太陽の牙ダグラム(Fang of the Sun Dougram)のネタバレ解説・考察まとめ

『太陽の牙ダグラム』とは、テレビ東京系列で1981年10月から1983年3月まで放送されたSFロボットアニメである。地球からの圧政に苦しむ植民惑星「デロイア」が独立するまでの動乱を、戦争と政治の両面から描く。地球生まれの主人公「クリン・カシム」は数奇な運命の下、デロイア独立戦争に義勇兵として参戦する。『機動戦士ガンダム』の流れを汲んだ「リアルロボット」路線の作品であり、後に『装甲騎兵ボトムズ』や『機甲界ガリアン』を手掛ける高橋良輔のロボットアニメ初監督作品でもある。

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チコ・ビエンテ

CV:田中崇
太陽の牙の一員で、大柄な体格を生かして主に重火器の射手を担当する。特に彼の装備する「ビッグEガン」は、コンバットアーマーや装甲車、果ては戦闘ヘリまで撃破する作中屈指の活躍を見せ、その撃破率はダグラムを駆るクリンに次ぐ。さらに修理工としての技能を持ち車両の修理や整備でも活躍する。禿頭と額の十字傷がトレードマーク。

元は「デロイア7」のメンバーで、ロッキー達と一緒に出稼ぎ先の地球から引き揚げてきた。成り行きでダグラム奪回に参加、独立運動に参加する。「バックス」の勧めでビッグEガンを扱うようになる。抜群のセンスでコンバットアーマーの弱点を突いて撃破するなど、ダグラムの窮地をも救う活躍を見せる。またタフネスも人間離れしており、第24話でサマリン博士を救出するためにバラフ軍刑務所に潜入した際も、正体が露見して満身創痍になりながら、軽口を叩いて戦線に即復帰していた。

飄々とした態度で戦車や戦闘ヘリのみならず、コンバットアーマーまでも撃破していく姿は、もはや「人間コンバットアーマー」と呼ぶにふさわしい。ハックルを「おじん」と呼んでいたが、彼自身もスキンヘッドと強面のために、ロッキー達と同年代ながらより年上に見られる。外見に似合わず性格は陽気で、ボナールの祭に繰り出した際はビリーと一緒にはしゃぎながら踊っていた。

ビリー・ボール

ビリー・ボール(中)

CV:梨羽雪子
太陽の牙のメンバーで小柄な少年。胸にハートマークのアップリケを付けた戦闘服がトレードマーク。「デロイア7」のひとりで、ロッキー達と一緒に地球から引き返してきた出稼ぎ労働者だった。横暴な地球人は毛嫌いしているが、クリンが地球人だと知っても全く態度を変えず、気さくに声をかける。戦闘では小柄な体格のためか拳銃を使用していたが、中盤からは無反動の対装甲ミサイルを巧みに扱い、コンバットアーマーを撃破する場面も見られた。「Eガン」を使っていないためか、彼だけはインカムタイプの通信機を使っている。

16歳だが小柄で童顔、さらに声変わりしていないことで、言動の幼稚さと相まって年齢以上に子供に見られる。特にジョルジュは彼を子供扱いして頻繁にからかっていた。一人称は「おいら」。

ナナシ

ナナシ

CV:緒方賢一
太陽の牙のメンバーで常に半裸の巨漢。衛生兵を担当する。またその怪力を活かして物資調達や武器弾薬の運搬も担当する。

年齢不詳な上に、本人ですら本名を知らないなど謎の多い人物で、仲間内では「名無し」の意味でナナシと呼ばれている。語尾に「だなっす」とつく独特のしゃべり方をする。急に居眠りをしたり作戦会議中に明後日の方向に関心が向いたりなどの不思議な振る舞いを見せる。しかしときおり動物的な直感で危機を察知するファインプレーを見せる。さらにいつの間にか敵の背後を取るなど、意外なところで活躍を見せる。持ち前の生命力と常識離れしたタフネスで終戦まで生き残った。

デロイアの南極という極寒の地でも「半裸にサンダル」という軽装を平然と貫き、煎れたばかりのホットコーヒーを掌で受け飲み干すなど、本作でも随一の奇人ぶりでコメディリリーフ役を担った。一方手が空いている時に読書をする意外な一面もあるが、書物を上下逆さまに持つなど独特な読法を見せる。本人は自身の容姿が整っていると思っているようで、たまに空耳で外見をけなされたと勘違いし、激昂する場面がある。

フェスタ・ブロンコ

フェスタ・ブロンコ

CV:鈴木清信
太陽の牙のメンバーで前衛担当。ロッキー達と一緒に地球から引き揚げてきた出稼ぎ労働者だったが、ダグラム奪回をきっかけに独立運動に身を投じる。粗野でけんかっ早い性格。「火薬の匂いが好き」との理由でEガンではなく従来の火薬式アサルトライフルを愛用する。バイクの運転が得意で主にサイドカーを駆って戦う。

デロイア人への偏見と差別に激しく憤っており、ダグラム奪回を機に武器を取る。粗野な振る舞いをするが、捕虜にしたハックルを見捨てずに引き返してくるなど、性根は優しい性格をしている。第17話でガルシアに追い詰められたダグラムを救うべく、チコと共にサイドカーで決死の特攻を仕掛ける。「デザートガンナー」を撃破して皆に賞賛され舞い上がる。照れ隠しにサイドカーで走り回るが、座席に落ちていた手榴弾の暴発により事故死する。太陽の牙の面々は彼の死に打ちのめされ、改めて生と死が紙一重の状況にいることを思い知らされた。「ボナール・グランプリ」のレースを観戦するのが長年の夢であったが、ボナールを目前にして彼の人生は幕を下ろすことになる。

ハックル・G・トンプソン

ハックル・G・トンプソン

CV:小宮山清
太陽の牙の一員でダグラムの整備や技術支援担当。24歳だが小柄で痩身、丸眼鏡に老け顔のせいで、「おじん」とあだ名されてしまう。元は地球連邦軍(第8軍)の補給隊に所属していたデロイア人兵士だった。ダグラムの整備をほぼ専任するほか、兵器の種類やスペックなどを暗唱し、所属の基地まで推察する明晰な頭脳を誇る。

第13話でダグラムの補給整備に行き詰まったロッキー達に、補給物資強奪のついでに拉致される。脅迫されながらダグラムに燃料を補給する。その時に簡単に点検しただけでダグラムの不具合を見つけるなど、非凡な技術力を見せた。その後も捕虜としてフェスタにいじられるが、砂漠の真ん中で迎えに来た彼の人柄を見るうちに、上司から言い含められていた「冷酷非道なゲリラ」像が崩れていく。更にガルシア隊の山賊まがいの横暴さを目の当たりにして義憤に駆られた。窮地のクリンを奇策で救出すると、脱走兵としての苦悩を抱えながらも太陽の牙に加入する。目の前で起こったフェスタの死には、紆余曲折を経て友情を築きかけていただけに心底衝撃を受ける。ボナールでは彼のコンバットアーマーに関する蘊蓄がヒントになり、ダグラムを敵の包囲から持ち出すことに成功する。パルミナではターボザックを単体で起動し、リニアカノンを発射する離れ業でダグラムの窮地を救う。その後も終戦まで太陽の牙のメンバーとして、ダグラムの戦闘力維持に尽力した。

クリンとは似たような境遇のためか、しばしば雑談する仲となっていった。反対に感情にまかせてがなり立てる「ジョルジュ・ジュールダン」とは馬が合わずに反目する。「リタ・ベレット」の明るく奔放な振る舞いに惹かれ、彼女が死んだ時には整備中にも涙を流すほど落ち込んだ。

整備不良で起動不能になる寸前であったダグラムにとって、ハックルの加入は大変幸運であった。彼の存在が無ければ、太陽の牙はボナール到達前にダグラムを失っていたと思われる。また敵基地の設備規模から駐屯戦力を割り出すなどの活躍を見せる。機械に対する独特なこだわりがあり、盗み出すトラックをどれにしようか悩んだ挙句、塗装の綺麗さで選ぶ場面がある。

ジョルジュ・ジュールダン

ジョルジュ・ジュールダン

CV:千葉繁
太陽の牙に途中加入した17歳の青年。前衛やアジテーションを担当。直情的な性格や、戦闘に火薬式アサルトライフルを好み、バイクの運転が得意など、フェスタとの共通点が多い。ロッキー達が思わず「似てる」と漏らすほど、フェスタに容姿が似ているが、作中でその理由は語られなかった。威勢の良さが功を奏しているのか、彼のアジテーションで民衆が扇動される場面がある。感情に任せながらも本質を突く発言は、太陽の牙メンバーが行動を決める契機になることがあった。

第20話にてボナール・グランプリ会場で繰り広げられるプロパガンダを揶揄してヤジを飛ばしていたところ、ロッキー達と出会う。その後太陽の牙に勝手に付いていき、なし崩し的に加入した。道中を共にしたリタの享楽的で楽天的な性格に惚れる。リタが地球連邦軍兵士からの追求を逃れるために「夫婦だ」と一芝居打ったのを真に受けて求婚するも、彼女に軽くあしらわれてしまう。リタに男の影を感じると尾行するなど、終始彼女に関心が向いていた。リタに裏切り者の疑惑が湧き上がると、疑念と信じたい気持ちがせめぎ合い、人間不信になる。リタが死んだことを知らされると、リタのもとに行くつもりでバイクにミサイルを積み込み、コンバットアーマーを相手に特攻する。しかし爆風に吹き飛ばされて落車したことで一命を取り留めた。その後もしばらく自暴自棄になり奇声を発したり単身敵前に飛び出すなど奇行を繰り返したが次第に落ち着く。カルメルの造反で武装解除された際も、他のメンバーは釈然としないながらも従ったが、「こんなんじゃなかー!」と銃を乱射するなど感情をむき出しにしていた。広場で見世物になっているダグラムを奪回した際は、ダグラムとクリンの武勇伝を演説して時間を稼いだ。

他のメンバーと違い戦闘服は着用せず、ジャケットに赤いベレー帽を貫いた。ボナールなまりを表現するために「九州弁」でアフレコされているが、これはCV担当の千葉繁のアイデアとのこと。

リタ・ベレット

リタ・ベレット

CV:川浪葉子
太陽の牙のメンバーで踊り子の少女。元は「ジョーク」率いる行商グループの一員。パルミナに不案内な太陽の牙の道案内を務めたのをきっかけに加入した。主に食糧調達などを担当するが、銃を手に取る事もある。

踊り子を生業としていたが、過去にストリップまがいのステージに立っていたところ、デスタンに「自分を大切にしろ」と諭され、それ以来独立運動に加担していた。第31話で連邦軍に追われていた所をパルミナに着いたばかりの太陽の牙に救われ、その後案内人として同行する。アンディ鉱山で再会した恩人「デスタン」が自分を陥れた事実にショックを受ける。その後全てを受け入れ彼と逃げようとするがその場にラルターフが現れ、勘違いでパニックになったデスタンに撃ち殺された。ラルターフから彼女の死を知らされたジョルジュは狂乱し命と引き換えに仇を討とうとし、ハックルは整備中にも涙が止まらないほど落ち込んだ。

天真爛漫で享楽的な性格の持ち主で、大笑いしていたかと思えば次の瞬間には仲間の不遇を嘆き号泣するなど、喜怒哀楽の起伏が激しい。ハックルはその様子を「乱数表のよう」と形容している。誰彼構わず抱きついてスキンシップするため、キャナリーには「男はああいうのが好きなんでしょ」と呆れられていた。実際ジョルジュやハックルから好意を持たれていた。クリンとデイジーの間に割って入ろうとしていたこともあったが、ふたりの様子を見て身を引いている。

デロイア独立運動関係者

抑圧され地球の資本家に一方的に搾取される現状を憂い、デロイア人の自立と植民地からの脱却を目指した「デロイア独立運動」。作中では「デビット・サマリン」を中心とした独立派ゲリラの戦いを中心に描かれているが、作中序盤から中盤においては、必ずしも統一された組織運動では無く、各地で散発的に抵抗運動が行なわれていた。独立を目指す勢力は物語が進むにつれ名称の変遷が激しいため、各解説文中では「独立派」と表現して混乱を避けている。太陽の牙がバラフ刑務所からサマリンを救出して以降、サマリンを中心とした勢力がパルミナの勢力や反乱を起こしたデロイア人連邦軍兵士などを取り込み、「デロイア人民解放軍」を結成する。やがてパルミナの行政都市「ドガ市」を制圧すると、サマリンは「デロイア人民政府」樹立を宣言した。作中には各陣営で多数のキャラクターが登場するため、ここでは本編中で重要な役回りを演じたデロイア独立運動関係者をまとめる。

デビッド・サマリン

デビッド・サマリン

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