太陽の牙ダグラム(Fang of the Sun Dougram)のネタバレ解説・考察まとめ

『太陽の牙ダグラム』とは、テレビ東京系列で1981年10月から1983年3月まで放送されたSFロボットアニメである。地球からの圧政に苦しむ植民惑星「デロイア」が独立するまでの動乱を、戦争と政治の両面から描く。地球生まれの主人公「クリン・カシム」は数奇な運命の下、デロイア独立戦争に義勇兵として参戦する。『機動戦士ガンダム』の流れを汲んだ「リアルロボット」路線の作品であり、後に『装甲騎兵ボトムズ』や『機甲界ガリアン』を手掛ける高橋良輔のロボットアニメ初監督作品でもある。

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メドール州の兵器メーカー。第2世代コンバットアーマー「H8ラウンドフェイサー」を地球連邦軍に納入した実績がある。第2世代コンバットアーマーのエポックメーカーとして名声を欲しいままにしていたが、競合他社が次々と新機種をリリースする中、ラウンドフェイサーの後継機種開発には成功しなかった。「アイアンフット社」が開発した「F4Xヘイスティ」が両陣営で活躍して脚光を浴びる影で、凡作となった「HT128ビックフット」を寒冷地用コンバットアーマーとして売り込むことでかろうじて地球連邦軍への納入実績を残している。

H8「ラウンドフェイサー」

H8「ラウンドフェイサー」

第2世代コンバットアーマーで地球連邦軍の主力機種。ダグラムに並ぶ本作の顔というべき機体で、新型コンバットアーマーが次々登場する中、最終回まで作中に登場し続けた。クリンが初陣で搭乗したのもこの機体である。「ラウンドフェイサー(丸顔)」の由来は頭部の球形キャノピーからだが、作中では頻繁にメーカー名である「ソルティック」と呼ばれる。軍属であるレークですら命令時に本機をソルティックと呼んでいることから、この呼び方は相当浸透していたと思われる。

第2世代コンバットアーマーの雛形といえる傑作機であり、頭部に位置したコクピットとキャノピー、2足歩行によるフットプリントの少なさや地形適応性の高さ、多彩な武器を扱える腕部など、後の第2世代コンバットアーマーの多くがその特徴を引き継いでいる。軍が運用するに当たって無視できない兵站や輸送に対しても最大限の配慮がなされている。機体は各部位が簡便に分解・組み立てできるように設計されており、コンテナへコンパクトに収納できる。この特徴も後の第2世代コンバットアーマーやダグラムにも引き継がれた。

多彩な火器が用意されており、固定武装として腕部に対人対軽車両の2連装チェーンガン、手持ちのハンドリニアガンやマグランチャー、肩部に9連装ミサイルポッドを装備できる。効果的な運用のために、ヘリボーン用のツインローター・ヘリコプター「マベリック」や隠密作戦用のグライダーが開発されている。潜水はできないものの、専用の上陸用舟艇と合体することで海上航行も可能。

作中初期では最新鋭コンバットアーマーとして登場する。第2話で空港警備用に配備されていた機体がテロリストの「バスク」に強奪されるが、対コンバットアーマー砲でコクピットを狙い撃ちされて撃破された。ダグラムに対しては常時劣勢であり次々と撃破され、時には腕部を引き千切られていた。これは本機の仮想敵がヘリや装甲車などの従来兵器及び第1世代コンバットアーマーであり、対してダグラムの仮想敵はラウンドフェイサーであったためと思われる。第21話ではザルツェフの奇策でほとんどの装甲が取り外され、強化繊維のウェアで全身を覆った機体が登場した。極限まで軽量化することで運動性を増し、回避に徹することでダグラムに対抗して見せた。次々と新型コンバットアーマーが登場する中、最前線で運用され続ける本機の姿は、兵器としての完成度の高さを物語っていた。

H102「ブッシュマン」

H102「ブッシュマン」

第27話から登場した新型の第2世代コンバットアーマー。山岳戦用として縦方向の移動や登坂能力を最重視した設計となっている。ラウンドフェイサーとは全く別の機体だが、作中では「ソルティック」「ソルティックタイプ」などと一緒くたに呼ばれることが多い。ペットネームの由来は南アフリカのカラハリ砂漠住民の通称。

低強度の足場を登攀できる身軽さを目標として地形適応性を最重視して開発された。結果として防御力を犠牲にしてまで思い切った軽量化を果たしている。ジェネレータからのエネルギーを全て運動性に振り分けるため、武装も本体からの電力供給を必要としないものがほとんどとなっている。

固定武装としては頭部コックビットの両脇に大きく面積を取った「6連装ロケット弾ポッド」が装備されているが、作中では未使用。拳打用のナックルらしきパーツが装備されているがこちらも未使用に終わった。対人・対軽車両用機銃「アーマーライフル」は上腕部に設置されている。機体の電力を機動性に振り切るために、手持ちの銃器は火薬式の「マグランチャー」となっている。

初登場は第27話で、太陽の牙追撃の任に就いていたザルツェフの元に配備される。太陽の牙を渓谷の高所で待ち伏せし、ターボザックを装備して跳躍力の低下したダグラムを翻弄した。しかし流れ弾で足場を得たダグラムに追いつかれると、防御力の低さを露呈し瞬く間に撃破されてしまった。その後も第30話まで登場したが、戦場の変化に伴い、より重装甲で攻撃力の高いアビテート社「T10Bブロックヘッド」に取って代わられ、登場しなくなる。

H8RF「ラウンドフェイサー」コーチマSpl.(スペシャル)

H8RF「ラウンドフェイサー」コーチマSpl.(中・上・右)。

第54話で登場した精鋭部隊、通称「24部隊」専用の第3世代コンバットアーマー。見た目はH8ラウンドフェイサーとほとんど差異はないが、ブルーの機体カラーが特徴。

新型機では無く従来機をXネブラ対応型に近代化改修するため、既存のラウンドフェイサーを改造したテスト機である。非常に強力な機体に仕上がったため、首都カーディナル防衛のために優秀なパイロットを集めた「24部隊」に配備された。本機はその優れた運動能力と一糸乱れぬ連係攻撃で独立派のコンバットアーマーを終始圧倒する。この連係攻撃の精度が純粋なパイロットの技量によるものか、機体に何らかのシステムが組み込まれているのかは不明。

武装は腕部に移設された「連装25ミリチェーンガン」、肩部に「9連装ミサイルポッド」とオーソドックスだが、右腕部に装備される「アームリニアガン」は背部の「小型ターボザック」と有線接続する独特の仕様で、威力・連射力・取り回しを兼ね備えた優良な主武器となっている。

第54話にて登場。ドガ市に迫る独立派勢力を食い止めるべく、ドガ基地司令リマ少佐の招集により着任した、隊長の「ブリング」以下「ラッド」「テニスン」「バレル」ら4名の24部隊と共に、ブルーに塗装された専用のコンテナにパッキングされた状態で到着した。スタンレー高原での初陣では、ダグラムに連続攻撃を叩き込んで吹き飛ばし、ヘイスティ2機を一瞬でバラバラにする驚異の戦闘力を見せつける。続く第55話でもウェーブ台地争奪戦に参加し、逃げ惑うダグラムを一糸乱れぬ連係攻撃で追い詰める。しかし第56話にて2手に分かれて一般部隊の指揮を任されたことでほころびが生じ、ラッド機が落とし穴という地味な罠にかかり撃破された。次にしぶとく逃げ回ったテニスン機も、独立派の巧みな包囲攻撃で撃破される。ブリング機はクリンの搭乗したヘイスティを撃破するという戦果を挙げる。その後ダグラムと対峙し、相打ちを狙うもクリンの機転で躱され自滅する。残ったバレル機は武装を失ったダグラムに肉薄するも、直後に到着したJ・ロック率いる機甲師団の攻撃であえなく散っていった。

登場する兵器がほとんど量産型(ダグラムですら量産前提の機体である)である本作において、専用カラーをまとった強力なスペシャル機として異色を放つ本機は、視聴者に大きな印象を残した。

H404S「マッケレル」

H404S「マッケレル」(左・中・右)

第58話で登場した第2世代コンバットアーマーで、強襲揚陸作戦向けに設計された水陸両用型である。耐圧潜水服を着込んだダイバーのような外見が特徴。ペットネームの由来は「サバ」。

アビテート社が第2世代コンバットアーマーの分野でも存在感を増す中、ニッチなニーズに活路を求めたソルティック社があえてコンバットアーマーの汎用性を捨て去り、沿岸部侵攻に特化して設計した水陸両用型である。その最大の特徴は潜水航行から強襲揚陸を実行し、そのまま陸戦をこなすことに特化している点にある。揚陸後にデッドウエイトになる背部ハイドロジェットをパージすることからも、その設計思想の思いきりの良さが見て取れる。当初の計画ではダグラムのような全領域性能を備えたコンバットアーマーを目指していたが、何らかの事情で水陸両用型として完成した。完成した本機は潜水・上陸能力は申し分ないが、気密性を重視するあまり、攻撃力は腹部の内蔵型7連装ミサイルポッドと腕部の対人対軽車両用アーマーライフルのみで、特殊な腕部の形状から手持ち武器も扱えないなどはなはだ心許ないものとなっている。

第58話にて、独立派に占拠されたドガ市を奪還すべく沿岸部から侵攻した部隊の尖兵として3機が登場する。上陸前に1機がリニアカノンで撃破されるも、深追いしたダグラムを潜水していた1機が水中に引きずり込んだ。しかし互角の水中格闘の末に撃破され、残った1機はヘリに回収されて撤退する。第59話にも引き続き登場するが、上陸直後を狙われ、独立派のヘイスティに次々と撃破されていた。さしたる戦果を挙げられなかったためか、これ以降は登場しない。

HT128「ビッグフット」

HT128「ビッグフット」。出撃前に防寒用ウェアを装着している。

第65話から登場する第3世代コンバットアーマー。寒冷地対応型とされる。ペットネームの由来は「雪男」だが、作中では「F35C ブリザードガンナー」と一緒くたに「寒冷地用アーマー」と呼ばれていた。

ラウンドフェイサー以上の傑作機をリリースできないソルティック社が重装型の開発に舵を切り、重装・重武装かつ複座式コンバットアーマーとして完成させた。しかしすでに同じような機種が納品済みだった地球連邦軍には興味を持たれなかったようだ。その後新興メーカー・アイアンフット社「F4Xヘイスティ」が地球連邦軍と独立派の両軍で活躍するに至ると、ソルティック社は市場競争に敗れたと判断し、コンバットアーマーの開発事業を一時凍結してしまった。しかしその後地球連邦軍への納入実績が途切れるのを問題視したソルティック社の上層部が戦場が寒冷地に移るのを見越して、本機を寒冷地に最適化されたコンバットアーマーとして売り込んだ。努力が実を結び、晴れて採用となった本機は、生産された全機がデロイアに持ち込まれている。

武装は固定武装としてコクピット両脇に「連装スモークディスチャージャー」と、左肩部に「6連装ロケットポッド」を備える。手持ちの主武器は砲身を2つ並べて火力の増強を図った「連装ハンドリニアガン」を携行する。これはダグラムの肩アーマーをえぐる威力を発揮した。対コンバットアーマー戦には効果が薄いためか、対人・対軽車両用の火器は装備していない。

本機が寒冷地用というのは完全な建前であり、後付けの防寒ウェアや滑り止めの雪駄を装着するなど徹底した寒冷地対策が施された。出撃直前まで外部機器を接続して暖機するという念の入れようだった。カルナック山脈での戦闘では2対1とは言えよくダグラムを追い詰めるが、チコのビッグEガンで1機が擱座し、リニアカノンの直撃を受けたもう1機は爆散する。その後北極ポートを目前にして行軍を停止した独立派に対する挑発攻撃においては重火力を遺憾なく発揮していた。

アビテート社

マルドー州に本社を構える兵器メーカー。第1世代コンバットアーマーのシェアを独占している。その他「T10Bブロックヘッド」のリリースにより、「重装型コンバットアーマー」という新しいジャンルの開拓に成功するなど、作中で存在感を放つメーカーとして描かれている。

F44A「クラブガンナー」

F44A「クラブガンナー」

地球連邦軍制式の第1世代コンバットアーマー。第1世代コンバットアーマーの代表格で、序盤ですでに旧式呼ばわりされているが、作中いたるところで登場する。ペットネームの由来は「カニ」だが、機動戦闘車の車輪を長い脚に置き換えたようなそのフォルムは、どちらかというと「ラクダ」に近い。

見た目通りそのコンセプトは「戦車の多脚化」であり、砲塔を有する車体に長い脚部を備え、高い位置からの視界と射角を得た。4脚による接地面積の大きさで重量を支えることにより、重武装・重装甲を実現している。特に視界の開けた戦場において威力を発揮し、良好な視界で敵影を捕らえ次第、高火力を叩き込む飽和攻撃を最も得意としている。

弱点としては前面投影面積の極端な増大だが、姿勢変化や跳躍による回避で補っている。その他には接近された時の死角が多く、機体底部は比較的装甲が薄いことが挙げられる。4脚ゆえにフットプリントが大きく、市街戦での取り回しにも難がある。2脚型よりはましとは言え行軍能力は低く、輸送ヘリが必需となっている。

固定武装は旋回砲塔に備えられた高威力の「主砲リニアガン」、砲塔の下に30ミリ機関砲を備えている。車体両脇に設置される「7連装ミサイルポッド」を装着可能。ヘッドライトが設けられているが、これはミサイルポッドの射線を塞いでいるので、発射時はフェンダー下に引き込まれるようになっている。車体前後の計4箇所にフック掛けがあり、ヘリボーンの際はフックを引っかけて懸架する。

初登場は第3話で、ヘリボーンでサンドレア空港を急襲し、レークから「旧タイプ」呼ばわりされるも、その火力で空港を蹂躙した。第5話では、手練れのダーク率いるラウンドフェイサーの小隊を相手に、互角以上の戦いを繰り広げていた。その後も派生型も含め作中の随所に登場し、本作のミリタリーテイストを盛り上げていた。

F44B「テキーラガンナー」

F44B「テキーラガンナー」(右・左)

デザートガンナーの派生型で、哨戒任務向けに車体の両脇に兵員用ベランダを追加した機体。ガルシア隊の主力コンバットアーマーとして登場した。

兵員が身を乗り出して地上の敵に向けて銃撃する想定のようで、ベランダ外周には遮蔽物として土嚢が積まれている。しかしベランダには身体を固定する装備が無いため、兵員は本格的な戦闘機動の際には降りる必要がある。また全幅が拡大したことにより、市街地での取り回しはさらに悪化している。武装は基本的にクラブガンナーと共通だが、ベランダを増設した関係で、7連装ミサイルポッドの設置場所がベランダ下部に変更されている。更に機体底面にもミサイルポッドを2基増設している。

第10話でガルシア隊の主力コンバットアーマーとして登場する。第12話でダグラムと対峙するが、2機が一撃の下に撃破される。他1機がロッキーが爆破した崖の下敷きになり失われた。砂漠戦にも適性があるようで、飽和攻撃に参加している。

作中ではガルシア隊以外が運用している様子が無いためゲリラ狩り用の現地改修機のように見えるが、型式番号が割り振られているため本機は制式機である模様。

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