太陽の牙ダグラム(Fang of the Sun Dougram)のネタバレ解説・考察まとめ

『太陽の牙ダグラム』とは、テレビ東京系列で1981年10月から1983年3月まで放送されたSFロボットアニメである。地球からの圧政に苦しむ植民惑星「デロイア」が独立するまでの動乱を、戦争と政治の両面から描く。地球生まれの主人公「クリン・カシム」は数奇な運命の下、デロイア独立戦争に義勇兵として参戦する。『機動戦士ガンダム』の流れを汲んだ「リアルロボット」路線の作品であり、後に『装甲騎兵ボトムズ』や『機甲界ガリアン』を手掛ける高橋良輔のロボットアニメ初監督作品でもある。

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オーストラリアなどを含むオセアニアをその領域とする州。設定や一部セリフのみで登場。

『太陽の牙ダグラム』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ナレーション「心に牙を持つ者は、皆逝ってしまった」

朽ち果てたダグラム。主人公メカが残骸として初登場する演出は視聴者の度肝を抜いた。

第1話の冒頭、一目で残骸と分かるダグラムの擱座した姿が映し出される。「鉄の腕は萎え、鉄の脚は力を失い、埋もれた砲は二度と火を噴くことは無い。鉄の戦士は死んだのだ」とのナレーションと共に、朽ち果てた手足や、砂に埋もれた武器や部品が順に映し出される。続いてコクピットが映し出されるが、砂に覆われており、人が去って久しいことが分かる。ナレーションが「獅子は死んだ、狼も死んだ。心に牙を持つ者は、皆逝ってしまった」と更にたたみ掛ける。ダグラムがどのような戦いをくぐり抜けて眠りに就いたのかが、ここから語られる。

ドナン・カシム「州立化を承認する決定を下した」

誘拐事件の主犯と被害者が並んでくつろぐ状況に、救出部隊の誰もが困惑した。

デロイア独立を求めた「ドナン・カシム誘拐事件」は、監禁場所だったカーディナル議事堂を制圧し幕を閉じた。数々の冒険を乗り越えてきたクリンも、初めて偉大な父の役に立ったと喜び勇んで駆け込む。しかしそこで目の当たりにしたのは、囚われの身だったはずのドナンと、事件の首謀者であるはずのフォン・シュタインが平然と同席する姿だった。思わず説明を求めるレークに、フォンは自身はデロイアの州立化を目指していたが、独立賛成派の評議会議員に独立を唆されたと蕩々と語る。身に覚えのない議員達の抗議を黙殺したドナンは「私は連邦評議会議長としてデロイアに深く謝罪すると共に、州立化を承認する決定を下した」と宣言する。あまりにも無理のある展開に場の空気は白けるが、ドナンは鉄皮面を貫く。崇拝していた父に対する疑念がクリンに芽生えた瞬間だ。

クリン・カシム「行かなくちゃ」

踏み出したダグラムのつま先が、図らずもダークの家族写真を踏みつけにしていく。

第12話。父ドナンの元を去り、デロイア独立を目指す闘争に身を投じたクリン。ダグラムで無我夢中で戦いはじめた彼だが、ロッキーの「知り合いを撃つ覚悟はあるのか」という問いかけに考え込む。そんなクリンに、かつてドナン誘拐事件で世話になった恩人・ダークが立ち塞がる。猛攻を仕掛けるダークに対し、引き金を引けないクリンだったが、仲間の危機を目の当たりにして反射的に発砲する。かつての戦友が四散して行くのを目の当たりにして、クリンは初めて殺人行為を自覚し戦慄する。茫然自失しながらも仲間の呼び声に応え「行かなくちゃ」と呟く。ダグラムが踏み出した足が地面に落ちたダークの家族写真を踏みつけていく。クリンが二度と引き返せない道に足を踏み入れた事を示すシーンだ。

フェスタ・ブロンコ「最高だぁー!」

フェスタが爆死する直前のシーン。おそらく本人は何も分からないうちに絶命したと思われる。

第12話でフェスタが発した最後の言葉。ガルシア隊の執拗な攻撃をついにはね除けた太陽の牙一同はつかの間、勝利の余韻に浸る。特攻で逆転のきっかけを作ったフェスタは皆の賞賛を受けて、照れ隠しと高揚感でデタラメにサイドカーを走らせる。「最高だぁー!」と叫びながら砂丘からジャンプをする。その時サイドカーの座席に紛れ込んでいた手榴弾が暴発、フェスタは爆死してしまう。突然の出来事に呆然とする太陽の牙。戦場における無意味な事故死という現実だけが彼らにのしかかる。かくしてフェスタ・ブロンコは太陽の牙初の死者となったのだった。

クリン・カシム「僕は今、とっても君と一緒にいたい」

つかの間の邂逅で心を通じ合わせるクリンとデイジー。

第35話。負傷したジョルジュを野戦病院に連れてきたクリンは、そこで看護師として懸命に働くデイジーに再会する。世間知らずの令嬢だったデイジーがたくましく成長した姿から目が離せないクリン。デロイアで自らの人生を見つけようとするデイジーに共感したクリンは、彼女に「僕は今、とっても君と一緒にいたい」と告白する。デイジーは同じ気持ちだと返しながらも、今は看護師として野戦病院を離れるわけに行かない、と告げる。2人は自然と抱擁を交わし、再会を固く約束して別れる。かつては地球への未練の象徴としてデイジーを遠ざけていたクリンが、ついに彼女に振り向いた瞬間であった。

デビット・サマリン「我々はここにデロイア人民解放政府樹立を宣言する!」

デロイア人民政府樹立を宣言するサマリン

第57話。独立派はついにパルミナの中心であるドガ市を制圧した。サマリンはメディアを集めて会見を開き、「我々はここにデロイア人民解放政府樹立を宣言する!」と世界に向けて発信する。続けてサマリンは「フォン・シュタイン政権」を地球連邦の傀儡と断じ、デロイア人民の民意を体現するのが唯一自分たちであることを強調する。テレビ中継でそれを観ていたフォンは苛立ちをあらわにし、ドナンは押し黙る。これが人類史上初の地球外惑星での独立政権誕生の瞬間だった。

ヘルムート・J・ラコック「フォン・シュタイン大佐が血迷われたぞ!」

背後の兵士に聞こえているか気にしながら、フォンが独立派に寝帰ったとデマを並べ立てるラコック

第67話。独立派の躍進で劣勢に追い込まれたフォンだが、第8軍(デロイア州軍)の意地を通そうする。北極ポート基地に赴き、第6軍の北極基地司令・ブレナー大佐に手出し無用と直談判する。しかしブレナーの口から、第8軍と独立派の相打ちを狙うラコックの策謀を聞かされる。ここに至って自分が踊らされていたことを悟ったフォンは、ラコックの野望をご破算にすべく、独立派との講和を決意する。初めて取り乱し必死で引き留めるラコックを嘲笑い、ヘリに乗りこむフォン。ラコックは「フォン・シュタイン大佐が血迷われたぞ!」となりふり構わぬデマで兵士を扇動する。自ら発砲するラコックの鬼気迫る様子に兵士達はあてられる。ついに放たれたミサイルが乗機に命中し驚愕しながらフォンが地上を見ると、そこにはほくそ笑むラコックがいた。野望のためなら手段を選ばないラコックの真骨頂が観られるシーンだ。

ヘシ・カルメル「手荒なまねはしたくなかった」

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