草摩紅野（フルーツバスケット）の徹底解説・考察まとめ

慊人と向き合う紅野

午（馬）憑きの草摩依鈴（そうま いすず）が行方不明になった。今は使われていないはずの猫憑きの離れに、食事を運ぶ使用人がいた。紅野が問い詰めると、その使用人は「もう何日も食事をとっていない」、「助けてあげて」と彼に鍵を渡した。中には髪を切られた依鈴がいた。依鈴は丑（牛）憑きの草摩潑春（そうま はつはる）と交際しており、それを慊人に咎められ2階から突き落とされ怪我をしたことがある。慊人は母との確執から女性性そのものを嫌悪し、男性の物の怪憑きをたぶらかすと見るや相手の女性を激しく憎むようになった。
紅野は依鈴を病院に運び、そのことを慊人に報告しに行く。慊人は、潑春に依鈴を突き落としたことを問い詰められているところだった。「神である自分よりも、依鈴を優先したお前が悪い」と悪びれる様子のない慊人に、紅野は依鈴を病院に運んだこと、神であろうと人を監禁してはいけないと言った。
依鈴を閉じ込めたことに怒る潑春は、病院に行こうとするも慊人を放っておけない物の怪憑きの特性故に中々動けない。そんな潑春に、紅野は「行くんだ」と背中を押した。物の怪憑きが自分を裏切ると嘆く慊人に、紅野はいつか皆が離れていくことを告げようとした。そんな紅野の手を払いのけ、慊人は既にいない父に助けを求め続ける。
紅野は、慊人に現実に向き合うように話をしようと考える。

刺される紅野

依鈴が監禁されたのは、慊人の父・晶が入っているという箱を持ち出そうとしたためだった。しかし、実際には何も入っていない。幼くして父を失った慊人の傷心を慰めようと、古参の使用人が用意したものだった。楝はその箱の存在、晶に関するものが入っていると知って依鈴に箱を持ってくるようけしかけたのだ。
慊人は、箱をよこせと刃物を持ち出してきた楝にそれを投げつける。中が空っぽである事実を改めて突き付けられた上、使用人たちの会話から慊人は自分が世間の常識から遠い存在として祭り上げられていることを思い知らされる。
紅野はその場から離れた慊人を追い、話をしようとした。しかし、「中途半端に僕を救って、放り投げる。その優しさって奴が、僕を殺し続けたんだ」と紅野を刺した。

再出発

重傷は負ったものの、紅野は一命を取り留める。運動機能の後遺症もなかった。後日、慊人は1人で見舞いに来た。泣きながら謝る慊人を、紅野は許した。聞けば、紅野を刺した後、慊人は透のことも殺そうとしたという。しかし、透は慊人を受け入れる発言をした。その直後、透は崖から落ちて重傷を負った。それでも命に別状はなく、紅野と同じ病院に入院しているという。
ありさが見舞いにやってくる。慊人と話をしたというありさに、紅野は自分は慊人の前から消えなくてはならないと言った。ありさは「どこへでも行けば。私はどこへでも行くよ」と返す。それは、紅野と人生を共にしたいというありさの告白だった。
それからしばらくして、物の怪憑きたちの呪いが解けた。本家に集められた彼らは、神をやめた慊人から今度は当主として皆を守っていくとの決意を聞く。この時、慊人は紫呉にプレゼントされた振袖を着ていた。慊人より年少の物の怪憑きたちは初めて彼女の正体を知る。
紅野は遠方に就職し、ありさも一緒について行った。十二支の絆に縛られていた他の面々も、新たな道を歩き出す。

草摩紅野の関連人物・キャラクター

草摩慊人（そうま あきと）

CV：若葉紫（旧アニメ版）／今井由香（旧アニメ版幼少期）、坂本真綾（新アニメ版）

草摩家の当主で、十二支の神に当たる存在。実父の晶の偏愛や古株の使用人たちの教育、実母の楝との確執から「神ではない自分に価値はない」と思い込むようになった。十二支との絶対の絆に縋り、それを信じたいがために物の怪憑きたちを手ひどく扱う。男性として育てられたが、実は女性。両親、中枢の使用人、紅野を含めた年長の物の怪憑きのみが慊人の性別を知っている。
紅野の呪いが解けたことを察知し、錯乱。「僕を見捨てないで」と泣いて縋った。紅野にとってはもはや神ではなく哀れな少女であり、慊人が望まなくなるまで彼女の傍にいると誓って取り憑かれたままのふりを続けることとなった。
異性としての愛情は紫呉に寄せているが、紅野を繋ぎ止めるために彼と肉体関係を結ぶ。このことが、紫呉や紅野との仲をこじらせた一因となった。
ありさや透との出会いで慊人との関係を改善しようとした紅野により、変化を促される。紅野を「中途半端に救って、放り出す」と認識して彼の腰を刺し、逃走。しかし、紅野は慊人を許した。
透という他人が一個人としての慊人を認めたため、十二支との約束された絆への執着を捨て、物の怪憑きたちを呪いから解放する。

草摩慊人（フルーツバスケット）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

renote.net

草摩慊人（そうま あきと）とは、高屋奈月の漫画『フルーツバスケット』に登場する十二支の神に当たる人物で、草摩家の当主である。十二支の物の怪に取り憑かれた「物の怪憑き」たちを絆という呪いで縛り付け、その心身を徹底的に痛めつける。登場時より不穏な言動が多かったが、本当は誰よりも絆に縛られ苦しんでいた。母の草摩楝の命令で男性として育てられたが、実は女性。主人公本田透との出会いが元で加速する環境の変化に怯えるも、最終的にすべてを受け入れる。

草摩紫呉（そうま しぐれ）

CV：置鮎龍太郎（旧アニメ版）、中村悠一（新アニメ版）／日野まり（新アニメ版幼少期）

戌（犬）の物の怪憑き。和装の似合う美青年。「ぐれさん」、「しーちゃん」などと呼ばれる。職業は小説家。人をおちょくることが多いが、年長者らしく若者を諭すこともある。慊人のことは、彼女が胎児の頃から自分だけのものにしたいと願っていた。その為なら、誰を利用することも厭わない。
慊人と関係を持った紅野に嫉妬し、意趣返しのごとく楝と関係を持つ。紅野には違和感を持っており、「何となく」ではあるが呪いが解けたことに感づいていた。紅野は、慊人が本当に思いを寄せているのが紫呉であることを知っており、「慊人を見捨てないでやってほしい」と頼んだ。

草摩紫呉（フルーツバスケット）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

renote.net

草摩紫呉（そうま しぐれ）とは、高屋奈月による漫画作品『フルーツバスケット』に登場する、戌（犬）の物の怪に取り憑かれた人物である。一見すると爽やかな美形で性格も飄々としている。その一方で自身を「最低」と評するように、十二支の神である草摩慊人を自分のものにするという己の野望の為に他者を利用する。といっても完全な悪人ではなく、物の怪憑きを受け入れる本田透を巻き込むことへの罪悪感も口にした。職業は小説家で、時たま迷い、悩む若者たちに道を示すこともある。

本田透（ほんだ とおる）

CV：堀江由衣（旧アニメ版）、石見明日菜（新アニメ版）

主人公。母を失った後は祖父と暮らしていた。祖父の家の改築が終わるまではとテント暮らしをしていたが、崖崩れでテントが埋まってしまった為、紫呉の家に住むこととなる。少し変わった敬語で話す他、やや天然ボケだが、自分よりも他者を優先する優しい性格。自覚こそしていなかったが夾に惹かれており、彼を解放したいがために呪いを解こうとし始める。とはいえ、夾以外の人物を自由にしてやりたいとの気持ちも嘘ではなく、慊人もまた呪いに縛られていると感じた。
紅野とは、避暑地で出会った。後に、ありさの出演する劇のDVDを届けるため危険を顧みず本家までやってきた。この時楝に見つかりそうになったが、透が来ていることに気付いた紅野により庇われている。

本田透（フルーツバスケット）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

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本田透（ほんだ とおる）とは、高屋奈月の漫画『フルーツバスケット』の主人公である。両親を失いながらも、前向きに生きる少女。他人を思いやり、相手をあるがままに受け入れる慈悲深さを持つ。天然ボケの気があり、ずれた言動も多いが本人が言う所の頑固さも持ち合わせている。十二支の呪いに苛まれる草摩（そうま）家と関わりを持つ中、十二支と猫の物の怪に取り憑かれた「物の怪憑き」を救いたいと願うようになる。

魚谷ありさ（うおたに ありさ）

CV：今井由香（旧アニメ版）、種﨑敦美（新アニメ版）

透の友人で、彼女からは「うおちゃん」と呼ばれている。古風なヤンキー風のいでたちだが、優しく友達想いな性格。深夜のコンビニでアルバイトをしていた折、買い物に来た紅野と出会った。紅野とは互いに惹かれ合うも、慊人から離れないと誓った彼との再会は1度だけだった。
文化祭の演劇『シンデレラっぽいもの』に出演した際、「会いたくても会えない奴だっている」、「会いに来い、コラー！」と叫んだ。

魚谷ありさ（フルーツバスケット）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

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魚谷ありさ（うおたに ありさ）とは、高屋奈月の漫画『フルーツバスケット』の主人公・本田透（ほんだ とおる）の友人である。透からは「魚ちゃん」と呼ばれる。昔ながらのヤンキーといった風体だが、不良行為はとうに卒業した。友達想いの情に厚い性格で、もう1人の友人・花島咲（はなじま さき）と共に透を見守る。透の母・本田今日子（ほんだ きょうこ）に憧れと恩義を感じ、彼女の死後も慕っている。バイト先で草摩紅野（そうま くれの）という人物に出会い互いに惹かれるが、事情があって会えずにいた。