたSFロボットアニメである。地球からの圧政に苦しむ植民惑星「デロイア」が独立するまでの動乱を、戦争と政治の両面から描く。地球生まれの主人公「クリン・カシム」は数奇な運命の下、デロイア独立戦争に義勇兵として参戦する。『機動戦士ガンダム』の流れを汲んだ「リアルロボット」路線の作品であり、後に『装甲騎兵ボトムズ』や『機甲界ガリアン』を手掛ける高橋良輔のロボットアニメ初監督作品でもある。

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CV:宮内幸平
デロイア独立運動の最高指導者で、散発的だった独立派の活動をまとめ上げ、一大潮流とした実力者。クリンが独立運動に自らの生きる道を見出すきっかけを作り、太陽の牙や独立派ゲリラ達の精神的支柱となった。独立派メンバーのみならず、ラルターフやドナン、ラコックなど、敵味方問わず一定の敬意を払われるほどのカリスマ性をもつ。そのカリスマ性は仇敵であった「ジャッキー・ザルツェフ」をも転向させてしまうほどであった。思想としては、完全独立によってデロイアが地球と真に対等になることを目指している。一方単純なイデオロギーには価値を置かず、個人の思想と信念を最重視する。その理想の高さとはうらはらに、「政治とはどちらがたらふく食えるかという事に尽きる」との発言が示すような現実主義者でもあり、デロイア独立後も格差を完全に解消することはできないとも諦観している。デロイアが地球と肩を並べる事に人生を捧げた人物像は、病んだ地球経済のためにデロイアを繋ぎ留めようとしたドナンとは対極的な人物として描かれた。

本編中では語られないが、元は貧困家庭に生まれながらも苦学を経て博士号を得た歴史学者であった。しかし自著を連邦政府に発禁処分にされたことが契機となり独立運動の種を蒔き始める。数十年の時を経て、デロイア独立運動は大きなうねりとなった。しかし作中序盤に連邦軍に捕縛されてしまう。太陽の牙らにより救出された後は優れた指導力で独立派をまとめあげ、「パルミナ大陸」「アンディ鉱山」「グランテ山脈」と転戦を続ける。連邦軍の圧倒的戦力を相手に常に劣勢を強いられていたが、連邦軍の「ウルナ基地」でデロイア人兵士が反乱を起こした事をきっかけに勢力を拡大し、ドガ市への再侵攻を成功させる。ついに「デロイア人民政府」樹立を成し遂げるが、「ヘシ・カルメル」ら穏健派との意見対立が生まれる。ラコックの奸計により独立派は分裂、サマリンは拘禁されてしまう。一方的な武装解除を受け入れたカルメルに失望し、後に太陽の牙に救出された時には覇気を無くしていた。闘争を止めようとしない若者達の命を守るため、瀕死の身を引きずりカルメルに直談判する。余命幾ばくも無くなった時、真の対等な関係とは地球人もデロイア人も関係なく仲間と呼び合える、クリンとロッキー達のような関係の中にあると悟る。自身もまた地球流の資本主義やイデオロギーに毒されていたと語り、クリン達の手を取ると、「生きろ、生きて未来を作れ」と言い残しこの世を去った。

地球からの独立を唱えながらも手段を選ばない実利優先主義者であり、地球側の様々な企業や兵器メーカーと積極的に裏取引を行ない武器を調達していた。実際デロイア製とされていたダグラムも、「精密部品の70%が地球製」とのハックルの発言がある。ダグラム建造を主導したことや博士と呼ばれていることから誤解されがちであるが、サマリン自身は歴史学者であり、機械工学的な知識は無い。

ワインを嗜み、蘊蓄を語る時はよくワインの味や熟成度合いに例える。吸っているタバコは紙巻きやパイプ、葉巻など場面によって違い、ワインほどはこだわっていない模様。射撃の腕は一流で、数十メートル離れた兵士の拳銃をライフルで打ち落とすという神業を披露した。「(独立運動を始めるのに)56年かかった」との発言があるが、実際に志を実行に移すのに56年かかったのか、単なる軽口なのかは不明。

J(ジェイ)・ロック

J・ロック

CV:曽我部和行
太陽の牙発足以前から独立運動に身を投じていた手練れのベテランゲリラで、ゲリラ部隊「デロイアの星」のリーダー。武装バギーを使った戦法でコンバットアーマーを撃破するなど優れた指揮能力を見せる。口ひげと右目のアイパッチがトレードマーク。連邦軍の雄「ジャッキー・ザルツェフ」とは長年のライバル。

ボナールで包囲されていたダグラムの前に突如現れ窮地を救う。その後もたびたび太陽の牙の前に現れ、「ターボザック」を提供してダグラムをパワーアップさせる。太陽の牙と協力してバラフ刑務所でサマリンを救出した後は、「バックス」と共にちりぢりになった解放派ゲリラ糾合の旅に出る。次に登場した時はカーディナルに潜伏しており、更迭されているザルツェフの動向を注視していた。サマリンの意向を汲んで戦略家として最適とザルツェフを推し、サマリンに会うように説得して彼を送り出した。連邦軍の圧倒的な大部隊を相手にしたスタンレー高原の戦いでは、激戦の最中に機甲部隊を引き連れて参上する。ドガ市制圧と「デロイア人民解放政府」樹立を見届ける。北極ポートを目前にして起こったカルメルの造反の際は異変を察知してドガ市に探りを入れに行く。太陽の牙と合流してサマリンの身柄を奪還すると、追っ手を食い止めるべくしんがりを務めた。サマリンたっての願いでカルメルの元に彼を送り届け、その死にも立ち会う。ダグラムが爆破されたのを見届けた後、バックスと共にサマリンや部下を弔うべくいずこかへと去って行った。

若さゆえの情熱で戦う太陽の牙に対して、完成された大人の戦士として描かれた。太陽の牙が独断で動いて危機に陥った際もその動向を把握しており、先回りして支援する周到さも見せた。ザルツェフとは長年のライバルだったが、組織化された軍隊を指揮することに長けたザルツェフに対して、あくまで少人数のゲリラ戦術を得意としていた。率いる「デロイアの星」は彼にちなんで別名「J・ロック隊」と呼ばれ、統一された戦闘服と赤いベレー帽を着用している。土嚢運びに汗を流す太陽の牙にビールを差し入れるなど気さくな面も持ち、太陽の牙からも頼れる兄貴分として見られていた。

ジャッキー・ザルツェフ

ジャッキー・ザルツェフ

CV:屋良有作
地球連邦軍少佐で「フォン・シュタイン」曰く「誰よりも頼りになる軍人」。その評価に違わず、優れた戦術・戦略眼を兼ね備えた優秀な軍人として描かれ、太陽の牙を何度も追い詰める。しかしラコックの奸計や味方の不手際が重なり更迭の憂き目に遭う。失意の中、戦略家を欲したサマリンに招かれ、参謀として解放派に転向する。烏合の衆だった解放派ゲリラは彼の指揮で統率され、連邦軍と互角以上の戦いを繰り広げる。

ボナール・グランプリでのダグラムの襲撃に危機感を覚えたフォンに呼び出される。徹底的に軽量化したコンバットアーマー3機でダグラムを翻弄するが、J・ロック隊の介入を受け撤退する。バラフ刑務所では刑務所所長と反りが合わず、指揮系統が混乱したためサマリンを取り逃がす。スタニウム工場の防衛にも失敗し、次第にフォンからの不興を買うようになる。ラコックの当てつけで新米指揮官の補佐に回され、その的外れな指揮に呆れ離脱する。その行為が命令違反とされ1ヶ月間の拘禁刑を受けてしまう。拘禁中にゲリラに接触され恫喝して追い返すも、報告義務を怠ったとしてさらに3階級降格の上禁固1年を言い渡された。無意識のうちにゲリラをかばっていたことを自覚し、J・ロックの勧めでサマリンに会うことを決意する。サマリンと邂逅した後はその人柄や器量の大きさに一瞬で魅了される。独立派転向後は水を得た魚のように戦略家としての真価を発揮し、寄せ集めだった独立派ゲリラをまとめ上げる。かつての敵だった太陽の牙メンバーも敬語を使い指示を仰いでいた。北極ポートの目前まで迫る快進撃を続けたが、カルメルの造反で停戦となる。停戦の条件として逮捕されるが潔く応じる。去り際に「生きる場所を与えてもらった」とサマリンに謝辞を述べた。公表では形式的な逮捕とされていたが、実際には0年以上の禁固刑は確実とされていた。情勢の変化で何らかの恩赦や刑期短縮などが起こった可能性もあるが、軍刑務所に連行された場面以降は登場しない。

「与えられた兵員・装備でいかに作戦目標を達成するか」を突き詰め、結果だけを求める非常にストイックな軍人で、権力や名誉には興味を示さない。それだけに見栄と面子にこだわる小物とは相性が最悪で、バラク刑務所所長との不協和音はサマリンを取り逃がす失態へと繋がる。ラコックには「(いずれ排除するフォンの)やっかいな手駒」と見なされ、奸計の末に失脚させられた。かつては尊敬していたフォンに対しては「軍人魂と引き換えに背広が着たくなった」と失望していた。J・ロックが「軍の規律の中ではお前の能力は活きない」と発言したとおり、独立派に転向した後は足を引っ張られる要素が無くなり、その指揮能力を遺憾なく発揮して独立派を勝利寸前に導いた。J・ロックとは長年のライバルであり、J・ロックの右目を潰したのはザルツェフであるようだ。サマリンは「まるで互角だった」と格闘するふたりを回想している。

バックス

バックス

CV:細井重之
独立派ゲリラの主要人物のひとりで、武器弾薬等の調達を担当している。Eガンなどの強力な兵器を太陽の牙に供与した。ロッキー達には「とっつぁん」と呼ばれ頼りにされる。

初登場時はカーディナルの飲食店で店主に扮し、合言葉を告げたクリンをサマリンの隠れ家に入れる。ダグラムを奪回したロッキー達に船を用意し、「Eガン」等の強力な装備を授けた。ボナールへの道中、ダグラムの操作について指南したりしていたが、いつの間にか姿を消す。「ゲリラ会議」の段取りを付けるために奔走していたようで、会場でクリンやロッキーと再会する。サマリン奪回のため太陽の牙と共にバラフ刑務所を襲撃する。サマリンを取り戻した後は、孤立しているゲリラ達を糾合させるため、J・ロックと共に活動し始める。その後しばらくは表には現れず、次に作中に姿を現したのはカルメルの造反後だった。潜伏していたカーディナルのアジトに太陽の牙メンバーを呼び寄せて事の真相を話し、ダグラム奪還のためにEガン等装備を再提供した。サマリンの軟禁場所を特定し太陽の牙と共に奪回する。サマリン死後は彼を埋葬すべく、J・ロックと共にいずこかへ旅立った。

クリンにダグラムの操作を指南していたことから、ダグラムの開発にも深く関わっていた様子。表舞台に出ることはほとんど無かったが、裏方としてサマリンを支え続けた重要人物だった。神出鬼没であらゆる伝手や人脈を駆使して武器を調達し、アジトの脱出口を常に確保する姿は、革命戦士というよりは地下活動家と呼ぶにふさわしかった。

ヘシ・カルメル

ヘシ・カルメル

CV:加藤治
独立派勢力のリーダー格のひとり。登場序盤ではサマリンの熱狂的な支持者だったが、次第に穏健派のリーダーとして反目した。名誉欲をラコックに利用され、サマリンを排斥し安易な和平交渉に突き進む。

主にパルミナ大陸で活動し、独立派に親和的な企業との折衝など外交役として活躍する。アンディ鉱山での集会時、サマリン自ら大々的に紹介するなど彼からも高く評価されていた。しかし荒事などは不得手ないわゆる事務方であり、あくまで軍事的な勝利を達成しようとするサマリンとは次第に温度差が生じる。ラコックの悪意に満ちた裏の顔に気付けず、次第に「あなたこそデロイアの代表にふさわしい」との甘言に籠絡されていく。その後ついに独立派の会議中にサマリンを拘禁する暴挙に走る。御しやすい相手と踏んだラコックに、強引にデロイア解放の英雄と祭り上げられる。しかし地球側の軍事的プレゼンスを排除できなかった事が致命的な弱みとなり、譲歩に譲歩を重ね、デロイアの権利はフォン政権時代と同レベルにまで後退してしまう。瀕死のサマリンに直談判されて太陽の牙の助命に動き出すも、ラコックは野望の妨げになるサマリンもろとも太陽の牙を強引に抹殺しようとする。内政干渉と抗議するも、ラコックは鼻で笑って平然と無視するのだった。ここに至って以前サマリンから聞かされた「安易な譲歩を行ったことで、独立が達成出来なかった例は歴史上、数多く存在する」という格言が脳裏に重く響く。ついにデロイア人としての意地を取り戻し、再び地球との全面戦争となることを覚悟してデロイア治安軍に号令する。膠着状態の中、ラコックがデスタンの凶弾に倒れたことで事態は沈静化、和平交渉も振り出しに戻る。その後は作中では描かれていないが、ラコックを失って混乱する地球連邦を相手に、交渉を仕切り直したと思われる。

高い知性と理性、そして理想を持ちながらも、凄惨な現実を目の当たりにするうちに大局を見失う過程、そして秘めた名誉欲を利用され道を誤るなど、非常に人間くさいキャラクターとして描かれた。そして紆余曲折を経た後は、かつて反目したサマリンの後継者としてデロイアを代表する英雄となるという、皮肉な結末となった。

ジョーク

ジョーク

CV:大林隆介
元はパルミナ大陸沿岸部で活動していた運び屋。太陽の牙に救われてから、解放派活動に加わる。幹部として会議に出席しながら現場との橋渡しをするなど実務をこなす。

第31話から登場。パルミナで行商兼運び屋をしていたが、ゲリラの物資や人員の配送を請け負ったことから連邦軍の追撃を受ける。パルミナ大陸に上陸したサマリンと太陽の牙に救助されると、パルミナゲリラのリーダー「ノキオ」の元に向かう彼らの道案内を買って出る。ドガ市攻略失敗後は、アンディ鉱山を目指すサマリン達の道案内を勤め、実質的な参謀ポジションとなる。アンディ鉱山入りして身動きが取れない間は、フラストレーションがたまって乱闘を起こすゲリラを叱り飛ばして説教を始めるなど、中間管理職的な役目もこなしていた。「ヘシ・カルメル」や「ジャッキー・ザルツェフ」が加わり組織が大がかりになっても引き続き作戦会議に出席している。スタンスとしてはサマリンの方針に準じてより具体的な意見を述べるのが主だった。北極ポート攻略間際の作戦会議中、造反を起こしたカルメル達を阻止しようと飛びかかる。その際に銃弾を受け、最後の力をふりしぼってカルメルに掴みかかると、置き土産に彼の胸元を血で染めた。

ガボール・ザナ

ガボール・ザナ

CV:鈴置洋孝
パルミナ中央部の「ウルナ基地」所属のデロイア人兵士で中尉。基地の8割を占めるデロイア人兵士の支持を集める人格者。後に反乱を起こして独立派勢力に合流、デロイア人兵士達のまとめ役となる。

ウルナ基地にて基地司令「ブラドー」にデロイア人ゲリラ処刑を強要されるも軍規を盾に拒否する。営倉行きの末に銃殺刑に処されそうになるが、信奉者だった部下に救われる。その後基地のデロイア人兵士を糾合し、軍内のデロイア人差別に抗議する反乱を起こす。独立派勢力の援護もあり鎮圧部隊を撃退する事に成功すると、サマリンに説得され、デロイア兵士を率いて独立派に合流する。ザルツェフの指名で司令補佐となると、その後も続々と合流するデロイア人兵士達の代表として会議にも常に出席していた。しかし北極ポートを目前にして足止めを食らった際に、地球連邦軍が挑発で放った爆撃を受けて戦死する。

ウルナ基地から脱走したデロイア兵士が「ザナ中尉と共に戦えるのであれば」と参戦を熱望するほど、その人望は厚かった。独立派に合流後は部隊編成や作戦指揮など雑用をこなそうとする。しかしザルツェフはそれを制止して自分の補佐に据える。おそらく合流したデロイア人兵士の求心力を維持するためと、自分に何かあった時のために、戦略を学ばせようとしたと思われる。死の間際まで状況に対応しようと冷静に命令を飛ばしていたことからも、士官としての有能さを物語っていた。それだけに彼の死は独立派の気勢を大いに削いだ。

地球連邦政治関係者

作中における地球の統一政府が「地球連邦」政府である。地球上の各地域が計7つの州を形成し、基本的には「地球連邦評議会」による合議制により運営されている。実際には「評議会議長(作中の現職はドナン・カシム)」の権限が強く、出身州は強い影響力を持つ。「フォン・シュタイン」中佐が起こした自治州への昇格要求により、建前上はデロイアも第8の州として加入した。作中には地球連邦に属する数多くのキャラクターが登場するため、ここでは本編中で重要な役回りを演じた地球連邦に属する政治家やその関係者をまとめる。

ドナン・カシム

ドナン・カシム

CV:山内雅人
主人公「クリン・カシム」の実父。57歳。メドール州選出の現職地球連邦評議会議長で、地球の最高権力者。「最大多数の最大幸福」を政治的信念とする。地球経済がデロイア抜きでは成り立たない現状に危機感を持っており、経済が行き詰まった地球のため、あえてデロイアから搾取する強引な政治手法をとる。デロイア独立派にとっては紛れもなく敵の巨魁であるが、地球80億の民のためにあえて敵意を一身に受ける信念の人として描かれる。

冒頭から地球の最高権力者としてその辣腕を振るっており、すでにデロイア人からは相当な恨みを買っていた。昨今高まるデロイア独立運動に危機を覚え一計を案じ、自らデロイアに渡る。傀儡の「フォン・シュタイン」大佐に偽りの独立クーデターを起こさせ、みずからは捕虜となり裏から全てを操る。解放されると同時に、「反乱を扇動した」などと偽証し、デロイア独立支持派議員を一掃した。同時にデロイアを植民地から州へ昇格させ、フォンを自治州の最高責任者として任命することを宣言する。そして治安維持の名目でフォンに命じてゲリラ狩りを徹底させる。すべてはデロイア人を押さえつけるための欺瞞であることを知った息子・クリンに詰め寄られるも、「最大多数の最大幸福」という信念の元に一蹴する。しかしそのことが、実の息子クリンを独立運動に走らせる決定打となった。その後も支配体制を盤石にするためにフォンやラコックを使い独立派を叩き潰すべく辣腕を振るう。同時に娘婿のレークをパルミナ行政官に据えるなど、支配力を強化する施策を次々と打ち出す。すべては病に冒された自分の余命幾ばくも無いことを察し、命あるうちに地球の安寧を確保したい一心からであった。病苦をこらえて地球に戻り、議会工作でアンディ鉱山の政治的問題を一掃する。デロイアに戻ると症状はさらに悪化、ついに病床に伏す。一度昏睡から目覚めるも、ラコックの造反に衝撃を受け再び昏睡状態となる。末期の願いとして枕元にクリンを呼び寄せ、自分の信念と自戒を語り、「自分の信じた道を生きろ、ただ、私の言ったことも忘れるな」と諭す。真逆の道を行く息子の背中を押した後、妻フィナに看取られて激動の生涯を終える。

彼の政治理念は「最大多数の最大幸福」であり、その信念に私利私欲は一切無いと言い切っている。デロイアへの圧政も、あえてデロイアから搾取することで地球人類を延命させ、未来へ繋ぐのが目的だった。揺るぎない信念とは裏腹に、個々人の信念や主張を尊重する柔軟な思想を持つ。敵対する道を進んだクリンにも激励する言葉をかけた。

ドナンは三男一女をもうけたが、気質や器量が自分に似ていたこともあり、遅くにできた末っ子のクリンを特に可愛がっていたようだ。その反面当代でことを成そうと躍起になっていた反動か、後継者を育てようとした様子は無かった。才能を認めていた補佐官のラコックにも、その性格に難があることを見抜きつつ、導こうとする姿勢は見られなかった。それが後のラコック暴走を招いたとも言える。この点は自分の信念と器量に頼り過ぎてカルメルの造反を招いてしまったサマリンと通じるものがあった。

趣味として葉巻を嗜むが、それが持病の悪化につながっていたらしく、主治医のニールに控えるように忠告されていた。クリンが幼少期を回想するシーンにて、ヨットで海に繰り出すシーンがあるが、クルーを何人も従える本格的な帆船だった。自宅は広大な敷地面積と庭園を備える大邸宅であり、何度か親族や友人を集めて豪華な晩餐会を開くシーンがある。このように生活レベルは非常に高い様子だが、議員報酬が莫大なのか、資産家の家系だったのかは不明。

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