太陽の牙ダグラム(Fang of the Sun Dougram)のネタバレ解説・考察まとめ

『太陽の牙ダグラム』とは、テレビ東京系列で1981年10月から1983年3月まで放送されたSFロボットアニメである。地球からの圧政に苦しむ植民惑星「デロイア」が独立するまでの動乱を、戦争と政治の両面から描く。地球生まれの主人公「クリン・カシム」は数奇な運命の下、デロイア独立戦争に義勇兵として参戦する。『機動戦士ガンダム』の流れを汲んだ「リアルロボット」路線の作品であり、後に『装甲騎兵ボトムズ』や『機甲界ガリアン』を手掛ける高橋良輔のロボットアニメ初監督作品でもある。

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CV:塚田正昭
第40話から登場。アンディ鉱山でサマリンが会見した会社役員のひとり。コフォード州からの出向者。ライアンの尻馬に乗ってサマリンを相手に調子の良いことを並べ立てる。その裏ではデロイア独立に1枚かんで、経済的にメドール州を出し抜く算段を立てていた。しかし情勢が変わり本社からの指示が下ると、あっさり態度を翻して独立派を追い出すべく圧力をかける。

ジャクソン・ライズ

ジャクソン・ライズ

CV:二又一成
第40話から登場。アンディ鉱山でサマリンが会見したアンディ鉱山会社の役員のひとり。ローディア州から出向している。ライアンと共にサマリンを歓待するが、その裏では自社と自身の利益にしか興味が無く、独立派を見下しているようだった。一見インテリ風だが、アンディ鉱山が戦場になる可能性を知ると行き詰まった状況にイラついて、乱暴に葉巻を咥えるなど品性に疑問符が付く素行が見られる。

ニール

ニール

CV:村松康雄
第48話から登場したドナンの主治医。ドナンとは学生時代からの親友で、病状をひた隠しにしていたドナンも彼には胸襟を開く。残り半年と余命宣告をした時は、「真実を伝える事が、これほどつらいと思ったことは無い」と苦悩していた。デロイアで病床に伏せたドナンを出張して診察し、地球に連れて帰ろうとするも病状悪化で断念。現地でその延命に力を尽くす。ドナン死後は彼の遺体と共に地球に帰還した。

オレナ

オレナ

CV:高木ゆう子
第61話で登場。スパ市で飲食店を経営していた女性オーナー。店に入り浸っていたデスタンと男女関係となる。「田舎に引っ込んでのんびり暮らしたい」と語るが、店を出すために借金をしており、夢のまた夢とあきらめていた。デスタンがカルメルの件で大金を得たことで、夢であった田舎でのスローライフを手に入れる。しかし野心を募らせたデスタンが事件を起こし、再び独り身となった。

『太陽の牙ダグラム』の登場兵器(コンバットアーマー)

「コンバットアーマー」とは『太陽の牙ダグラム』に登場する全高10メートル前後の有人歩行兵器の総称で、2本から多いもので6本の脚部を備え、非常に高い戦闘能力を持つ。本作ではコンバットアーマー以外に、現実世界にも存在しえる通常兵器も多数登場するため、本項ではコンバットアーマーの解説のみを行う。用語や概念としてのコンバットアーマーは、用語の項を参照のこと。

ダグラム系列

他のコンバットアーマーが地球の兵器メーカー製であるのに対し、ダグラムはサマリン主導の独立派の手で建造されている。作中では語られないが、書籍などの外部資料によると、その開発にはアビテート社の系列会社「アイアンフット社」がリスクを承知で技術取得のために極秘裏に全面協力しているとされた。アイアンフット社はのちに「F4Xヘイスティ」をリリースしている。番組終了後ダグラムをほぼそのままの形で再生産した「DM(ダム)」という機体が設定され、大河原邦男の手による設定画も公開された。

ダグラム

ダグラム

デビッド・サマリン博士を中心としたデロイア独立派の手により企画・設計された、史上初の「Xネブラ対応型」コンバットアーマー。本来はこのダグラムを量産し、独立派ゲリラの主力コンバットアーマーとする計画だった。しかしカーディナル近郊の秘密研究所や生産予定だったボナール市の秘密工場が摘発され、量産計画は頓挫する。結果的に「完成見本」として先行建造された1機が、クリンの操縦で独立闘争を駆け抜けることになる。

Xネブラの影響下でも最大限の性能を発揮し、地球連邦軍の主力コンバットアーマー「H8ラウンドフェイサー」を圧倒する攻撃力・防御力を備えることを目標に開発された。さらにゲリラが運用することを想定した簡便な整備性を備え、分解・組み立てが素早く出来るような工夫がなされている。Xネブラによる性能低下を意に介さない地球連邦軍の「驕り」を衝く形で、極秘裏に量産したダグラムで一斉蜂起し電撃的に北極ポートを制圧する構想だった。そのためダグラム開発計画の肝は「その存在を地球連邦軍に気取られること無く、極秘裏に量産すること」であり、先行建造機の試運転後、即座にボナール市の秘密工場で量産が始まる予定だった。しかし第8話で秘密工場が摘発されダグラムの存在が露見したことで、その秘匿性はほぼ失われてしまった。その後残存した先行建造機が太陽の牙により運用され大活躍することになる。これにより「デロイア独立運動の象徴的存在」として脚光を浴び、独立派の戦意高揚に大いに貢献することになった。後にハックルの「精密部品の70パーセントが地球製」との発言から、ダグラム開発には地球の兵器メーカーが全面的に協力していることが判明する。

「Xネブラ対応型」とされるが、実際にXネブラの悪影響をどのように排除しているのかは明言されていない。第7話のダグラム初登場時にサマリン博士の「二重太陽、Xネブラ、デロイア星の特殊な条件に合わせて力を発揮できるように開発」したとの発言がある。さらに第18話ではハックルがダグラムの詳細な性能を解説する場面があり、「Xネブラガス星雲のため、コンピューターの能率が低下して、レーダーも狭い範囲、せいぜい30キロ位しか使えません。その条件下で開発されたので、Xネブラ対応型」と発言している。これらを総合すると長距離索敵能力やコンピューターによる制御など、Xネブラが悪影響を及ぼす部分を切り捨てて有視界戦闘に特化し、コンピューター制御を限定的にして手動操作への反応を重視した設計と推察できる。これによりダグラムの戦闘能力はパイロットの技量と熟練に大きく左右されるようで、作中後半ではクリンの巧みな操縦で、「アームロック」や「払い腰」などの格闘術を披露していた。

ダグラムの性能を語る上で欠かせないのが、攻撃のほとんどを跳ね返す異常なまでの防御性能である。特に胸部や肩部、腕部などの青い装甲部分は敵のミサイルやリニアガンを完全に防ぎ、傷ひとつつかない破格の耐久性を誇る。これは数で劣る独立派ゲリラにとって最重要な「しぶとく戦い抜く」生残性が何よりも優先された結果と思われる。その反面白い装甲部分はそこまで堅牢では無いようで、作中では上腕部の破損が左右1度ずつ描かれた。その他、ハックルが「関節部の脆弱さ」をダグラムの弱点として挙げている。これは前述の「分解・組み立ての簡便さ」を実現するために犠牲になった部分のようだ。作中では第56話の24部隊との戦いで、羽交い締めにされた拍子に右腕が基部から脱落したが、結果的にダグラムが危機を脱する契機となった。後頭部と膝部には、転倒や衝突の衝撃を和らげる目的で赤いバンパーが設置されている。踵部分にも同色の荷掛フック状の装備があるが、用途は不明。

ダグラムの機動力の源である脚部は、膝から下がほぼ丸ごとショックアブソーバー兼跳躍装置となっている。高所からの着地に際して衝撃から機体を守るとともに、仮想敵であるラウンドフェイサーを上回る15~20メートルもの跳躍力を発揮する。敵機の攻撃を回避するのに多用すると共に、敵の頭上を取る、低空侵入してきた攻撃ヘリを容易に撃破するなど、攻撃力向上にも寄与している。機動の際はパイロットには相応の衝撃があるはずだが、作中描写を見る限り座席にはシートベルトが無い。操縦には支障が無いようだが、クリンがどのように体を固定しているのかは不明である。

破格の環境対応性能もダグラムの強みと言える。通常のコンバットアーマーは水没してしまえば行動不能になるが、ダグラムには「シールド装置」と呼ばれる水密機構が備わっている。第10話で初登場し、潜水することで水上を駆け回る艦艇に奇襲をかけて撃破した。その後もたびたび水際の戦闘で活躍し、地球連邦軍のコンバットアーマーに対するアドバンテージとなった。さらに第58話での水陸両用コンバットアーマー「マッケレル」との戦闘では互角の水中格闘の末にこれに勝利している。自在に潜行・浮上をしているため、バラストタンクのような機構も内蔵していると思われる。さらに第65話では極寒のカルナック山脈で寒冷地用コンバットアーマー「ビッグフット」を、特別何の対策もしていないダグラムが撃破していた。

高性能と多彩な機能を実現するために、ジェネレーターは2基搭載されている。これはダグラムに敵機の腕部をちぎり取るほどのパワーを与えているが、燃費は悪化し活動時間の縮小という最大の弱点を生んでいる。ジェネレーターを発動するのに必要な液体燃料を、冷却剤や安定剤などと共に腰のボックスから補給する描写がある他、同じ腰のボックスを開けて何らかのカートリッチを交換する場面がある。カーディナルからボナールへの道中、過酷な砂漠地帯でガルシア隊との死闘を繰り広げてもなお、燃料不足以外の故障や不調に見舞われなかった耐久性の高さも、ダグラムが活躍した要因と言える。作中で本格的な分解整備が行われたのは、第60話でドガ市攻略及びデロイア人民政府樹立宣言がなされて戦いの山場を乗り越えてからの一度だけだった。しかし完全メンテナンスフリーとまでは言えず、第13話でハックルが「ちゃんと整備しないから、安定剤循環パイプが目詰まりを起こしてる」との発言がある。

アームリニアガンを構えるダグラム。側頭部にマルチディスチャージャーを備える。

固定武装としては、「マルチディスチャージャー」が頭部側面両側に2門ずつ装備されている。煙幕弾や照明弾を発射可能。第1話では敵機に煙幕弾を直撃させ目くらましとしたが、至近距離で信管が作動しなかったのか煙幕は発生しなかった。弾種を切り替えて照明弾を発射する場面もある。その他手の甲に対人・対軽車両用20ミリ機銃を2門備えている。ダグラムの主武器である「アームリニアガン」は、ほとんどの敵機装甲を貫通する抜群の威力を発揮する。スムーズに格闘戦に移行できるようにグリップを握るのではなく下腕部に装着される。ダグラム本体からの電力供給が必要なようで、当初は威力こそ高かったものの、連射がきかない様子が見られた。しかし後述の「ターボザック」装備によって電力供給が安定した結果、高速速射が可能になった。

ターボザックを装備したダグラム。側面にリニアカノンが備え付けられている。

第23話にてダグラムの強化武装である「ターボザック」が登場する。ボナールにてダグラム本体と同時期に開発が進行していたが、ボナールの独立派が壊滅したことで試作機1基が完成した時点で開発は頓挫した。試作品はJ・ロック隊により持ち出され、第28話にて太陽の牙に譲渡された。背負う形でターボザックを装備したダグラムは弱点だった活動時間が225分から36時間に大幅に延長された。左側面に装備された長砲身の「リニアカノン」はアームリニアガンの5.6倍の威力を発揮し、ダグラムの攻撃力を飛躍的に向上させた。専用トレーラーも用意され、戦場でも素早く装着できるようになっている。単体でトレーラー上に屹立させた状態でリニアカノンを発射したこともある。弱点としては装着したままトレーラー輸送ができない点と、重量増によって跳躍力が減衰する点である。第27話では敵の急襲を受け、時間を割いてまでターボザックを装着したが、跳躍力が足りずに軽量山岳型コンバットアーマー「ブッシュマン」の身軽さに翻弄される場面がある。このターボザックを装備したダグラムのプラモデルやトイのパッケージには、「ヤクト(独語:Jagd 狩猟の意)・ダグラム」と表記されていたが、作中ではこの名称は出てこない。

9連装ミサイルポッドを装備したダグラム

第60話でダグラムの右肩にチコがどこからか拾ってきた「9連装ミサイルポッド」が追加装備された。形状やサイズ的に「H8ラウンドフェイサー」からの鹵獲品と思われるが詳細は不明。これを装備するにあたって、頭部右側のマルチディスチャージャーは取り外されている。拾い物を単純にビルドインしただけの簡易改修だが、ダグラムの攻撃力は確実に向上した。

ソルティック社

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