蒼の封印(篠原千絵)のネタバレ解説・考察まとめ

『蒼の封印』とは、篠原千絵による少女漫画。小学館の『少女コミック』にて1991年22号から1994年21号まで連載された。1993年にCDブックも発売されたが、結末が漫画版と異なっている。転校生・桐生蒼子の学校で生徒が次々と消える事態が発生。蒼子は自身が鬼族の長「東家の蒼龍」の人喰い鬼だと知り、苦悩しながらも鬼を封じるため「蒼の封印」を行う。血に翻弄されながらも宿命に抗うホラー・ファンタジーである。

『蒼の封印』の概要

『蒼の封印』とは篠原千絵による少女漫画。小学館より発行の『少女コミック』にて、1991年22号から1994年21号まで連載された。
単行本は全11巻、文庫版は全7巻。1993年にはCDブックも発売されたが、原作完結前の発売のため漫画版とは結末が異なる。ドラマ部分の他にオリジナルソングを収録しており、メイン作曲はA-JARIの伊藤信雄が担当、天野由梨・森川智之・渡辺美穂・本多克典らが歌を歌った。

高校1年生・桐生蒼子(きりゅう そうこ)は転校先で生徒が次々と消える事件に巻き込まれる。鬼を退治する「西の白虎」だと名乗る西園寺彬(さいおんじ あきら)は、蒼子が鬼族の長「東家の蒼龍」の人喰い鬼だと言う。実は蒼子は先代の女王・羅睺(らごう)のクローンで、16歳まで育てられ人間界に放たれた。自身の美貌で人を惑わし、人の魂を食うと「蒼魂」を生み出して鬼を増やす能力を持っていたのだ。
角が生え次第に鬼になっていく蒼子は人喰いへの飢餓感に苦悩する。彬を愛してしまい人として生きることを切望する蒼子は、彬と共に鬼門を滅ぼすことを決意する。
鬼を封じる「蒼の封印」を行うために、鬼族に対峙する「白虎・西園寺家」、鬼族の「玄武・桐生高雄(きりゅう たかお)」「朱雀・緋子(ひこ)」ら鬼を司る者たちと戦う。

現代の日本を舞台に、お互いの宿命に翻弄されながらも己の血に抗い、相反する2人が愛し合い共に生きていくホラー・ファンタジーである。

『蒼の封印』のあらすじ・ストーリー

始まりの日と違和感の正体

角が生え、鬼の姿になった蒼子(右)。

高校1年生の桐生蒼子(きりゅうそうこ)は父の転勤のため、両親と兄の4人で新興住宅街に引っ越してきた。
朝から目眩がし、体調は優れない。美しい蒼子に学校理事の息子で素行不良で有名な香椎秀明(かしいひであき)が興味を持つ。隣の席になった小川さとみ(おがわさとみ)が助けてくれたが、相変わらず気分が悪いので保健室に連れて行ってもらう。
ところが香椎は保健室にまでついてきた。蒼子は気分が悪く抵抗できなかったが、無意識に香椎の胸に手を当てると体温の暖かさを感じ青い炎が浮かびあがった。目がさめると衣服を残して香椎の姿はなく、蒼子は不思議なほど気分が良くなっていた。
香椎が消えたことが恐ろしく、蒼子は学校を休んだ。心配したさとみがくれた電話で「香椎が学校に来ている」と知った。学校に行くと皆が香椎と呼ぶ男は、蒼子の知らない男だった。
香椎が偽物である証拠を掴むため、放課後の教室に残る蒼子。香椎と名乗る男は気づくと後ろにいて、蒼子を押さえつける。男が蒼子の服を脱がせ心臓に手を当てると、息ができないほど苦しくなった。
男は蒼子が本物の香椎を喰ったこと、蒼子が人喰い鬼の長「東家の蒼龍」であることを教え、自身は鬼を狩る「西家の白虎」西園寺彬(さいおんじあきら)だと名乗った。「鬼門」を復活させられる蒼龍を狩ることを使命としているという。
蒼子は彬から逃げるうちに体育倉庫に来てしまった。彬にエナジーを吸われて弱っていた蒼子は無意識に女生徒に触れ、再び人を跡形もなく喰ってしまう。
人が消えたあと飢餓感が消え、気分が良くなっていることに気づいた蒼子。追いついた彬に「ばけもの」と呼ばれ「私は人間よ!」と叫んで友人・さとみに泣きつく。
彬の叔父である西園寺忍(さいおんじしのぶ)が取り仕切る西園寺財閥は鬼門から人を守るため、権力を持つ有数の企業牛耳っている大きな組織だった。蒼子を捕らえるため、町中に西園寺家の部下たちがいた。
逃げながらも蒼子は角が生え、部下を喰らい鬼火をまとって覚醒してしまう。鬼になった蒼子は超人的な身体能力を得てマンションのベランダに逃げる。蒼子は初めて人を食らう自覚をし、ガラスに映る自分の姿に絶望する。

自分が鬼であることが受け入れられない蒼子は、引越しする前の街の友達を探しに行くことにする。待ち伏せしていた彬に捕まってしまうが「私は鬼じゃない」と涙ながらに訴える蒼子。蒼龍が美しい鬼だと知っていた彬だが、蒼子に心を奪われてしまう。彬は「古文書」の存在蒼子に教え、蒼龍が鬼門を復活させるために再び現れると記されているという。彬は「自分が蒼龍だったら殺してもいい」という蒼子と共に旧家のある千葉へ行くことにした。
千葉に着き懐かしい風景にホッとする蒼子だが、違和感が拭えない。知ってはいるが、体が覚えていない。街の人は蒼子を覚えていなかった。学校から出てきた友達だったはずの少女も蒼子を「知らない」という。思い出の写真に写っていた桐生蒼子は全くの別人だった。
絶望する蒼子に追ってきた忍が「本物の桐生蒼子を喰って入れ替わったんだ」と言う。忍は街に火を放ち、銃を使って蒼子を追い詰める。弱った蒼子だが、逃げ遅れた子供を見捨てられず座り込んでしまう。蒼子を見つけた彬は子供を食えないでいる蒼子が邪悪な存在だとは思えず、自分の強いエナジーを少し分け与え逃げるように言う。

古文書の秘密

古文書を見れば人間になる方法がわかると考えた蒼子は、大学で古代史を学ぶ兄・桐生高雄(きりゅうたかお)から聞いた「西園寺文書」を探すことにした。蒼子は西園寺家に忍び込み、西園寺の本家がある「鬼無里(きなさ)」の模型を見つけ「社」の場所を確認した。
彬に見つかってしまうが蒼子の「自分のことを知りたい」という悲痛な叫びを聞き、再び蒼子を逃す手伝いをする。
一方で蒼子を殺そうとする忍は、蒼子の家に爆弾入りの宅急便を送り家族を殺してしまう。偽物でも大切な家族の無残な姿を目の当たりにした蒼子は怒りを西園寺家に向ける。街を破壊し蒼子を殺そうとする忍に彬は「白虎は俺だ。蒼子はまだ殺させない」と言い放ち、西園寺家の部下を喰おうとする蒼子を止める。彬は「人を喰いたくないんだろう」と泣き崩れる蒼子を抱きしめ、「鬼無里」に一緒に行くことにした。
彬は西園寺財閥の力を使い、車と衣類を用意して鬼無里へ向かった。鬼無里は一見普通の集落だが、以前は「水無瀬(みなせ)」と呼ばれ、鬼が作ったと言われる北側の一夜山(いちやさん)があるなど伝説の多い地域だ。西家により鬼門が滅ぼされ鬼無里となったと言う。
鬼無里には西園寺楷(さいおんじかい)と檀(まゆみ)の兄妹が待ち構えていた。楷は鞭を、檀は礫を使い彬ほどではないが、蒼子のエナジーを奪うことができた。彬は「蒼子を殺さなくて済むならその方がいい」と言い「人を喰わなくて済むように」と自分のエナジーを蒼子に与えた。
彬が蒼子を守ったと聞き、忍は蒼子だけでなく彬も殺した者に「白虎」を継承させると楷と檀、長兄の西園寺椋(さいおんじりょう)に指令を出す。
西園寺家の捜査から逃れるため彬でも迷うと言う洞窟に入ると、椋が待ち構えていた。彬は迷わず洞窟を進む蒼子に違和感を覚え、鬼の力が強くなっていることに気づく。蒼子自身も初めてきた鬼無里に見覚えがあることに驚く。
椋の投げたブーメランが蒼子の腕を切り落とし、彬と共に湖に落ちてしまった。蒼子は湖に見覚えがあり、湖底の洞窟から本家に行けることを知っていたので向かうことにした。
腕を失い弱った蒼子だったが、西園寺家で保管されていた切り落とされた腕が勝手に動き出し部下を食べていたのだ。蒼子は早い回復を不思議に思いながらも洞窟を進み、西園寺本家の庭に出た。屋敷に忍び込むと部下が「腕が部下を3人食べた」と話しているのを聞いてしまう。
自分の意志では止められない腕に戸惑う蒼子を「わかってる」と彬は蒼子への理解を示す。蒼子と彬はお互い気づかないうちに惹かれ始めていた。
再び白虎の継承を狙う西園寺兄弟に見つかってしまう。お互いをかばい合う蒼子と彬を「白虎に惚れた蒼龍なんて」と西園寺兄弟に言われ、自分達の気持ちに気づいてしまった。
蒼子の腕が彬の元に満たされないエナジーを求めて来たので、西園寺兄弟は彬を縛りつけ腕にエナジーを吸わせようとしたため止めようと蒼子は椋を喰い殺してしまう。満たされた腕は熱を持ち元どおりに蒼子に付いた事で、蒼子は自分の異常さに震えつつ自分の恋の罪深さを悔やんだ。
彬は蒼子を連れて文書のある社に向かう。西園寺家は止めようとするが彬は自分の力を見せ「白虎などくれてやる」と言い放ち蒼子に「好きだ」とキスをして社の扉を開いた。

社の中に入った2人は文書を開いた。古代文字で書かれていたが蒼子はなぜか読めてしまう。
文書には「蒼龍は人を喰らう鬼の長である」「鬼を統べるため蘇る」と書かれていたが、他の巻物は白紙で蒼子が人間に戻る方法は書いていなかった。しかし2人は社の中に違和感を感じ、逗子を壊すと地下のトンネルを見つけた。西園寺一族と共にトンネルを降り広い空洞に行き着くと、鬼の頭蓋骨を抱えた白虎の骸骨が鎮座していた。
蒼子と彬には太古のイメージと共に文書の続きを語る声が聞こえた。
かつて鬼は日本を支配し「東の蒼龍」「西の白虎」「南の朱雀」「北の玄武」に守られ火山の元に暮らしていた。西家にはいつの頃からか「怪き血」と呼ばれる鬼の能力を無くす者が生まれ、人間と共に鬼との長い争いが始を始めたが火山の爆発により鬼門は焼き尽くされる。鬼門最後の長・羅睺(らごう)はいずれ復活すると宣言したが、この頭蓋骨が復活した羅睺である。蒼龍の復活とは髪を元に複製されるクローンだという。蒼子はまさに羅睺に生き写しで、自分が羅睺のクローンだと知った。
白虎の骸骨は最後に「鬼は西家の人間で同等または自分より強いものと交わると力を無くす」と伝えた。蒼子は彬と交われば鬼ではなくなるのだ。彬は「蒼子と結婚する」と宣言した。

復活の阻止

忍も結婚を認め準備は進められたが、忍は蒼子が鬼でなくなった後に殺すつもりだった。彬も同じ事に気づいており、蒼子を連れて屋敷を抜け出していた。
2人が泊まったホテルで、彬は黒い炎に襲われてしまう。彬は自力で炎を跳ね除けホテルを出たが再び襲われ、蒼龍を復活させた北家の玄武・桐生高雄と対峙した。兄だと思っていた高雄が玄武だと知り、ショックを受ける蒼子。
高雄は「蒼龍を守り、鬼門を復活させるのが北家の役割だ」と話す。4家にはそれぞれ特殊能力があり「西家は鬼を狩る」「東家は人間を鬼に変える」「北家は精神を操る」「南家は●●●●」だという。蒼子の能力なしでは鬼門は復活しないのだ。高雄は黒い炎で精神を操り彬を崖から落とし、蒼子を捕まえる事に成功した。

目が覚めると蒼子は自宅のマンションで、高雄が用意した新しい両親に起こされた。高雄はこのマンションの住人を全て鬼に変えるために戻ってきたという。
エナジーが足りない蒼子に、高雄は数人マンションの住人を縛り上げて差し出した。蒼子は抗えず住人1人を喰べてしまう。高雄が蒼子を操り「思い出しなさい」と言うと蒼子は口から「蒼魂(そうこん)」をと呼ばれる小さな青い玉を出した。高雄は恭しく蒼魂を受け取り他の住人に飲ませると、住人は苦しんだのちに蒼子に跪き鬼になってしまった。
自身の能力に震えながらも操られている蒼子は、次々と蒼魂を作り出し、人を鬼に変えた。
蒼子はが高雄を振り払いベランダから逃げ出すと、偵察に来ていた西園寺家の部下と楷がおり助けを求めた。高雄と人間だった鬼たちが追いつき、鬼は部下たちの肉をそのまま食ってしまう。恐ろしい光景に楷は蒼子を連れ逃げようとしたが、蒼子は彬の気配を感じとる。彬は大怪我をしたまま蒼子を助けに来たのだ。彬が恋しい蒼子だったが、高雄が楷を人質にしたため蒼子は彬に会えぬまま高雄に従った。蒼子は高雄に操られ、意思に反してどんどん鬼を増やしていった。自責に耐えられず蒼子は自ら手首を切ったが、蒼龍である蒼子が死ねるわけがなかった。
弱った蒼子がエナジーを必要として葛藤し、彬に助けを求める姿を見て楷は「あんたは人間の方が似合ってる」とエナジーを少しだけ分け与えマンションから連れ出す。

蒼子たちは無事に彬との合流を果たす。蒼子は羅睺のクローンであり、羅睺の髪で誰かが復活させているのだ。蒼子が人間になったとしても、また羅睺のクローンが作られるだろう。蒼子は羅睺の髪を始末するまで、鬼の能力を無くすわけにいかなくなったことを彬に伝えた。
蒼子は羅睺の髪を高雄が隠し持っていると考え、彬とともに再びマンションに忍び込んだが見つからない。高雄が髪を隠した場所を探すため、蒼子は高雄が結界を張った場所探した。町外れの小さな神社を感じ取った蒼子は急いで向うが、すでに高雄が鬼門を連れて待ち構えていた。
彬と楷が高雄たちを押さえ込んでいる間に、蒼子は社の中にある2つの髪の束を見つけ出した。1つは羅睺の、もう1つは黒髪だった。蒼子と同じく北家の身内がいない高雄もクローンかもしれないのだ。
蒼子は彬たちと合流し、高雄を問い詰めた。高雄は北家の「最後のひとり」だと言う。クローン再生には鬼門の聖地で千年もの時間がかかり、北家と南家は聖地を守る役目がある。高雄は2つ目の髪の主であり蒼子の妹と名乗る少女・計都(けいと)を再生させていたのだ。再生したばかりの計都は蒼龍を継ぎたがらない蒼子を殺そうとし、自分が蒼龍になると言い放つ。
計都との戦いの中で計都に触れた蒼子は、再生前の計都の幼い頃のイメージが見えてしまいためらってしまう。目の前で次々に人を喰っていく計都を彬は殺そうとするが、妹を見殺しにできず蒼子は止めに入って計都を逃してしまった。
負傷した楷を西園寺家に送り、蒼子と彬は一旦西園寺家所有のマンションへ向かった。蒼子は計都を蒼龍にしないためにも、自分がしばらくの間だけでも蒼龍となり内側から鬼門を壊すことを提案する。彬は反対し、ついに白虎の力を使って蒼子を無理矢理に抱こうとする。力を無くせない蒼子も蒼龍の力を使って抵抗し「鬼門と人間の共存したい」と高雄の元へと向かった。

蒼子と決別した彬は、西園寺家の力を使い蒼子を止めるために捜索を始めたが見つからなかった。蒼子を愛しながらも、蒼龍を殺さねばならない。
一方の蒼子は蒼龍の就任の儀式を行うため、高雄・計都と共に「鬼の隠れ屋」にいた。あまりの美しさに計都も跪く。蒼子は計都に南家の「朱雀」を継承するよう命じ「緋子(ひこ)」と名前を与えた。
蒼子の住んでいた街に高雄・緋子と共に再び現れた蒼子は高雄に操られ自我を無くし、彬を襲う。蒼子は蒼龍として街の住人を鬼門に変えるほどになっていた。

蒼の封印

白影を使い蒼子の居場所を見つけ出した彬は、エナジーを吸い取ろうとする蒼子を抱きしめキスした。蒼子は彬を思い出し、自分が増やしてしまった鬼の多さに驚く。
弱った彬は高雄に捕まってしまったが、蒼子は楷と共に街を抜け出した。彬を助けられなければ蒼子を殺すことを条件に、西園寺家へ向かった。一方で高雄も彬を殺せずにいた。高雄の蒼龍への執着を見た彬は高雄が蒼龍を愛していることに気づいた。
西園寺忍は「蒼子を早く人間にして彬と人質交換をしたい」と蒼子に楷と寝ることを提案する。
交換が行われた橋の上で蒼子が楷の手で人間になったことが明かされたが、激昂した高雄に対抗し蒼子は再び蒼龍の力を使う。楷は忍を騙すためにも蒼子を抱いたように見せ「高雄の制御を受けない」という暗示をかけていたのだ。
蒼子は高雄に操られている間のわずかな記憶をたぐり「鬼の隠れ屋」に秘密があることを思い出す。高雄は鬼門を引き連れて西園寺家を奇襲し、大量の部下を殺した。彬は鬼は全て自分が殺し、蒼子に決して鬼を喰わせなかった。「鬼の隠れ屋」を探すため屋敷から抜け出したが、蒼子は自分が蒼龍になるという判断を後悔し緋子を殺すことを誓った。
命も危険な「鬼の隠れ屋」へ向かう条件として、忍は彬に「檀との間に白虎の後継を作ってからが白虎の義務」だと言い、檀は快諾する。「鬼の隠れ屋」へは蒼子の感覚を頼りに彬・楷・檀で向かうことになった。
檀への不信感、何者かの視線など不安を抱えつつも「鬼の隠れ屋」にたどり着いた4人。一見するとただの自然豊かな場所だが、五行思想を象徴する五芒星の形に並べられた石とその中央に洞窟を発見した。洞窟の入り口を守る鬼は蒼子にひれ伏し「奥には鬼面獣がいる」「符呪を唱和できる者だけが扉を開ける」と言う。地下の水脈に潜む鬼面獣は近寄った鬼の首を切り落とす凶暴さを見せる。
蒼子たちと案内役の鬼は奥に進むが、岩場に隠れた鬼面獣に蒼子が囚われてしまう。千年の間「鬼の隠れ屋」を守っている鬼面獣は蒼子が蒼龍のクローンだと知っている上で、侵入は許さないと言う。蒼子は鬼面獣の長いツノを体で受け止め、腹を刺されながら扉を開けてくれるように頼み込んだ。
そこに高雄と緋子が現れ「我々の土地だ」と彬に攻撃を始めた。鬼面獣は蒼子を振り払って逃げてしまう。高雄に扉を開けさせるため、蒼子は緋子を人質にし腹から血を流しながら強く訴えた。高雄は観念し扉の前に行くと鬼面獣がおり「黒の呪符」である不思議な言葉を話し始めると岩が動き扉が開いた。
中には滝があり蒼子が水を浴びると傷が治ってしまった。ここは「癒しの場」と呼ばれる鬼の病院ではあるが、鬼門を滅亡させられるような場所ではないと言う。高雄は黒の呪符を返し、蒼子たちを閉じ込めようとしたが鬼面獣が外につながる滝壺に落としてくれたおかげで助かった。

「鬼の隠れ屋」では鬼門を滅ぼすことができないことを知り絶望する蒼子は、緋子を殺し自分も死ぬと言うが彬が「その時は白虎が蒼龍を殺す」と止めた。一緒に滝壺に落ちていた鬼面獣は新しい蒼龍である蒼子に興味があると親身になり「隠れ屋」は4つ存在し、鬼門の存亡に関わるのは「東の隠れ屋」でそこを封じることを「蒼の封印」と言うことを教えてくれた。東の隠れ屋でしか鬼は子供を産めず、クローンもそこで作られると言う。
しかし「東の隠れ屋」は聖地を転々と移動しており鬼面獣は現在の場所までは把握していたなかった。彬は鬼面獣に「黄(オウ)」と名前をつけ、以前は東の隠れ屋だったという東京都庁に向かうことにした。
彬は西園寺グループの力を使い、都庁の下の掘削を命じた。地下に洞窟が発見され、向かうと中には鬼門の骨と碑文が残されていた。石に彫られた日本地図には聖地の候補地が23箇所、記されているのを見つけた。あとは西園寺グループが総当たりで掘削し洞窟を探すだけのように思えた。
一同は一筋の希望に一息つき、彬は蒼子に手料理を振る舞い久しぶりにゆっくりと過ごした。しかしそこへ檀がきて彬の寝込みを襲い、白虎の存続を訴える。彬は檀を跳ね除け蒼子以外を抱く気は無いと断言し、それを物陰から聞いた蒼子は改めて鬼門の断絶を誓う。

四家の隠れ屋で朱雀の力を手に入れられると知った緋子は高雄を問い詰めたが、高雄が蒼子を愛していることに気づいており高雄の意思が硬いと自分で南家の隠れ屋を探し始める。西園寺家の人間を喰い殺し、地図を手に入れた緋子は奈良へ向かっていた。蒼子たちも後を追う。
黄は「石の五芒星を探せ」といい、資料館で紹介された「鬼首(おにこべ)さま」と呼ばれる神社に向かうことにした。神社の御神体の岩の上からは五芒星の形に並んだ古墳が見えた。古墳の中央に向かうと、後を追ってきた緋子と待ち伏せていた高雄が現れた。
ここは西家の隠れ屋であり、高雄によって白の鬼面獣はツノを折られ負傷していた。呪符は唱えられないが高雄を殺すために力が欲しいと言う彬に応え、生き絶える前に白の鬼面獣は扉を開けた。中には石柱が何本もそびえ立っていたが、そのひとつに彬が立つと光り出し覚醒する。後を追ってきた高雄の子分の鬼たちは彬の出す白い炎であっという間に消え去ってしまった。
圧倒的な力に高雄や緋子も苦しそうにうずくまった。高雄を殺すチャンスかと思ったが同じように蒼子も苦しんでいることに気づき、彬は攻撃を止めたため2人を逃してしまう。
緋子が朱雀になり、蒼子の首を永劫に活かせば鬼門は守られる。だが愛ゆえに高雄にはそれだけはさせられなかった。
南の隠れ屋を探し九州に向かった緋子を蒼子たちも新幹線で追う。車内で迷子・まみこに会った蒼子は親を探そうとするが、まみこは聖地で生まれた鬼の子で高雄の刺客だった。「わたしたちはどうなるの?」と幼い子に問われ、何も言えなくなる蒼子。彬と楷に見つかり、彬はまみこのエナジーを奪い聖地の場所を言わせようとする。幼い子にも容赦しない彬に蒼子は戸惑い「まみこを親に返してあげる」と彬たちと別行動を取る。
彬は高雄の蒼子への執着と愛に、不安を感じていた。高雄は鬼の子供を数人用意し、蒼子の優しさに漬け込んできた。子供達の案内のまま付いてきた蒼子の前に高雄は現れた。蒼子への愛を口にできない高雄は跪き「あなたが蒼龍になるのなら命と引き換えでも構わない」と懇願する。「彬を愛している」と泣く蒼子に「一度見てから決めて欲しい」と聖地のある富士の樹海へと連れて行った。
樹海の溶岩窟の最深部にある隠れ屋では、鬼の赤ん坊が育っていた。「人間だって動物を食べる」と言う鬼の子たちに何も言い返せず、高雄にはこの命を殺すのかと問われ葛藤する蒼子。
一方で東京では地震が多発している。富士の火山活動が原因だが、噴火を食い止めているのは鬼の子の成長にエネルギーを使っているからなのだった。

彬は調査の結果、最後に残った富士の樹海が聖地であると突き止めていた。覚醒した彬と高雄の戦いは互角であり、蒼子が鬼門の味方さえしなければと彬は祈る。しかし幼い子を守るために、蒼子は彬に向かって攻撃をしてしまう。

『蒼の封印』の登場人物・キャラクター

鬼門の四家

桐生 蒼子(きりゅう そうこ)

CV:天野由梨
主人公の高校一年生。最期の人食い鬼の長「東家の蒼龍」である羅睺(らごう)のクローン。誰もを魅了する美しい見た目を持っている。
蒼子自身は情が深く優柔不断な面もあり、彬も振り回されてしまうことが多い。人喰い鬼である自身を憎み、人間になることを望んである。
桐生家は東家の血を遠くに引いており、鬼龍に由来がある。蒼龍の復活のために用意された家系でもある。

西園寺 彬(さいおんじ あきら)

CV:森川智之
西家の白虎。鬼を狩ることができる能力を持つ。
鬼門の4家の中で鬼を裏切った代わりに唯一生き残った西家だが、人間との混血のため血が薄くなり能力を持つものは少ない。その中で彬は蒼子を狩る高い能力を持っている。
鬼門にしか見えない分身(白影)を自由に操ることができる。
美しい蒼子に魅了され、いつの間にか愛するようになる。料理が得意。

桐生 高雄(きりゅう たかお)

鬼門の司祭である北家の玄武。北家の最後の1人。精神を操る。
蒼子の覚醒を待ち兄として暮らしていた。覚醒と鬼門の復活を願い蒼子を操る。
クローン元の羅睺の夫であり、緋子の父。

緋子(ひこ)

9hbajiriko1982
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